HITMAN2『世界線を超えた先に』   作:ふもふも早苗

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『こんばんわ。47。』

『今回向かってもらうのはハルケギニアのガリア王国はヌベールという城下町よ。現在この街はガリア王国東花壇騎士団の第4騎兵師団が駐屯しているの。』

『ターゲットはその第4騎兵師団の師団長であるリシャール・アダンという人物よ。彼は狡猾かつ野心的な人間で、今の地位に満足せず、さらなる地位向上を目指していろいろな方面で工作活動を行っているみたい。でもそれがガリアの軍需生産ラインに悪影響を及ぼしていることがわかったらしくてね。王宮から諸悪の根源と断定されてしまったのよ。』

『クライアントは北花壇騎士団の裏の団長でもあるイザベラ・ド・ガリア。そう、ガリア王国の現女王陛下よ。ガリアのトップとしてはその根幹を揺るがしかねない不穏分子は排除しないといけないわね。本来は北花壇騎士団の構成員が処理するよう案件なのだけれど、優秀な構成員が丁度別の任務で出払ってるらしいのよ。他の面子では返り討ちにされてしまう可能性が高く、やむを得ず我々に依頼を出したってところかしらね。』

『ヌベールの街はオルレアン直轄領の近くにある街なの。そのせいかわからないけれど、タバサがどうしてもついていきたいと上申してきたから連れて行ってあげて頂戴。』

『準備は一任するわ。』



~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】・【エージェント66】
・装備
【シルバーボーラー、ワイヤーロープ】・【愛用魔導杖、アタッシュケース】
・服装
【町人の服】・【魔法学院制服】



HITMAN2『けじめ』

『ヌベールへようこそ。47。』

 

『この街は首都の経済圏からは外れているけれど、ガリア・トリステイン・サハラの3つの地域の交通の要所にもなっている戦略的に重要な街よ。』

 

『常に第4騎兵師団が常駐しているのだけれど、周囲に比較的大勢力である領地に囲まれているのもあって基本的に内乱外乱ともに無縁で、第4騎兵師団は儀仗隊のような扱いになっているみたいね。第4騎兵師団という名前こそ師団だけれど、実際は中隊程度の人数しか居ないみたい。』

 

『ターゲットは通常、首都リュティスの第1メイジ師団の副師団長をしていたのだけれど、今回の暗殺作戦に合わせてクライアントである女王陛下が直々にこの第4騎兵師団の師団長に任命したみたいね。情報によれば既に後釜の師団長は決まっているそうよ。』

 

『ターゲットは町の中央にあるヌベール城にいると思われるわ。城自体一部一般開放されていて警備は比較的手薄よ。それでも立ち入り禁止エリアにはそれなりの量の警備兵がいることが予想される。十分気をつけてね。』

 

『それと、任務とは関係ないのだけれど、タバサが技術部に頼んで何かを持ち出したらしいわ。帰還したら聞き取り調査をするつもりではあるけれど、暇があったら確認してくれないかしら。』

 

『幸運を祈ってるわね。』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「着いたよ。ヌベールだ。」

「感謝する。」

「いいって。楽しんでこいよ。」

パカパカパカ…

 

 

町の入り口に当たる地点までやってきた。やはり怪しまれにくいとはいえ馬車による移動は思いの外体力を消耗する。これならば素直にタバサのドラゴンに乗せてもらえばよかっただろうか。

 

そのタバサは今町外れにあるICAセーフハウスへ装備品を受け取りに立ち寄っているらしい。何を持ち出したのかは本部も把握していないらしく、その調査もサブ目標として設定されている。反旗を翻したりしなければ良いのだが。そんなことを心配していると上空からドラゴンが舞い降りてきた。・・・?杖以外何も持っていないように見えるが・・・。

 

 

「おまたせ。」

「何を取りに行っていたんだ?」

「後で話す。」

「タバサ。お前を信頼して包み隠さず言うが、ICA本部はお前が持ち出したものに関しての聞き取り調査を行うようだ。本部にも無申告で物を持ち出すのは問題になる可能性がある。」

