『そんな湿気た顔してんなって。だいたい事情はあのオペレーターのねーちゃんから聞いてるけどよ。今は任務なんだ。しっかりしてくれないと困るぜ?一応カウンセリングは受けたんだろ?ああそうだ、あのカウンセラーの姉ちゃんはべっぴんさんだったな!』
『・・・まあいいや。今回の任務は特地ってとこに行ってもらうぜ。アルヌスとかいう町でスパイの女を葬ってこいってさ。』
『名前は・・・あー・・・あったこれだ。名前は“アレクサンドラ=ペルシェ”ってやつだ。見た目は赤毛のケモミミ少女らしいけど、中身はGIGNのスパイなんだってよ。人は見た目で判断しちゃいけねえってことだな!まあ見た目は人じゃねえだろうけど。』
『まあいいや、そういうわけだから頑張ってこいよ!準備は一任するぜ!』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント67-1】・【エージェント67-2】
・装備
【ポケモン6匹】・【ポケモン6匹、ワイヤーロープ】
・服装
【黒のワンピース】・【愛用ジャケット】
『アルヌスについたな!』
『そこら中に日本の自衛隊員が居るだろ?あいつら現地では“緑の人”って呼ばれてるらしいぜ。そのまんまなネーミングセンスだよな。』
『この町はこの世界の他の街と違って現代的な町の設計がなされてるんだ。ハルケンギニアとか幻惑郷みたいな町並みとは違うだろ?』
『ターゲットの嬢ちゃんはこの町のどっかにある店で働いてるらしい。どこの店かは・・・あー・・・資料がなくてな。決してなくしたとかじゃないからな!資料が俺の許可も得ずに勝手にバカンスに行きやがったんだ。』
『頑張ってこいよ!あと・・・そうだ、元気出せよ!』
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私達はアルヌスの町の路地裏に居る。前回の任務から色々カウンセリングは受けたけれど、医者の方は良くなっていると言っていた。だが私自身の感じとしてはあまり変わっておらず、今もだいぶ気分が沈んでいる。
「姉さん・・・。大丈夫かい?」
「ええ、大丈夫よ。ちゃっちゃと任務終わらせて帰りましょ。」
シルバーが心配そうに話しかけてくれる。不器用ではあるけれど心優しい自慢の弟だ。シルバーのためにも私がしっかりしなくてはと思うのだけれど・・・、やはりどうにも気分は沈みがちだ。ともかく任務は任務。例によってポンコツAIのウィートリーはターゲットの働く店の名前を紛失したという。いつもなら文句の一つでも飛ばしてるところだけど、その気すら起きないということはだいぶ参ってるわね私。
私達は手近な店を一軒一軒訪ね歩き、地道にターゲットを探すことにした。誰かに聞いても良かったのかもしれないが、今のこの状況だと負担が大きいと言ってシルバーが止めてきた。時間制限はないから気長にやろうとも言ってくれた。ウィートリーも『いんじゃね?タイムリミットはどこにも書いてねえからな!』と言っていた。ポンコツAIにまで気を使われてるわね・・・。
はじめの店は雑貨店のようだ。店の中は現地民と思われる中世から近世にかけての服装の人たちと緑の迷彩服の自衛隊員とでそれなりに賑わっている。カウンターの中には赤毛のケモミミ娘が店番をしていた。
「シルバー、アレ。」
「まって。・・・うーん、違うみたいだ。ターゲットはもっと耳がシーズー犬みたいにふわふわした垂れ耳。あれは立ち耳だ。」
「そう・・・。なかなか居ないもんね。この店は他に従業員は見当たらないし次に行きましょ。」
「というか姉さんもターゲットの姿はブリーフィングで確認しただろう?」
「ごめん・・・。あんまり頭に入ってなかったかも。」
「・・・まあ、無理もないさ・・・。僕が覚えてるから大丈夫。」
次の店はちょっとしたカフェのような店だった。店にはいると店員が席に案内してきた。従業員を見に来たというわけにもいかないのでそのまま指示に従って席についた。
「姉さん。せっかくだから少し休んでいこうか。」
