『今回向かってもらうのはモスクワ近郊にあるシェレメーチエヴォ国際空港よ。』
『この空港に今、ココ・ヘクマティアル一行がフランスへ向かうために来ているのだけれど、それを狙う殺し屋も一緒に来ているわ。今回のターゲットはその殺し屋よ。』
『殺し屋の名前は“ネオ・カトラス”もちろん本名ではないわ。本名はケリー・ルイス。だけどその名前は殆ど使ってないみたいね。彼は空港で搭乗待ちをしているココ・ヘクマティアルを暗殺しようとしているみたい。だけれど少し情報管理がお粗末ね。我々の情報部が比較的簡単に暗殺計画を把握できたのだから。』
『クライアントはココ・ヘクマティアルの兄、キャスパー・ヘクマティアル。妹の危機に助太刀、と言えば聞こえはいいかもしれないけれど、その実は恩を売りたいってのが本音みたい。』
『クライアントからの追加注文なのだけれど、ココ・ヘクマティアルにはなるべくならさとられないようにしてほしいそうよ。キャスパーいわく、「隠しても野生的な勘で僕の仕業だとバレるだろうけど、ICAがやったとはさとられないはず。」だそうよ。』
『準備は一任するわ。』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】
・装備
【シルバーボーラー、Jaeger7 Lancer、ロックピック】
・服装
【愛用スーツ】
『モスクワへようこそ。47。』
『このシェレメーチエヴォ国際空港はロシア連邦最大の国際空港よ。以前はモスクワ南部にあるドモジェドヴォ空港と利用客数を争っていたみたいだけれど、最近はこちらのほうがリードしているみたいね。』
『予約情報によるとココ・ヘクマティアル一行はターミナルEから搭乗する予定になっているわ。ターゲットはそれを見越しているのか同じ便を予約しているみたい。加えて小型のプラスチック爆薬と小型のパラシュートを用意しているから、空中で飛行機ごと爆殺するつもりなのかもしれないわね。』
『予定の便の出発まであと1時間。時間はあまり残されていないわ。幸運を祈ってるわね。』
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キィィィィン…
ひっきりなしに飛行機が離着陸を繰り返している。ターミナルDに到着した私は手始めに周囲を観察していく。かなり大規模な空港であり、最近ターミナルを建て替えたのか真新しい建物が多い。ありとあらゆるところに人がおり、税関周辺などは人にぶつからずに歩くのが困難なほどだ。
私は今回、シルバーボーラーと、アタッシュケースに収納した状態でJaeger7 Lancerを持参した。障害物の少ない空港では狙撃が一番効率的だ。問題はこの衆人環視状態でどうやって狙撃位置まで向かって狙撃するかだが。
私は空港内の案内図を見る。今いるのがターミナルDの3階、国際線チェックインカウンターの前だ。ターゲットはおそらくターミナルEにいると思われるが、ココ・ヘクマティアルの一団も同じ場所にいるため鉢合わせする可能性が高い。彼らは私の存在を知っている。なぜ記憶処理がなされないのかはわからないが、記憶処理が処置されたという話を聞かない以上、私のことを覚えていると思ったほうがいいだろう。となると傭兵メンバーの一人とでも鉢合わせするのはいらぬ誤解と戦闘を生みかねず危険だ。できれば遠くから狙撃するのが望ましいだろう。
ターミナルEはこのターミナルDの右隣にある。ターミナルDのフィンガーからターミナルEまでの距離はざっと600強。狙撃できない距離ではない。屋上の展望フロアなどはなさそうだが、登る手段がないわけではないようだ。
####アプローチ発見####
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『ターミナルDの屋上は制御塔があるだけで一般人は侵入できなくなっているみたいね。でもそこへ入ることができればターミナルEは丸見えよ。もちろんターゲットもね。』
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ターミナルEは半分以上がこちら側から丸見え状態であり、写真を見る限り側面は全面ガラス張り。つまり、今いるこの建物の屋上にJaguar7を持っていくことができれば、ターミナルEのほとんどが射程圏内に入るということだ。
そのためにはまず屋上へ入らなければならない。それには空港職員または警備員になりすますのがいいだろう。しかし、この空港はあまりに人が多すぎる。初夏の行楽シーズンなのもあり、空港はいつも以上に人でごった返しているらしく、空港職員も休む暇なく動き回っている。トイレなども人気がなくなることがなく、2~3人ではあるが行列ができてしまっているほどだ。このような場所で人が少ないところで警備員になりすますためには・・・。
思ったより策がなく、私は苦肉の策に出ることにした。大混雑の空港内で一般人が一番少ない場所。そこは警備室だろう。だが警備室は出国審査ゲートの向う側にある。ならばゲートをくぐってしまおう。私はゲートの手前にある金属探知ゲートへ向かった。
金属探知ゲートに到着し、そのまま列に並んで待つ。暫く待つと、自分の番になった。
「はい、次の方。金属類を外してこのゲートをくぐってください。手荷物はこちらに。」
ビーッ!
