あの後、諸々の手続きを終えてから私は遠山家に引き取ってもらうことになった。
こんなに早く原作主人公である、遠山金次と顔を会わせることになるとは、予想していなかったが、一流の武偵を目指すと決めた私としては、遠山家に伝わる100の技は是非習得しておきたかった。
最初こそ壁があったが、今では金次くんとも問題なく話せるようになった。
まだ新しい家族の空気に馴れていない私を気づかって、色々な話を聞かせてくれたり、習ったばかりであろう技を使ってみせてくれた。
今ではお互い心を緩しあい、お互いの夢を語りあったりまでした。
「俺は強くなって、自分の大切な人達を守れる武偵になる」
「今はまだ、この体質も上手く使えないけど、いつかは親父や兄さんみたいに使いこなしてお前も守ってやるよ…」
控えめに言って良い奴である。
金次くんの兄である金一さんは、私と金次くんのあいだを上手く取り持ち、私と金次くんが仲良くなるのをてつだってくれた。
度々調子に乗りすぎた金次くんに鉄拳制裁をくわえたりもしていた。
ちなみに金一さんは既にカナとしての自分を確立しており、私自身も女性としての立ち居振舞いを密かに見倣わせてもらった。
カナさん曰く
「金次は不器用だし、時々頭が固くなりすぎちゃうことがあるから、貴女が傍で支えてあげてくれるなら安心だわ。」
と、これからも弟と仲良くしてねという趣旨の話をした。
弟想いの兄(姉?)である。
それから数日が経ち、私は今、二人の修行風景を眺めていた。
基本は父である金叉さんが修行をつけているが、仕事で家をあける時は祖父の鐵さんが二人の師匠をしている。
しかし、この人は私と祖母の雪津さんに隠れて「春水車」などのちょっとあれな技まで教えようとしており、このあいだ雪津さんにばれて諸に「秋水」を喰らっていた。
鐵さんが言うには、
「遠山家は自在に返對してこそ一人前!」
とわけのわからない供述をしており。
雪津さんから18歳を過ぎるまでそういった教育はしないことを約束させられていた。
よって今は二人の自修を監督するに留まっている。
最初は私もただ眺めているだけのつもりだったが二人が実戦形式の組手を始めた頃、私は一度だけ金叉さんが二人に見せていた時、気づけば「絶牢」の構えをとっていた。
意識して再現しようとした訳ではなく、自然と体が動いていた。
そして技の術理や用途、その派生までも体現するだけの才がこの体にはあると漠然と理解した。
それだけではない、金次くんが発案して見せてくれた未完成の技「桜花」や先ほど雪津さんが使った「秋水」も習得し、桜花に到っては完成させ独自の形に嵌めるまでに極めていた。
どうやら私は刀語の鑢 七実の「見稽古」のように相手の技を一度観ただけで体得、二度見れば万全に自らのものにすることができるらしい。
この体、、チートスペックすぎるだろ…
まぁ、自分が強いことに越したことはないし、この世界普通に超能力(ステルス)とかあるから問題ないだろうと、私は楽観的に考える事にした。