原作キャラが死亡する描写があります。ご注意ください。
『おはよう。47。』
『今回向かってもらうのは、ジョウト地方にある“いかりのみずうみ”という場所よ。ここには以前、その“いかり”の象徴たる“赤いギャラドス”というポケモンが居たんですって。そのポケモンはとあるトレーナーにゲットされたらしいからもう居ないのだけれど。』
『ターゲットはそんな湖の周辺の小屋を根城にしている元ロケット団員の“シャム”と“カーツ”よ。彼らは元々“マスクド・チルドレン”と呼ばれる犯罪組織に所属していたわ。そう、ブルーとシルバーが所属していたことのある組織よ。組織が瓦解してからというもの、彼らはロケット団員として活動をしていたのだけれど、そのロケット団も壊滅。それ以降は地方を転々としながら窃盗恐喝強盗薬物取引人身売買。手広くやってたみたいね。』
『クライアントはそんな彼らに息子のポケモンを強奪されたとある富豪よ。息子を溺愛していた彼はその息子のポケモンを奪い、息子から笑顔を奪ったシャム達を許せなかったようね。でも今回の依頼にはポケモンの奪還は含まれては居ないわ。』
『ターゲットの二人はいかりのみずうみの奥の森の中に建つ小屋に潜伏している可能性が高いことが情報部の調査でわかったわ。早速向かってもらうわよ。』
『準備は一任するわ。』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】・【エージェント67-1】・【エージェント67-2】
・装備
【jaguar7、シルバーボーラー】・【ポケモン6匹】・【ポケモン6匹】
・服装
【愛用スーツ】・【漆黒ワンピース】・【愛用ジャケット】
『いかりのみずうみへようこそ。47。』
『この湖は大昔にギャラドスが暴れまわってできた窪地に雨水が溜まって湖になったという言い伝えがあるんですって。そのせいかギャラドスとその進化前であるコイキングが大量に生息しているわ。それ目当てでわざわざ訪れる人もいるみたい。』
『湖の大きさは結構大きいわ。五大湖ほどじゃないけれどね。湖の北部は森の迷路とも呼べる深い森林地帯になっているわ。』
『ターゲットの小屋は湖の北西部にある。人里離れてるところだから観光客もほとんど居ないし、あなたにとってはかなり簡単な任務になりそうね。』
『手早く済ませてきて頂戴。幸運を祈ってるわ。』
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「らっしゃいらっしゃい!チョウジ名物いかりまんじゅうはいらんかね!お!そこのイケメンなお兄さん!買ってかないかい?美味しいよ!」
「ふむ。3つもらおうか。」
「まいどー!」
「ちょ、ちょっと?47?まんじゅうなんて買ってる場合じゃ・・・。」
観光地特有の名産品を売る屋台があったが、正直言って売れ行きは良くはなさそうだ。値段や味はともかく、絶対的に人が居ない。我々3人を含めて観光客と思われる人は両手で数えられる程度しか居ない。観光地としてはかなり寂れてると言えるだろう。
「いやーお兄さんが来てくれてよかった!」
「売れ行きは良くはなさそうだな。」
「あー・・・あはは・・・まあそうだねえ。何でも最近この近辺を荒らし回るスリがいるとかで、観光客もあんまり寄り付かないんですわ。」
「スリ?」
「ええ。何でも男女二人組だとか・・・。しかもちょいと特殊なポケモンバトルをやるとか。」
「トレーナーも武器を持って戦うとか?」
「流石にそんなんじゃねえけど、なんでもペルシアンやヘルガーに吠えさせて周りの野生のポケモンを呼び集めて攻撃させるらしい。」
「・・・!47。」
「ふむ・・・。」
「まあそんな感じだからよ。俺が言うのも何だけど早めに街に戻ったほうが良いぜ。」
「忠告感謝する。では。」
「あい、まいどありー。」
「47。さっきの話。アレ、シャムとカーツの戦い方よ。」
「ターゲットの二人か。」
今回の任務は正直言って何故私がやることになったのかわからない。というのも人気のない所にいるターゲットを暗殺する。周囲は森で、暗殺自体もそうだがそのまま放置しても発覚が遅れるほどに人里離れた場所。本来ならICAに入りたての新人教育に使われそうなほどに簡単な任務だ。バーンウッドは何を思って私にこの任務を割当てたのか。しかもそんな簡単な任務にブルーとシルバーも連れて行けときた。確かにブルーとシルバーはターゲットと一時期行動をともにしていたことは身辺調査の結果判明している。ターゲットの情報を誰よりもわかっているとはバーンウッドの話だ。しかし本当にそれだけの理由だろうか?
