HITMAN2『世界線を超えた先に』   作:ふもふも早苗

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『こんばんわ。47。』

『今回はヤマブキシティへ向かってもらうわ。以前にも一度いったことはあったわよね?』

『ブルーとシルバーから詳細は聞いてるわよね?今回は暗殺が任務ではないわ。彼らの提案がICA上級委員会でも承認されてね。47。あなたにはポケモンを捕まえに行ってもらうわよ。』

『ポケモンは人間の言葉を理解できる上に、指示すればいかなる状況でも対応できる能力を持っている個体が多いの。一般的に人間や機械では難しいこともポケモンならば簡単に行えることも珍しくない。あなたがポケモンを持てば、それは必ずあなたにとって戦力的にプラスになるはずよ。』

『ポケモンは至るところにいるのだけれど、今回はブルーとシルバーの案内で彼らがよく知っているヤマブキシティを中心に探してもらうわ。これといって捕まえるポケモンに指定はないから、気に入ったポケモンを見つけたらモンスターボールと呼ばれる捕獲器を使って捕獲してきて頂戴。』

『準備は一任するわ。』



~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】・【エージェント67-1】・【エージェント67-2】
・装備
【シルバーボーラー、モンスターボール×3】・【ポケモン6匹】・【ポケモン6匹】
・服装
【愛用スーツ】・【愛用ノースリーブ】・【愛用ジャケット】




HITMAN2『頼れる仲間』

 

『ヤマブキシティへようこそ。47。』

 

『前回来たのはブルーとシルバーと初めてあった時だったかしら。観測の結果、あの時からはほとんどこの街は変わっていないわ。無論シティ銀行は跡形もなくなっているけれど。』

 

『街の中には大したポケモンはいないと思うわ。探すとしたらこの街から東西南北に伸びている幹線道路沿いの草むらでしょうね。この世界は蚊は居ないようだけれど、それに相当するポケモンはいるみたいだから一応気をつけてね。』

 

『素敵な出会いがあることを願ってるわ。』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

正直全く気乗りしていない。パートナーはたしかに有用な場合もあるが、自分ひとりで全てを完結できる場合においては足かせにしかならない場合が多いためだ。それにポケモンは我々人間の言葉を理解できるというが、我々はポケモンたちの言葉は理解できない。意思疎通が一方通行な状態では円滑な作戦伝達や状況報告もままならないだろう。

 

 

「さあ!行くわよ!47!」

「ヤマブキシティ周辺で見つけられるポケモンのリストは準備済みだよ。」

 

 

・・・にもかかわらず、この二人はやけに張り切っている。普段の任務の時以上に生き生きとしているように感じられる。

 

 

「私はそこまで必要とは思っていないのだが。」

「何いってんの!ポケモンの有用性はブリーフィングで散々話したでしょ!」

「ああ。ブリーフィングの時間の大半を削りつつ、予定時間を1時間もオーバーしながらな。」

「うっ・・・、それはまあ不可抗力ってやつよ!」

「47はポケモンが嫌いなのかい?」

「そうではない。1時間半にも及ぶ講義を受けてもまだ有用性が見いだせないだけだ。」

「今までの僕らのやり方を思い出してくれれば、有用性を証明できるところはたくさんあったと思うんだけれどな。」

 

 

・・・確かに、ブルーのメタモンは隠蔽や隠密に長けているし、ニドクインやシルバーのオーダイルなどもパワーでは人間のそれとは比べ物にならない。だが私は基本的に不可能ならば代替の策を模索するだけなのでそこまで羨ましいとも思っていないのだ。

 

私を説得する策を2人が考えていると、本部から通信が入った。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『47。まだポケモンは捕まえてないわよね。ICAからの追加の条件が出されたわ。“47が居ない場合の本部等施設の警備ができるポケモン。”が追加条件よ。ああ、あとキャロラインの個人的な要望なのだけれど、見た目的にも性格的にも可愛いのがいいそうよ。私も強面よりは可愛いほうがいいわ。よろしく頼むわね。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

