『今回向かってもらうのは、幻想郷の地底世界。旧地獄と呼ばれている場所よ。』
『1940年代、世界大戦によって世界中で人が死んだことによって、地獄と呼ばれている死後に罪人が向かう場所もキャパシティがオーバーしてしまったの。溢れかえって処理しきれなくなった霊達が、地獄を抜け出して現世に溢れ出てしまうこともあったんですって。地獄を管理している“十王審理会”はこの際に古くて狭い地獄から、新しく大きな地獄へと移転することを決定したらしいわ。また裁判局との往来がしやすいように従来の地獄よりも浅い階層に設置されたんですって。場所的にも階層的にもずれてしまった今までの地獄は、良く言えば活気があった今までと比べてみるも無残に荒廃してしまったようよ。』
『今回のターゲットはその従来の地獄、ここでは“灼熱地獄跡”と呼ばれているようなのだけれど、そこに入り込んだ人間、名前は“トーマス・パルシュ”。そう。以前幻想郷にやってきたルーマニアの呪術研究家、その弟よ。姉が幻想郷から帰ってこなくなったことから幻想郷の住人に囚われてるか殺されたかしたと思っているようね。彼は姉を亡き者にした幻想郷に復讐するために灼熱地獄にて特殊な呪術を使うことで、幻想郷全体を大地殻変動に見舞わせようとしているみたいなの。』
『例によって相手は罠となる呪術を仕込んでいるわ。だから幻想郷の住人は手が出せない。のだけれど八雲紫はその呪術を研究して自分たちで対策を練りたいと思っているみたいでね。今回ターゲットの暗殺に関して、遺体をできる限り損壊しないようにとの依頼が含まれているわ。額に風穴が開くくらいならば問題ないみたいだけれど、できれば毒殺や溺死、絞殺等の遺体が原型を留める暗殺を行って頂戴。』
『準備は一任するわ。』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】
・装備
【シルバーボーラー、コイン×3、ロックピック】
・服装
【愛用スーツ】
『旧都へようこそ。47。』
『目的地である灼熱地獄跡はこのすぐ下の階層になるわ。でもその前に灼熱地獄跡とこの旧都両方を管理している地霊殿の“古明地さとり”という人物に会ってもらうわ。』
『地底世界の管理者である彼女は自分たちの預かり知らぬところで作戦が遂行されることを快く思わないでしょう。八雲紫は一言挨拶はしておいたほうが良いといっていたわ。一応アポは取ってくれているみたいよ。』
『管理者の許可を経て灼熱地獄跡に行ったら周囲に浮かぶ炎のようなものに注意して。それは地獄にすらいけないような凶悪な怨霊であることが多いみたいだから。その点についても古明地さとりかその配下の者が対策のお守りのようなものをくれるそうよ。』
『取り憑かれたりしないようにね。幸運を祈ってるわ。』
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ガヤガヤガヤ
以前にも来たことの有るこの街は、太陽などがない地底世界では常に夜の歓楽街のような賑わいを見せている。あちこちの軒先で露店居酒屋が営まれており、鬼と思われる者たちが酒を酌み交わしている。
私は前回は子鬼に変装して街に侵入したが、今回は古明地さとりに八雲紫を通じて正式にアポイントメントを取っているため、いつものスーツ姿そのままだ。その姿のまま通りを歩いていると、路端で酒を煽っている一人の鬼が話しかけてきた。
「おい、そこのお前。人間か?」
「そうだが。」
「人間がこんなところに何のようだ。オレたちの縄張りだぞここらは。」
「古明地さとりという人物に会いに来た。」
「ああん?覚妖怪に?どうもうさんくせえなあ・・・。」
「・・・。」
「お前、なんか気に食わねえから俺と一勝負していけ。勝ったら通してやるよ!」
「生憎とそんな暇は無い。申し訳ないが・・・。」
「なんだてめえ!俺の勝負が受けられねえってのか!?」
まずい。それなりに知的な種族だと聞いていたがやけに喧嘩っ早い。身体能力に差がありすぎる鬼との戦闘はできれば避けたかったのだが・・・。