「・・・そうね。」
私達はそのままそのカフェで小休止することにした。アイスコーヒーを注文して待っていると店内が混み合ってきた。いつの間にやら店内は満席になっていた。肝心の従業員のほうはというと、この店の従業員は普通のヒト種のようで、ケモミミどころか赤毛の女性すら居なかった。そのうち注文したアイスコーヒーが来た。店員の申し訳無さそうな顔と共に。
「申し訳ありません。店内が混み合っておりまして。相席をお願いできないでしょうか?」
「相席ですか?」
「はい。女性のお一人様です。」
「わかりました。どうぞ。」
「ありがとうございます。」
私達は相席に応じる。元々アイスコーヒーを飲んだら直ぐに出るつもりだったので問題はないと判断したためだ。相席にやってきたのは見覚えのある青い髪の少女だった。
「失礼する。」
「あっ・・・、どうぞ。」
「・・・ちょっと僕はお手洗いに行ってくるよ。」
「わかったわ。」
いつだったか魔術に詳しい協力者を探す任務で出会ったレレイ・ラ・レレーナという魔道士の少女だ。もっとも、あの作戦の後彼女を含めた協力者たちは全員記憶処理を施されており、彼女はこちらのことは覚えていないでしょうね。
彼女はどことなくタバサちゃんに似た雰囲気を感じるけど、彼女の髪はタバサちゃんのより幾分淡い色をしている。そういえばタバサちゃんも元は別世界の住人。聞くところによると元王族で、元暗殺部隊のメンバーという異色の経歴持ちだったわね。彼女はこういう感情にはどういった割り切りをしてるのかしら・・・。
「・・・飲まないの?」
「え?・・・ああ。飲むわ。ボーッとしちゃって、ぼやぼやしてたら冷めちゃうわね。」
「アイスコーヒーは元々冷たい。冷めるというより温くなる。」
「あ、あははは・・・。」
「・・・悩み事を抱えている顔をしている。」
「えっ・・・。」
「力になれるかわからないけれど、話すことで気が楽になることもある。」
「・・・そうね・・・。」
その時の私は色々精神的に参っていたのが原因なのか、それとも気の迷いなのか。後になってもよくわからなかったけど、その時はこの聡明な魔道士さんにこの悩みのタネを打ち明けてもいいかという気分になった。私はぽつりぽつりと語り始める。今になって思うと結構ギリギリの告白だった気がする。ICAの守秘義務に引っかかる寸前のところだ。でも結果としてそれが功を奏したことになった。彼女はしばらく考えた後ゆっくりと口を開いた。
「あなたはどうしたいの?」
「え?」
「その人達がこの世を去った後、あなたはまだ生きている。どうあがいても前に進むしか道はない。」
「それはそうだけれど・・・。」
「あなたは・・・その人達のようにはなりたくなかったのでは?」
「!」
「あなたは犯罪行為を繰り返すその人達のようにはなりたくなかった。私利私欲のためだけにあらゆる悪事を働くその人達が許せなかった。だから決別した。違う?」
「それは・・・。」
「でも結局悪事を働く組織に入った。私はそれは結局は避けられない運命だったのだと思う。あなたの口ぶりから推測すると、避けられない運命である根拠も持っていそう。」
「・・・。」
「運命をはねのけるのは常人には無理難題。あなたはその無理難題に直面している。ほとんどの人はそれに押しつぶされる中、あなたはそれを内包しようとしている。だから無理が生じている。」
「・・・。」
「内包する必要はない。その運命に抗うことは出来ないけれど、その運命の先を変えることはできる。あなたは抗えなかった。でもこれからその運命を変えるチャンスが必ず巡ってくる。」
「・・・そうね。」
「あなたに今できることは、未来を変える努力をすること。過去に囚われたり、過去の過ちを悔いるのはもう終わりにしたほうが良い。それは何の意味もないし、唯自分を苦しめるだけ。」
「・・・わかったわ。そうね、そうよね。彼らに操られた人生をこれからやり直して再起するチャンスをこの組織でもらったんだわ。」