やれやれ。本部までだいぶ乗り気だ。これでは私一人が駄々をこねてるようなものではないか。命令とあっては仕方がない。施設警備ができるポケモン。できれば可愛い容姿の者。可愛いの基準が私にはわからないがそこはブルーに任せるとして、諦めてポケモンを探すことにする。

 

やっとそれなりにやる気になった私を待っていたかのように、2人は意気揚々と私の腕を掴んで町外れのゲートへ向かった。

 

ヤマブキシティ東ゲートを抜けると、8番道路に出た。ゲートから出るとすぐ横に小さな建物がある以外はごく一般的な郊外の道という印象だ。そんな中ブルーがあたりをキョロキョロ見回しながら不思議そうにしている。

 

 

「あら?ここらへんは私達が街に居た頃は暴走族が屯していて結構危ない雰囲気だったんだけれど、誰も居ないわね?」

「確かに。少なくとも3人、多くて5人は居たよね。」

「警察機関に摘発されたのではないか?」

「うーん、そんな簡単に摘発されるかしら・・・まあ居ないなら居ないに越したことはないわ!」

「そうだね。」

 

 

気を取り直して歩き始める。この世界は森や草むらの中ならどこでもポケモンが出るというわけではないらしく、ポケモンがよく出る草むらはある一定の場所に固まっていることが多いのだそうだ。この8番道路は隣町であるシオンタウンとの丁度中間地点辺りに岩に囲まれた場所があり、そこの草むらが一番出やすいとのことだった。

 

その岩場を目指し歩いていると、前方奥から爆発音が聞こえてきた。それと同時に白い気球が地面から現れた。気球にのっている乗組員からの拡声器を使用したと思われる声が響いてくる。

 

 

「はーっ!はっはっは!」

「ピカチュウは頂いた!」

マテー!ロケットダン!

「やーなこった!待てと言われて待つ悪党がどこにいるってのよ!」

 

 

「ブルー、この世界では気球が主な移動手段なのか?」

「飛行船はよく使われてるけれど気球は珍しいかもしれないわね。何なのかしらアレ?」

「・・・ん、あいつらピカチュウを前にいるトレーナーたちから奪い取ったみたいだ。」

「ふうん・・・そうだ、47。あの気球落とせない?」

「助けるのか?」

「そうよ。トレーナーに恩を売っておけばポケモンを捕まえるの手伝ってくれるかもしれないじゃない。」

「ポケモンを捕まえるのはそんなに大仕事なのか?」

「基本的にはポケモンを戦わせて弱らせて捕まえるんだけれど、47、ポケモンないでしょ?」

「・・・まあそうだな。」

 

 

私はそのまま飛び立とうとする気球を見る。ゴンドラから伸びたアームの先には黄色いポケモンがしきりに電撃を出しているが全てアームで防がれている。下にいるトレーナーの方は謎の拘束具によって身動きがとれないようだ。

 

私はシルバーボーラーを取り出し、浮かんでいる気球の気嚢の部分を撃ち抜いた。気嚢自体の耐久性が低いせいか拳銃弾一発で空いた穴が風圧でみるみるうちに広がっていき、気球はすぐに自由落下を始めた。

 

 

「き!気球に穴が空いたニャ!!」

「うわああああ!」

「なーんでー!!」

 

ドシーン!

 

 

「落ちたわね。救出しに行きましょうか。」

「僕は落ちたほうを見てこよう。」

「じゃあ私達はトレーナーのほうね!」

 

 

シルバーは気球を、私とブルーはトレーナーたちの方へと向かった。男2人女1人のトレーナーグループは状況がよく理解できずに呆然としている。私達に気がつくと喋りかけてきた。

 

 

「あ、あの!アイツらはあなた達が?」

「ああ。今もうひとりが墜落現場へ向かっている。」

「そういうことよ。今外してあげるわね。」

カチャカチャカチンッ!