「処分は受ける。だけどこの任務が終わるまで待ってほしい。」

「・・・そうか。」

 

 

タバサは私に懇願とも取れる視線を送ってきた。表情は普段通りの無表情ではあるが、若干悲しみや決意が見て取れる気がする。このような表情をするのは珍しいことだ。

 

私は絆されたというわけではないが、失踪するような雰囲気でもないため、とりあえずは聞かないでおくことにした。まずは任務をこなしていこう。

 

街はそれほど都会というわけではなく、一軒家が畑や庭園などを挟んでまばらに立ち並んでいる。郊外の住宅地という雰囲気だ。そして道の先、おそらく街の中心地であろう場所には小規模な城が立っていた。地上3階建て、中心の建物を取り囲むように4本の塔が立っている。魔法学院をひと回り小さくしたようなものだろうか。4本の塔の一辺に城門があるが、警備兵こそ立っているものの門は基本的に開け放されており、住民と思われる人々が比較的頻繁に出入りしているのが見える。

 

 

「まずは任務だ。行くぞ。」

「(コクン)」

 

 

私とタバサは城の中へ進んでいった。城の中庭ではバザールのようなものが開かれており、町の住人で賑わっている。しかし町の人口自体がそれほどでもないせいかごった返すとまでは行かない。混乱を起こすのはそれなりに難易度が高いだろう。

 

そのまま中庭を進んでいくと、とある商店の前で警備兵と店主が何かを話しているのを見かけた。私は隣のアクセサリー店でタバサに物を買い与えるようなふりをしつつ聞き耳を立てる。

 

 

「うーん、でもなあ・・・。」

「決めちゃいましょうや。最近奥さんにもどやされたんでしょう?」

「うげっ!なぜそのことを!」

「もうわしら商人の間では知らないやつは居りませんぜ。というか町人でも大多数が知っとります。」

「うーむ・・・ちょっと派手に騒ぎすぎたか・・・。」

「でも肝心なところは曖昧でして。何があったのか教えてくれたらまけときますぜ?」

「ん・・・まあいいか。実は師団長とちょっとやりあっちゃってな。」

「師団長さんに?そりゃまたなんで?」

「大したことじゃないんだ。警備体制に関してちょっと意見がぶつかっちまってな。」

「へえ・・・それでなんで奥さんが出てくるんで?」

「向こうの奥さんも出てきたからだよ。警備体制に関するってのが婦人会がよく使う会議場が含まれてたらしくてな。監視体制強化だって言って大騒ぎになっちまってさ。」

「なるほどねえ。女の話は旦那連中には聞かれたくないもんですからな。」

「それで騒ぎになった責任を揃って取らされたってわけさ。だから俺はこうして外勤、師団長は城の最上階で空を眺める仕事ってわけよ。」

####アプローチ発見####

「どっちが左遷ですかい?」

「こっちに決まってるだろ。向こうは来もしない対空警戒任務だぞ?大方今頃いびきかいて寝てるよ。」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『ターゲットは城の最上階で対空警戒任務を行っているようね。来ることがない空の驚異に対しての警戒はさぞかし退屈な任務でしょうね。きっとかなり油断しているだろうから暗殺するのも容易でしょう。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

店主に怪しまれないように適当に髪飾りを買って店を離れる。そのまま城の裏側へ回り込んだ。人の目を避けつつ城に侵入できそうな場所を探した結果、城の外壁の一部に窓があり、そこから内部へ侵入することができそうだ。窓は高さ3~4mのところにあり、通常ならばはしごか何かが必要だが、レビテーションで浮かぶことのできるタバサには問題のない話だった。私が周囲を警戒しているさなか、タバサは先にレビテーションで城の中へ侵入した。

 

・・・おかしい、タバサが帰ってこない。敵と接敵してるのだろうか?それにしては静かすぎる。5分が経過し、流石に通信を入れようとしたその時、窓からタバサが顔を出した。そのまま周囲を確認し、レビテーションで私を城の中へ招き入れた。

 

 

「随分時間がかかったな。何があった?」

「少し気になるものがあった。」

「気になるもの?」

「任務とは関係ない。遅れたのは申し訳ない。」

「ふむ。まあ寄り道は程々にしておけ。任務を続行するぞ。」

「了解。」

 

