私と金次くんのコンビ『鏨』が結成されてから数日が経ち、強襲科の授業にも慣れてきた頃に蘭豹から私に呼び出しがあった。
「また、何で俺まで付き添わなきゃいけないんだよ」
と、不平を垂らしながら付いてくる金次くんに
「『鏨』として呼び出されたんだからしょうがないだろう」
と、だけ返す。
校内放送では私の名前だけ呼ばれていたが、それは私達が前に蘭豹から「コンビ」として呼び出されたとき金次くんが校内放送で呼び出す際にコンビ名で呼ぶのはやめて欲しいと、まだ蘭豹の恐ろしさを知らない金次くんが文句を言って「捻られ」ていたのを私が、
「彼はこの私の所有物だ、用事があるならば先ずは私に連絡を」
と、神をも恐れぬ発言をしてしまったので、それ以来訓練中は彼女の遊び相手(サンドバッグ)になることを引き換えに私だけ名前で呼び出されるようになった。
今では金次くんなんかほっといて蘭豹にしばかれている様を携帯にでも撮っていればよかったと後悔している。
一般校区から強襲科に入るとすぐに蘭豹を見つけた、呼び出すなら場所くらい指定しろよと思いつつも用件を聞く。
「武偵は行動に疾くあれ!来るのが遅いぞ問題児どもが!」
「今回お前等を呼んだのは民間からの依頼でお前等コンビに指名があったからや、心して聞け!!」
来るのが遅いのはあんたが場所指定しなかったからだろ、いや、それよりも。
「何故、民間から指名があるんです?」
「私達は先日にコンビを組んだばかりで他に依頼など受けていませんが、」
と、純粋な疑問をぶつける
「別にお前等の名前で指名が入ったんとちゃうは、新入生のなかで一番優秀な強襲科の生徒として呼ばれとるって話や。」
「まぁ、要するに今のうちに唾つけとこうっちゅう事やな。」
なるほど、それなら私達が指名されるのにも納得だ。
私達控えめに言っても、同学年では最強だし。
「それで肝心の依頼内容やけど、お前等『考える木』って組織は知っとるか?」
それは何処かで聞いたな、確か
「自然保護を看板に掲げた反社会的宗教団体、教祖は『花御御前』と名乗り不特定多数の信奉者に囲われ、その身元は不明。」
だった筈だが、目で蘭豹に確認をとると
「そうや!よう調べとるやないか天羽!その組織では今まででも違法薬物の摘発なんかで武偵校でも何度か現場をあらっとるんやけどな、蜥蜴の尻尾切りで組織の解体には至っとらんのや…」
「その組織の幹部と思わしき人物から依頼主の娘が命を狙われとるらしくてやな、その対象を護衛して欲しいっちゅうのが依頼や。」
なるほど、中々に重い依頼だが、ふと蚊帳の外になっている相棒を横目に見ると。
「受けようぜ、天羽」
どうやら私と同じ結論のようだね。私は蘭豹に護衛対象について聞いた。
「護衛対象の名前は『花御咲羅』またの名を『花御御前』、教団『考える木』の教祖様や。」
どうやら、私達の初任務は一筋縄では行かないらしい。