『申し訳ないのだけれど、今回の任務はちょっとしたお使いのようなものになりそうよ。現地の協力者から機密文書を受け取ってきてほしいの。』
『文書はアレンという人物が記した、この世界“イジツ”の成り立ちに関する重要な情報が記されている研究ノートのコピーよ。本人は提供に反対していて正規手順での提供は受けられなかったけど、現地協力者が密かに入手してくれたの。』
『47はイケスカにいる協力者に接触して文章を入手。その後イケスカの外れに位置する第6造船施設にて建造中の飛行船に乗って脱出してもらうわ。今回の任務はその飛行船の受領も兼ねているの。』
『協力者の名前は“ダーグル”。大柄で色黒の男よ。文書の受け取りと同時に報酬の受け渡しも頼むわね。報酬は1万ポンド即金よ。』
『情報によるとコピーを持ち出したことはすでにアレン氏にバレている。アレン氏は懇意にしているコトブキ飛行隊に出撃を要請したみたいだから、空に上がれば彼女らの攻撃を受ける可能性があるわ。十分に注意して頂戴。・・・殺さないという意味でね。』
『準備は一任するわ。』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】
・装備
【報酬入りアタッシュケース、シルバーボーラー、格納庫の鍵】
・服装
【愛用スーツ】
『イケスカへようこそ。47。』
『イケスカ動乱やその後に起きたイサオタワー爆撃事件の影響で、町の治安部隊はかなりピリピリしているようね。ちょっとのことでも飛んでくる可能性があるから注意して頂戴。』
『町には動乱以降、自警団と呼べるものが組織されては分裂してを繰り返しているわ。今一番影響力がある戦闘航空団が、評議会に雇われたコトブキ飛行隊だというのが皮肉な話ね。そういうわけだから空に上ったら彼女たちがやってくる可能性が高いわ。むしろ空に上る前でも町中でのいざこざに駆けつけてくる可能性すら今の町の状況ではあり得るわ。』
『報酬を渡して文書を受け取るだけなのだからスマートに行きましょう。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私は今、イケスカの繁華街とも呼べる地域に来ている。イケスカはこの世界ではかなりの大都市に分類されるようで、高層ビルが立ち並ぶ姿はマンハッタンを連想させる。しかしどの建物もどこか日本風だ。それも日本の風景というよりは、他国の人間が想像した日本と呼べるような歪な構造をしている。ほとんどの高層ビルの屋上が天守閣のような三角屋根になっているのが最たる例だろう。
繁華街は人が多く、人口もかなり多いことがわかる。そのうちの一軒の中華料理屋が今回の協力者とやらとの接触場所だ。入り組んだ路地の中にあり、片側3車線ある表通りと違ってこちらは人一人がすれ違うのがやっとと言った感じだ。私は目的の中華料理屋に到着した。
ガララ
ラッシャイマセー
「待ち合わせだ。名はクリタ。」
「クリタ様ですね。こちらです。」
クリタは相手の偽名だ。協力者は裏稼業であるためこうした偽名をたくさん持っているようだ。
「おお、あなたがシジョウさんだな。」
「そういうあなたがクリタさんか。」
「フフフ、まあ座れや。おい!親父!ビールを一本もってこい!」
「私は食事するつもりはないのだが。」
「まあまあ、固いこといわなさんな・・・おお、きたきた。」
ヘイビールオマチ!