「はいOK。」

「「「ありがとうございます。」」」

「えっとあなた達は?」

「通りすがりのトレーナーと・・・ポケモン初心者のお兄さんよ!」

「ポケモン初心者?」

「そう!」

「・・・そうだな。」

「新人トレーナーってことですか?」

「あーそう言うのとは違うんだけど・・・まあ細かいことは話せないからそういうことでいいわ。」

「そういうことなら。俺はマサラタウンのサトシ。よろしく。」

「私ヒカリ!」

「自分はタケシと言います。」

「よろしく!私はブルーよ!こっちのおj・・・お兄さんは・・・。えっと・・・。」

「フォードだ。よろしく。」

「よろしく!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『またすごいめぐり合わせね。その人達はこの世界の主要人物に当たるわ。くれぐれも正体を見破られたり危害を加えたりしないように注意して。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

こんなところで主要人物と会うとは運がいいのか悪いのか。今回は暗殺を目的としてきているわけではないので正体を隠し通すのは比較的容易なのが救いだろうか。挨拶を交わしているとシルバーが戻ってきた。

 

 

ピカピー!

「あ!ピカチュウ!無事だったんだな!」

ポチャー!

「ポッチャマも!よかったあ!」

グー・・

「グレッグルも。大丈夫だったか?」

 

「ご苦労さまシルバー。」

「大したことはなかったよ。あの連中ロケット団の構成員だったみたいだ。」

「あら、まだ活動してたのね。あの組織。」

「えっと・・・?」

「ああ、僕はシルバー。ブルー姉さんと一緒に・・・旅をしているんだ。」

「あー・・・そう。旅。そうね。」

 

 

流石に暗殺組織で働いていると言う訳にも行かないので適当に旅をしていることになった。この場合はそれが無難な選択肢だろう。

 

 

「それにしてもロケット団がなんであなた達のポケモンを?」

「あいつら、いつも俺のピカチュウを狙って追いかけてくるんです。」

「せっかくカントー地方に旅行に来てるっていうのに、迷惑な連中よ!」

「ふうん・・・ピカチュウってそんなに珍しいポケモンだったかしら?」

「なにか目的があるんだよきっと。」

「それより、あなた方はここで何を?」

「ああ、そうだったそうだった。フォー・・・ドがポケモンを捕まえたいって言うからそのお手伝いに来たのよ!」

「・・・そうだな。」

「そうなんですか。じゃあ俺たちにも手伝わせてください!」

「そうね!助けてもらったお礼もしたいし!」

「自分も是非、手伝わせてください。」

「心強い味方ができたわね!フォー・・・ド!」

「ああ。」

 

 

とりあえず当初の予定通りといえる。見たところ旅慣れているトレーナーであるサトシ、ヒカリ、タケシの三人と行動をともにすることで、効率的にポケモンをゲットすることができるだろう。

 

 

「早速ですけれど、フォードさんはゲットしたいポケモンが居たりするんですか?」

「いや。まだ決まっては居ない。本b・・・私の家内が可愛いポケモンが良いと言っていた。私個人としては私が留守の間に家を守れるようなポケモンがほしい。」

「可愛くて・・・。」

「家を守れるポケモン・・・。」

「となると・・・。」

 

 

3人はしばらく考え込んでいたが、しばらくして適当なポケモンを閃いたようだ。

 

 

「そうだ!この辺りなら確か・・・」カチャ

ピピピピピッ

「うん、ガーディなんていいんじゃないかな!人懐っこいけれどジュンサーさんもよく連れているくらい用心棒としても最適だし!」

「ああ!ガーディ!それなら可愛いし強いし、良いかもしれないわ!」

「ガーディならここ8番道路でも見かけることがあるポケモンだ。早速出発しよう。」

ピッカー!ポッチャ!

