『今回向かってもらうのは幻想郷の妖怪の山。以前一度行ったことが有るわよね?』
『以前、ここに済む天狗、射命丸文の恋人を暗殺したことがあったわよね。そのクライアントであった八雲紫は、その後射命丸から執拗に報復じみたゴシップ記事を書かれて困っていたらしいわ。』
『そんなさなか、天狗社会に巣食っていた共産主義勢力が再び台頭し始めたらしいの。しかもその筆頭は以前あなたに協力してくれた犬走椛という白狼天狗。射命丸文の古い友人でもあるらしいわ。このままでは大天狗に友人が処分されてしまう。そこでなんとか救えないかと色々奔走したようね。そしてついに、射命丸は友人をたぶらかして助言を与えている人物がいることを突き止めたというわけ。』
『今回のターゲットはそのたぶらかしている人物。名前は翁澆寺佐衛門という男の天狗よ。クライアントは八雲紫を通じて射命丸文が依頼してきたわ。どうやら彼女たちの間で何らかの取引があったようね。』
『ターゲットは今天狗の里にはおらず、人里に降りているという情報が入っている。一般人に化けているだろうからまずはそれを探るところからね。』
『準備は一任するわ。』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】
・装備
【ロックピック、シルバーボーラー】
・服装
【町人の服】
『人里へようこそ。47。』
『前回来た時の一連の騒動のおかげで町の主要人物にはあなたの顔は知られてしまっているわ。探すときに素性がバレてしまえば騒ぎになってターゲットが雲隠れする可能性が高い。気をつけて頂戴。』
『支援者として射命丸文もくるそうだけれど、一時は敵対した相手、不意をついて報復される可能性もないとは言えないからそこも注意してね。』
『健闘を祈っているわ。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「へいお待ち。ヨモギ団子ね!」
「ありがとう。」
この店に来るのは2回目だ。前回は窓から見える広場の奥の像の爆弾が爆発するさまを監視していた。何故ここで休憩しているかと言うと、幻想郷に来てからすぐに八雲紫が現れ、「この茶屋で待っていて」と言われたためだ。何でも協力者が来るらしい。その協力者が現れたのは私が団子を食べ終わって一息ついた後だった。
「・・・まあ、あんたよね。予想はできていたけれど。」
「いつもの営業スマイルじゃないな?」
「そりゃあね。わかるでしょ?」
「ああ。」
振り返った先に立っていたのは射命丸文だった。あからさまに警戒している顔をしている。まがりなりにも自分の恋人を殺した相手だ。そう安易に頼れも信用もできはしないだろう。それでもICAに暗殺依頼を出してきたということはそれだけ相手が厄介な相手ということだろう。
「よく我々に依頼を出す気になったな。」
「今回の相手は人里でもちょっとは名のしれた有名人なのよ。そんな相手を妖怪、ましてやそれなりに人里にも出入りしている同族の天狗が殺したとなったら、里の人間にも博麗の巫女にも同族の天狗にすら目の敵にされるわけ。」
「なるほど。第三者に暗殺させる必要がある。だが他の妖怪はことが露見する可能性を考慮すると頼れない。外部の人間に頼るにしても天狗を暗殺できそうな外部の人間が我々をおいて他にいなかった。そういうことか。」
「相変わらずの察しの良さね。あなたじゃなかったら助手にしたいくらい。」
「褒め言葉と受け取っておこう。」
「それで?私に言うことあったりする?」
「私は任務を遂行しただけに過ぎない。相手がお前の恋人であろうがなかろうがそこは問題ではなかった。」
「・・・あの人を殺したのは不可抗力だったって言いたいわけ?」
「恨む相手が違うということだ。ちなみに八雲紫の暗殺にはかなりの法外な金額が要求されると思われる。」
「できるの?」
「おそらくは。」
「・・・。」
一瞬だけ復讐の炎が目の奥に見て取れたが、すぐにその光は消えた。スッと目を閉じると、呆れたように話し始めた。
