HITMAN2『世界線を超えた先に』   作:ふもふも早苗

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『こんばんわ。47。』

『前回、ハルケギニアのエルフ元老院議会の建物から発見された設計図に一定の結論が出たわ。』

『技術部の話によると、あの設計図は非常に高度な科学技術をもとに作られていて、技術部の科学力を持ってしてもかなり強力なレーザーを発生させるレーザー砲というところまでしかわからなかったわ。』

『今回、情報部が収集した情報を総浚いした結果、これに似た技術を使っているところが発見されたの。47には今回南アフリカのポートエリザベスに向かってもらうわ。』

『以前一度対峙したHCLI社のココ・ヘクマティアルの友人の一人がこの技術と似たものを扱っているのが発見されたの。名前は天田南。ポートエリザベス近郊にあるメルヒェン社第二工場で量子コンピューターに関する研究をしているわ。今回はそこへ行ってこの設計図を紐解く鍵となるデータを入手してきてほしいの。』

『工場のセキュリティは厳重よ。ココ・ヘクマティアルの私兵団こそ居ないものの、天田南博士の護衛が常にそばにいるし、PMCが数人博士の周りを警備しているわ。その辺りは一緒に行ってくれる彼女が役に立つでしょう。』

『準備は一任するわ。』





~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】・【エージェント68】
・装備
【シルバーボーラー、魔導式警報解除装置】・【カメラハック、マグプルPDR】
・服装
【愛用スーツ】・【愛用レディースリクルートスーツ】







HITMAN2『調停者』

『ポートエリザベスへようこそ。47。』

 

『ここは市街地からだいぶ離れている荒野の中に建てられた工場で、何か良からぬものを隠して開発するにはもってこいの場所。ここで天田南博士は量子コンピューターを完成させようと躍起になってるみたいね。』

 

『量子コンピューター自体はICAの技術部が作ったものより数世代前のものなので特に問題はないのだけれど、それに付随する技術の一部が我々にとって未知の部分があるのよ。今回はそれをメインコンピューターに侵入して“借りて”来てほしいの。』

 

『周囲は荒野だから多少の戦闘は問題にならない。でも施設の警備兵は雇われPMCだから殺害しても問題はないけれど、天田博士の警備兵は全員準主要人物だから殺さないようにね。』

 

『健闘を祈っているわ。』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「聞いたわよ。47。ブルーちゃん達をいじめたんですって?」

「いじめては居ない。現実に直面しただけだ。」

 

キュラソーは最近ブルー達と行動をともにすることが多いらしく、前回の事案も既に大方を把握していた。しかしキュラソーは何故そうなったのか、ブルーたちの感情や思考、理論を正確に把握しており、それを知った上でからかってきている。

 

私達は今ポートエリザベス近郊のフルンダル自然保護区にいる。この直ぐ側のR75沿いにメルヒェン社第二工場がある。工場と言ってもハイテク工場であり、黒鉛を出す煙突や高炉があるわけではない。傍から見れば新興企業のオフィスビルにしか見えないだろう。周囲は塀で囲まれてはいるが、有刺鉄線のたぐいは見受けられず、警備かスタッフかはわからないが人が偶にその塀の近くをうろついたりしているため地雷等のトラップもないと判断できる。無論監視カメラは設置されているが。

 

「まずは施設内に侵入しなければならない。監視カメラがある。通り抜けるのは難しいか。」

「そうかしら?」

「何?」

 

言うが早いかキュラソーは塀を乗り越えてかなりの速さで施設に突撃していった。カメラが旋回してその姿を捉えるよりも先にキュラソーはカメラの真下に陣取ることに成功した。そのままキュラソーは持参したハッキング装置を手慣れた手付きで監視カメラに取り付けた。設置が終わり、キュラソーが合図をしてきた。私はそれを見てキュラソーの元へ駆け寄った。

 

「どう?」

「さすがの身のこなしだな。」

「組織に居た頃は結構頻繁にやってたから。このくらいは朝飯前よ。」

「過信は良くないがその身体能力があれば今後も楽に行けそうだな。」

 

