アムロ転生記 騎士ガンダム物語   作:ティンティン

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懐かしのヒーロー戦記をプレイしていますが、キャラの改変に笑いつつやっています。ハマーンの過保護っぷり
と言ったらもう……


オードリーの言葉

 ハマーン・カーンはモビルスーツ操縦の腕前も、『ニュータイプ』としての感応能力も卓越していたとアムロは聞いていた。そして何よりグリプス戦役末期でのアクシズの戦力を極力温存する事でティターンズはコロニーレーザーの攻撃で壊滅、エゥーゴも主力が殆んど戦死、行方不明、再起不能と散々たる有り様の中で漁夫の利を得る形で地球進行を開始する戦略眼と恐らく宇宙世紀最強の女だろう。

 

 第一次ネオ・ジオン戦役次のモビルスーツの進化は恐竜的なスピードで進みハマーンの駆るキュベレイでさえ旧式と化す程であった。だがハマーン・カーンはそれを物ともせずに最終決戦では当時のモビルスーツで単体最強の火力を誇っていたZZガンダムのハイメガキャノンにも耐えたという。

 

 ハマーンとキュベレイの立てた戦歴は強烈である。はたして別の世界の、アムロと対峙するキュベレイの力は如何に……もし、敵ならば……とアムロは身構える

 

「む、貴様……見慣れない姿だが……さてはミネバ様をたぶらかして!」

 

 敵と見られてしまった。だがたぶらかしたとは流石に心外なのでアムロは反論する。

 

「違う、確かにこの娘にぶつかってしまったが別にたぶらかしている訳では……」

 

「問答無用! 行けファンネル!」

 

 しかし、キュベレイ似の存在は聞く耳を持たずその場から飛び上がり自分の周囲に強力なエネルギーの輪を形成する。

 

「なんだあれは?」

 

 基本的に、科学的理論で物事を判別する宇宙世紀の世界から来たアムロは知らないがそのエネルギーの輪は魔方陣という物で、その魔方陣から小さな何かが飛び出した。

 

「ファンネルと言ったが……まさか!」

 

 アムロは魔方陣から飛び出した物に見覚えがあった。それは宇宙世紀の世界で主にサイコミュ装備のモビルスーツに搭載された遠隔操作の攻撃機器のファンネルだ。他ならぬアムロも羽子板のような形状のフィン・ファンネルを使用した事がある。

 

 キュベレイの繰り出したファンネルはアムロに向かってジグザグと特殊な軌道を取りながら飛んで行く。宇宙世紀のファンネルはその特性上重力下では機能せず宙間戦闘限定の武器であったが、ここは別世界だ。そんなアムロの常識などお構い無しに、先端の銃口からビームを発射する。

 

「……! チィ! 周りを巻き込む訳には!」

 

「ナ、騎士ガンダム!」

 

 アムロもまた先に発射されたビームを避けつつ宙に舞い周囲を巻き込むまいと盾を構える。だがファンネルはアムロの周囲を囲みアムロに360度からのオールレンジ攻撃を浴びせアムロはその攻撃をモロに食らってしまった。

 

「ぐっ! 不甲斐ない……だがあのファンネルの注意をこちらに向けなければ……」

 

 本来のアムロであればファンネルに囲まれる前に全てを叩き落とすぐらいの事はするだろう。しかしここは宇宙では無く地上であり空を自在に飛べるような体では無い。何よりもこの場には多くの人々もいる。ファンネルのようなオールレンジ攻撃可能な物のビームを一々地上で避けていては周りを巻き込んでしまうのだ。

 

 ビームをまともに受けアムロは姿勢を崩し地へ落下する。だがアムロは先程の攻撃でファンネルのおおよその軌道を頭に叩き込んでいた。直ぐ様に姿勢を建て直し、再び宙へ飛ぶと己に仕掛けてくるファンネルを一つ、また一つと手に握る剣で叩き落として行く。

 

「何!? 私の魔術『ファンネル』をこうも落とすとは……侮れん!」

 

(この世界のファンネルって魔法みたいな物なのか?)

 

 アムロの強靭的な反応にキュベレイはたじろぐ。

 またアムロもこの世界のファンネルが魔法か何かの類いである事に多少衝撃を覚え、やはり己が別世界に来てしまった事を改めて認識していた。

 

 そしてとうとうアムロは全てのファンネルを叩き落としキュベレイにその剣を向ける。所謂ホールドアップの体制なのだが、キュベレイも諦め切れないのかその手にナイフのような物を取り出しアムロに構えた。

 

「──お止めなさいキュベレイ!!」

 

 だがアムロとキュベレイの対決を遮ったのは、オードリーと名乗る少女であった。オードリーはアムロとキュベレイの間に立ち、アムロを庇うように両手を広げていた。

 

「ミネバ様!? しかしこ奴は!」

 

「貴女の早とちりですキュベレイ! 私とこの騎士ガンダムは単に互いにぶつかってしまっただけ……それ以外に関係はありません!」

 

「は……ですがッ!」

 

「このミネバが言うのです! 鉾を収めなさい!」

 

 その最後の一言は、実に気品に溢れた力強い言葉であった。流石に反論する気を失ったのかキュベレイは膝を付きオードリーにかしずく。そしてオードリーはアムロの方を向き自らも頭を下げた。

 

「私の連れの非礼と、名を偽った事をお詫びします。私の名は、ミネバ・ラオ・ザビ。今はこのムンゾの地を治める者です」

 

「ザビ……!」

 

 ザビ、ザビ家。

 それは宇宙世紀に生きる者にとって忘れもしない名である。サイド3を支配し、ジオン公国を名乗り独立戦争を仕掛けたのがザビ家。オーストラリアにコロニーを落とし、食料ライン、環境に甚大な被害を与えたザビ家。そしてアムロはミネバの叔父にあたる地球方面攻撃軍総大将のガルマ・ザビを、宇宙世紀のミネバの父、ジオン宇宙軍の総大将ドズル・ザビを倒した、つまりミネバにとっては仇なのだ。

 だがそれは宇宙世紀に限った話である。とは言え違う世界で、全く同じ名のミネバに出会うとはなんたる偶然だろうか。宇宙世紀のその後のミネバはアクシズの象徴としてハマーン・カーンに担ぎ出され、その後影武者と入れ替わって行方不明になったとされている。

 

 ──この世界でのミネバはどういう立ち位置の人間なのだろうか?

 アムロの疑問はそこにあった。ザビ家と言うのはその独裁政治から一年戦争を泥沼に引き込んだ元凶とされているが、この世界のザビ家とはどういう捉えられ方をされているのかを。

 

「……所でミネバ様、なぜ城を抜け出して城下町に無断で出たのです!? 事を蒸し返す気はありませぬがミネバ様が無断で出なければこのような事には……」

 

「だって……またたこ焼きとホットドッグなる食べ物が欲しかったんですもの……! キュベレイったら私の口には合わぬ! なんて言って食べさせてもくれないんですから……」

 

 ──取り敢えずジャンクフードが好きなようだ。というかこの世界にもあるのかそのメニュー。

 

 先程の気品溢れる言動、立ち振舞いとは正反対の年相応の少女の可愛らしさを見て、そしてジャンクフードの存在を知って複雑に思うアムロであった。

 

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