 

やはりなにか様子がおかしい。今までの任務では作戦目標以外への目移りなどなかったはずだ。持ち出しの件や任務への志願等、何か隠している節が見られる。用心しておくことにしよう。

 

入った部屋は書庫のような場所だった。城自体が小さいのもあって、書庫自体も小さく、個人用と言っても良いくらいの蔵書の量だった。部屋の中央に置かれていた机の上には王政府の紋章入りの書類が置かれていた。このようなところに放置しているということはそれほど重要な事案ではないことが予想されるが、念の為確認しておく。

 

ああ・・・なるほど。タバサが遅れた理由がわかった。この書類は隣のオルレアン王宮直轄領の屋敷の解体に関する書類だった。あの屋敷はタバサの生家であり、暗殺されたオルレアン公が自宅としていた屋敷だ。母君はタバサが一度死亡した際に容態が悪化し他界していたため、唯一残っていた召使い1名も王宮によって別の領地へ転属になっている。文字通りもぬけの殻となった屋敷は長らく放置されていたようだがこの度解体が正式に指示されたようだ。

 

たしかに生家が解体されるとなったら少なからずショックを受けてもおかしくはないだろう。だが任務は確実にこなしてもらわねば困る。私はタバサに確認を取る。

 

 

「遅れた理由はこれか?」

「・・・。」

「心情の揺らぎが見て取れる。任務続行はできるのか?」

「問題ない。」

「本当か?」

「・・・問題・・・ない。」

「・・・そうか。」

 

 

明らかに動揺しているがそこはプロフェッショナル、任務は任務として考えているようだ。ともかくなるべく早めに任務を片付けてしまうことにする。書庫の本棚には童話や寓話、天文学や地政学、はては婚活指南本まであったが肝心の館内図がなかった。私は諦めて別の部屋を探すことにする。

 

 

「二手に分かれる。館内図を探すか、屋上に登る方法を探る。交戦禁止。」

「了解。」

 

 

私は反時計回りに、タバサは時計回りに順繰りに部屋を調べていく。調べていく過程でわかったことはこの城はほとんどもぬけの殻ということと、殆どの部屋は使われていないということだった。そして肝心の館内図もなければ階段すら見当たらなかった。そうこうしている間に私とタバサは半周ずつ調べ終え、残るは中央のホールのみとなってしまった。

 

流石に中央のホールには中から話し声がしており、声が聞こえるだけでも3人は少なくともいることがわかる。あまり痕跡は残したくはないのだが致し方ない。ここはおとなしく眠ってもらうことにする。

 

 

「タバサ。」

「(コクン)」

 

 

タバサは小さくうなずくと扉に向かって手をかざした。少し困惑した表情を浮かべると小さな声で言った。

 

 

「中にメイジがいる。高位のメイジの場合、スリープクラウドが効かない場合がある。」

「何人いるか、どのあたりにいるかわかるか?」

「人数は1人。向かって右側4m先。」

「それだけわかれば十分だ。」

 

 

私は近くの部屋に戻り、部屋の中にあった真鍮の燭台を手にとって戻った。

 

 

「よし、良いぞ。」

「(コクン)」

 

“スリープクラウド”

フワァ

 

「んあ・・・なんか眠く・・・。」ドサッ

「俺も・・・。」グゥ

「ん・・・これはスリープクラウド?侵入s(ゴッ)ぎゃあ!」ドサッ

 

 

扉を開けてスリープクラウドを流し込み、2人が眠ったタイミングで眠りそうにないメイジに向かって燭台を投げつけて昏倒させた。落ちる時に多少派手な音がするかと思ったが、床に絨毯が敷かれており、そこまで派手な音は出なかった。

 

ホールの中は集会場のような場所になっており、眠った二人は中央のテーブルに居たようだ。昏倒したメイジはホールの端、上へ向かう螺旋階段に座っていたようだ。やはり上下階に通じる階段はホール内にあった。下から別の人員がやってくる前にさっさと最上階へ行ってことを済ませてしまおう。

