『今日は姉さんは一緒じゃねえのか?・・・新作コスメを見にパリに行くために有給をとったあ?ははは!あいつらしいな!まあいいや、じゃあ一人で寂しいだろうからキュラソーの姉御を代わりにお前につけるぜ。これで百人力だろ?』
『今回のターゲットは新しくオープンする地下ショッピングモールのお披露目パーティに参加している江北建設の社長の“江藤迎”だ。行政に依頼されてこのショッピングモールを含めた地下空間を一手に引き受けた大手ゼネコンだな。こういう地下空間をなんて言ったっけかな・・・まあそこらへんは知らなくても問題ないだろ!』
『クライアントは同じく建設会社の館林組の筆頭株主の一人だ。匿名希望らしいぜ。このショッピングセンターを含めた大規模開発の受注を取られたことへの報復みたいだな。逆ギレじゃね?これ。』
『ああ、そうそう。現地は今猛烈に雨が降ってるらしいぜ。気温はかなり低いから、雨合羽と防寒着は忘れんなよ?あと今日はクリスマス・イブだからな。任務が終わったらケーキを買ってきてくれ。ホールを3つくらいでいいぜ。』
『準備は一任するぜ。頑張れよ!』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント67-2】・【エージェント68】
・装備
【ポケモン6匹】・【クルーガーマイヤー2-2、ロックピック】
・服装
【愛用ジャケット、雨合羽】・【愛用レディースリクルートスーツ、雨合羽】
『シルバー!まだケーキ買ってねえよな?!・・・あぶねえ。あぶねえ。』
『情報部のキャロ・・・キャロットとかなんとか言う嬢ちゃんがケーキ予約しててくれたんだ。だから買ってこなくていいぜ!』
『ああ、現地についたんだな。このショッピングモールはかなり規模がでかいから迷うなよ?地下はなんと12階まであるらしいぜ!ちょっとした軍事基地みたいだな!』
『オープン記念パーティは地下6階でやってる。招待チケットはちゃんともらってるよな?』
『あんまり長居するなよ!ちゃちゃっと済ませてこい!帰ったらクリスマスパーティだ!』
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「ねえ、シルバー?アタザキでも思ったのだけれど、あなた達のオペレーターはいつもああなの?」
「あはは・・・まあ、そう・・・ですね。」
年が離れている上、得も言えぬ“圧”のようなものを普段から感じているため、あまり話したことのないキュラソーさんとの任務に若干緊張している自分がいる。
自分たちは今ショッピングモールの完成披露パーティ会場のすぐ外のホールに居る。エレベーターでここまで降りてきたが、来るまではなかなか大変だった。まず、ICAの用意した車両で最寄りの駐車場に降ろされた。外はかなりの豪雨で、地面は至るところが川のようになっている有様だった。傘は殆ど役に立たず、車を降りてからものの数分で足元がびしょ濡れになった。幸いにして雨合羽を着ていたので上は濡れずに済んだが。エレベーターホールのある建物は周りより数段嵩上げがされており、エレベーターホールにまで到着してしまえば問題はなかった。というわけで今エレベーターから降りてきたところというわけだ。
ホールの中央部は吹き抜けになっており、上は外が見え、下は地下12階まで完全にぶち抜いてある。巨大な縦穴の側面に通路や店舗があると言ったほうが良いだろう。よくもまあこんな大掛かりな施設を作ったものだ。地上部分はガラス張りになっていることから、おそらく日光を地下12階まで届けたいという意図が伺える。
「さあ、さっさと行くわよ。」
「あ、はい。」
施設の大きさに圧倒されていると、キュラソーさんはほとんど興味がないのかさっさとパーティ会場へ進んでいってしまった。僕もあわてて後を追った。パーティ会場では既に飲み食いが開始されており、ウェイターがせわしなく動いていた。
ガシャーン!