「申し訳ありません。なにか金属類のものをお持ちですね。アレば出してください。時計やキーホルダーとか・・・。」
ピピピッ!
「うーん・・・?なんだこれ!?」
当然といえば当然である。両脇にはシルバーボーラーを持ち、金属探知に入れたアタッシュケースの中にはJaguar7が入ってるのだから。ケースに入れられたスナイパーライフルを見た検査官が驚愕の表情をしている。私は目の前の検査官に見せつけるようにスーツの前のボタンを外して中を見せた。
「!!!」チャキッ
「動くな!」
「ああ。」
私は手を頭の後ろにやって降伏の意思を見せる。すぐに警備員が飛んでくると私の手に手錠をはめた後、ケースとともにゲートの向こう側の部屋へ連行された。
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『制限エリア内に入ることができたようね。問題はそこからどうやって屋上まで行くかだけれど。』
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通された一室にはテーブルと椅子、そして私と拳銃を携帯している警備員2名と現場の責任者らしき男が集まった。天井は低いが監視カメラもあり、まさに取調室と言うにふさわしい。
「・・・さて。久々だよ、こんな堂々と検査に引っかかる危険人物は。」
「・・・。」
「だんまりか?まあそうだろうな。こんなもんを持って空港に入ろうってんだから。」
男は調べ終わったのだろうシルバーボーラーを私の手の届かない位置に置いた。それと同じくJaguar7も同様に置いてから話し始めた。
「ああ、安心しろ。無論弾は抜いてある。だが見たことのない銃だな?特注品か?」
「・・・。」
「ふん、まあいい。だがこれからの質問には必ず答えてもらうぞ。まず1つ目だ。お前は何者なんだ?空港に来てゲートを通ろうってのにパスポートどころか免許証の一つも持ってないとは。2つ目、お前は一体ここに何をしに来たんだ?単純に海外旅行ってわけじゃあるまい。」
「何者かは答える必要がない。何をしに来たかも答える必要がない。」
「なんだとぉ・・・?ふん、いつまでそう言ってられるかな。まあ後30分もすれば警察が来るから話はそっちでするんだな。」
「話すこともない。なぜなら私はゲートの向こう側に行かねばならないからだ。」
「あん?あんたこの状況をわかってんのか?武器は奪われ、手には手錠。後ろにはこわーい警備員が2人だ。お前がゲートの向こう側に行くことは絶対にないんだよ。」
「そうかな?」
「何?」
私は机を思いっきり蹴り上げた。机は身を乗り出していた男の顎に直撃し、一撃で見事に昏倒した。机が元の位置に戻る前に私は素早く机に固定されていた手錠を支点として体を浮かび上がらせ、座っていた椅子を足で持ち上げると足で大きく振り回した。振り回した椅子はそのまま天井のカメラと後ろの警備員の一人を殴打、昏倒させた。その早業に圧倒されて固まっているもうひとりの警備員をそのまま足で掴むと机に倒れ込ませた。倒れ込ませた警備員の腰の拳銃を奪い取るとすかさず拳銃で手錠の鎖を切った。
机に突っ伏した警備員を拳銃で殴り気絶させると、シルバーボーラーとJaguar7を回収し、警備員を引きずりつつ隣の部屋へ入った。隣の部屋は控室のようなところだったが、証拠品として提出する予定だったのかシルバーボーラーとJaguar7の弾倉がそのまま置かれていた。それを回収し部屋のロッカーに警備員を押し込むと、警備員の服を借りる。Jaguar7をケースに戻し、部屋を出た。
殺風景な廊下を進み、制限エリアの扉を出ると、そこは入国管理ゲートのすぐそばの免税店の裏側だった。左右に様々な免税店が立ち並んでおり、こちらも人で賑わっている。私の腰にはシルバーボーラーがぶら下がっているが、客たちは警備員の格好をした男が拳銃を持っていてもまるで気にしていない。そのあたりはヨーロッパらしいと言えるだろう。
免税店街を抜け、東側の窓からターミナルEを見てみる。間にあるエプロンが邪魔でここからでは狙えそうにないな。私は人混みをかき分けて更にターミナルの先へ移動する。その途中ですれ違った旅行客のポケットに入っていた簡易双眼鏡を借りておく。26番ゲート手前から簡易双眼鏡で一瞥していくと、中程あたり、39番ゲート付近にココ・ヘクマティアルを確認した。
~ココside~