この工場はほぼ全周がガラス張りになっている。一番近いガラス窓を覗き込むと、使用されていない部屋の一室が見えた。窓の上部には防犯用の衝撃センサーがある。窓を割ったりすればけたたましい警報音が鳴り響くだろう。だがこれに関しては技術部の最新の装置が役に立つ。

 

「・・・?それはなに?」

「技術部いわく“魔法のピッキング装置(仮)”だそうだ。」

「魔法技術が使われているのね。」

「そういうのには抵抗はないのか?」

「組織じゃ新技術に抵抗していたら生き残れないわ。」

「そうか。」

 

私は装置を衝撃センサーの裏側にかざした。装置のランプが2~3回点滅したあと、ランプの色が赤から緑に変わった。これでいい。私は持参している工具で窓の鍵の部分だけ丸くくり抜き、そこから手を突っ込んで鍵を開けた。

 

「便利なものね。簡易的なEMP発生装置か何かかしら?」

「EMPのように対象となる機械を破壊したりはしないようだがな。ともかく内部に侵入できた。行くぞ。」

「ええ。」

 

工場内は工場というよりも研究機関のような雰囲気であり、廊下は殺風景でほとんどが白で統一されていた。私達は慎重に手近なドアから手分けして一つ一つ中を確かめていった。

 

1階には大した設備はなかった。申し訳程度の玩具製造所、休憩室、ロッカールーム、武器弾薬庫。工場に弾薬庫があるのはおかしいのかもしれないが、今回の目的からは外れている。上に上る前に地下を調べておこう。地下は機械室が多く、電源室、水道設備、空調などが部屋ごとに分けられて設置されている。そしてある意味で目的の部屋である警備室を見つけた。私はキュラソーを呼び寄せる。

 

「中にPMCが3名。手前1人と奥2人。」

「私が奥2人をやる。47は手前の男を。」

「わかった。3カウントで行くぞ。3.2.1…GO!」

 

扉を勢いよく開けて私は手前の男が振り返った瞬間に鳩尾に一撃を食らわせて昏倒させた。キュラソーは扉が開くと同時に目にも留まらぬ速さで奥の2人に近づいたかと思うと、たちどころに両手で首へ手刀を食らわせ気絶させた。警備室制圧完了だ。

 

「制圧完了だ。」

「ん・・・これは施設図かしら。」

「のようだ。ここが警備室でここが侵入に使った部屋・・・。」

「で、目的の部屋はどこになるの?」

「天田南博士に用はない。我々が行くのはサーバールームだ。」

「じゃあ4階になるわね。かなり警備が厳重そうだけれど。」

「監視カメラが無効化できただけで上々だ。」

 

バシュバシュ

バキンバチバチバチ

 

私は警備室内にあった監視カメラの装置をシルバーボーラーで撃ち抜いて破壊した。気絶させた兵士から鍵束と無線を拝借すると、適当に縛り上げたのちロッカーに押し込む。

 

「47。これを。」

「これは・・・。この施設は特殊な構造をしているな。」

####情報を入手####

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『この工場の4階部分は特殊な構造になっているみたいね。エレベーターは4階に止まらず、階段も4階部分にはドアがない。4階に行くためには専用のエレベーターでかつ暗号キーを入力しなければならないみたい。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「暗号キー自体はここにあるわ。先程の警備員がメモを持っていた。」

「警備室が制圧されればセキュリティも何も役に立たないな。」

 

私達はそのままその階にある専用エレベーターに乗り込んだ。通常の行き先階ボタンの下にタッチパネルがある。先程拝借したメモの通りに打ち込むとエレベーターが動き出した。エレベーターは4階で停止。私達は施設図を頼りにサーバールームを目指した。っと、談話室の中から声が聞こえる。

 

「バブちゃん、それはそっちじゃないってー。」

「あら?あららら?」

「もーほんとに変なところで抜けてるよねー。」

「あっはっは!おっかしーんだー!」

「あんたが言うことじゃないだろうがよ・・・。」

 