「47?どうしたの?」
「・・・いや、なんでもない。行くぞ。」
「あ、47。任務のことなんだけれど・・・。」
「何だ?」
「暗殺する前に。私達とターゲット2人とでポケモンバトルをしたいの。」
「姉さん・・・。」
####アプローチ発見####
「・・・理由を聞こう。」
「私達の過去を・・・精算したいのよ。」
「・・・。」
「私達はポケモントレーナー。バトルして初めて分かることもあるわ。あいつらは昔からいけ好かない連中だったけれど、それでもバトルの腕は本物だった。」
「組織に居た頃、僕たちは彼ら二人にバトルで勝ったことがないんだ。」
「今は昔と違う。私達も強くなったし、ICAで戦術も学んだ。いわゆるリベンジマッチしたいのよ。」
「・・・。」
「お願い。47。私達に、少しでいいから機会をちょうだい。」
「僕からもお願いするよ。今回を逃したらもう機会はない。いつまでも過去を引きずるわけにはいかないんだ。」
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『彼女たちは自分たちの幼少期を台無しにした者たちへ復讐したがっているみたいね。ここは同じ仲間の好で願いを聞き入れてあげたらどうかしら。それにポケモンバトル中のトレーナーがあまりその場から動かないのはあなたも知っているでしょう?』
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「・・・わかった。」
「・・・ありがとう。47。」
「時間は取らせないよ。」
何故この任務を私に割り振ったのかはわからないままだが、少なくともブルーとシルバーが付いてきた理由はわかった。彼らは過去を清算したがっている。昔の忌まわしき記憶をポケモンバトルでスッキリさせたいわけだ。正直、昔の私ならば却下して早々に遠距離から狙撃していただろう。事実そのつもりで今回はjaguar7を持参している。だが、私はその願いを聞き入れることにした。本来アサシンとしてはあるまじき行為だが、何故そうさせたのかは今の私にはわからなかった。
私達は湖を左回りで回る。途中は鬱蒼と生い茂る森に阻まれもしたが、少し迂回すれば問題なかった。森の中は迷路のようになっており、所々に道を塞ぐように大きな蔦の木が生えていた。
「まって、この木は“いあいぎり”で切れるわ。お願いニドちゃん。」ガー
ザシュッザシュッ
「覚えさせたんだ。いあいぎり。」
「ええ。ここに来ると知ってからね。」
ブルーのニドクインはその強靭な腕を振り回し、光る爪先で目の前の木をまたたく間に細切れにしていく。そのままこの迷路も細切れにしてくれると助かるのだが。そのまま森を更に奥へ進んでいく。2~3度いあいぎりで木々を細切れにしたのち、森の奥に平屋の一軒家を発見した。
「あそこね。」
「・・・。」
「・・・じゃあ、行ってくるわ。」
「ああ。私は遠くから見ている。」
「・・・その時になったら合図するわ。」
「わかった。」
ブルーとシルバーは揃って小屋に近づいていった。隠れることも何かを警戒することもなく、まっすぐに堂々と。私は周囲の観察を開始した。彼らが彼らのするべきことがあるのと同じように、私は私の仕事をするまでだ。
~シルバーside~
「良いかい?姉さん。」
「ええ。」
小屋の前に着いた僕たちは中に人の気配があることを確認してドアをノックした。
コンコン
バァン!