 

「トントン拍子に話が進んで助かるわね。」

「そういう姉さんはさっきから何を調べているの?」

「んー・・・あの人達、どっかで見た気がするのよねえ・・・。」

「僕は知っているよ。以前カナズミシティで戦ったことがある。」

「あら?バトル相手になったのなら相手は覚えているはずなんじゃないの?」

「まあその後が衝撃的だったからね。もしかしたら忘れてるのかも。」

「ふーん・・・。」

 

 

私達はそのまま集団で岩場の近くの草むらまで歩いていくことにした。シルバーはサトシとあったことがあるので、その流れで自己紹介をしたところ、相手側のサトシはすっかり忘れていたようで謝罪を受けていた。あの時はサトシの対戦相手がいきなり脳天に弾丸を食らわされて、そのまま大会が中止になるという前代未聞のハプニングが起こっているから無理もないだろう。そのまましばらく雑談をしながら歩いていると奇妙な事実が発覚した。

 

 

「へえ、もともとはヤマブキシティに。」

「そうなのよ。このへんは暴走族が居たからあんまり来たことなかったけどね。」

「ええ!?暴走族ぅ!?いるの?どこに?!」ポチャポチャァ?!

「いや、それが今は居なくなってたんだよ。摘発されたのかなあ・・・。」

「な、なんだあ・・・よかったあ・・・。」ポチャー…

「暴走族?サイクリングロードにチャリンコ暴走族がいるのは知ってるけれど、こんなところに居たかなあ?なあタケシ?」

「うーん、この辺りに暴走族がいるという話は聞かないけどなあ・・・。」

「ええ?タマムシの方から流れてきた暴走族が数人いつも屯していたじゃない。」

「・・・。」

「姉さん、ちょっと。」

「え?」

 

「サトシ、タケシ。ヤマブキシティ銀行って知ってるかい?」

「いいや、銀行なんてあったんだ。」ピーカ?

「俺も初耳だな。確かヤマブキシティにも銀行はあったと思うけれど、そんな名前じゃなかったはずだ。」

「だいぶ前にあるテロ事件があってその影響で潰れたんだけど。ニュースとかで知らないかい?」

「いいや、そんなニュース初めて聞いた。そんなことがあったのか。」

「だいぶ前ってどのくらいだ?10年くらい前?」

「いや、多分1年以内なんだけれど・・・。」

 

「どういうことよ47。あんな大勢の犠牲者を出した事件、ニュースになってないわけ無いわよ?」

「少なくとも警官が数十人は死んでいる。クチバシティのセーフハウスに戻った時に見たテレビには、そのニュースは速報として流れていた。」

「一応本部に報告しておいたほうが良いわねこれは。」

「それが良いだろうな。」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『実は私達情報部もこの世界には色々違和感を感じていたの。今ワールドセーフティも含めて調査中よ。あなた達は任務に集中して頂戴。任務が終わる頃には調査も概ね終了していると思うから。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

多少不安の残る状況ではあるがサトシ一行は意気揚々と歩を進めている。記憶に違いがある以外は別段不審な点はないので、何はともあれ任務をこなしてしまうとしよう。

 

そのまましばらく歩いていると、大きめの岩があちこちにある場所に出た。その中に奥に通じる通路があるが、その道は蔓性植物によって覆われて通れなくなっている。

 

 

「ん、ここは僕にまかせて。行け、マニューラ!」

シャー!

「おお、マニューラだ!」ピピ

「マニューラ、“いあいぎり”!」

ザクッ!ザクッ!

「おお!見事な“いあいぎり”だ。よく育てられている。」

「すごいわね!ブルーさんとシルバーさんはトレーナーなんですよね?」

「そうよ。これでもいろいろ修羅場くぐってきてるからポケモンバトルでは負けないわよ!」

「そうだ!あとでタッグバトルしようぜ!俺もウズウズしてきた!」ピッカチュウ!

「いいよ。でもまずはガーディを捕まえてからだね。」

 

 

居合斬りで蔓を取り払いつつ岩場の奥に進んでいく。あたりは人が殆ど入らない場所のためか草が生い茂っている。しかし、膝上まで伸びる草むらにも関わらず、カマキリやバッタ等の昆虫の類は全く見られないのだからこの世界は不思議だ。そのまま更に進むと少しだけ視界がひらけた。

 

 

