A.ここまでで原作四分の一過ぎたよ
「な、なななななな」
いきなり席を立ち、デュエルの申し込みをし始める男、織斑一夏。
愛国者(大嘘)の彼にとってセシリア姉貴の人種差別的な発言は到底許容できるものではなく、決闘をする他に解決手段を見出せなかったのだ。多分。
「へぇ、言っておきますけど、負けたら奴隷にしますわよ」
と前振りは早々に、一夏少年はキリリとした赴きでセシリアに中指を突きつけた。
「ハンデ抜き、土方姿(ISスーツ)で硝煙塗れでやろうや。あ^~たまらねぇぜ。」
正体をあらわす一夏少年。
言っている内容はわからないが、喧嘩を売られたことは分かる。セシリアはお嬢様チックに口に手を添えて笑ってみせる。
「ハンデ抜きの姿勢はお褒めしますわ。ふふふっ。ハンデをつけなくてもいいなんて、ニッポンダンシは根性がおありのようね」
言うことは言ったと言わんばかりに一夏が着席する。
「決まったな。それでは勝負は一週間後の水曜日。ななじじゅうよんぷんにじゅうにびょう。放課後第三アリーナで勝負だ。観戦したいやつ、至急メールくれや」
ななじすき。
微妙すぎる上に正確すぎる時間を指定し始める千冬姉貴兄貴。川兄貴が泣いてらっしゃる。汚染物質垂れ流しはやめて差し上げろ。
黒光りIS学園みたいな口調と化した千冬ネキが授業再開の号令をとった。
一夏少年は苦行先輩と化して教科書を開きなおすのだった。
「ぬわぁぁぁぁぁぁん疲れたもぉぉぉん!」「チカレタ……」
一夏少年は親より聞いた声で悶絶していた。
「さぼりたくなりますよーなんかじゅぎょうー↑(劇団四季)」
授業が終わり机を枕(硬すぎる)にしてうなだれる一夏少年。これなら全裸うさぎ跳びでもしたほうが遥かに有益である。なぜなら全然理解できないからである。
放課後ということもあり生徒たちは好き勝手に戯れていた。奴隷少年の調教とか。エロゲみたいな世界観してんなお前な。
「ああ、織斑くん、まだ教室にいたんですね。よかったです」
「最高級のれんこん?」
レズ先生こと山田先生が書類を片手に現れる。大きく開いた胸元はしかし、一夏少年は見向きもしない。というかまともに聞き取れてない。耳鼻科にいってどうぞ。
「えっとですね寮の部屋が決まりました」
「やりますねぇ!」
部屋番号のかかれた紙とキーを受け取るや否や一夏少年はホモあるまじきテンポを発揮し、走り始めた。
「ああっ、説明がまだおわっ――――」
「そんなの関係ねえんだよ!」
疲れているのだ、とっとと休もう。という小学生並みの思考がもたらした電光石火の行動である。荷物がどこに行ったのかとか、夕食の時間とか、風呂とか、あれこれの説明全てを吹っ飛ばしてしまっている。
全力ダッシュで自室へと直行していく。走る先輩.BBの動きで廊下を走り抜けていき、自室へと到達するや鍵を開けて中に入る。
「あーここかぁ、ええやん。ベッドもついてんねや」
山 田 う ど ん
いきなりヤジロベエ的な仕草でベッドに座り込む一夏少年。高級感溢れる羽毛布団を堪能するべく体を反転させ、顔を埋めていく。枕がでかすぎる。
「誰かいるのか?」
「ん?」
奥から誰かの声が聞こえてきた。おかしい。自分ひとり部屋なのでは? その疑問に答えてくれる人物が、姿を現した。
「ああ、同室になったものか。これから一年よろしく頼むぞ」
声でピンときた。これは今朝も聞いた声だ。
「こんな格好ですまないな。シャワーを使っていた。私は篠ノ之箒―――」
「オッスオッス!」
シャワー室から出てきたのは、バスタオルで湯上りを包んだ篠ノ之箒その人だった。太腿は丸見えで、脚線美艶かしい。白い肌は上気しており、いたるところに水滴が伝っていた。部屋中に甘いシャンプーの香りが漂っていく。
女性が“対象”なら生唾を飲んだかもしれないが、一夏はホモである。多少動揺はしたが、気軽に手を挙げて挨拶をかましていく。
「いち………か?」
「ん? シャワー終わったなら次俺が使いますよー使う使う」
「み、み、見るなぁ!」
「ん? おう」
言われて後ろを向く一夏少年。動揺はしたが、興奮はしない。まあほんへの一夏もホモくさかったし多少はね?
「な、なぜお前がここにいる……?」
「部屋が同室だったってはっきりわかんだね」
箒が動いたのと、一夏が逃げ出したのはほとんど同時だった。
箒が木刀を手に戻ってくる。逃げようとする一夏。荷物に足をとられ転倒、顔から床を滑る。
「あっつぅー!!??(致命傷)」
「一夏覚悟ぉぉぉぉ!」
ドスン!
背中から胸に木刀が突き刺さる。
「俺はとまんねぇからよ……お前らがとまんねぇ限り、その先に俺はいるぞ! だからよ………木刀で人を殴るんじゃないぞ……」
倒れた一夏少年。残機減少!
で。
「お前が、私の同居人だというのか?」
「ホラホラホラ、見とけよ見とけよ~」
山田先生から渡された紙を見てようやく納得した箒さんだったとか。