ピンポーン
「フランス、シャルル・ド・ゴール空港行き。エールフランス航空654便にご搭乗のお客様は、ターミナルE、39番ゲートへお越しください。」
「やーっと来た!さー!みんな乗るよー!」
「「ういーっす。」」
「ヨナは私の隣ね!」
「わかった。」
「でもよお嬢。なんで今回はエコノミーなんだよ?ファーストとまでは言わねえけどいつもビジネスだったじゃねえか?」
「ごめんね。急な予定変更でビジネスクラスもファーストクラスも空いてなくてね。窮屈だけどたった4時間だから我慢してね。」
「ルツ、あんまり我儘言ってお嬢を困らせんなよ?」
「別に不満を言ってるわけじゃねえよ!てかそこまで子供じゃねえ!」
他愛のない会話。急遽決まった仕事にも文句を言わずについてきてくれている。後で何か埋め合わせしないとね。私達は待合席から立ち、搭乗ゲートへ向かった。
「・・・。ココ・ヘクマティアル。その飛行機が貴様の最後のフライトだ。存分に楽しめ・・・。」
~47side~
むむむ・・・まずい。ココ・ヘクマティアルは発見できたが、肝心のターゲットが見当たらない。一つの場所に留まってずっと双眼鏡を覗けば怪しまれてしまうため集中して探すことができないのも見つけられない原因であった。先程ココ・ヘクマティアルが乗ると思われる便のアナウンスがあった。急がなくては飛行機が出発してしまう。
私は双眼鏡で探すのを諦め、先に屋上に上がることにした。28番ゲート付近まで戻り、レストランの裏手のドアを開けて侵入。中にあった階段を使って4階へ。4階は到着フロアとなっており、ガラス張りの廊下以外にはトイレくらいしかない。飛行機が到着していない時は人気もほとんどなく、私はトイレの裏側へ向かった。案の定、そこには関係者以外立入禁止の扉があり、私はロックピックで鍵を開け、内部に侵入した。
この場所は制御塔の丁度真下に位置しているらしく、飛行機の運行情報を管理するサーバールームがあった。私はサーバールームに入り端末を操作する。・・・端末から監視カメラネットワークへアクセスができた。私はターミナルEの監視カメラを確認し、ターゲットの特徴をカメラ映像と照合して検索をかけた。
・・・居た。ほんの数分前、搭乗ゲートから飛行機に入っていくターゲットの姿だ。
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『その男がネオ・カトラスことケリー・ルイスよ。まずいわね。もう飛行機に乗ってしまったようよ。』
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私は過去24時間のカメラ映像を削除した後、チケット情報にアクセスした。ターゲットの名前で発券されている航空券を検索する。・・・あった。ココ・ヘクマティアル一行は30Fから31Aまでに、ターゲットはそのだいぶ前、21Fに座っているようだ。
よし、ターゲットが窓際に座っていてくれるのであれば、やりようはあるかもしれない。一時はエンジンを狙撃して動作不良で離陸中止させることも検討したが、もっと直接的にことが行えそうだ。私は急いで端末の後始末をした後、廊下を通りターミナルDの屋上へ出た。
####アプローチ完了####
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『無事屋上へ出れたみたいね。そこからならターゲットも狙えるでしょう。後はあなたの腕次第ね。』
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屋上に出ると、今まさに39番のエプロンから飛行機が発進しようとしていた。飛行機はそのまま目の前の駐機場で反転、誘導路へと出ていく。ターゲットが乗っているのはここからは見えない反対側だ。そのままターミナルDの前を通り、滑走路の西側に向かった。チャンスは一度きり。私はケースからJaguar7を取り出すと、滑走路までの距離を素早く図り、スコープを調整する。
管制官からの離陸の指示を受け取ったようで、エールフランス機が滑走路を滑り出し始めた。西から東に向かって滑走しているため、このときだけターゲットの乗る場所がこちらから見えた。私は素早くスコープを覗き、ターゲットの乗っている21F席を確認し、照準を合わせて間髪入れずに引き金を引いた。
バァン!