「この幻想郷で八雲紫を討ち滅ぼそうって言うやつは人間でも妖怪でも誰もいないよ。誰もそんな事できっこないし、やる意味もないからね。」
「・・・。」
「はー・・・。まあ実を言うとあの件はもう手打ちになってるんだよね。今回の依頼を八雲紫持ちで依頼するということで。」
「八雲紫にとっては幻想郷の秩序を守っただけだと思うのだが、それでよく向こうは承諾したな?」
「私も私なりに活動したからね。そしてここで私に追いつけるやつはいない。それは八雲紫でも同じことよ。噂話ってのは恐ろしいわよね?」
「・・・あいつも災難だな。」
「あいつの言い分も理解できないわけじゃない。これでも一応数世紀単位で生きてるからね。だからこの依頼でもって手打ち。私のかけがえのない友人を救うことで全てチャラってわけ。不本意だけどこれ以上要求するといよいよこっちが本当に消されかねないからね。それに椛が危険な状況なのは事実だし。」
「背景はともかく、私は受けた依頼をこなすだけだ。そろそろ本題に入りたいのだが?」
「・・・言っとくけどあなたのこともまだ許したわけじゃないからね。じゃあ本題だけれど・・・。」
渋々といった感じではあるが、射命丸は私の向かいの席に座って概要を説明し始めた。
####情報を入手####
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『射命丸の情報によればターゲットはこの人里の権力者である稗田家の屋敷に転がり込んでいるようね。どうやら天狗社会の情報を提供する代わりに拠点として使わせてもらっているみたい。屋敷自体はそれほど大きなものではないけれど、町一番の権力者の家で事を起こせば、いろいろな方面から追っ手がかかるでしょうね。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「翁澆寺は今屋敷にはいないわ。どうやら秘密の会合場所が人里のどこかにあるみたい。」
「まずはターゲット本人を確認しないことには始まらない。その会合場所に心当たりはないのか?」
「ある。と言いたいところだけれど、会合場所は毎回変わっている上に何か暗号のようなもので場所をやり取りしてるらしくてね。どこにあるかまでは・・・。」
「暗号?」
「ええ。なんていったっけかな・・・外の文献で一度だけ同じものを見たことが有るんだけれど・・・。熊がどうとか・・・。」
「熊・・・。」
「もしかしたら乱数表みたいなのが椛の家にあるかもしれないわね。その暗号に使う機械もそこにあるし。」
「ならば行こう。案内頼めるか?」
「わかったわ。」
私は会計を済ませ、店を出た。余談だが話している最中にちゃっかりみたらし団子を頼んでいたらしく、その団子の分も払わされた。団子一つ程度で情報が得られれば安いものだが。
店の裏路地で射命丸は本来の天狗の姿に戻り、私を抱えると、いつぞやに経験したときと同じように音速に迫る速度で天狗の里へ向かった。射命丸によれば、白狼天狗はリーダー格である犬走椛が共産主義にうつつを抜かしていることにより警備が機能しておらず、妖怪の山は今無防備な状態だそうだ。
直接犬走椛の家に乗り付け、そのまま室内を物色し始める。射命丸曰く「よく秘蔵の酒とか私物の本とか引っ張り出したりしてるから大丈夫」だそうだ。何が大丈夫なのかはわからなかったが。
やがて射命丸は奥から一つの木箱を引っ張り出してきた。見た目は装飾品箱に見えるその木箱を開けると、中にはキーボードとキーになっていない文字盤、そしてダイヤルのようなものも見えた。私はこの箱に見覚えが有り、その使い方も訓練によって把握していた。
「なるほど。こいつか。」
「知っているの?」
「暗号文は有るか?」
「ええ。ここに。」
「では少し待っていろ。」
『47。映像は届いているわ。私達情報部も解読に協力するわね。』