「それは今の組織に入った時に感じたものなのでは?」
「そうよ!あの時私は確かに何かを変える力というのを感じた。これからの未来に確かに希望が持てていた!何故忘れていたのかしら。」
「無理難題に直面した人は視野が極端に狭くなる。解決策はその視野を広げるだけでいい。」
「・・・ありがとう。ちょっと気が楽になったわ!そうよ、いつまでもくよくよしてるなんてブルーちゃんらしくないわ!」
「役に立てたようで良かった。」
~シルバーside~
あの女性はレレイとか言った魔道士だ。魔術を使うものは総じて人心把握を得意とするものが多い。もしかしたら2人きりにすることで姉さんの悩みも少しは軽くできるのではないかと、俺はこうしてかなり長めのトイレ休憩となっている。だがそろそろいい加減トイレの中で用も足さずにうろつくのも怪しまれ始めたな・・・。仕方ない。違うところから姉さんたちを観察するとしよう。
トイレから出て、気配を出来る限り殺しつつ、店内を歩く。丁度姉さんの席から一番遠い位置に当たる窓際までやってくると、そこからテラスに出て外の景色を眺めるか外の空気を吸うかしに来たように見せかける。姉さんは彼女からなにか助言を受けているようだ。今戻るのは色々マズイ気がする。どのくらい待てばいいだろうかと思案していると個人通信が入ってきた。
『よお、お前の姉さんの様子。どんなもんだ?』
「ウィートリーか。カウンセリング中だよ。」
『カウンセリングねえ。一体どんな?』
「それはわからない。会話が始まる前に席を立ってしまったからね。」
『まあその方が良いだろうな。作者だって精神関連に関する会話は書けねえからな。』
「作・・・なんだって?」
『おっと、こっちの話だ。気にすんな!それはそうと、情報を手に入れたぜ。』
####情報を入手####
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『やっと資料を見つけたぜ。ターゲットは今いるカフェから北に500mほど行ったとこにある“ボルゴ・パイソン”とかいう料理屋で給仕をしてるらしい。早速向かってみてくれ!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「やっと資料を見つけたのか。というかほんとに資料なんてあったんだな?」
『なんでえなんでえ!俺様の言うこと信じてなかったな?!』
「そりゃあまあ・・・五分五分?」
『半分しか信じてねえってことじゃねえか!・・・ったく。とにかくカウンセリング終わったら任務に戻ってくれよな。そろそろあのオペレーターのネーチャンはぐらかすのも限界だからよ。』
「わかった。そろそろ話も終わるだろうから戻るよ。それと・・・ウィートリー。」
『あ?なんだ?』
「・・・ありがとう。」
『へっ、なんだなんだ?明日は暴風雨か?気にするなって。じゃあな!頑張れよ!』
通信を終えて店内に戻る。席に戻ると姉さんは何故か天を仰いでいた。
「ただいま。姉さん?何してるの?」
「・・・ふう!」
「???」
「少しは緩和できたかもしれない。」
「そうね。前よりはだいぶ気が楽になったかしら。ごめんねシルバー心配かけたみたいで。」
「あ、ああ。調子が戻ってきたみたいで何よりだよ。そろそろ仕事に戻ろうと思うのだけど。」
「そうね。・・・あ、シルバーそのアイスコーヒー飲まないなら貰うわね!」
パッ ズズズ
「あ!・・・あー・・・まあいいよ。あげる。」
「ふう!ごちそうさま!じゃあ私達は行くわ。レ・・・お姉さん。ありがとうね。」
「いい。」
「ではこれで。」
アリガトウゴザイマシター!
「やっぱり二人は名コンビ。あのときも・・・。」
~ブルーside~
レレイさんに話を聞いてもらったらだいぶ気分が軽くなったわ。そうよ。私は我が道を進むだけ。私が立ち止まってたらそれこそアイツらと同じになってしまうわ。私にできることをしっかりやる。今私にできるのはそれだけよ!アイツらが叶えられなかったことも私が引き継いでやるわよ!