「さて、本題だが。」
「ああ、そうだったな。こいつがその文書だ。こいつを手に入れるのにだいぶ苦労したぜ・・・。」
「確認したい。」
「おっと、その前に報酬だぜ。」
「・・・良いだろう。このケースだ。」
「どらどら・・・ほほう・・・これはこれは・・・。全部で?」
「1万ポンド。」
「ふうん・・・。足りねえなあ。」
「何?」
「俺様の働きに対して額が足りねえって言ってんだよ。そうだな・・・5万ポンドなら渡してやってもいいぜ?」
「・・・最初の要求と差異があるようだが。」
「あのときゃあまだ仕事する前だったからな。ココまで大変な仕事になるとは思ってなかったんだよ。で、どうすんだ?5万出してくれるなら渡してやってもいいぜ。」
「・・・少し待て。」
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『上級委員会の方針ははじめから決まっているわ。値段の吊り上げには応じられない。』
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「値段の吊り上げには応じられない。1万だ。」
「じゃあご破産だなこの話は。実を言うとこの文書を欲しがってるのはおたくらだけじゃないんだよ。」
「・・・。」
「そいつらはこの文書を4万で買うと言ってきてる。普通に考えりゃどっちに売るかは自明だよなあ?」
「・・・売る気はないと?」
「5万出せば売るって言ってんだよ。1万じゃ話にもならねえな。」
「そうか。わかった。では5万だそう。だが今は残りの4万はない。後日再度受け取りに来る。」
「お!やる気になってくれたみたいで嬉しいねえ!わかった!じゃあ明後日だ。明後日までに5万用意したら売ってやるぜ!」
「わかった。では今日はこれで。」
「おいおい、まだビールしか来てねえぞ?なんか食ってけよ。奢るぜ?」
「この後も別の仕事が入っている。失礼する。」
「けっ、そうかい。わかったわかった。じゃあな。」
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『実を言うとこの状況になるのは想定されていたわ。だからあなたを派遣したわけ。上級委員会から通達よ。任務更新、協力者ダーグルを暗殺し文書を手に入れよ。上級委員No.5からの勅令よ。』
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私は一旦店を出る。この店が路地裏にあると言ってもそれなりに客足がある。しかもわざわざ人目につきやすいカウンター前のテーブル席を指定した辺り事を起こされないように警戒しているのだろう。それならば一旦引くのが得策だ。
私は周囲の状況を確認する。路地裏はだいぶ奥まで続いており、周囲が高層ビルなのもあって昼間だと言うのにだいぶ薄暗かった。だが高層ビル自体が整然としていて余計な出っ張り、室外機などの付属物、外付け階段などは一切見られないため、劣悪な立地条件にもかかわらず環境自体はそれほど悪くない。だが、暗殺を実行する上ではこれ以上無くやりづらい場所と言える。
しかし地面に目を向けると、他の世界の路地裏と同様色々とごちゃごちゃしている。どうやって入ってきたのかわからないトラックや、スクーター、ゴミ箱やビール箱がそれなりに整頓はされている状態で置かれている。
私はその中でスクーターに目をつけた。この世界でのスクーターは前時代の三輪バイクであり、この世界でどういうふうに発展したのかは知らないが、東南アジアなどでよく見かけるトゥクトゥクのような形をしている。トゥクトゥクなら以前暗殺に使用した経験があるので、今回もこいつにお世話になることにしよう。
表通りから少し入った所に中華料理屋があり、そこから更に奥に進んだ所にスクーターがある。ターゲットは裏稼業の人間なので無意識的でも表通りは通らないはず。中華料理屋の店員の対応を見るにそこまで常連というわけではなさそうだった。つまり裏口などを使わせる可能性は少なく、それらを総合するとターゲットは帰る時には必ずこの道を通るはずだ。
私はトゥクトゥクの燃料タンクを調べた。下側には燃料を排出させるための弁があった。周りに見ている人間がいないことを確認して弁を開ける。燃料は軽油のようだが、着色されていない。おそらくこの世界では燃料に着色する施設がないと推測される。おかげで燃料が漏れ出して道に水たまりを作ってもただの水たまりにしか見えない。私はそのまま少し離れたところでターゲットを待ち構えた。
アリガトウゴザイマシター
「ふー。食った食った・・・。」
ターゲットが出てきた。ターゲットに会った時、服からタバコの臭いがしていた。おそらくヘビースモーカーだ。そういう人間が禁煙の飲食店で食事をして出てきた後にすることと言えば・・・。
シュボッ
「ふー・・・。」
予想通りタバコを吹かし始めた。そのままタバコを咥えたまま予想通りこちらへ歩いてくる。手には先程の文書を入れたカバンを持っている。軽油が漏れている箇所にターゲットが差し掛かる。それほど時間は経っていないため咥えタバコ程度で引火するほど揮発していない上、この路地はビル風によって常に若干風が吹いている。その御蔭で軽油の匂いにも気が付かずターゲットはこちらへ歩いてきた。軽油の漏れている箇所に差し掛かった時、私は持っていた報酬用のアタッシュケースをターゲットのカバンに向かって投擲した。
シュッ
バシン!
「ぐあ!」
寸分たがわず当たったアタッシュケースはカバンをはるか後方へとはじき出した。突如として襲った衝撃に思わず声を上げてしまったターゲット。口には今の今まで咥えていた火の点いたタバコ。下には漏れ出した軽油溜まり。どうなるのかは文字通り火を見るより明らかだった。
ボォォゥ!!!!