 

中にいるのは女性3人。この工場のセキュリティが一番厳重な区画にいる女性3人となると、おそらく天田南博士、エレナ・バブーリン博士、レイラ・イブラヒム・ファーイザ博士だろう。彼女らは武力に対しては無力だ。制圧は容易だと言える。しかし、情報によれば強力な護衛がついているはずだ。言葉を発してないだけで近くにいる可能性が高い。ここは避ける一手だろう。

 

談話室を避け、廊下を進んでいき、サーバールームに到達した。早速サーバールーム内に侵入、手近な端末を操作して内部情報を・・・。

 

「・・・ふむ。そういうことか・・・。」

「どうしたの?47。」

「生体認証だ。」

####アプローチ発見####

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『端末の操作には博士たち3名のいずれかの指紋静脈網膜の認証が必要みたいね。一人をおびき出して操作させるか、一人を気絶させて連れてくるかしないといけないわね。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ドアの横にある装置は、見た所端末を刺すところも見当たらない。蓋になっている部分もあるので、おそらく操作権が確定してから現れるのだろう。全く面倒なシステムだ。

 

「3人の博士のうち一人の生体情報が必要だ。アクセスするには連れてくるしか無いな。」

「さっきの部屋の中から出てくるのを待つのかしら?」

「悠長に待って増援が来るのはマズイ。ココ・ヘクマティアルの私兵団が来たら目も当てられない。警備室に残してきた警備兵がいつ目を覚ますかもわからん。ここは襲撃する。」

「おそらくカレン・ロウも近くにいるけれど、それは私が相手するわ。」

「では私は他を制圧するとしよう。行くぞ。」

 

私達は各々、シルバーボーラーやマグプルPDRのチェックをしつつ先程の談話室に戻った。

 

談話室ではまだ内部でなにか遊んでいるらしく、黄色い声が響いていた。

 

「3カウントだ。行くぞ。」

「いつでもどうぞ。」

「3.2.1.GO」

バァン

キャア!ナニ?

 

カレン・ロウは扉すぐ横の壁に居た。ドアを開ける瞬間にナイフが頭の上をかすめたが、ギリギリのところで躱し、私はそのまま部屋の中ほどまで転がり込んだ。キュラソーはあろうことか振るわれたナイフを膝蹴りでへし折った。そのままキュラソーは近接戦闘に移行した。

 

「な、何だ貴様ら!」

「ふむ、他にも居たか。」

 

部屋の奥にはPMCの兵士が数人居た。カレン・ロウの動きで警戒態勢になっていたようで、こちらに銃口を向けてきている。私は中央で遊んでいた博士たちの中に滑り込みつつシルバーボーラーを放つ。

 

バシュバシュ

グァア!

キャ-!

 

博士たちにぶつかるかどうかの既のところで急ブレーキ、そのまま前方に宙返りする。そのさなか、側面に居た別のPMCの胸部に向かって弾丸を放っておく。

 

バシュバシュ

ギャア!

 

着地と同時に前に居たPMC2人にも連続で一発づつお見舞いする。相手は銃口をこちらに向けるのが精一杯で、とても避けたり対応したりする暇はないようだった。案の定そのまま銃弾を食らい、部屋の中に居た前方3名、側方1名のPMCは全滅した。部屋に入ってからここまでおそらく5秒と経っていない。

 

ガキン!パパァン!

 

キュラソーとカレン・ロウの戦闘もかなり激しくなっている。後で聞いた話だが、キュラソーはカレン・ロウの戦闘の様子を記録した映像を使って事前に予習していたらしい。そして弱点の解析も既に完璧にこなしていた。

 

「ふっ!まず右足!」

ザシュ

「ぐあ!」

「次に左腕!」

バシュン!