ノックした直後勢いよく扉が開かれる。それ自体は彼らの常套手段でもあるので問題なく躱す。
「ちっ!かわされ・・・あれ?お前ら!?」
「相変わらずだな。カーツ。」
「お前らどうしてここに・・・ってブルーもいるのか。」
「なんだいなんだい、何の騒ぎだい。」
「お久しぶり、シャム。」
「おやまあブルーじゃないか。裏切り者のあんたらが一体何のようだい。」
「過去の精算に来たんだよ。」
「なにぃ?」
僕たちは小屋から一歩下がり、ボールを取り出した。
「私達と、バトルしてくれないかしら。今日はあなた達と決着をつけに来たのよ。」
「はあ?あっはははは!!どうやっても私らに敵わなかったお前らが?あはは!笑っちゃうね!」
「俺らにバトルを挑むってことがどういうことなのか、お前ら覚えてないはずねえよなあ?」
「わかってる。そのうえでだ。」
「カーツ、あなたの相手は私よ。」
「シャム、お前は僕とだ。」
「へっ、いい度胸じゃねえか、久々にボコしてやるよ!」
「カーツ!手加減するんじゃないよ。あたしらにこの期に及んで喧嘩売った罰を与えないとね!」
「行って!ニドちゃん!」
「行け!ドサイドン!」
「お前ら行って来い!」
「遊んでやんな!」
カーツはヘルガー、シャムはペルシアンを繰り出した。パワー系に対するスピード系、一見不利のように見えるが、こちらも対策は怠っていない。
「ニドちゃん!“じならし”!」
「ドサイドン!“だいちのちから”!」
相手の動きを地面を使って攻撃することで封じていく。相手も負けじと割れた地面を巧みに使ってこちらに接近しては攻撃を仕掛けてくる。
「ペルシアン!きりさく!」
「ヘルガー!ほのおのキバ!」
そこから先は一進一退の攻防だった。こちらの攻撃を躱し、仕掛けてきた攻撃をこちらも躱す。時折お互いに攻撃がクリーンヒットしてHPを削られていく・・・。
~47side~
ととと・・・。ブルー達は本格的な戦闘状態に突入したようだが、地面を揺らす系の技はなるべく使ってほしくはないな。危うく木から落ちかけた。私は500mほど離れた地点から双眼鏡を使って戦闘の行く末を見守る。ターゲットのポケモンが戦闘不能になりボールに戻され、新たに繰り出したポケモン・・・うん?先ほどと同じポケモンのように思えるが、同じポケモンを複数体所持しているのか。同時に出せない以上、戦略的にあまり意味のある行為とは思えない。案の定、対処なれしたブルーとシルバーのポケモンに先程よりも短い時間で撃破されている。
『47、聞こえるかしら?』
「聞こえている。」
『実を言うと、今回の任務は本当は別のエージェントが対処する予定だったの。』
「まあそうだろうな。」
『でも彼女らが・・・ブルー達が47と一緒に割り当ててくれと頼み込んできたのよ。』
「ほう?」
『本来ICAはエージェントの私情を任務に持ち込むことはないわ。でも彼らにとってのルーツにつながる重要な人物がターゲットになったこともあって、上級委員会はある決定を下したわ。』
「上級委員会が絡んでいるのか。」
『ブルーとシルバーは元々この世界の住人。彼らのルーツにつながる人物を暗殺した場合、彼女たちにどういう影響が出るのか。そしてそれらをワールドセーフティで抑え込めるのか。上級委員会はそれを知りたがったの。』
「有り体に言えばモルモットを安全に観察する機会が欲しかったわけか。」
『言い方は悪いけれどそんなところね。今回の任務のあと、あの二人は秘密裏にICAの観察対象に入ることになる。あなたも言動には気をつけて頂戴ね。』
「承知した。」
『さて、そろそろバトルも大詰めみたいよ。任務を早く終わらせて帰還して頂戴。』
「了解。」
~シルバーside~
「オーダイル!れいとうパンチ!」
ドガァ
ドサッ
「や、ヤドキング!」
「勝負ありだ。もう動けないだろう。」
「くっ・・・。」
「カメちゃん!ハイドロカノン!」
ドガァン
ドサッ
「マグカルゴ!・・・チッ!」
「炎に水はよく効くわね。これで・・・おしまいね。」
僕たちの勝利だ。アレだけ圧倒的だったように感じてたシャムとカーツはそれほど苦もなく倒せるまでになっていた。アレだけ倒したかった相手、いざ倒してみたら残ったのは勝者の余韻でも相手に対する優越感でもなく、ただただ虚しかった。
####アプローチ完了####
「くっそぉ!」
「・・・ふん、あんたら強くなったんだね・・・。」
「まさかココまでとは・・・。」
「このブルーちゃんが負けっぱなしなわけ無いでしょ。」
「僕たちも、成長してるんだ。」
「・・・ふっ、あーあー!負けた!」
「全く・・・、で?あんたらは私らに勝って満足かい?」
「・・・正直言って全く。でも・・・。」
「でも?」
「もう、手遅れ。かな。」
「はあ?」
姉さんはうつむいたまま声を絞り出すように言った。手足は若干震えている。そののち右手を振り上げた。
「じゃあね。カーツ。」
「何だもう帰るのか?」
「いいえ、帰るのはあなた達。」
「はあ?」
「あなた達が殺めたポケモンたちのもとへ。帰りなさい。」
そう言って姉さんは手を振り下ろした。
ダァーン!