幾分気分が落ち着いたところで本来の任務といきましょう。シルバーが言うにはさっきウィートリーから連絡があって、ボルゴパイソンとかいう店で働いてるらしいということで、私達は今その店に向かってる。と言っても500mほどしか離れてないから既に見えてはいるのだけれど。
外観は中世というよりもゲームの中の店という感じ。もしかしたら現地民が日本から持ち込まれたサブカルチャーに影響されたのかもしれないわね。これと似たような建物を某ハンティングゲームで見た気がするし。兎にも角にも店の中に入ってみる。
ラッシャイマセー
オフタリサマゴアンナイデース
店は小綺麗な料理屋という感じで、カウンター席とテーブル席があるごく一般的な構造をしている店だった。そしてそのテーブル席の間をせわしなく3人の給仕が右往左往している。人間もいれば獣族も居て、その中のひとりにお目当ての人物を見つけることが出来た。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『お、やっと見つけたな!そいつがアレクサンドラ=ペルシェだ。外見はペルシャ猫に似てるが、耳がたれ耳だな。あそこまで毛深いと料理運んでたら毛が入りそうだな!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
なるほど。ペルシェという名前はペルシャ猫から取ったのね。写真では分かりづらかったけれど実際に見てみると確かにペルシャ猫の雰囲気があるわ。
私達が適当に注文して待っている間に隣の席の会話が聞こえてきた。迷彩服を着ていて、おそらく自衛隊員だろう。
「最近はここもケモミミが増えたよなあ。」
「“キャット・ピープル”とかいうらしいぞ。伊丹の部隊の誰かがそんな事話してた。」
「へー、やっぱ猫みたいな習性あるのかな?」
「全員がそうじゃないらしいが大多数はそうみたいだぜ。だからこの世界にはマタタビは持ち込み禁止なんだとさ。」
####アプローチ発見####
「そういや伊丹の部隊のやつが持ち込もうとして陸将に大目玉食らってたっけか。」
「アイツラも懲りねえよなあ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ケモミミ連中はその外見のとおり猫みたいな習性があるらしいぜ?ターゲットももしかしたらそういう習性までコピーしてるかもしれねえな。もしコピーしてなかったらそれはそれで使えるんじゃねえか?』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
確かに猫には色々習性がある。それらをうまく利用すればおびき出せるかもしれないし、他の獣人が習性に忠実な中ターゲットだけ平然としていたら他から怪しまれ、それを回避するために一人になる可能性もあるわ。その瞬間、私はあるプランを思いついた。
「シルバー、いいことを思いついたわ。」
「良いこと?」
「マタタビを使っておびき寄せるのよ。ここは周辺至るところに猫耳が歩いてるんだからすぐに騒ぎになるわ。フフフ・・・。」
「でも相手は外見だけ真似しているかもしれないよ?」
「まあ任せなさいって。そうと決まればさっさと出るわよ。」
私達は一応怪しまれないように運ばれてきた料理を一通り平らげてから店をでた。
路地裏を抜けて一旦街の端に出た。町の外側にはちょっとした森があり、いろいろな植物が生えている。少しばかり歩き、目的のものを探した。しかしそんなに簡単に見つかるなら苦労はしないわよね。
「うーん、無いわねえ・・・マタタビ・・・。」
「姉さん。これ。」
「うん?これは?マタタビじゃないわよね?」
「うん。だけどこれもネコ科を興奮させる成分が含まれてるんだ。“イヌハッカ”って言うみたい。」
「ヘー。よく知ってるわねそういうの。」
「こっちの世界に来るときに一応知識の一つとして調べておいたんだ。使えそう?」
「たぶんね。もっと量はある?」
「あるよ。あっちに群生してる。」
「よっしゃ。じゃあ大量に集めちゃいましょ!」
ポケモンたちにも手伝ってもらい、両手に持ちきれないほどの量を集めると、その場で適当にすりつぶして団子にした。ニドちゃんのパワーのおかげですりつぶすのにも特別な道具がいらなかったのは幸いね。ちょっと湿ってる団子だから投げれば狙ったところに張り付いてくれるでしょ。そんな団子を5~6個作ったら準備完了。近くの小川で一応手を洗っておいて、いざ町へ!