「ぐっ・・・。」

「最後に・・・。」

「キュラソー、殺すな。主要人物だ。」

「ん・・・ふう・・・わかったわ。命拾いしたわね。お嬢さん。」ペキッ バァン

「き、貴様ら・・・一体何物・・・。」

「か、カレンちゃん・・・。」

 

目にも留まらぬ速さでカレン・ロウの継戦能力を奪い、そのまま首まで狩りそうな勢いであったが間一髪止めることができた。キュラソーはカレン・ロウの得物、アーミーナイフをへし折り、銃で彼女の拳銃のスライド部分を撃ち抜いた。

 

「あんた達、一体何が目的?」

「天田南博士だな。少し付き合ってもらおうか。」

「・・・。」

「抵抗するようなら彼女、撃ち抜いちゃうけど?」

「ぐっ・・・。申し訳ありません博士・・・。」

「わ、わかった。とりあえず言うことは聞くから。何をすればいいって?」

「ついてきてほしい。キュラソー、彼女たちを見張れ。」

「了解。」

 

私はキュラソーに見張りを頼み、天田博士と共にサーバールームへ向かった。私の前を歩く博士は人質という立場にも関わらず落ち着いている。本人の性格なのかあるいは・・・。

 

「着いたな。入れるようにしてもらおう。」

「なるほど。サーバーが目当てだったってわけね。」

「正確にはその中のあるデータだ。」

「私らのやってることもお見通しってわけでしょ?ココは怒ると思うけどなあ。」

「残念ながら目的は量子コンピュータではない。別のデータだ。」

「ふうん?量子コンピュータよりも重要なものなんてあったかね?」

「早く開けろ。」

「ハイハイ、せっかちだねえ。えーっと・・・。」

 

 

ピッピッピッ

ピー

ニンショウカンリョウシマシタ

ガチャ

 

 

「ほら、空いたよ。」

「では一緒に中にはいってもらおう。」

「ええ?空いたんだからもう良いでしょ?」

「良いから入れ。」

「やれやれ、何でこんなことに・・・。」

 

私は博士とともにサーバールームに入った。

####アプローチ完了#####

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『サーバールームに無事入れたわね。増援が来る前にさっさと仕事を済ませましょうか。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

私は博士を隣に立たせ、端末を操作する。ちなみに銃口などは向けていない。向けたところで殺すつもりもないし、博士もこちらには敵わないとわかっているのかおとなしくしている。私は端末にメモリーカードを挿し、技術部が欲する情報を抜き出す。端末を挿した時点で検索、展開、ダウンロードまで自動で行うので私は特に何もすることはない。暇そうにしていると博士が目まぐるしく動く画面を見つつ話しかけてきた。

 

「・・・ふうん。あの情報が欲しかったのか。」

「知っているのか?」

「そりゃ私の研究所だよここは。私が知らなくてどうするのさ。」

「どこで手に入れた情報なんだ?」

「さあ。素因数分解アルゴリズムを制作している時にいつの間にか中にはいってたんだよ。」

「何?あなたが入れたのではないのか?」

「私はそんな物興味なかったし、量子コンピュータのことで手一杯だったからね。容量を圧迫しているわけでもなかったから一応ウイルスじゃないか確認してから放置してた。」

「セキュリティ・コンプライアンスも何もあったもんじゃないな。」

「そんなもん。量子コンピュータに何か恩恵ある?」

「・・・。」

「そいうことさ。わたしゃ量子コンピュータが完成させられれば何でも良い。その他のことなんてどうでもいいのさ。・・・と、終わったみたいだよん。」

 

見るとダウンロード完了の文字が画面に出て止まっていた。私はメモリーカードを回収すると博士を連れて談話室へ戻った。

 

「あら、おかえり47。早かったわね。」

「ドクター!ご無事で!」

「大丈夫大丈夫。カレンちゃんのほうこそ大丈夫?」

「この女が応急処置をしたので・・・。」

「暇だったし、博士を人質にとってるならむやみに暴れたりはしないでしょ。死なれると色々困るし。」

「賢明な判断だ。キュラソー、目的は達成だ。撤退するぞ。」

「了解。」

「天田博士。我々はこれで撤退する。決して追ってこようとか仕返ししようとは思わないように。」

「わかってるわかってる。」

「では行くぞ。」

「じゃあね。お嬢さん方。」

 