 

階段は上に行くにつれてカーブがきつくなっていき、最上階の部屋は広さが4メートル四方ほどしかなかった。調度品などは何もなく、ただ外へ通じる扉だけがある。タバサを戦闘態勢で後ろに待機させ、私は慎重に扉を開けた。

####アプローチ完了####

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『無事に屋上にたどり着いたわね。さあ、ターゲットの寝顔でも拝むとしましょうか。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

予想通り、最上階の外は屋上になっていた。屋上はそれなりな広さがあり、その片隅に簡易的な机と椅子、そしてその椅子に腰掛けて居眠りをしている一人の男が目に入った。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『アレがリシャール・アダン第4騎兵師団長。最近は行事もなくて退屈していたみたいだから、私達がその退屈な日常を終わらせてあげましょうか。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

私は寝ている師団長の背後に静かに近寄り、ワイヤーロープで一気に首を締め上げた。師団長は突然の出来事にも関わらず首を絞められながら腰にある杖を取ろうとした。しかし、腰にあったはずの杖はそこにはなかった。タバサの念力によって首を絞めた直後に杖は抜き取られ、座っていた椅子と一緒に数m先へ移動させられていた。杖がなくなっていることにも動揺したのかそのまま少しの間もがいた後、ついに力なく息絶えた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『ターゲットの死亡を確認。任務は完了ね。帰還して頂戴。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

そこまで難しい任務ではなかった。ちょうど師団長が一人になるように懲罰を受けさせられていたのもあるだろう。これならば北花壇騎士団の他のメンバーでもこなせたのではないだろうか?それでも私に依頼してくるということはそれだけ確実に仕留めたかったということなのだろうか。全くを持って謎だ。

 

私達はもと来た道を戻り、窓から飛び降りてレビテーションで静かに着地すると、バザールの群衆に紛れ込んで脱出しようとした。

 

 

 

 

 

「待ってほしい。」

 

 

城門を出てすぐ、タバサが帰還しようと歩を進めていた私を呼び止めた。

 

 

「どうした?」

「・・・あなたに頼みたいことがある。」

「暗殺の依頼か?」

「そうじゃない。」

「ならば・・・。」

「ここでは話せない。セーフハウスへ向かう。」

 

 

やはりこの街へタバサが着いてきたのはなにか別の目的があってのことだった。そういえば技術部から持ち出したという装備も持っていないようだったから、おそらくセーフハウスに置いてきたのだろう。一体何をするつもりなのか。

 

 

 

セーフハウスに着いた私達はテーブルで対面していた。若干張り詰めた空気にはなっているが、タバサはおもむろに近くの戸棚からアタッシュケースを取り出し、そのまま机の上に置いた。おそらくこれが技術部に依頼して持ち込んだものなのだろう。タバサはアタッシュケースを開けた。

 

 

「これは・・・リザレクター2か?」

「そう。」

 

 

タバサが持ち込んだのは死者をこの世に蘇らせるリザレクターの改良版、“リザレクター2”だった。とりあえず細菌兵器とかではなかったので一安心だが、これをいったいどうするつもりなのか。

 

 

「頼みたいことはこれの使用許可をとってほしい。」

「ICAにということか。」

「そう。」

「・・・誰に使うつもりだ。」

「・・・。」

「使う相手がわからなければ許可は出せない。それは私も本部も同じだろう。」

「・・・私の母。」

「母親?」

「そう。このヌベールの街の墓地に密かに埋葬されている。」

「母親を蘇生するために技術部の技術を持ち出したのか?」

「・・・。」

「ICAの技術の私的利用は処罰の対象となる恐れもあるんだぞ。」

「・・・。」

 

 

ICAの技術はエージェント個人の願望を叶えるためのものではない。依頼を受けた暗殺任務の遂行に必要な技術を開発しているに過ぎない。そのことを指摘するとタバサはうつむきながら語り始めた。

 

 

「・・・まだ父様が生きていた時、母様は私にいろいろなことを教えてくれた。礼儀作法や魔法学はもちろん、料理や裁縫などの女性としての基本的なことや、使用人との接し方や為政家の心得も。私は母にとても愛されて育った。でも父様が暗殺されて、私にもその手が伸びようとしていたところで母様は自らの身を犠牲にして私を暗殺の手から逃れさせてくれた。」