「んー、このあたりにいると思うんだが・・・。」

「こっちのガーディも森の中に住んでるのね。」

「ヒカリはシンオウのフタバタウン出身だったよな?」

「そうよ。フタバタウンの近くの森にもガーディがよくいるの。小さい頃はたまに追いかけられたりもしたなあ・・・。」

「そういえばガーディを見つけたとして、どうやって捕まえるんだ?フォードさんはポケモン持ってないんだろう?」

「あ。そういえばそうね。うーん・・・フォー・・ド、ガーディと戦闘することはできる?」

「いやいやいや、人間が生身で戦うのは・・・。」

「本来は相手にもよるが、ガーディに関しては先ほど図鑑で見せてもらった情報を見る限り、可能だ。」

「マジで?」

「えぇ・・・。」

「ちょちょっと!」

 

 

唐突にブルーが私を引き離して耳打ちしてきた。

 

 

「ねえ47。わかってると思うけれどシルバーボーラーで撃ち抜いたりしちゃ駄目だからね?」

「わかっている。銃火器は使わない。」

「それでどうやって戦うのよ?動きは早いし、“かえんほうしゃ”とか使ってくるのよ?」

「火炎放射は直線的な攻撃だ。避けるのはそこまで難しくはない。」

「あー・・・まあとにかく銃を使わないならいいわ。」

 

 

ブルーは半分諦めた様子で集団に戻っていった。確かにガーディは見たところ、ちょっとした軍用犬のようなポケモンだ。だがそれ故に対軍用犬の訓練は既に訓練施設で学んでいる。問題はどのようにして無力化するかだが、それも近接戦闘に持っていくことができれば問題ないように思える。そんな事を考えていると、背後の草むらが揺れ、ポケモンが飛び出してきた。私はとっさに避ける。

 

 

ガウガウガウ!

「あ!ガーディ!」

「お出ましか。」

「フォー・・ド!モンスターボールは持っているわよね!それをガーディに当てるように投げて!」

「わかった。」

 

 

私は懐から今回の任務のために持たされたモンスターボールを一つ取り出し、出てきたばかりのガーディに向かって投げつけた。

 

 

バシッ!バシュウウン!

ボゥン!

「ああ!惜しい!」

「やはり弱らせないと捕まえるのは厳しいな。」

「フォードさん!なんとかして弱らせないと!」

 

 

なるほど。弱らせなければボールから出てきてしまうというわけか。そして足元へ帰ってきたボールは手にとって見てみると機能が失われているようで、一度使ったモンスターボールは2度は使えないようだ。私が持ってきたボールは3つ。今ひとつ使ってしまったのでチャンスは後2回というわけか。

 

そんなことを思案しているとガーディがまっすぐこちらに突っ込んできた。

 

 

「“とっしん”だ!避けるんだ!」

 

 

タケシの声が響く。私は言われるまでもなく、サイドステップで突進を躱す。野生のガーディは突進状態のまま大回りでまた私の方へ来た。私は森の中の木の影に隠れた。

 

 

ドッシーン!

「ありゃま、また盛大にぶつかったわね。」

「フォードさん!相手は怯んでる!今なら!」

 

 

確かに今ならボールに収まってくれるかもしれない。私は素早くボールを取り出すと、気にぶち当たって怯んでいるガーディに向かって投げつけた。

 

 

バシュウウウン…ボゥン!

「なっ!あのガーディなかなか強いぞ!」

「ねえ、私達も援護したほうが良いんじゃない?」

「そうだな。ピカチュウ!」ピッカッ!

 

「援護は要らないと思うよ。」

「え?」ピカ?

「そうね。フォー・・・ドなら援護は不要でしょうね。」

「しかし、あのガーディ、野生にしてはレベルが高い。それを相手に生身の人間では・・・。」

「そうよ!下手したら大怪我しちゃうかも!」

「大丈夫大丈夫。まあ見ててご覧。」

 

 

中々好き勝手いっているが、あまり策は多くない。ボールから出たガーディはすぐに距離を取ると、私のいる木に向かって炎を吐いた。

 

 

「“かえんほうしゃ”だ!」

スッ

ボォォン!

 

「あ、あれ?フォードさんは?」

ガ、ガウ!?