ドサッ
「・・・!?カーツ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『カーツの抹殺を完了。次はシャムね。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「き、貴様ら!どういうことだこれは!」
「言ったでしょ。帰るのよ。あなた達がいるべき場所に。」
「なんだと!?たしかに我々はロケット団として悪事を働いてきたかもしれない!だがお前たちだってそれは同じだろう!」
「っ!」
「姉さん!」
「ふん!自分たちの事を棚に上げて出た結論がこれか!お前らは・・・お前らはあ!!」
ダァーン!
姉さんに掴みかかろうと立ち上がって駆け寄ろうとしたシャムの頭部を側面から銃弾が貫いた。そのままの勢いでシャムは姉さんの足元に転がった。もう動くことはない。しかし動かなかったのはカーツとシャムの遺体だけでなく、その場に呆然と立ち尽くしている姉さんも同じだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『シャムとカーツ両名の抹殺を確認。任務完了。帰還して頂戴。・・・ブルーは後で私のところへ来て頂戴。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
呆然としている姉さんの側に近寄ると、姉さんは泣いていた。静かに。何も言わず。
僕たちはその後どうやって基地へ帰ったか覚えていなかった。
~~5時間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ブルーは落ち着いたわ。』
「・・・。」
『シルバー、あなたは・・・強いわね。』
「強くなんか・・・無いですよ。」
『47もご苦労さま。咄嗟の判断としては上出来だったわ。』
「掴みかかろうとするターゲットに対し、全くと言っていいほど反応していなかった。あのまま放置するのは危険と判断したまでだ。」
「ありがとう。47。無理言ってついていったのに助けられてしまった。申し訳ない。」
「いい。」
『・・・ブルーから大方は聞いたけど、一応あなたからも聞こうかしら。』
「はい。・・・あの時、“お前らは私達と同じじゃないか”という言葉に、言い返せなかったんです僕らは・・・。」
「・・・。」
『・・・。』
「考えれば考えるほど、カーツ達と僕と姉さんは、所属が違うだけで他に何の違いもなかった。でも僕らは殺す側、カーツたちは殺される側になった。ただそれだけのはずなのに・・・。」
『シルバー、あなたもICAに入る時に確認はしたはずね。いずれこういう事も起こりうると。』
「・・・はい。」
『気にするなとは言わない。でもそれで自分の意思を、下した決断を曲げてはいけない。それはわかっているわよね。』
「・・・はい。」
『・・・ハァ・・・。あなたも少し部屋で休みなさいな。行っていいわよ。』
「はい・・・。」
「かなりのダメージを受けているようだな。」
『あれは精神治療が必要ね。それでも、過去を精算できたことには変わりない。必要なことだったのよ。』
「それは誰に対しての言葉だ?」
『・・・47も言うようになったわね。』
「今後はどうする?」
『ワールドセーフティは既に稼働している。これから彼らがここにいる状態でどうなるか。それを我々は観察しなくてはならない。第一次考察結果が出るまで任務は停止よ。』
「わかった。」
『考察結果は早ければ1週間以内に出るわ。それまであの二人には悩み抜いてもらいましょう。』
「・・・難儀なものだな。」
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「旅行の醍醐味」
【+1000】『いかりまんじゅうを買う。』
・「庭師王47」
【+1000】『いあいぎりで3回以上木を切り倒す。』
・「最後の決め手」
【+3000】『ポケモンバトルのあとに2人を狙撃で射殺する。』
・「感情と理性」
【+5000】『ターゲットのどちらかが死亡したあとにもう片方と会話する。』
「目には目を、歯には歯を」という言葉は、「目や歯をやられたら目や歯をやる以上の復讐をしてはいけない」という意味です。あの言葉の意図は過度な報復を防止することにあります。
次回は南アに向かいます。