私はこの“エニグマ”と呼ばれる暗号機を調べた。本来は数ヶ月ごとに個別鍵が変更されるものだが、どうやら一つの個別鍵を長らく使いまわしているらしい。一部のキーだけがすり減ったりプラグがゆるくなっていた。それらが母音に起因するキーだとして、そこから推測していく。解析には情報部のAIの演算能力も借りて、なんとか暗号表を解読することができた。
この暗号表によると、今日行われる会合はこの後15時からで、場所は人里の“こうみどう”という店で行われるらしいことがわかった。
「射命丸。“こうみどう”という店を知っているか?」
「ええ。私は入ったことはないけれど、どこに有るかは知ってる。寺子屋のすぐ近くにある茶屋ね。」
「この後15時からそこで会合が開かれるようだ。」
「ちょ!15時ってあと5分もないじゃない!早く行くわよ!」
射命丸は私の腕を掴むとそのまま家を飛び出し、文字通り超音速で人里へと戻った。
寺子屋のすぐ脇に降り立った我々は路地の向こう側に人影を見つけ、咄嗟に近くの建物の影に隠れた。あの白髪と背中に背負った大剣、そして白いフサフサの尾。遠目からでもわかる。犬走椛だ。彼女は千里眼を持っておりかなり遠くまで見渡せるはずだが、何か思いつめたように下を向きながら店に入っていったためこちらには気が付かなかったようだ。
「よし、じゃあ乗り込むわよ!」
「まだ情報収集が不十分だと思うのだが・・・。」
こちらの話も聞かずにそのまま茶屋に向かって歩き始めた射命丸だったが、不意にそれを呼び止める声がした。私は再び素早く身を隠す。
「あら?文じゃない?」
「!」
「れ、霊夢さん!あややや、奇遇ですねえ!」
急に呼び止められ我に返ったのかいつもの営業スマイルも若干引きつっている。それはそうだろう。天狗が関与していることを気が付かれたくないがために我々に依頼してきたというのに、その当の天狗が自ら暗殺現場に乗り込んでいけば否応でも関与を疑われてしまう。いま射命丸にできるのはできる限り早急にこの場を離れることだ。それもごく自然に。
「霊夢さんは何故ここに?」
「あの店の団子が評判だって言うから買い出しのついでに買って帰ろうかなって。そういうあなたはこんなとこで何してるのよ?」
「なるほど。実は私もこの茶屋の評判を聞きまして取材をと思いまして。」
「あー、じゃあやめといたほうが良いわよ。ここの店主取材とか嫌いらしいから。」
「あらー、そうなんですね。では・・・霊夢さん、ちょっと団子だけでも買ってきてくれませんか?」
「なんで私が。」
「取材できなくても味さえわかれば記事はかけますので!もちろんお代は出しますよ!」
「買うだけならあなただけでもできるでしょ?」
「こう見えても私ちょっとした有名人ですよ?私が入った瞬間取材だと思われて門前払いされたら嫌じゃないですか。」
「そういうの自業自得っていうんじゃないのかしら・・・まあ払うもん払ってくれるならいいけど・・・。私をパシらせるんだからちょっと色つけなさいよね。」
「もちろんですとも!」
博麗霊夢は若干苦い顔をしながらも店に入っていった。それを文は店の外で待っている。ここからみる後ろ姿は顔はいつもの営業スマイルでは有るが、冷や汗が目に見えてたれてきており、いつ中の会合参加者にバレるかヒヤヒヤというところだろうか。少しして博麗霊夢が店から出てきた。
「買ってきたわよ。」
「おお!では早速神社で食べましょうか!」
「ええ?食べるだけならそこらへんでも・・・。」
「いやいやいや!お茶があってこその菓子というものです!さあ行きましょう!すぐ行きましょう!」
「ちょっ、ちょっとあy」
理由を尋ねる隙すら与えることなく、博麗霊夢の腕を掴んで空の彼方へ消えていった。焦りすぎて逆に怪しく、はたから見れば人さらい以外の何物でもなかったが。
ともかく辺りが静かになったので、私は改めて店の中を覗いてみることにした。店の中は結構広く、テーブル席もいくつか有る上に、奥には個室の座敷も有るようだ。窓の反対側には厨房が有り、そこから時折店員と思われる女性が出てきて接客を行っている。私は厨房の様子を見るために反対側に回った。