 

 

火炎放射が木に直撃した。その際に小規模ながら爆発が発生し、爆炎が相手の視界を僅かな間ではあるが遮る。その隙に私は素早く地面に伏せ、横に転がりながら2つ隣の木へ移動した。この辺りは草が生い茂っており、私のスーツが黒いこともあって気づかれることなく移動できた。私は転がる最中に手のひらサイズの石を一つ拾い、木の裏に隠れつつそれをガーディの反対側の茂みに向かってかなり山なりに投げた。

 

 

ガサッ

ガウッ!ガー!

ボォォォォ!

タタタ

 

 

ガーディが後ろの茂みに移動したと勘違いしてそちらに向かって火炎放射を行う。ポケモンの使う火炎放射は技を繰り出す時にかなりの音が出ている。その音が私の足音をも消してくれる。私は素早くガーディに近づくとその上を通り過ぎるように駆け寄る。

 

 

ガウッ!?

シュッ

トン

 

 

案の定、気配を察知したガーディが火炎放射を中止してこちらに向き直った。が、既に私はガーディの上を通過しかけており、私は通過する途中で振り向いたガーディの首後ろに、普段の半分程度の力で手刀を食らわせた。絶妙のタイミングで絶妙の場所に入った手刀は、ガーディの意識を一瞬で刈り取ることに成功した。

 

私はガーディが地面に崩れ落ちるのを確認した後、最後の一つになっていたモンスターボールをガーディに当てた。

 

 

バシュウウウン…

ポーン

 

「やったぜ!」

「すごい!ポケモンを使わずにゲットできるなんて!」

「凄まじい動きだったな!あの人只者じゃないぞ!」

 

「流石ね。」

「かえんほうしゃの避け方、注意のそらし方、手刀の精度、僕たちには到底真似できないね。」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『無事ポケモンをゲットできたようね。任務完了よ。帰還して頂戴。まあ、その前にブルーたちはバトルするみたいだけれどね。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ボールを拾い上げ、スーツに付いた草を払いつつ皆のもとに戻る。すぐにサトシ達が駆け寄ってきた。

 

 

「すっげえ!一体何が起こったんだ?!」

「大したことはしていない。陽動を行い、相手の隙をついて気絶させただけだ。」

「十分すごいとおもいますよ。そのガーディ、かなりレベル高いはずですから。」

「そうなのか。」

「だから言ったでしょう?大丈夫だって。」

「お疲れ様、フォード。」

「ああ。これで一応目的は達成できたな。」

 

「ねえ!ガーディをもっとよく見せて!」

「フォード、ガーディのボールを掛け声とともに放り投げて。」

「掛け声?」

「出てこい!とか、いけ!とかそんな感じのよ。出す時の合図みたいなものね。」

「ふむ・・・。ガーディ、出撃だ。」シュッ

ボゥン!ガウッ!

「おおー。」

「うん、毛並みもいいし、野生とは思えない状態の良さだ。」

「可愛い!もふもふしてる!」

 

 

小一時間、ガーディについての基本的な知識や育て方に関する情報をタケシから教わった。基本的には犬と同じような扱いでいいようだ。

 

一通りの教授が終わった後、サトシはバトルの約束をしていたのを思い出したようで、その場でサトシ・ヒカリペアとブルー・シルバーペアのタッグバトルが行われることになった。審判はタケシ、私はその横でガーディと一緒に見ていることになった。

 

 

「ではこれより!タッグバトルを開始する!」

「マグマラシ!チャームアップ!」グマッ!

「頼むぞピカチュウ!」ピッカ!

「行ってきて!カメちゃん!」ガメー!

「行け!オーダイル!」グワー!

 

「バトル!スタート!」

 

「ピカチュウ!速攻で決めるぞ!オーダイルにボルテッカー!」

ピッカア!

「マグマラシ!カメックスにスピードスター!」

グマァ!

「カメちゃん!マグマラシにハイドロポンプ!」

グワ!

「オーダイル!ピカチュウにアクアテール!」

ガーッ!

 

 

お互いの技が炸裂しようとしたその時、思わぬ乱入がバトルをいきなり中断させた。

 

 

ボォォォォン!