「・・・。」

「母様はあの晩、毒を盛られるそのパーティの前、私に“私に何があっても復讐だけは考えては駄目”と固く言い聞かせていた。でも私はその言いつけを破った。父様を殺され、母様の心を奪ったジョゼフがどうしても許せなかった。でも復讐を誓った時、私にはまだその力はなかった。でも、しばらくして魔法学院での生活にも慣れた頃だった。トリステインの城下町であなたを見かけたのは。」

「トリステイン・・・、そうかチェレンヌ徴税官のときか。」

「そう。あなたのことを追うにつれICAの事も知った。私は母様が心を壊されたときから神というものを信じては居なかったけれど、そのときだけは神に感謝した。復讐の機会を与えてくれたと。私はシュヴァリエの地位を得る過程で貰った報奨金や給料などをすべて費やして、ICAに依頼を出した。復讐を完結させるために。」

「まだ主要人物の暗殺についての規定がなかった時期だ。だからギリギリ依頼料が足りたのか。」

「復讐は成功した。でも残ったのは晴れやかな気分ではなく、母様の誓いを破って母様の思いを裏切ってしまったという後悔だけだった。でもこれは私に課せられた罰。そう思うことにしたそんな時だった。あなたが私を暗殺しに来たのは。」

「・・・。」

「毒を盛られ、意識が朦朧とする中で死にたくないという気持ちと、これで後悔の念から開放されるという気持ちもあった。でも開放されなかった。」

「私が生き返らせたからな。」

「最近思うことがある。この後悔の念は直接母様に謝罪するまで消えることはないのだろうと。普通ならばそれは叶わない願い。でも・・・。」

「“これ”があれば・・・か。」

「そう。だから47。私に母様に謝罪させてほしい。それさえ叶えてくれるなら、私は一生をICAに、47に捧げることを誓う。私を・・・この輪廻から開放して・・・。」

 

 

最後の方はほとんど涙声になってしまっている。さて、どうしたものか。要約すると、復讐をするなと言われたけれど復讐をしてしまったことへの後悔に悩まされているからそれを解消させてほしいということだ。まとめてしまうと身勝手な要求にも思える。だが・・・。

 

 

「・・・。」

「・・・。」

 

 

 

「・・・ふう・・・私も甘くなったものだ。」

「・・・!」

「本部、聞いているか。」

『・・・ええ。すべて聞かせてもらったわ。』

「それならば話は早い。それで?」

『・・・残念だけれど。上級委員会としては“NO”よ。』

「そうか・・・。」

『わかったら早急に帰還して頂戴。タバサは上級委員会から意見聴取が行われるわ。出頭して頂戴。』

「・・・。」

『返事は?』

「わか」

 

バシュガシャン

バチバチバチ…ボゥン!

 

 

 

 

「・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

繰り返そう。私もだいぶ甘くなったものだ。

 

 

「っと、済まない。こういう話は苦手でシルバーボーラーを整備していたら暴発してしまった。」

「47・・・。」

「むう、流れ弾が渡界機にまで当たってしまっている。これでは使えないな。通信機と渡界機は別のセーフハウスにならあるはずだ。本部の指示の途中だったので、その指示を聞くためにも別のセーフハウスに移動するぞ。」

「・・・!」

「どこのセーフハウスに行くかだが・・・。ふむ、ココだな。この墓地の奥の小屋のセーフハウスにしよう。すぐに出発するぞ。案内頼めるか。」

「・・・はい!」

 

 

これは懲罰は避けられないかもしれないな・・・。

 

 

 

 

 

私達は墓地へやってきた。タバサの話を聞いたり本部と通信したりしているうちに辺りはすっかり暗くなってしまっていた。私はタバサに目配せをすると、タバサは急いで墓地の中へ入っていった。私はできる限りゆっくりとあるく。

 