「き、君!何をしているんだね!」
中央のテーブルで一人のウェイターが金属製の皿をひっくり返していた。すかさず主任と思わしき男が注意しに行っている。みんなびっくりしてそちらを注視したが特に気に留める様子もなくパーティは続いた。ウェイターは片付けをして奥のスタッフルームへ下がって行った。
ともかくまずはターゲットを探さなければならない。僕たちは二手に分かれて会場内を探すことにした。発見次第お互いに無線で知らせる手はずだ。僕は会場内を、キュラソーは会場の外を探す。
「ご紹介しましょう!彼がこの偉業を成し遂げてくれた優秀な技術者集団、江北建設の江藤くんです!」
「ご紹介に預かりました。江藤迎です。よろしくおねがいします。」
「彼が居なければこの計画はあと10年はかかっていたでしょうな!本当にありがとう!」
ターゲットは今一番目立つところで発見できた。スピーチなどは聞いていなかったし、事前情報もウィートリーのポンコツさで全く入っていなかったため詳細は不明だが、どうやら社長か市長かの権力者らしい男がターゲットを報道陣に向かって紹介していた。
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『おお、ターゲットを発見したな。その緑の服をきてるやつが江藤迎だ。流石に暗殺を全国中継するわけには行かないからな。もうちょっとまってみようぜ。』
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「キュラソーさん。聞こえますか?」
「聞こえているわ。見つけたのかしら?」
「ええ。会場で報道陣に囲まれてます。」
「そう・・・厄介ね。なんとか引き剥がさないと。」
なにか会場内で彼を引き剥がす方法はないものか。会場内を見渡していると、テーブルの上においてあったワインボトルが目に入った。
####アプローチ発見####
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『ワインって結構服についたら厄介なんだよな。洗っても落ちねえし、白いワイシャツについた日にはもう一日ナイーブだよな。流石に汚れたままではパーティ出れねえからどっかで着替えなきゃならなくなるし・・・。ん?これって使えるんじゃねえか?』
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「古典的な方法でよければ一応策はありますけど。」
「ふうん?聞かせてもらいましょう?」
「僕たちどちらかがターゲットの服にワインでも引っ掛けてやれば良いんです。そうすれば着替えるなりなんなりで報道陣の前からは居なくなると思います。」
「そして一人になったところを見計らってもうひとりがってことね。良いと思うわ。」
「ありがとうございます。じゃあ僕がワインを引っ掛けに行くので本番はお願いします。」
「わかったわ。」
とりあえずプランが決まった。まずはワインを調達しないと。適当なテーブルに近づいてグラスを取る。そこに適当に赤ワインを注ぐと、それをもってターゲットに近づく。不自然にならないように近くのテーブルの食事を物色している風を装って徐々に距離を詰めていく。
このくらいでいいかな・・・。よし!行くぞ!何かを思い出したように踵を返し、ターゲットに体が向いた瞬間にわざと大きく前につんのめる。
「おわっと!」
バシャ
「うわ!」
「ああ!すみません!躓いてしまって!」
「あーあー・・・ワインが・・・。」
「本当に申し訳ありません!今拭くものを・・・。」
「あー、いいよ。どうせ拭いても落ちないよこれは・・・。」
「本当に申し訳ありません・・・。」
「まあ過ぎたことは仕方ない。すみませんみなさん。少し着替えてきます。」
「弁償させてください。」
「いいって。それよりトイレはどこかな?」
「あ、トイレならそこから会場を出て左へ行ったところです。」
「ん。わかった。ウェイター。何か着替えをもらえないか。」
「かしこまりました。ご用意してお持ちいたしますのでトイレでお待ち下さい。」
ターゲットは無事に会場外のトイレへ歩いていった。自分はウェイターが後始末をしているさなかの喧騒に紛れて会場の隅に移動した。
「キュラソーさん。ターゲットは会場を出て左のトイレへ向かいました。追えますか?」
「問題ないわ。それよりも気になることがあるのだけれど。」
「なんですか?」
「あなた。なんで敬語なの?」
「え?」
「一応私のほうが後輩だし、身分的には同じエージェントで変わりないというのに。」
「いやでも、年上ですし・・・。」
「47のことは47って呼んでるのに?」