「きゃあ!」

「な、なんだあ!?」

 

 

「何だかんだと聞かれたら。」

「答えてあげるのが世の情け。」

「以下略にゃ!」

 

 

そこには先程撃退したと思っていたロケット団が居た。しかもやたら大きなロボットに乗っている状態で。丸い頭に一つ目、どこぞの公国のなんとかスーツに酷似している。

 

ロケット団は目にも留まらぬ速さでバトルに出していたポケモン4匹と私の隣りにいたガーディをアームで捕獲して腹部の牢に入れた。

 

 

「なーはっはっは!ピカチュウとその他諸々は頂いたわ!」

「さっきは不覚を取ったが今回は万全だぜ!」

「ロケット団!またお前らか!ピカチュウを返せ!」

「私のマグマラシも返しなさい!」

「やーなこった!」

「悔しかったら取り返してみな!」

 

「行け!ドサイドン!」グワー!

「ドサイドン!“はかいこうせん”!」グワー!

ボォォォン!

 

「なっ!無傷だと?!」

「何やってんのよシルバー!行って!ニドちゃん!脚部に“はかいこうせん”よ!」ガーッ!

ドォォン!

 

「うっそお!なんでぇ!?」

「にゃっはっはっは!さっきやられた時にはかいこうせん対策も盛り込んでおいたのにゃ!」

「そういうこと!今回は俺らの大勝利だ!」

 

 

ブルーとシルバーの攻撃にもびくともしていない。かなり頑丈なロボットだ。しかし私のガーディまで取られたのは不覚だった。これでは任務が完了できない。なんとかして取り戻さないといけないのだが・・・。

 

私はロボットをよく観察した。確かに表面は謎の合金で覆われており、先程から断続的に繰り出されるブルー達5人のポケモンたちによる攻撃にもびくともしていない。特に火炎系や電撃系はアームの部分で吸収している有様だ。しかし、吸収しているということは必ずどこかで排出も同時に行っているはずだ。電気は地面や空中に放電すればよいが、火炎放射の熱は放熱板やクーラーなどで冷まさなければならない。ということは・・・。

 

私は森の中を通ってロボットの裏に密かに回り込んだ。ロケット団は攻撃してくるポケモンたちをも捕獲しようと応戦しており、こちらには気がついていない。・・・あった。ロボットの背面に細長い放熱用の排気ダクトを見つけた。角度的に姿を晒す必要があるが、そこがあのロボットの弱点なのは間違いないだろう。私はシルバーボーラーを取り出し、ロボットの背後に躍り出た。サトシたちからは見えない位置で、排気ダクトに向かって弾倉内の弾をすべて撃った。

 

 

 

バシュバシュバシュバシュ!

ガキンッ!バチバチバチ…

「ん?なんにゃ?」

ビービービー!

「ちょ、ちょっとニャース?」

「なんかロボがおかしくなってないか?」

「にゃにゃ!?排気ダクトが壊れたにゃ!」

「え、それって・・・。」

「どうなるんだ・・・?」

「このままじゃオーバーヒートして爆発するにゃ!!」

「「えぇ!?」」

「ちょっと!なんとかしなさいよ!」

「無理にゃ!もう・・・あ。」

ジジジジジジ

ボォォォォン!!

「ギャー!」

 

 

「やっぱり最後はこうなるのねー!」

「今回はうまくいくと思ったのになあ・・・。」

「生活費3ヶ月分が水の泡ニャ・・・。」

「「「やーなかんじー!!!」」」

 

 

「ピカチュウ!」ピッカ!

「マグマラシ!良かったわ!」マグマグ!

「ふう、危ないところだったわねカメちゃん。」ガメッ

「無事で良かった。オーダイル。」グワッ

「怪我はないなガーディ。」ガウッ!