厨房では一人の老人がせわしなく和菓子を仕上げていた。皿の上にはピンク色に着色された餅のようなものが葉っぱでくるまれており、その脇には花の形を模した饅頭のようなものを丁寧に一つ一つ手作りして置いていっているのが見える。奥から声が聞こえてきた。
「奥の翁澆寺さんから注文です。」
「あいよ。えーっと、あの人のいつものいちご大福だったな。にしてもなんであの人しか食わんのだろうか・・・?まあいちご自体そんなに量手に入るわけじゃねえから助かるけどよ。」
####アプローチ発見####
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ターゲットはこの店に来たら決まっていちご大福を食べるみたいね。しかもターゲットしか食べないみたい。これは使えそうよ。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ターゲットしか食べない大福。普通の人間相手ならば毒を盛ればそのまま任務完了になるだろうが、今回のターゲットは天狗。通常の毒や即興で作った毒は効かない可能性が高い。前回使った毒も今回は持参していない。加えて言うならば毒があったとしても、かの天狗が毒殺される瞬間を間近で見た構成員の者たちは報復として共産主義者界樹立計画を早める可能性もある。正直我々には関係のない話では有るが。
何か他の方法を探そうと窓から中を見回していると、奥の棚、作業している机からはちょうど反対側に位置している棚に、殺鼠剤を発見した。しかも小分けにする前の大袋に入っている。アレを使うことにしよう。
私は建物の外周を見渡した。程なくして水道管のようなものを見つけた。後から知ったことであるが、最近妖怪の山の河原に住んでいる技術者集団である“河童”が、外の文献を元に人里のインフラ整備を行っているらしい。ガスはガス田が無いために整備されていないが、近くの川から水道を、地霊殿から電気を引っ張ってきて一部の家屋にはそれらが供給されているらしい。
私は水道管を思いっきり蹴り飛ばした。我々の世界の水道と違い、木材を多量に使用しているせいかあっけなく壊れた。水が勢いよく吹き出し始めたのを確認して、建物の勝手口のそばに隠れた。
ガチャ
「何だこの音・・・うわわ!水が!大変だこりゃ!」
中から店主が出てきて吹き出している水の対処を始める。その隙きに勝手口から調理場に侵入した。
調理場には作りかけの大福の生地が置かれていた。一つ分しか作る気がないのか量はかなり少なかった。私は棚から殺鼠剤の袋を取り出し、中の粉末を大福の生地に大量に混ぜ込んだ。そのままある程度生地を完成させると、一旦窓の外を見る。店主は吹き出している水を必死に抑えているが全く意味をなしていない。そこへ他の人が呼んだのか、河童がやってくると直す準備を始めた。
まだ多少時間が有るようなので私は大福を完成させてしまうことにした。殺鼠剤を少量水に溶かし、それをいちごの中にも注入する。そのいちごを核として大福を形成する。もちろんあんこにも多量に殺鼠剤が混ぜ込まれている。ある程度形になり、外側の片栗粉でそれっぽく見せてやれば完成だ。それをそばに置いてあった提供用の皿に盛り付け、殺鼠剤の袋を元の棚に戻した。
####アプローチ完了####
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『大福が完成したようね。私は食べたいとは思わないけれど、ターゲットにとってはまさに至高の菓子になるわね。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガチャ
「ふー・・・なんとかなったな・・・。」
っと、店主が戻ってきてしまった。外に出る予定であったが仕方ない。私は手近な机に身を隠した。
「・・・あれ?大福ができてる・・・。もう作り終わったんだっけか?」
パタパタパタ