「うわ!うわわ!ぎゃああ!!あじいいい!!」
またたく間に炎に包まれたターゲットはたまらず転げた。しかしそんな事をすれば下に溜まった軽油に自ら飛び込むようなものだ。必然的に助けを呼ぶこともままならないままターゲットは完全に炎に包まれた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ダーグルの死亡を確認。我々を舐めた報いね。さあ、文書を確保して頂戴。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「何事ですの!?」
「うげ!?誰かが炎に包まれてるよ!!」
「キリエ!消火器を!早く!」
表通りから騒ぎを聞きつけたのか通行人が野次馬として集まってきた。私はそこまで広くないこの通りを野次馬に紛れるようにターゲットが落としたカバンに近寄る。カバンは数m先の地面に落ちていた。その更に先、表通りの方にアタッシュケースはあった。
「あら?これは・・・。」
「消火器持ってきたよ!」
「早く消火を!」
バシュゥゥゥゥ…
「ふー・・・うっ・・・この匂い・・・。」
「人の焼ける匂いですわね・・・。」
「ん?エンマ。そのカバンは何?」
「ああこれですか。ココに不自然に転がっていたんですわ。」
っと、アタッシュケースのほうは野次馬と一緒に来ていたコトブキ飛行隊の二人に回収されてしまった。致し方ない。中身はただの金なので回収する必要も薄いだろう。今のICAにとって1万ポンドは端金のようなものだ。あの紙幣は技術部が偽造したものだと聞かされたのは作戦終了後のことだ。
ターゲットのカバンを回収し、再び野次馬に紛れるようにしてその場を後にする。一旦別の場所でカバンの中身を確認する必要があるだろうか。
~コトブキside~
「これは・・・!」
「えっ!なにこれ!?」
「お金ですわね・・・。しかもかなりの額。」
「それが焼かれた人の近くに落ちてたってことは・・・。」
「無関係ではないでしょう。」
「ちょっと君たち。それはなんだい?」
「ああ、自警団の方ですの?」
「ああ・・・って君たちはコトブキ飛行隊の?!」
「キリエだよ!」
「エンマともうします。このケースはココに落ちていました。おそらく焼かれた方の遺留品かと。」
「なんだって!ちょっと良く見せてくれ。」
「あ、結構重いですわ・・・。」
バサァ
「ああ、言わんこっちゃない。」
「な!かなりの大金だ!ということは金銭絡みの抗争か・・・?」
「それならば肝心の現金がここにあるのが腑に落ちませんわ・・・。あら?」
「どうしたの?エンマ?」
「・・・キリエ。すぐにみんなの所に戻りますわよ。」
「え?え?どういうこと?」
「すみませんが自警団の方。後を頼みますわよ!何かあったらオウニ商会へ!」
「あ、ああ・・・わかった。」
「ちょ、ちょっと!エンマ!?」
「ど、どうしたのさエンマ!ハアハア…何もそんな走らなくても!」
「カバンからお金がばらまかれて中が見えたんですの!そこに見覚えのあるマークが!」
「マークぅ?」
「あれは・・・あのときの・・・!」
~47side~
そう言えばあのアタッシュケースはICA純正品。中の金だけ渡す予定だったのでアタッシュケース自体は回収する予定だった。支給品ではあるが特に目新しい機密や機能があるわけではないので問題はないだろう。
私は別の路地でカバンの中身を確認した。中には目的の文書以外にも色々入っていた。なかでもイジツの重要人物に関するメモ帳は、帰還後情報部に回されることになるだろう。
私は町の南の外れにある第6格納庫へやってきた。格納庫の扉を持ってきていた鍵で開ける。かなり大きい格納庫の中には既に発進準備がほぼ完了していた巨大な飛行船があった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『これがシャドウレディ型空中航空母艦その4番艦にあたる“ディープシスター”よ。他の世界でも運用できるように各種迎撃装置や特殊機構が満載されているわ。この飛行船自体も渡界機の機能の発展型を搭載していて、この飛行船ごといろいろな世界にジャンプすることができるの。NBC対策も万全だからセーフハウスの役割も十分に果たしてくれる。我々ICAの新たな時代を象徴する画期的な船よ。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
飛行機よりも先に発明された飛行船が新たな時代を象徴するとはなんとも皮肉だが、見た所その言葉に偽りはないようだ。上部2門だけだったCIWSは上下左右いたるところに増設されており、その一部はどうやら高出力レーザーに換装されている。下側にあったはずのゴンドラ部分も内部に格納されているらしく、搭乗口はデッキから直接胴体に入る形になっている。
私は諸手続きを済ませ、カバンを片手に飛行船に乗り込んだ。内部はCICのようになっており、外を見渡せる窓はなく、すべてカメラ映像で運用されているようだ。