打開策を考えていると鬼はしびれを切らしたように殴りかかってきた。その巨体からは想像できないほどに素早く、私は既のところで脇からすり抜けた。仕方ない。ここは地形を利用して逃走する一手だ。
私はそのまま近くの家の中に駆け込む。そのまま家の中を通り過ぎつつ窓から飛び出て反対側の路地へでた。鬼は家の中を滅茶滅茶にし、壁すらもぶち破りながらこちらへ向かってくる。気性が激しいにもほどが有るのではないだろうか。
窓から窓へ路地から路地へかけていくと隣の大通りへ出た。先程の道よりも一回り広い道だ。私は行き交う人々、いや鬼たちの間をすり抜けながら走る。後ろの鬼は通行人を突き飛ばしながらこちらに向かってくる。素早い上に力が強くおまけに素早い相手を追う動体視力も持ち合わせているとはさてはて一体どうしたものか・・・。走りながら打開策を考えていると突如として目の前に立ちはだかった人影があった。私は既のところで衝突を免れ脇をすり抜けようとした。
「待ちな。人間。助けてやるよ。」
「・・・!」
「うぉらあ!どこ行った人間・・・うっ!勇儀・・・の姉御・・・。」
「上から見てりゃ随分派手にやってんじゃねえか穴虎よお・・・。」
「ええと、あの・・・その・・・。」
「お前が通ってきた道を見てみろ。家もボロボロ通りがかりに突き飛ばした鬼たちはお前を睨んで凄んでるぞ?」
「うっ・・・。」
「だがこの街の治安を守る者としてはここでリンチになるのは見ているわけには行かねえ。ここはあたしが折檻といくことで手打ちにしてやるよ。」
「あ、姉御・・・それだけはご勘弁を・・・。」
「問答無用!」
ドゴォォン
突如として目の前に降り立った、頭に赤い一本角を持った女性の鬼が救済に現れてくれた。私刑は見過ごせないとかなんとか行っておきながら自分は容赦なく私をおってきていた鬼をタコ殴りにしているが、周りの鬼たちが一切手を付けないということは相当な実力者なのだろうと推測できる。
本人曰く“折檻”が終わった後、折檻された鬼はボロボロになりつつも自力でトボトボと帰っていった。勇儀と呼ばれた女性の鬼がこちらにやってきた。
「さて、人間。済まなかったな。事の次第は全部見ていたよ。うちらの荒くれが迷惑をかけたね。」
「助太刀感謝する。怪我もしていない。」
「で、お前さん、古明地さとりに会いたいんだって?」
「ああ。」
「んー・・・名前を聞いてもいいかい?」
「47。そう呼ばれている。」
「ふぉーてぃせぶん。うん。さとりから聞いた名前そのままだ。じゃああんたがお客ってわけだね。」
「古明地さとりを知っているのか?」
「そりゃああいつからこの旧都の治安維持を任されてるからねえ。ついてきな。案内してやるよ。」
「助かる。」
怪我の功名というやつだろうか。鬼に追いかけられたら鬼に助けられた。まあ周囲には鬼か怨霊くらいしか居ないだろうが。この女性の鬼は名前を星熊勇儀というらしい。この辺りでは名のしれた鬼らしく、混雑しているところも彼女が近づくととたんに道を譲られる。だが恐れられているというわけではないらしく、時折店舗の軒先から酒の席への誘いが投げかけられている。しかし彼女はそれらをすべてに断りを入れ私を先導してくれている。十分程歩いた後にこの街、旧都というらしいが、旧都の端に近い場所に今までの東洋系の町並みとは趣の違う、暗い色の西洋風の洋館にたどり着いた。
「ついたよ。ココが地霊殿。古明地さとりの居るところさ。」
「感謝する。とても助かった。」
「いやいや、まだ居るかどうか確認してないだろ。えーっと・・・これだったっけかな?」
ポチッ キンコーン
「ああ、合ってたみたいだ。」
ハーイ
ガチャ
「ありゃ?勇儀さん。珍しいことも有るもんだ。どうしたんだい?」
「お燐。さとりは居るかい?」
「ええ、いらっしゃいますよ。・・・っとその隣の方は?」
「ああ。実はさとりに用があるのはあたしじゃなくこいつなんだ。」