ガキン!
空港は航空機の騒音によって屋外での銃撃音は1発くらいなら気が付かれずに済む。放たれた弾丸は正確にエアバスA320の窓に吸い込まれていき、200km/hに到達しそうになっていた機体の窓ガラスを正確に撃ち抜いた。航空機の窓ガラスというのは、普通のガラスではなく、3枚から6枚の積層アクリル樹脂でできている。機種によっては厚さは4cm近くになるというが、Jaeger7 Lancerにとってはあまり意味をなさない厚さだ。窓の先でほくそ笑んでいたターゲットの側頭部に弾丸が命中、その命を一瞬にして刈り取った。
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『ターゲットダウン。流石、素晴らしい腕前ね。あの飛行機はすぐに戻ってくるでしょう。早急にそこから脱出して頂戴。』
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飛行機は窓ガラスが割られた状態では機内の与圧が機能せず、高く跳ぶことはできない。一旦は離陸したものの、すぐさま旋回してそのまま降りてきた。
私はJaguar7をケースにしまうと再びターミナル内へ戻った。4階へ戻ると遠くで警備員が何名かあたりを捜索しているのが見えた。どうやら入管事務所で放置していた職員と警備員が発見されたようだ。それとほぼ同時にアナウンスでトラブルが発生し旅客機が一機引き返してくることが告げられた。
私は警備員に見つからないようにそのまま1階へ降りた。1階は航空貨物の分配所になっており、何人かの作業員が作業をしていたが旅客エリアよりは格段に人数が少ない上に、貨物やベルトコンベア等で死角が多いため用意に通り抜けることができた。到着ゲートの荷物受け取り場所の横へ出ると、そのまま正面ゲートを通って外にでる。道路を渡り駐車場に止めてあったICAの車に乗って脱出した。
~~1週間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『失礼いたします。』
「ああ、バーンウッドくん。例の兵器に進展があったそうじゃないか。」
「例の兵器?」
「いつだったか砂漠に住むエルフの議会から接収してきたアレだよ。」
「ああ。あの使い道のない超兵器ですか。」
『その使い道がなかった超兵器ですが、一部技術に関しまして実用化の目処が立ちました。』
「なんと!それはそれは・・・。」
「実験や研究に数十年単位で必要なのではなかったのですか?まだアレを発見してから1年経っていないと思うのですけど。」
『先日、エージェント67-2がワールド106から調達してきた技術によって外郭構造体の大部分の設計が実現可能の領域に入りました。』
「ワールド106・・・ああ、あのやたら災害の起こる世界か。」
『“ジオフロンティア計画”それとそれに付随していた“首都島構造体”の一部の技術を応用した戦術AIの演算の結果、超大型中性子レーザー砲の外郭部分が建造可能との試算が出されました。』
「なるほど。あのとんでも計画も役に立つものだな。」
「でもまだ外側部分だけなのでしょう?」
『実のところ中央部の超高出力中性子発生装置自体は技術部で草案が完成しています。なので後は砲身に当たる増幅器及び収束装置の開発が完了すれば・・・。』
「あの超兵器を・・・。」
「作り出すことができるというわけですね。」
『そういうことになります。』
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「正々堂々」
【+1000】『保安検査官に逮捕される。』
・「47 is Watching You!」
【+1000】『乗客から双眼鏡を盗む。』
・「それでも世界は回る」
【+3000】『ココ・ヘクマティアルに暗殺をさとられない。』
・「羽を折られた巨鳥」
【+5000】『滑走路を走行中の飛行機の中にいるターゲットを狙撃する。』
この空港は一部界隈では有名な空港です。
次回はパートナーを探しに行く予定です。