「あー・・・ええっと・・・。」
「・・・まあいいわ。ターゲットを確認した。尾行を開始する。」
「あ、後から着替えを持ったウェイターが行くはずですので注意してください。」
「わかったわ。」
変なところで自分の呼び名を気にしていたみたいだ。意外に親しみやすいのかもしれないな・・・。任務が終わったら話しかけてみようかな。ともかく、自分も一旦会場の外へ出た。
「冷たっ!なんだ・・・?」
会場から出て壁伝いに移動していると急に背筋に水滴が垂れてきた。どうやら天井から雨漏りしているらしい。新装開店のショッピングモールで雨漏りとは、施工に問題がありそうだな・・・。
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『シルバー、聞こえる?バーンウッドよ。ちょっとやってもらいたいことがあるの。その施設の地下4階に管理室があるのだけれど、そこへ行ってこの施設の設計図を手に入れてほしいのよ。この施設は非常に特徴的な構造をしていて、技術部が是非調べたいと言っていてね。面倒かもしれないけれどよろしくお願いするわ。』
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設計図か。確かに素人目でもこの施設がかなり大規模かつ野心的な設計をしているのがわかる。地下12階ぶち抜き吹き抜けなんてそうそう見れるものでもない。面倒かもしれないとバーンウッドさんは言ったけれど、自分もこの施設の設計図なら興味がある。僕はエレベーターに向かった。
~キュラソーside~
前回のアタザキの任務でも、ブルーとは普通に同僚のように話せていた。タバサはもとよりあまり口数が少ないため話す機会に恵まれていないが、話すときは問題なく意思疎通が取れている。しかし、シルバーとだけはなんというか“上司と部下”みたいな関係になってしまっている。少年探偵団の子どもたちと出会ってからというもの、人との接し方にもだいぶ柔らかくなってきたと自負している。にもかかわらずまだシルバーとだけは打ち解けられていない気がする。バーンウッドさんに相談してみるのもいいかと思ったがまずは自分で行動を起こしてみることにした。だから今回の任務についていく決断をしたのだけれど、結果はご覧の有様。もうちょっと考えないといけないわね・・・。
それはともかく、ターゲットは目の前100mほど前方をトイレに向かって歩いている。まだオープン前の施設とあって、パーティ参加者以外客は全くいない。パーティの熱を冷まそうと吹き抜けに出てきている者だけだ。これだけ人数が少ないと逆に怪しまれる危険性が高くなってしまう。絶対に事を行っているところは見られてはいけないでしょうね。
グラグラ…
ん?少し地面が揺れたかしら。地震ももう少し大きくなってくれると他の客の注意がそれて暗殺がしやすくなるのだけれど、今の地震はせいぜい震度2から3。地震大国の日本ではあまり注意は逸らせられないでしょうね。
「----!---。」
「----。----。」
ん?吹き抜けの客がウェイターの男性に何か話しかけられてぞろぞろと会場内に戻っていくわね。なにか重大発表でもあるのかそれとも今の地震で念の為集合をかけたのか。いずれにせよ好機到来。ターゲットは地震など意に介さず、今まさにトイレに入っていった。吹き抜けの客は見渡した限りではいなくなった。ウェイターが一瞬こちらを見たけれど、すぐに柱の陰に隠れたおかげで気が付かれずに済んだ。ウェイターが別の方へかけていったのを確認して、私はトイレの中へ侵入した。
トイレの中では個室の扉を開け放して中の荷物掛けの部分に背広をかけていたターゲットがいた。位置関係的に気が付かれずに後ろに回り込むのは困難。先程から館内に流れる音楽が止まっているせいで変に静寂の空間になっているので、騒ぎが起きれば先程のウェイターが飛んでくる可能性もある。ここは静かに確実に処理しなければならないわね。
トイレの中を冷静に観察すると、天井から吊られている照明が目についた。2本のワイヤーによってつられている照明で、ワイヤー自体は短いものの、電灯がそれなりの長さなのでもしかすると・・・。まあ失敗しても気を逸らせるくらいはできるでしょう。私はクルーガーマイヤーで2本のワイヤーのうちの一本を切った。
バシュン
バチチ
ゴッ!
「ぐわ!」
ドサッ
片方のワイヤーが切れた照明は振り子のようになり、すぐ下にいたターゲットの後頭部へ命中した。その際に軽く電気ショックが流れたようで、ターゲットはそのまま個室内に倒れ込むようにして気絶している。よし、あとは首を折ってやれば・・・。
グラグラ
「っ!!」
ガラガラガラ!!