「ああ。じゃああなたがさとり様が言っていた。どうぞお入りください。」
「失礼する。」
「じゃああたしは案内の役目を終えたから失礼させてもらうよ。じゃあな。」
「ああ。ありがとう。」
「ご苦労さまです~。」
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『地霊殿にたどり着いたみたいね。見た目は完全にお化け屋敷だけれど。早いところ当主様に許可を取り付けて任務に取り掛かりたいところね。』
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地霊殿の中は紅魔館ほど極彩色ではないが、薄暗く壁や天井床のカーペットに至るまですべて暗い寒色で統一されている。案内役の火焔猫燐曰く、旧灼熱地獄からの熱で年中夏場のように暑いこの地域で、少しでも涼しくしようという試みだそうだ。確かに南米のジャングルほどではないがこの地下世界は総じて地熱による影響で暑い。クーラーもないこの世界ではそういう方法でしか涼が取れないのだろう。
しばらく廊下を進んでいると奥から誰かが猛スピードで駆けてきた。
「おり~~~ん!」
「ちょ!?お空!?」
「ダーーイブ!」
ドッシーン
そのまま勢いよく火焔猫燐にタックルした。私はタックルの瞬間進路を外したおかげで巻き込まれずに済んだ。2人は3mは後ろに転がって止まった。すぐさま火焔猫燐が起き上がり、右手を振りかざした。
ゴチンッ!
「あいたぁ!」
「こら!いきなり飛びかかってくるなってアレほど言ったろ!それに今はお客様を案内中だよ!」
「え?あ!」
「全くもう・・・ほら挨拶。そいでごめんなさいも。」
「れ、霊烏路空です。さわがしくしてごめんなさい・・・。」
「あ、ああ。よろしく。」
「はぁ・・・この子はあたいの友達でね。天真爛漫と言うか天然というかバカというか・・・。」
「あははは・・・。」
「てかお空、火力調整作業は?」
「おやつの時間だから切り上げてきちゃった。」
「なっ!?おやつはこっちから持っていくって言ったろう!早く!持ち場に戻って!」
「え~・・・。」
「え~じゃない!あんたが居なかったら誰が火力調節するってのさ!ほらはやく!」
「はーい・・・。じゃあお兄さん。ばいばい。」
「ああ。」
タッタッタ…
中々騒がしいが悪い雰囲気ではない。最も私としては早いところ古明地さとりのところへ案内してほしいのだが・・・。そんなふうな顔をしていたのかはわからないが、火焔猫燐は思い出したかのように案内を再開した。意外にも居室は近かったようでその後すぐに部屋の一室に通された。
コンコン
「失礼します。さとり様。お客様がお見えになられました。」
「ありがとう、お燐。下がっていいわ。」
「はい、ありがとうございます。」
「早くお空におやつを持っていってやりなさい。」
「うっ・・・はい・・・。でわ。」
バタン
「申し遅れましたわ。私が地霊殿の主。古明地さとりですわ。」
「忙しいところを申し訳ない。」
「いいんですよ。私もその方は少々疎ましく思っていたところですから。暗殺というのは少々物騒ですが。」
「・・・なるほど。覚妖怪というわけか。」
「ええ。あなたの考えていることもわかります。私の許可を得たいのでしょう?」
「ああそういうことだ。」
「許可自体は問題ありません。先程も言ったようにターゲットであるその男は我々にとっても目障りなのです。」
「感謝する。」
「いえ。あと入り口までなら案内いたしましょう。行き方もわからないようですしね。」
「・・・話が早くて助かるな。」
「この能力で結構疎まれたり恐れられたりしたものです。あなたは・・・都合がいいと考えられているようですね。」
「説明する必要がないからな。」
「ふふふ。もっとおしゃべりしてみたいところですがあなたは任務にしか興味がないご様子。ついてきてください。入り口までご案内しますわ。」
