『今回向かってもらうのは幻想郷の人里よ。何回も行っているからもう慣れたかしら?』
『でもターゲットは初物よ。人間ではなく、低級ではあるけれど悪魔の子供である“アレーブス”を暗殺するのが今回の任務。見た目は15歳位の子供だけれど、なかなかの悪童らしくて人里で色々悪さを働いているみたいね。』
『厄介なことに、他人の能力や世界の理、規範なんかに干渉する能力を察知して回避することができるそうなの。なので理に直接干渉している八雲紫には手が出せない。同じ理由で上白沢慧音も彼を認識できない。かと言って人里の住人に倒せる相手でもない。藤原妹紅は竹林のお姫様と乳繰り合うのに忙しい、博麗の巫女は頼りたくない。そこで我々に白羽の矢が立ったというわけよ。』
『準備は一任するわ。』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】
・装備
【シルバーボーラー、即効性致死毒注射】
・服装
【町人の服】
『人里へようこそ。47。』
『イジツから転送してきた“ディープシスター”が今回のセーフハウスになるわ。高高度を巡航しているから地上または低高度にいる住人には気が付かれる心配はないから安心して頂戴。地上には簡易転送装置で降りてね。』
『初期調査の結果、ターゲットは人里のメインストリートから外れた住宅地区によく出没するそうよ。悪魔の特徴は1,通常より強い生命力、2,鬼や天狗ほどではないが十分に強力な筋力、3,人を騙すのに長けたコミュニケーション能力、4,簡易的ながら魔法も使う。この4点よ。』
『真正面から戦って倒すことも出来なくはないけれど、返り討ちに合う可能性も高いからあまりお薦めはできないわ。できるならば静かに確実に仕留めたいところね。』
『幸運を祈っているわ。』
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何度目かになる人里である。そこまで大きな街ではないが、私の仕事では毎回行動範囲が限定的になるため、未だに街のすべての地区へ足を踏み入れたというわけではない。私は町外れの廃屋の裏手に簡易転送陣で降り立った。今回は静かに事を済ませたいので、注射形式の即効性神経毒を持参した。念の為濃度を通常よりも上げており、人間は勿論のこと、ターゲットである悪魔に対しても効果が見込めるだろう。
私は住宅街と呼べる路地裏に入った。このあたりは表通りよりもだいぶ人気が少ない。この世界では電気がなく、家に居てもやれることは少ないため日中は外に出ている関係で住居には人があまり居ないのだろう。だが全く居ないというわけではなく、時折飛脚のようなものが狭い路地をすり抜けて走っていったり、住宅と住宅の間の路地で子供が遊んでいたりと、全くひと目がないわけではない。路地裏の子どもたちがなにか話している。
「そういやおまえんとこどうなったんだよ?」
「なにが?」
「アレだよ、なんだっけ・・・サギ?だっけ?あったんじゃないの?」
「ああ・・・確かに騙されはしたけれど、特に何か取られたわけじゃないからとーちゃんも気にしてなかったよ。」
「なんだ、じゃあ騙されただけだったのね。」
「心配して損したぜー」
「うそつけ、お前心配なんかしてなかっただろ。」
「ははは。バレたか。」
「で、その騙したやつはどんなやつかわからなかったの?」
「なんか俺らよりちょっと大きい子供だって言ってた。」
「子供に騙されたのかよーしょうがねえなー。」
「騙された時は大人の男に見えたって言ってたぞ。巫女様の御札に振れた瞬間に子供になったって。」
####情報を入手####
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『ターゲットは普段は成人男性になりすましているようね。御札に振れた時に解除されたということは魔法か何かで変装しているのかしら。』
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「そういうのもちゃんと巫女様に言ったんだよな?」
「そりゃ言ったさ。だから・・・ほら。」
「なんだそれ?」
「巫女様の御札。怪しいやつが居たらそいつに触れさせろってさ。」
「ふーん・・・ちょっと貸してみろよ!」
「ああ!ちょっとまてよ!・・・ああ!!」
バッサー
「あーあー、ばらまいちゃった・・・。」
「もう何やってんのよ!ほらさっさと拾い集めるわよ!全部で何枚あるの?」
「えーっと・・・10?8だったかな?」