 

「はてさて無事に帰れるかな?ぷくく。」

 

 

廊下に出てそのままエレベーターに乗る。1階まで降りたあと、最初に侵入した窓から外に出た。警備室は制圧済みのため監視カメラを気にしなくて良いのは楽だ。念の為カメラのハッキング装置と窓ガラスのハッキング装置を回収したあと、施設の塀を乗り越え、外に止めてあった車に乗り込み走り出す。

 

「アウディね。いい趣味してるじゃない。」

「・・・。」

「どうしたの?」

「誰かが後ろからついてくる。」

「・・・あら、ほんと。黒のBMWのSUV。襲撃者としては最適の車両ね。」

「一応迎撃準備。」

「了解。」

 

キュラソーは後部座席に移動し、備え付けのサーマルゴーグルを取り出す。これならばスモークガラスでも問題なく内部がわかる。

 

「中には3人。一人は狙撃銃っぽいの持ってるわね。もうひとりアサルトライフル・・・あれはACR系かしらね。」

「ココ・ヘクマティアルの私兵団の標準装備だ。感づかれたか。」

「どうする?先制攻撃する?」

「・・・撃ってきたらでいい。狙撃には気をつけろ。」

「わかってる。」

「飛ばすぞ。」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『47。そのまま空港へ向かって頂戴。ICAが色々援護してあげるわ。援護内容は・・・お楽しみということで。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

援護がお楽しみとは。随分と余裕だ。彼らはそこまで余裕の相手ではないと思うのだが。私は速度を上げつつR75を南下する。速度を上げたのに気がついたのか向こうも速度を上げた。

 

「撃ってきそうよ。」

「狙撃か。」

「そういうこと。あの向きは、おそらく左後輪。」

「わかった。先制攻撃を許可する。」

「ふふん。結局はそうなるのね。」

 

どうやら車内からフロントガラス越しに後輪を狙撃するつもりのようだ。だが、狙いとタイミングが分かってしまえばどうとでもなってしまうものだ。キュラソーはマグプルPDRを持ってルーフを開けて外に乗り出した。

 

 

 

 

 

~ココside~

 

ダダダ

「オイ撃ってきたぞ!」

「ちっ!オイトージョー、そんな動かしたら狙いつけれねえよ!」

「ふざけんな!アイツら結構正確にこっち狙ってきてんだぞ!避けなきゃクラッシュか運転手の俺の頭に風穴が開いてるっての!レームのおっさんならそれでも撃ってるぞ!」

「うっせえ!どこの警察がカーチェイス中の車内から狙撃するってんだよ!やったことあるわけねえだろ!」

「二人共。喧嘩するなら今すぐ降りてください。トージョー、近くに付けれますか?」

「かなりきついな。今は撃ってきてないがこれ以上近づくとタイヤを撃ち抜かれる。」

「ついでにいうと俺が構えたらそれでも撃ってくる。こりゃお手上げだな。相手サーマルゴーグルかなんか持ってるだろ。」

「大人しくレーム達を待ったほうが良さそうですね。ココ、聞こえますか?」

 

通信機の向こうからバルメの声が聞こえる。私らは近くで取引をやってる最中、モコエナさんとマリーンさんのSOSコールでここに急遽駆けつけた次第だ。私とウゴとヨナはウゴの運転で工場へ。バルメ、ルツ、トージョーは車両で追跡。レーム、マオ、ワイリは待ち伏せするために先回りしている。

 

「ああ、聞こえてるよ。」

「そっちはどうですか?博士は無事ですか?」

「ミナミは無事。他の二人も。でもカレン・ロウ中尉が右足と左腕を刺されたり撃たれたり。当分護衛はできそうにないね。」

「そうですか。まあ博士たちが無事なら良かったです。それでターゲットですが、我々だけでは厳しいですね。相手の狙いが思ったより正確です。」

「そう。わかった。・・・レーム!聞こえてるよね!」

 

通信は衛星を介した全体通信なのでレームたちにも呼びかける。

 

「ああ。聞こえてるぜ。今狙撃ポイントに着いた。よく見える。」

「もうすぐそっちにターゲットが行くよ。確実に仕留めてね。」

「ああ。任せな。・・・ん?なんだありゃあ?」

「うん?」

ダダダダダ

「うぉあ!」

「わわわ!」

バァン!バァン!