こちらの考えている事が読まれるというのは確かに不快かつ恐怖かもしれない。しかし敵意がないことが最初からわかっていれば、こちらは話す必要が無い為便利とも取れる。今回の場合は彼女と敵対したいわけではないので後者だ。
彼女は私を地霊殿の中庭へと連れ出した。中庭の中央奥には洞窟があり、その入り口で彼女は立ち止まった。
「さあここです。ココから先が旧灼熱地獄となります。」
「案内感謝する。館の中にあったんだな。」
「ええ。灼熱地獄跡を管理しているのは私のペットである、先程あなたを案内した火焔猫燐。」
「彼女・・・ペット?」
「ふふふ、そういうプレイなわけではありませんわ。彼女は火車と呼ばれる妖怪。感覚的には猫のようなものですから。」
「そうか・・・では行ってくる。」
「はい。ああ、これを持っていってください。中は亡霊と怨霊だらけですから。これがあなたをそれらから守ってくれますわ。」
「ああ・・・感謝する。」
「“幸運を祈っているわ。”ふふふ。」
「・・・。」
お守りを受け取り、どこぞのオペレーターのような送られ方をしたあと、私は洞窟の中へ入った。洞窟内部は旧都へ来るときよりも大分温度が高い。それでもまだ蒸し暑い部類で済んでいるのは先程会った霊烏路空とかいう少女が行っているという火力調節というやつのおかげだろうか。
しばらく進んでいくと、辺りが開けてきた。開けた場所には大きな釜や水攻め用と思われるプール、鋭い刃が地面から生えている小高い丘のような場所など、世界中でよく聞く地獄の風景だ。しかし釜の中は空っぽな上、底に穴が空いてしまっているし、水攻め用プールにも水は入っておらず土埃と小石が散乱している。剣山に至っては7割の剣が刃が折れてしまっているし、原型を保っているものも大部分が錆びてしまっている。長らくこの地獄が使われていないことが見て取れた。
更に奥に進むと広場のような場所に出た。中央がくぼんでおり、円形闘技場のような雰囲気すら有る。実際、客席の残骸のようなものも有るので、もしかしたら罪人と怪物を戦わせる場所だったのかもしれない。その中央に地面に何やら絵を描いている人影を見かけた。私は岩塊に隠れながら静かに忍び寄ってその姿を確認した。
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『アレがトーマス・パルシュよ。地面に何か絵を書いているようだけれど、この幾何学的な模様。おそらく魔法陣だと思われるわ。事を急いだほうが良いかもしれないわね。』
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できることならば遺体を損壊させないようにとのことだったので岩で押しつぶすのは却下。シルバーボーラーで額を撃ち抜くのも、押しつぶすよりは原型を留めるだろうが損壊させていることに変わりはないので最終手段としたいところ。さてどうするか・・・。周囲の状況を確認しつつ考えていると、ターゲットは不意に立ち止まった。
「よし。これで完成だ・・・。フフフ・・・いまにみていろ幻想郷の魑魅魍魎たちよ。」
どうやら魔法陣が完成してしまったようだ。今はまだ何のアクションもないためおそらく魔力的なものを送らねば作動しないのだろう。ターゲットが私居る方とは別の方向へ歩き出した。
「さて、あとは魔力を挿入するだけだが・・・周りは不穏な輩は居ないだろうな?少しでも衝撃を与えてしまっては暴発して爆発してしまうからな・・・。そうしたら最初からやり直しになってしまう。」
####アプローチ発見####
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『ターゲットの作った魔法陣は魔力充填中は非常に不安定になるらしく、少しの衝撃が会っただけで爆発してしまうそうよ。その爆発の威力はよくわからないけれど、こんな場所でそんなコトをするのだから暴発は想定しておくはず。少なくとも死にはしないと思うわ。暗殺には使えないけれど何かに使えるんじゃないかしら。』