「わかんないのかよ!」
ヒラヒラヒラ
ばらまかれた御札の1枚がこちらにやってきた。私はそれを手に取ると、子どもたちに気が付かれないように懐にしまい、その場を離れた。この御札があればターゲットの力を制限することができるかもしれない。
私は住宅街の端にある自警団の詰め所にやってきた。あちらこちらで人を騙したり悪事を働いているのだとしたら自警団に把握されていないわけはない。何かしらの情報があるはずだ。
自警団の事務所は他の住宅と大差のない瓦屋根の一軒家だった。当然鍵らしい鍵もついていないので容易に中に侵入できそうだ。電気もないので監視カメラや各種セキュリティもあるわけがない。案の定、事務所の玄関の鍵はかかっていないどころか、そもそも扉自体が完全には閉められていなかった。不用心にもほどがあると思うのだが。
事務所の中は誰も居なかった。壁にかけられていた巡回表を見ると今の時間は全員町内の巡回に出ているようだ。つい最近巡回が強化されたことも同時にわかった。私は近くの机から虱潰しに探していく。3つ目の机の上に町内の地図があり、ピンで印が刺されていた。
####アプローチ発見####
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『この地図によるとターゲットは、南東地区、南地区、南西地区とだんだんと場所を移動して悪事を働いているみたいね。その流れで行くと次は西地区ね。あの地区は路地が入り組んでいるけれど、建っている家はすべて平屋で、家と家の間もかなり近いし小道も多いわ。こっそり後ろから近づくには良い場所かもしれないわね。』
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目撃場所が記されているその地図を見る限り、人気が特になさそうな狭い路地の奥によく出没しており、人目のつくところでは殆ど見かけられていないようだ。更に、出現する状況や周囲の道路形状などにも一定の法則が見られる。これらのことから総合して考え、私は次の出現位置をおおよそ絞り込むことに成功した。
隣の机に新聞が置いてあった。文々。新聞と書かれているので射命丸文の新聞だろう。そこにはターゲットと思わしき人物の写真が掲載されていた。しかしそれなりに遠くから撮ったようで顔までははっきりとはわからない。しかし服装の特徴などを確認するのには十分だ。私はその新聞を持ち、出現位置へ向けて出発した。
私は西地区の住宅街の路地裏にやってきた。やはり日中だと言うのに人気がほとんど無く、先程の路地ではまだ子供が居たから人目があると言えたが、こちらは子供すらおらず全く人気がない。予想ではおそらくこのあたりの路地に出現すると思われるのだが・・・。
「すみません。ちょっとよろしいですか?」
不意に後ろから声をかけられた。そこには20代前半の男が立っていた。気配も感じさせず後ろに回り込んできたということは普通の人間ではなさそうだ。そして新聞の写真の人物の特徴そのままの格好をしていた。
「はい。何でしょう。」
「見た所お困りですか?道に迷われたとお見受けしますが。」
「まあ、そんなところです。」
「やはり。では私がお教えしましょうか?」
「お願いできますか。」
「わかりました・・・この地図をもって行ってください。詳しく書かれていますよ。」
「はあ・・・。」
「それでどこへ行きたいのですか?」
「そうですね・・・。このあたりですね。」
「ほほう・・・それはそれは・・・。」
私は近くにある奥まった袋小路を指し示した。ここからあまり離れておらず、何なら既にその入口はここから見えている。
「では案内いたしましょう。付いてきてください。フフフ・・・。」
「よろしくおねがいします。」
男はその路地とは別の方向へ歩き始めた。そのままついていくと、近辺の路地を一周したのち、目的の袋小路までやってきた。わざわざ遠回りをしたところから見ても普通の町人ではない。私は後ろから静かに距離を詰める。御札の内側に注射器を忍ばせ、まずは御札が先に触れるようにその男の背中に押し付けた。
スッ
「ん・・・っ!!!」
ボゥン
「ふむ。やはりか。」
男は札に触れた瞬間に煙とともに15歳位の少年に変わった。若干耳が長い以外は人間の子供と大差ない見た目をしていたが、目の前で御札を押し付けたら変化したということはこいつがターゲットだ。