タバサは目的の墓を見つけたようだ。本来苦手としていると言っていた土系統の魔法を使って素早く棺桶を掘り返している。そして棺桶の中の遺体を見つけると感慨深そうにかつ懐かしそうに眺めている。悠長に眺めていてもらってはまずいので私は少し大きめの足音を立てる。足音で目的を思い出したのか、タバサはアタッシュケースからリザレクター2を取り出すとそれを遺体にまんべんなくふりかけた。

 

遺体はみるみるうちに元の麗しい肉体に戻っていく。私が丁度墓の前に差し掛かった時、遺体だった物、オルレアン大公夫人は目を覚ました。

 

 

「・・・シャルロット・・・。」

「かあさま!」

「シャルロット、あなたなのですか?」

「はい、私です。あなたの娘のシャルロットです・・・。」

「ああ・・・こんなことが・・・!」

 

 

私は静かにその場を通り過ぎる。ここは邪魔をしてはいけないところだろう。シルバーやブルーに時折“わかってない!”と罵られる私でも流石にそれくらいはわかる。時折振り返ってみるが、タバサは肉親との再会に感極まり大泣きしているのが見える。私は一足先にセーフハウスに入ることにした。

 

 

『47。聞こえるかしら?』

「ああ。」

『どういうことかしら?場合によってはあなたも懲罰対象になるのよ?』

「済まない。普段聞かないような話だったものだからな。」

『上級委員会は結構ご立腹よ。あなたにも意見聴取には参加してもらうわ。』

「仕方ないだろう。」

 

『・・・。』

「・・・。」

 

『47。あの暴発はどうして起こったのかしら?』

「・・・ああ、少し手元が狂ってしまった結果、撃鉄が作動してしまった。」

『アレは防ぎようのない“事故”だった。そういうことね?』

「そうなるな。」

『そう。なら仕方ないわね。上級委員会への報告書にもそう書いておきましょう。』

「バーンウッド・・・。」

『・・・私も甘くなったのかしらね。意見聴取には私も参加するわ。』

「すまない。」

『ふふ、まあ詳しい話は帰ってきてから聞きましょうか。』

 

 

およそ30分が経過した後、タバサは母親を連れてセーフハウスに戻ってきた。バーンウッドの指示により、そのまま母親と一緒にICA本部に帰還した。

 

 

 

 

~~3日後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「聞いたわよ!47!タバサちゃんの願いを聞いてあげたんですって?」

「何の話だ?」

「とぼけちゃって!お母さんを蘇生してタバサちゃんと会わせてあげたんでしょう?」

「私は何もしていない。ただ単に銃が暴発しただけだ。」

「ふふん♪まあそういうことにしておきましょう!あーあ、私もお母さんに会いたくなっちゃったな。」

「ブルーの母親は既にICAの身辺調査で居場所が判明しているはずだが?」

「それはまあそうなんだけれど。いつでも会えるってわけじゃないからね。」

 

ガチャ

「あ、タバサちゃん!おかえり~。」

「ただいま。」

「結果は?」

「懲罰金のみ。リザレクター2の製造費用にあたる3万ドルで済んだ。特別措置だそう。」

「そうか。」

「47とバーンウッドさんのおかげ。本当に感謝している。」

「お母さんはどうしたの?」

「今はキュラソーさんと話しながら検査を受けている。終わったらこちらでの記憶を消去した後に送り返される事になっている。」

「送り返して大丈夫なの?」

「問題ない。私が精霊の力で蘇ったのと同じように、母様も精霊の力で蘇ってもらう。」

「あまりその設定を多用するのは良くはないと思うがな。」

「私の給料で養う。問題はない。」

「ふふふ♪一件落着ってわけね!」

 

 

 

 

~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・「開かれた城」

 【+1000】『正門から城に侵入する。』

 

・「夢の中へ」

 【+3000】『ワイヤーロープで寝ているターゲットを暗殺する。』

 

・「小さな反逆」

 【+3000】『通信機または渡界機を破壊する。』

 

・「親心」

 【+5000】『タバサの母親を蘇生する。』




母親の涙には、科学で分析できない深く尊い愛情がこもっている。 -マイケル・ファラデー-


次回は地獄へ向かいます。
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