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爆発の程度にもよるが人を吹き飛ばすくらいの爆発ならば辺りに岩塊が多く、そうでないところも岩肌がむき出しのこのような地形においては吹き飛ばされただけで何かしらの衝撃を与えることができるだろう。最悪でも気を逸らすことくらいはできるはずだ。
私はターゲットに見つからないように円形闘技場から離れ、周囲を探る。外周の上に丁度転がりやすそうな岩を見つけた。車止めの役割を果たしている小石があるが、それさえどけてしまえば転がり落ちて中央の魔法陣の真ん中に落ちると予想できる。私は見つからないように小石をどかし、手で岩を支えながらターゲットの準備ができるのを待った。
ターゲットは魔法陣より少しだけ離れ、それに手をかざし始めた。何かをつぶやいているが小声な上距離も有るので何を言っているのかはわからない。しかしその手からは明らかに魔力なのだろう青い霧のようなものが出ては魔法陣に吸い込まれていく。次第に魔法陣が光り輝き始め、周囲を青白い光で照らし始める。
私は支えていた手を離した。岩はゆっくりと動き出したかと思えば、坂道に入った途端いきよいよく転がり始めた。ターゲットも転がってきた岩には気がついたようだが、魔力充填中は動けないのか焦った顔をするもその場から逃げなかった。そして・・・。
ゴロゴロゴロ…ゴシャ!
ボォォォォン!
魔法陣のほぼ中央に落下した岩は落下の衝撃で砕け散った。その衝撃は魔法陣を不安定にさせるには十分であったらしく、魔法陣の光は衝撃の瞬間から光がゆらぎ始め、数秒の間の後大爆発した。
爆発による爆風はこちらにも来たが、距離が遠かったのと魔法による爆発なのか熱量のようなものは感じられなかった。しかし爆風の風圧は予想以上に大きく、離れたところにいる私が踏ん張る必要があったほどだった。
土煙が晴れたあと、中央を見ると、魔法陣は光を失っていた。ターゲットが立っていた場所にはターゲットの姿はなく、そのかなり後方の岩塊のそばで横たわっていた。遠目から見た限りでは粉微塵にはなっていないようだ。私はすぐさまターゲットのもとへ向かった。
ターゲットは岩に頭をぶつけて気を失っていた。私は起こさないように静かに近寄ると、そのまま頭を持って首をへし折った。ターゲットは悲鳴一つ挙げることなく息絶えた。
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『ターゲットの死亡を確認。遺体の損壊も最小限。見事な腕前ね。ICAから支給されたバッグは持っているわね?それで地上まで持ち帰って頂戴。』
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私は懐から折りたたみ式の袋を出し、遺体をその中へ詰め込んだ。チャックを閉め、それを肩に担いで私は一路旧都へ戻る道を進んだ。
「あれ?さっきのお兄さん。こんなとこで何してんの?」
「君は確か・・・霊烏路空・・・だったか?」
「うん!」
先程地霊殿の中で案内役にどこぞの大学もびっくりなタックルをしかけていた黒い羽の生えた少女に再会した。こんなところで会うとは思っていなかったので今の状況に対する弁明を用意していなかった。適当にはぐらかしておくとしよう。
「君の主人に頼まれてちょっとな。」
「ふーん。さっきはそのことで館にいたんだね!」
「君の方はどうしてここに?ここが君の職場なのか?」
「ううん。私のはもっと下。こことか新地獄の方で使う煉獄火炎を作ってる最深部が仕事場だよ。」
「それはそれは。いかにも暑そうだ。」
「暑いけれど私八咫烏だからね。暑いのには慣れてるよ。」
ヤタガラス。たしか日本における太陽の神の使いだったか。太陽の炎と比べればマグマなど温泉のようなものなのだろうな。
「ところで何故ここに?」
「んーと、火力調節自体はもう大体終わったから散歩!」
「散歩・・・。」