街につくと、既にすれ違う獣人がちらちらこちらを振り返ってくる。一応適当な袋に密封しているのだけれど、それでも反応するってことは期待できるわね。ボルゴ・パイソンに戻ってくると、今度は私一人で店内にはいる。シルバーは心配してくれたけれどもう大丈夫。任務に従事していく過程でだんだんと霧が晴れてきている気がするくらい。店内は相変わらずそれなりに客がおり、先程の自衛隊員もまだのんびりと酒を酌み交わしていた。
「いらっしゃいま・・・あら?さっきの。どうしたんですか?」
「さっきはちょっと急用が入ってすぐに出てしまったのよ。今度はゆっくりしたいわ。」
「そうなんですか。ではこちらへ。」
イチメイサマゴアンナイデース!
私は給仕の中にターゲットが居るのを確認して外から見ているシルバーに目配せをする。シルバーはその合図とともに店の目の前の道に袋に入っていたイヌハッカ団子をすべてぶちまけた。
フワァァァ!!!!フギャー!
ナ、ナンダア!ワーワー!
「こ、この匂いは!・・・だめだ!抗えない!!!」ダッ
「ちょ、ちょっと!どこいくの店員さん!」
####アプローチ完了####
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『やったな!街中のケモミミ連中が大騒ぎで寄ってきてるぜ!すげえな!砂糖に群がるアリだってここまで激しくねえよ。さてさてターゲット様は・・・ほほう・・・これはこれは。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
濃縮イヌハッカ団子の効力は絶大で、道行く獣人は勿論、店の中に居た獣人の客や店員も軒並み外に駆け出していった。ターゲットだけはその場でぽかんとしている。怪訝そうに隣の席の自衛隊員が話す。私はそこに情報を提供していく。
「なんだ?どうしたんだみんな?」
「事件か?」
「どうやら外でマタタビ系の何かがばらまかれたらしいですね。キャット・ピープルの人たちはみんな行ってしまいました。」
「ああ、この微妙なハーブっぽい匂いはそれか。」
「あら?店員さん?あなたもキャット・ピープルではないのですか?」
「えっ!?」
「ん?そういえばそうだよな。何で君は大丈夫なんだ?」
「え、えーっと・・・それは・・・。が、我慢!そう。我慢してるんですこれでも!」
「えー?でも我慢できるようなものなんですか?この強烈な匂いでも?みんな我慢できてないみたいですけど?それに店員さん結構平然としてますよね?」
「あ、あーっと・・・。」
「なんか他の子とは違う感じするよな君。」
「うーん・・・?それになんだか他のキャット・ピープルともちょっと違うような・・・。」
「あ、ああ!そうだ!ちょっと用事を思い出してしまいました!ちょっと失礼します!」
タッタッタ
思惑通り、ターゲットには催淫効果は効かなかった。それを自衛隊員に教えることで自衛隊員にも不自然に思われその視線に耐えきれなくなったターゲットは店の奥に引っ込んでしまった。後は頼んだわよ。シルバー。
~シルバーside~
俺は団子を道にばらまくと、すぐさま袋も捨て、その場を離れた。案の定、町の至るところから獣人が出てきて道の上で狂喜乱舞している。その混乱は俺の行動を隠すのにもってこいだった。
俺は人混みを避けつつ、店の裏手に回った。裏は薄暗い路地で表通りと違って全く人がおらず、まさに“犯罪者の巣窟”という雰囲気だった。店の裏手に回り込んでから少し経った後、店の裏口の扉が開かれて中からターゲットが出てきた。
「ふう・・・ちっ、こんなことでバレかけるとは思わなかったわ・・・。とりあえずほとぼりが冷めるまでどこかで時間を潰さないと・・・。」
俺は背後にゆっくりと忍び寄り、ワイヤーロープを素早く後ろから首にかけてそのまま背負い込んだ。
「~~~!?!?!?」ジタバタ
「・・・。」
「~~!!・・・」ジタバタジタ…