ドゴォォン!
また地震が起こって私はとっさにトイレの端までバックステップで下がった。その瞬間、先程ワイヤーを切った照明の部分の天井がまるごと崩れ落ちてきた。大量のコンクリ片にターゲットは埋まってしまった。ターゲットはピクリとも動かなくなった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『・・・。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・・・あら?明らかにターゲットの頭部はコンクリの直撃をもらってひしゃげていて、これで生きていたら色々と怖いのだけれど、本部の死亡確認の報告が来ないわね?どうしたのかしら・・・。確認の報告が来ないとなると、勝手に撤退するわけにもいかない。一応指示があるまで待機するしかないわね。
それにしてもちょっと照明のワイヤーを切りつつ天井に銃痕が残った程度で天井が崩れるなんて。この施設はだいぶ欠陥構造のようね。こういう施設は早いところ脱出するに限る。指示待機は地上でもできるから、とりあえずシルバーと一緒に地上に戻りましょうか・・・。
「・・・キュラ・・・聞こえ・・・。」
「え?何?シルバー?通信状態が悪いわ。よく聞き取れない。」
「吹き・・・来て・・・。」
「吹き・・・吹き抜けってことかしら?」
私は念の為潰れているターゲットの頭部に一発お見舞いしてから、一旦吹き抜けに戻ることにした。今思えば、あのときの私はまさかあんなことになるなんて想像もしていなかったわ。
####ニュース速報####
『富坂市中心部を流れる羽代川の堤防が決壊したとの情報が入りました。市の西部では大規模な浸水が発生し、多数の行方不明者が出た模様です。・・・富坂市より緊急避難命令が出されました。避難命令が出された地域の皆さんは、速やかに避難を開始してください。避難命令が出たのは次の地域です・・・。』
~~同時刻~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『応答しなさい。シルバー!キュラソー!』
「だめですバーンウッドさん!反応がありません!」
『大至急復旧作業を急がせて!一体どうなっているの!』
「あの世界にはまだ我々の通信監視衛星はありません。現地の携帯基地局をハッキングして通信を行っていたのですが・・・。おそらくその基地局が何らかの被害を受けたものと思われます。」
『代替策はないの?!』
「最終手段としてディープシスターを向かわせることもできますが、我々の存在が現地民に知られることになります。最終手段になりますね。」
『くっ・・・とにかく技術部の要員を現地に向かわせて頂戴。通信すらできないのでは状況把握もままならないわ。』
「それが・・・。」
『どうしたの?』
「既に何回か送っているのです。最初に通信レベルが途絶えたときに念のために無人機を1機現地に飛ばしています。しかし、その無人機からも現在応答がありません。」
『どういうこと・・・?』
「わかりません。座標情報や簡易レーダー情報まで消失しています。最終座標と高度から推察すると、おそらく・・・墜落したものと思われます。それが事故なのか撃墜されたのかはまだわかっていません。」
『すぐに代わりを送らなかったの?』
「送りました。今度は更に念を入れて無人ヘリ2機と有人のブラックホークを1機。しかし、それらすべてからの応答すら今はありません。」
『一体現地で何が起こっているというの・・・。』
「航空機になんらかのアクシデントが起こる特殊な世界なのかもしれません。地上要員の派遣を検討中ですが、なにぶん渡界機で出た直後の場所ですら浸水被害が発生してきているありさまでして。」
『・・・わかったわ。通信、アラスカへつないで頂戴。』
「アラスカですか?・・・第6基地ですね。」
『そうよ。そこに47がいるはず。彼を呼び戻して頂戴。緊急招集よ。』
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「華やかな宴」
【+1000】『パーティに参加する。』
・「クリーニングいたしましょう」
【+1000】『ターゲットの服にワインをこぼす。』
・「ビリビリ」
【+3000】『ターゲットを照明を使って気絶または暗殺する。』
・「絶望の予兆」
【+5000】『落下してきたコンクリ片でターゲットを暗殺する。』
早くに投稿できたのは前回の話を書いている最中からこっちの話の内容ばかり浮かんできてしまっていたためですw
次回は救急隊と合流します。