「ど、どうした!レーム!マオ!ワイリ!」

「・・・。」

「返事をしろ!」

「ココさん!聞こえますか!襲撃を受けました!」

「被害は!」

「あーあー、乗ってきた車両が穴だらけにされて炎上中。俺達3人は高架橋の下に隠れて無事だ。だが上で狙ってやがる、外には出れねえぞ。」

「上から?何が・・・。」

「戦闘ヘリですね。それにどうやらアレは無人機。無人の戦闘ヘリです。」

「無人戦闘ヘリ!?」

 

どこの国、いやまず東西問わずどのメーカーも無人攻撃ヘリはまだ試験段階で販売はおろか初飛行したという報告もない。偵察用としてはいくつか販売されているし私も取り扱ったことがあるが、戦闘用は姿勢制御や状況把握の面で無人にするには技術的ハードルがまだ高い上、一番の理由として単純にUCAVで事足りるためにニーズがないためだ。

 

「ありゃコマンチでしょうか?そんな見た目っすね。」

「コックピットのガラス部分が装甲板に覆われてる以外はコマンチだな。」

「とにかく俺らの攻撃は無理だ。身動きが取れねえ。ちょっとでも外に出ようとするとすぐ撃たれる。それに高度を下げて横薙ぎにされたらおしまいだ。」

「ちっ!一体なんなんなのよもう!」

 

苛立ちばかりが募るがあいにくと無人攻撃機は用意していない。一番近いところでもケープのエイステールプラートだ。出撃はおろか滑走路使用の許可をとってる間に逃げられてしまう。

 

「なあ、お嬢。コイツはやべえ組織な気がするぜ。」

「どういうことですかルツ。」

「なんかよ。この前の兵器展示会でのヤツ?あれの組織が関わってんじゃねえの?そんな匂いがするぜ。」

「ICAが?」

「ちょっとまって、いまミナミに聞いてみる。」

 

思わぬことを言い出したルツ。だがこの手際とあの謎の攻撃ヘリ。可能性としてはなくはない、いやむしろ高い。前回のとき、ICAのエージェントの一人の人相は把握できていた。スーツ姿のスキンヘッド男。そして何よりも後頭部にバーコードのような入れ墨。私はそれらの特徴をミナミに伝える。

 

「あー、そういやそんな感じだったな。たしかに後頭部にバーコードみたいなのがあったわ。」

「やっぱり・・・!」

 

予感は的中した。だとしたらルツ達だけで対応させるのはマズイかもしれない・・・。ミナミ達も施設の被害は窓ガラスが割れた程度で済んでるって言ってるし・・・。仕方ない。非常に不本意ではあるが・・・。

 

「みんな聞いて。攻撃を中止して速やかに撤退して頂戴。」

「諦めるんですか?ココ。」

「相手は何をやってくるかわからない上にかなりの武装を持っている。みんなのことを考えて身を引くことにした。施設も無事みたいだしね。」

「まあ今回は俺もココさんの言うことに賛成だな。時折前から撃ってくるあの女。やたら狙いが正確だ。そこらの軍人以上の練度がある。」

「じゃあ俺らはあの無人戦闘ヘリに睨まれながらここで待ってるぜ。」

「多分追撃をやめてここを通過したらそれを護衛するように動くと思いますし、私らももうじき動けるようになるでしょう。」

「・・・みんなごめん。」

「ココさんが謝ることじゃありませんよ。」

「そうだぜお嬢。気にすんな。」

「帰ったらいっぱい慰めてあげますよ。ココ。」

「みんな・・・ありがとう。じゃあ改めて・・・総員退却!」

 