「あ!そうだ!これあげるよ!」
「・・・?これは?」
「よくわかんない!」
「・・・。」
「さっき火力調節してた炉の近くで拾ったの!なんかきれいでしょ!」
「あ、ああ・・・。」
確かに謎めいた金属光沢を放っており、中心部分がほんのりと青白く光っている。各種鉱石の知識はICA訓練施設で受けたが、基本的な元素や化学生成した金属、放射性元素の鉱石などの中にはこの石の特徴に合致する鉱石はない。完全に新種の鉱物だ。
「あげる!」
「あ、ああ。ありがとう。そういえばおやつはもう済ませたのか?」
「え?ううんまだだよ。さっき食べそこねちゃったから・・・。」
「先程の猫耳娘がお前のためにおやつを持っていくと言っていたが・・・。」
「え!本当!やったあ!じゃあ戻らないと!じゃあね!お兄さん!」
「ああ。」
霊烏路空は洞窟のさらに奥へと走っていった。おやつを持っていく云々の話は彼女に直接話していたと思うのだが・・・。貰ったこの鉱石は手土産として持ち帰ることにしよう。技術部に任せれば何かわかるかもしれない。
私は遺体を担いだ状態でもと来た道を通り、そのまま旧都も抜けて地上へと帰還した。
~~1時間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「こんばんわ。」
『・・・。』
「あら、気がついてないのかしら?こんばんわ~?」
『気がついていますよ。八雲紫殿。もっとマシな方法で出てきてくださいと前から言っているでしょう。私が食事中に空いた皿から出てこないでください。』
「ちょっとした茶目っ気ですわ。」
『はあ・・・。それで、今回の任務は先程完了いたしました。遺体も九尾狐の方にお渡ししたはずですが?』
「ええ。確かに受け取りましたわ。遺体状態も申し分なく。頸椎断裂のみで他に外傷は殆どなかったですわ。」
『ならば。』
「今回来たのはお礼と、一つ苦情をと思いまして。」
『苦情ですか?』
「まずは幻想郷を脅かす呪術師の排除にご協力頂いたことに謝意を表明しますわ。」
『謹んでお受けいたします。』
「それで本題なのですけれど、最近こちらの外の世界だけでなく、そちらの世界からも時折色々送られてきていますの。」
『色々・・・とは?』
「多種多様ですわ。何も知らない一般成人男性であったこともあれば、無人航空機であったり、ガラガラヘビやオオスズメバチだったこともありましたわね。」
『我々ICAは関与していませんわ。そんな作戦何の意味が。』
「あなた方の預かり知るところではない。ということはこちらで対処しても構わないということですわね?」
『ええどうぞ。我々のしたことでないのは明白ですので。』
「では今後そのように。お食事中失礼いたしましたわ。」
『ええ。今度はできればアポイントメントを取っていただけるかしら?』
「善処しますわ。では。」
『ふう。スキマが自由に使えるからと言って、そういろいろなところに出てこられるのも考えものだわね。あの方絶対楽しんでるでしょう。』
ガチャ
「バーンウッドさん?お食事は済みましたか?」
『ああごめんなさい。このあと会議だったかしら?』
「はい。もう皆さんお集まりです。」
『あらもうこんな時間なのね。ごめんなさいすぐに向かうから5分だけ化粧直しさせて頂戴。』
「はい。」
バタバタ…バタン
『・・・・・・情報を戦略ドライブに保存しました。分析を開始します。』
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「地底の用心棒」
【+1000】『星熊勇儀に地霊殿まで案内させる。』
・「見透かされているようで」
【+1000】『古明地さとりに会う。』
・「死後は清らかに」
【+5000】『ターゲットを暗殺する。その際、外見上傷をつけてはいけない。』
・「デーモン・コア」
【+5000】『お空から謎の鉱石を受け取る。』
そろそろメインストーリーが進行していく予定です。
次回はクロス無し回になるかもしれません。