ちなみに、2番艦“ファントムガール”と3番艦“ゴーストクイーン”はそれぞれ既に別の世界に配備が完了しているらしい。前者はハルケギニアに。後者は艦娘たちの世界に派遣されていることを同乗の技術部職員から聞かされた。この機はどこへ向かうのかはまだ決まっていないらしい。
ほどなくして発進準備が完了。正式に現地建造業者から受領し、係留ロープが解かれ、処女航海へと出発した。ゆっくりと格納庫からスライドするように外に出ると、完全に格納庫を出たところで上方向へ上昇を開始した。以前乗った1番艦は飛行船そのものの浮力で上昇していたが、この艦は側面のターボプロップエンジンが向きを変えることで上昇する仕組みなのだそうだ。技術者の一人がアニメ映画を見て発案したと。あとブタのヒヅメがどうとか言っていた。
ピーピーピー
「対空レーダーに感あり!」
「来たか。」
上昇を開始し、周りの高層ビルよりも高くなったところで対空レーダーに機影を補足することが出来た。数からしておそらくコトブキ飛行隊だ。そこまで時間は経っていないはずだがお早い到着だな。しかし、我々は曲がりなりにも正規の手順を踏んでの飛行船を建造し受領している。攻撃されたり拿捕されるいわれはないはずなのだが。そのあたりも含めて無線で聞いてみようとした矢先、向こうから回線をつないできた。
「こちらオウニ商会所属コトブキ飛行隊!第6建造所から発進した飛行船、直ちに停船せよ!」
「こちらインターコンフォートアカデミー所属、ディープシスター。停船勧告の理由を述べよ。」
インターコンフォートアカデミーは建造に際し設立させたペーパーカンパニーだ。流石にICA本体を建造主にする訳にはいかないからな。
「貴艦には先程市街地で発生した殺人事件の重要参考人が同乗している可能性が高い。直ちに停船し、臨検を受けられたし。」
「正式な書類がなければ停船に応じることは出来ない。我々はこれより南南西方面へ市街地を離脱する予定である。進路を開けられたし。」
「できない。停船に応じられない場合、強制的にでも停船させることになる。繰り返す。直ちに停戦せよ。」
この声はおそらくリーダーのレオナだろう。意地でも停船させるとなると攻撃して上部の排気弁を狙ってくると思われる。幸いにしてコトブキ飛行隊以外には敵機は見当たらず、彼女らを退ければそのまま離脱することができるだろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『47。わかっていると思うけれど彼女たちの誰一人として殺傷することは許可されていないわ。攻撃する場合は十分気をつけて頂戴。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
無論殺傷する気はサラサラ無い。まずは威嚇から入るとしよう。
「停船には応じられない。我々に危害を加えるつもりならば正当防衛として貴機らを撃墜する。」
「くっ・・・。」プツン
「警告を行う。炸裂弾頭発射用意。」
『戦術AIです。空中炸裂弾発射シーケンス開始。目標、周辺空域。弾種、空中炸裂型巡航ミサイル“ニンバス”。発射3秒前。2、1、発射。』
バシュシュシュ
ボォォォン!!!
飛行船の周りに発射された炸裂弾頭は飛行船の周りを焼き尽くすように拡散した。まだ完全に張り付いていなかったコトブキ飛行隊の眼前に炸裂した形になり、映像を見る限り全機回避に成功したようだ。
そのうちレオナ機とザラ機がツーマンセルで攻撃を仕掛けてきた。上部排気弁に向かって挟撃を敢行、しかし近くのCIWSによる弾幕によって攻撃可能位置に到達する前に離脱した。
私は砲撃手に指示を飛ばす。新兵器の性能を試すとしよう。
~コトブキside~
ケイトから報告を受け、すぐにマダムに出撃許可をもらい、急いで駆けつけてきたものの、無線による交渉は決裂。攻撃を行おうと私とザラで挟撃を仕掛けたが、いとも容易くあしらわれてしまった。
「なんて弾幕だ。近寄れないぞ。」
「どうしましょうか・・・。」
「一箇所に多方面からの同時攻撃ならあるいは。」
「なるほど。迎撃する暇を与えないわけですわね。」
「よし、それでいこう。ケイトは直上、チカとキリエは右舷から、私とザラは左舷、エンマは後方からだ。」
「了解!」
「ケイト機、直上に移動する・・・」ボォン!「!?」
「ケイト!?エンジンが!」
「謎の攻撃を受けた。弾は飛んでこなかったがエンジンがいきなり発火した。」
「整備不良?」
「あきらかに外的要因。おそらく新兵器。」
「そんな厄介なものまで持ってるの?!」ボォン!「うわあ!」
「チカ!くっ!全機一旦散開!」
「「了解!」」
なんだ、何が起こっている。味方のエンジンが次々に発火している。飛行船からの攻撃なのか?弾が出ていた様子はない。焦れば焦るほど不可解な事象はより理解しがたい物になっていく・・・。
「レオナ!前!そのままだと敵の射程内よ!」
「!!しまった!」
急旋回したが時すでに遅し。飛行船の防空銃座の射程圏に入って・・・。
・・・?撃ってこない?どういうことだ?