 

 

~47side~

 

「む、速度を落とした。そのまま高速を降りたわね。」

「ようやく諦めたか。」

『技術部の開発した新型の無人戦闘ヘリは役に立ったみたいね。そのまま護衛するわ。』

 

ずっと後ろを追跡してきていたSUVは離れて高速を降りていった。その数分後、それなりに低空を飛んでいるヘリコプターの下を通過した。ヘリコプターはそのまま追随するように動き、護衛してくれている。

 

我々はそのまま車を走らせ、ポートエリザベス国際空港に用意してもらったICAのチャーター機で帰還した。

 

 

 

 

 

~~3日後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

『失礼します。報告に参りました。』

「ああ、バーンウッドくん。待ちかねたよ。」

「それで結果は?」

『はい。先の南アでの作戦により奪取した放射線物理学の資料を元に解析した結果、あの設計図にかかれていた兵器の詳細が判明しました。』

「結局何の兵器だったんですの?」

『まずあの兵器は、当初縮尺が間違っているのではないかと疑われましたが、各所の機構から考えて縮尺が正しいことが判明しました。その結果、あの兵器の砲身長は全長約40km。砲口径は約900m。全体の直径は約120kmに及ぶことがわかりました。』

「途方も無い大きさだな。大砲にしては。」

『この大きさであることと、砲の後部に光子エンジンと思われる装置があることから、これは砲ではなく、“艦船”であることが判明しました。それも海上用ではなく宇宙空間用です。』

「宇宙戦艦なのか?」

「設計図は一応見させてもらいましたが、戦艦と言うよりはドーナツ型のコロニーのような形でしたけれど。」

『中央の部分は砲であることに変わりはありません。その砲から放たれるのは非常に高出力の中性子レーザー光線であることが判明しました。』

「中性子レーザー?放射線ということか。」

『はい。出力は450ペタシーベルト。この世に存在するありとあらゆる放射線よりも強力です。』

「そんな高出力の放射線レーザー砲、何に使うのだ。」

『この出力になりますと、すべてのものは完全に貫通します。艦船の大きさや砲口の形状などから推察したところ、この砲は距離1400万キロメートルで地球型惑星全域をレーザー光線内に収めることが可能です。この場合、惑星全土に超高出力の中性子レーザーが降り注ぐことになり、惑星上の生命体を数秒で死滅させることが可能です。』

「ちょっとまて、ということはつまり・・・。」

「その兵器は・・・!」

 

『はい。この兵器は対惑星用の民族浄化レーザー兵器です。おそらく銀河規模の国家が使う決戦兵器と思われます。』

 

「なんということだ・・・。」

「何故でそのようなものが・・・。」

『いかが致しましょう。ちなみにICAの技術力ですと、今現在建造は不可能です。諸研究に数十年単位で時間がかかるかと。また建造自体にも概算で23年かかります。』

「うむむ・・・とりあえず機密文書クラスAにカテゴライズしろ。こんな物作れるわけがない。」

「お蔵入り決定ですな。」

「バージニアのセクター14に設計図と一緒に保存しておけ。メインネットワーク内の関連データはすべて完全消去しろ。」

『承知いたしました。』

「上級委員会No.1からNo.4までの連名で通達する。この案件は“カテゴリ・ディアボ”とする。現刻より上級委員会の許可なく閲覧することを例外なく禁止する。違反者は例外なく処刑するものとする。」

 

 

 

 

~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・「警備を厳重に」

 【+1000】『警備室を制圧し、監視カメラを無効化する。』

 

・「雪上の記憶」

 【+3000】『カレン・ロウと戦闘する。』

 

・「管理者許諾」

 【+5000】『ドクター・マイアミにサーバールームを開けさせる。』

 

・「リガではお世話になりました」

 【+3000】『ココ・ヘクマティアルの私兵団の追撃を振り切る。』




量子コンピュータって今現在は今までのコンピュータより計算早いかどうかすらあやふやみたいですね。

次回は悪魔を倒しに行きます。
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