「・・・。」
「~・・・」ピクピク
ターゲットはしばらくジタバタしていたが次第に抵抗する力が弱まり、そして動かなくなった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ターゲットの生体反応の消失を確認したぜ。お疲れさんっと。ブルーの方も調子戻ったみてえだし今回は大成功だな!早く帰ってこいよ!快方祝で焼肉と行こうぜ!』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
焼肉って・・・ウィートリーは食べられないだろうに。相変わらず変なところで人間臭いAIだ。ともかく、動かなくなったターゲットを近くのダストボックスの中に放り込む。証拠も隠滅し、表通りに戻って店にはいる。
「姉さん。迎えに来たよ・・・。って何食べてんの。」
「んー?いやさ。ここんところろくに食事も喉を通らなかった可愛そうなブルーちゃんはお腹が減って大変なことに気がついたわけよ。」
「ああ・・・そう・・・。」
「大丈夫よ。もう食べ終わるから・・・ふう!ごちそうさま!」
「あーあ。でも残念だな。」
「え?」
「ウィートリーが焼肉パーティーするって言ってたんだけどな。」
「ええ?!ちょ、それもっと早く言ってちょうだいよ!」
「姉さん通信聞いてなかったの?」
「通信なんて着てな・・・あ、そういえば切ってたの忘れてたわ・・・。」
「姉さん・・・。」
「あ、あはは・・・まあともかく帰りましょ。私達の“居場所”に。」
「・・・そうだね。帰ろう。」
僕たちは店を出てまだ大通りを賑わせているキャット・ピープルたちを横目に町の外へ出て指定された回収地点へ向かった。
「ねえ、シルバー。」
「ん?なんだい?姉さん。」
「ふふふ・・・ありがとうね。色々と。」
「・・・ふふ。どういたしまして。」
~~1週間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「はい。良いですよ。経過は良好ですね。もう大丈夫でしょう。」
『良かったわね。』
「はい。色々お騒がせしました。」
『本当に。あなたが腑抜けている間は色々大変だったのだから、早く取り戻して頂戴。』
「すみませんでした。ちゃんと取り返しますとも!」
『それから47にもちゃんとお礼を言っておきなさい。』
「そうですね。だいぶ任務を変わってもらったみたいで・・・。」
『それだけじゃないわ。あれでも結構心配してたみたいよ?』
「へえ?47が?私を?」
『見かけによらずね。虚空を見つめる時間が多くなってたし。経過観察を定期的に確認したり。』
「ふーん・・・それはそれは・・・。」
「姉さん。」
「あら、シルバー。あなたも来たの?」
『ふふふ。うちの男衆はみんなあなたのことが心配だったのよ。』
「え?ああ・・・まあそうだね・・・。」
「あらあら!愛されすぎて困っちゃうなブルーちゃん!」
『まあ、浮かれすぎないようにね。ところでシルバーは何故ここに?見舞いというわけじゃないでしょう?』
「ああ。忘れてた。技術部の人がバーンウッドさんを呼んでいましたよ。何でも気になることがあるとかで。」
『あら、何かしら。じゃあちょっと行ってくるわね。ブルーは自室に戻って待機していて頂戴。』
「はーい。」
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「魔女の相談所」
【+1000】『レレイ・ラ・レレーナに会う。』
・「彼女はそれに抗えない」
【+1000】『マタタビ団子を撒く。』
・「愛の形の裏返し」
【+3000】『ターゲットを絞殺する。誰にも見られてはいけない。』
・「偶には療養も必要」
【+5000】『ブルーの体調を回復させて帰還する。』
ブルー関連の描写はかなり強引ですがこれで一応区切りです。稚拙な部分は生暖かい目でご容赦ください(滝汗)
次回は埼玉県へ行きます。