 

 

 

爆発したロボットは頭の部分に居たロケット団3人を空の彼方へ吹き飛ばした。サトシ達曰く、いつもあんな感じで吹っ飛んでいくので大丈夫だと言っていた。ポケモンたちもみんな戻ってきた。一件落着というところだろう。ただ、バトルに関しては既に日が傾きかけていたため、今回はお流れということになってしまった。

 

とりあえず目的は達成されたので、私達は一旦ヤマブキシティに戻ることにした。薄暗くなりかけていた道は予想以上に時間がかかってしまい、ヤマブキシティのポケモンセンターについたときにはすっかり辺りは暗くなってしまっていた。私達はサトシたちの勧めもあってポケモンセンターの宿泊施設で一泊していくことにした。食事も終わり、寝床へ向かう際に通信が入った。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『47。その世界の調査がある程度完了したから報告するわね。その世界はブルーとシルバーが居たカントー地方によく似ているけれど、細部のいたる所が異なっていることがわかったわ。ワールドナンバーも微妙に異なっているところから、ブルーとシルバーの居た世界とは別の世界であることが判明したの。それで、過去の渡航ログも漁ってみたところ、コガネシティに行った時は元の世界だったけれど、カナズミシティに行った時はこの世界に来ていたことがわかったわ。どうして同じような世界が2つあるのかは引き続き調査中だけれど、少なくとも任務遂行やICAの活動に支障はでなさそうよ。だから安心して頂戴。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

とりあえず問題はあまりなさそうということで一安心だ。私達はそのまま寝床に入り、一日歩きづめだったのもあってすぐに寝てしまった。寝る直前にガーディがボールから出てきたと思ったら私のベッドに潜り込んできたのは少々驚いたが。

 

朝になり、私達はサトシたちに別れを告げると、そのままヤマブキシティに昨夜一晩で設置されたセーフハウスから元の世界へ帰還した。

 

 

 

 

 

 

~~帰還後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「きゃああ!!かわいいい!!」

「でしょー!このたてがみの部分とか良いわよ!」

「きゃー!もふもふー!」

ガ…ガウ・・・

 

「あれは一体どうしたんだ?」

『キャロラインはあなたから送られてくる情報をだいぶ羨ましそうに見ていたからね。よほどあのポケモンが気に入ったんでしょうね。』

「アレでは誰のポケモンかわからんな。」

『そうね。まあガーディは良い選択だと思うわ。番犬としても申し分ない能力がある。』

「訓練プログラムはあっただろうか?」

『あるわよ。ICA選択訓練に最近追加されてね。軍用犬訓練プログラムと番犬訓練プログラム。それと愛玩動物訓練プログラムよ。』

「愛玩動物?」

『愛玩動物としての振る舞いを教え込むのよ。可愛らしい動物に油断しない敵はほとんど居ないわ。』

「なるほど。陽動や誘導に使えそうだな。」

『ましてやポケモンは犬や狼には使えない技が使える。可能性は無限大ね。』

「ならばもう少し捕獲してくるか?」

『いいえ、まずはあの子を訓練してからね。あのプログラムがポケモンにも適応できるかどうかを確かめるまではポケモンを増やしたところで手に余るだけよ。』

「ふむ。」

 

「姉さん、持ってきたよ。」

「待ってたわよ!シルバー!キャロラインさん、はいこれ。」

「これは・・・ご飯ですか?」

「そう、ポケモンフーズ。ガーディに食べさせてあげて。」

「わかったわ。ほ~ら・・・美味しいご飯ですよー・・・きゃ!食べた食べた!」

「かわいいーわねー。」

 

「まずはあの連中を引き剥がすところからだな。」

『・・・そのようね。ああでもその前に。』

「?」

スタスタスタ

『キャロライン。』

「あ、バーンウッドさん・・・。」

『・・・私にも触らせなさい。』

「・・・!良いですよ!もちろん!」

 

 

「・・・愛玩動物訓練は必要なさそうだな。」

 

 

 

~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・「目指せ東方!」

 【+1000】『8番道路へ入る。』

 

・「お助けチーム」

 【+1000】『サトシ一行を救出する。』

 

・「ポケモンマスター47」

 【+5000】『ガーディを捕まえる。ポケモンを使用してはいけない。』

 

・「お約束の場外弾」

 【+3000】『ロケット団を撃退する。』




ポケモンは世代でいろいろ仕様が違っていて設定を反映しづらいですね・・・。

次回は師団長を葬りに行きます。
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