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『そいつがアレーブスね。やっと見つけたわ。変化が溶けたその姿が本来の姿よ。変化が溶けたことに対して混乱している間に仕事を済ませてしまいましょう。』
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私は御札をそのまま完全に押し当て、その内側に隠してあった注射器を背中に刺した。一気に内容物を注入したあと、御札をテーピング代わりにしつつ注射器を抜いた。
「うぐっ!な、何が・・・あ、あれ?」
「安心しろ。直に収まる。」
「あ・・・あ・・・体が・・・息が・・・。」
「・・・。」
「カフッ…」
ドサッ
ターゲットはそのまま前に倒れ込んだ。背中の御札の部分から注射された神経毒が全身に回り、手足、肺、心臓、そして脳の機能を停止させる。ターゲットは抵抗するまもなく口から泡を吹いて動かなくなった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ターゲット、アレーブスの死亡を確認したわ。任務完了。誰かに見つかる前に帰還して頂戴。』
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周りには誰もおらず、ここが袋小路につながる通路だというのもあって誰か来る気配も全く無い。私はそのままその場にターゲットの死体を放置してその場をあとにした。表通りに戻る際に巡回中の自警団と見られる一団を発見した。自警団の一団は上白沢慧音と話をしており、私はその側を通行人として通り過ぎる。
「それでは巡回開始します。」
「ああ。お願いします。」
「慧音先生はどうするので?」
「私はその詐欺師というのはまだ会ったことがない。会ってもわからないだろう。」
「いざという時は鐘を鳴らすんでその時はよろしくおねがいしますよ。」
「わかった。」
自警団はこれから巡回を開始するようだ。流石に巡回警備をされればあの場所も見つかることだろう。時間的に結構危なかったのかもしれないな。私は見つからないように横を通り過ぎて指定された転送装置の場所へ移動した。
「・・・ん?」
「どうしました?先生?」
「いや、何か見覚えのあるやつが居たような・・・。」
~~2時間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「霊夢!居るか!霊夢!」
「何よ騒々しい・・・。って慧音じゃない。珍しいわねあんたが。」
「お前だろう!人里の住人に除霊札配ったのは!」
「え?あー、そういや配ったかも。」
「なぜそんな事をしたんだ!」
「だって、なんか最近いたずらする妖怪が居るって聞いたから。めんどかったし御札渡して自衛させたのよ。それがなんだってのよ。」
「そのせいでその妖怪が死体となって発見されたぞ!」
「ええ?そんなまさか。御札は普通の人間が扱っても大丈夫なように弱い効果しかついてないわよ。その妖怪がそこらの妖精以下の存在ならわからなくもないけれど。」
「だが実際に人里で死体が発見されたんだ!ともかく来てくれ!」
「はあ・・・全くしょうがないわね。」
「それでほんとにあの御札は妖怪を殺す程の力があるものではないんだな?」
「当たり前よ。それに殺すっていうのがそもそもおかしいわ。力を減衰させるだけなんだから。」
「ううむ・・・では一体なぜ・・・っと、あそこだ。」
「あ、慧音先生と巫女様!」
「ほらほら、どいたどいた。それで?コイツがその妖怪ってわけ?」
「そうだ。この背中に張ってある御札はお前の所のだろう?」
「・・・確かにうちのだわね。」
ビリッ
「うーん、御札に特に変わったところはないわね・・・。」
「・・・!霊夢!御札が貼ってあった場所!」
「・・・これは・・・穴?」
「おそらくここから何かを刺されたんだ。ということは毒物か?」
「誰にもさとられずに妖怪を毒殺・・・これはもしかして・・・。」
「・・・あいつらか!」
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「小さな情報源」
【+1000】『子どもたちの話を聞く。』
・「不定期購読」
【+1000】『自警団の事務所から新聞を盗む。』
・「中から蝕む」
【+3000】『ターゲットを毒殺する。』
・「鐘を鳴らすのは悪魔」
【+3000】『自警団が来る前に巡回ルート上でターゲットを暗殺する。』
人里のライフラインって結構ガバガバな気がします。
次回はシドニーへ向かう予定です。