ボォン「きゃあ!」
「レオナ!エンマもやられた!このままじゃ全滅だよ!」
「くっ、全機一旦引け!体制を整えるんだ!」
わけがわからない。今まで戦ってきた常識が通用しない。私には引いて体制を立て直す指示を出すのが精一杯だ・・・。
~47side~
新型のレーザー砲台は的確に細く高出力のビームを出し、敵戦闘機のエンジン部分を発火させている。フッ化重水素レーザーは目には見えないため、相手からすればいきなり発火したように見えることだろう。それでも散開したということはこちらの攻撃であること自体は見破っているようだ。
「そのまま一機ずつエンジンだけを壊していけ。」
「了解。」
彼女らの使う機体は旧日本軍の機体だ。旧日本軍の機体は防火装置が貧弱で、燃えやすいことで有名だ。真偽はともかく一式陸上攻撃機などはワンショットライターなどと揶揄されたこともある。光速で飛ぶレーザービームをもってすればエンジンを発火させるくらい造作もなかった。
ただレーザー砲の欠点としてある程度の距離が離れると威力が出ない事が挙げられる。現に今現在、かなり遠距離に散開したコトブキ飛行隊に対して、レーザー砲は照準こそ合っているものの今までのように即座に発火させることが出来ずに居る。砲弾による迎撃は不慮の事故が発生する可能性が高いためできることならば使いたくはない。かといってレーザーは射程が足りない。ミサイルはもっての外だ。
お互いに手をこまねいていると、技術部から通信が入った。
「渡界機の準備が完了しました。いつでもジャンプできます。」
「了解した。迎撃を中止し、渡界機で脱出する。」
私は即決し、一度この船を我々の世界にもっていくことにした。その数分後、渡界機が作動し、ディープシスターは、まばゆい光を放ちながらイジツから姿を消した。
~~3時間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「うん、おそらくその組織だね。僕に接触してきたのは。」
「やっぱり・・・!」
「どういうこと?」
「ICA。暗殺を専門に行う組織で、僕の研究に興味があったみたい。」
「聞いたことある!というかこの前一緒に仕事した!」
「やっぱりやべー組織だったんじゃん!」
「でも断った。」
「そういうこと。そしたらいつぞやの博愛連合みたいに僕の部屋に押し入って研究ノートを盗んだみたいだね。」
「でもノートは帰ってきたんでしょう?」
「ああ。そして最後のページの余白にこう書かれてた。“ありがとう。高く売らせてもらう”と。」
「売る?売るためにそのICAって組織が欲しがったわけ?」
「多分押し入った人間とICAは別なんじゃないかな。そいつがICAに高く売りつけるために盗み出して複製したんだ。」
「・・・あっ!もしかしてあの燃やされた男!」
「おそらくその押し入った男だろうね。何らかの理由で話がこじれてICAに抹殺されたってところだろう。」
「でも現場にはお金しか落ちてなかったよ?」
「おそらく写しは彼らが持ち去ったんだろう。」
「それで飛行船で逃げたのね。」
「そういうことか・・・。それで、研究ノートには何か見られたらまずいものが書いてあるのか?」
「いんや、特には。この世界の成り立ちやこの世界の仕組みについて色々研究したことが書かれてるだけだよ。ほとんどは憶測だしね。」
「じゃあなんで写してあげなかったの?」
「恥ずかしいじゃないか。なんか。」
「えぇ・・・。」
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「仰せのままに」
【+1000】『ターゲットの提案を受け入れる。』
・「トゥクトゥクリベンジ」
【+3000】『ターゲットをスクーターを使って暗殺する。』
・「世の中金じゃない!」
【+3000】『報酬入りアタッシュケースを投げてターゲットに当てる。』
・「博愛主義」
【+1000】『コトブキ飛行隊に死傷者を出さない。』
今後、飛行船は他の話でも出てくる予定です。
最近はっちゃけすぎたので次回は普通にやります。
次回は護衛されているターゲットを暗殺しに行きます。