「おやっさん、できましt・・・ってもう完成してるじゃないですか。言ってくださいよ。」
「え?ああ、そうだな。持っていってくれ。」
給仕の娘が殺鼠剤たっぷりの大福を持って廊下へ出ていった。予想が正しければターゲットは激しい嘔き気を催すはずだ。その際に近くに居ておきたい。
私は静かに棚の引き出しを開けた。そこにはフォークや果物ナイフ等、様々な食器が入っていた。私はナイフとフォークを一つずつ取り出し、フォークを出入り口とは違う方の床に向かって放り投げた。
カランカラン・・
「ん?何だ今の音?」
店主が音に気が付き確認しにやってくる。私は見つからないようにその隙をついて出入り口から廊下へ出た。
廊下の奥では給仕の娘が奥の座敷から出てくるところだった。私に気がつくと話しかけてきた。
「あれ?お客さん?どうしました?」
「座敷の客と会うことになっている。すぐに出るから茶などは要らない。」
「そうでしたか。わかりました。」
軽く会釈をして娘は表のテーブル席の方へ行った。私は座敷の中を廊下に面している格子の間から確認する。中の座敷では上座の男が今まさに大福を食べようとしているところだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『アレが翁澆寺佐衛門。再び赤の波動を幻想郷に行き渡らせようと暗躍する街の人気者。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
よほど大福が好きなのかそれとも大食らいなのか。大福をそのまま一個まるごと口に頬張ると2~3回咀嚼した後飲み込んでしまった。
「うーん?」
「いかがなされました?」
「いや、こんな味だっただろうか?なんか苦味があるような・・・。」
「私どもの桜餅はふつうに美味しいですけど・・・?」
「ううむ・・・うぐぐ・・・なんだか気持ちが悪くなってきたぞ・・・。」
「大丈夫ですか?」
「済まない少し席を外す。話はその後でしよう。」
「付添が必要ですか?」
「いや結構。」
ターゲットが嘔き気を催して外に出てくる。私は廊下の隅に隠れ、ターゲットの行き先を見届ける。ターゲットはそのまま店のさらに奥へ進み、その突き当たりの勝手口を開けて外に出てしまった。私は静かにあとを追いかける。天狗ほどの能力者ならば尾行に気がついてもおかしくはないと思うが、彼は今猛烈な嘔き気と戦っているためその余裕がないようだった。
「うぇえ・・・なんだこれは・・・何が入っていたんだあの大福・・・。うっ!」
ウオェェェェェ…
人気のない裏通りの隅で盛大に吐いてしまっている。私はその近くによっていき声をかける。
「大丈夫ですか?背中を擦りましょう。」
「ううう・・・通りすがりの方、かたじけない・・・うう!」
ウェェェェェ…
私は背中を擦るふりをしつつ彼の喉元にナイフを突き立てた。通常の人間ならば喉仏付近を切り裂き動脈を切るだけで失血死するが、今回の相手は見た目は人間でも中身は天狗なのでより確実に行くことにした。ナイフを下から上へ下顎から脳天に向かって突き刺した。そのまま中をかき乱すようにねじり込んだ。喉の声帯も一緒に切り裂いていたためか一切声を上げることなくそのまま少しだけ痙攣した後力なく倒れ込んだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ターゲットの死亡を確認。任務完了ね。そのまま放置していってもいいけれど、できれば隠すことはできるかしら?』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私は周囲を見回した。建物の近くに丁度良く荷車があった。確か大八車と言ったか。その荷台にターゲットの死体を乗せ、近くにあった藁束をその上からかぶせる。首にはナイフが刺さりっぱなしで血の流出もそれほど多くはないので、藁で隠すだけで運ぶことが可能だろう。
私はその大八車を引いてそのままセーフハウスに戻り、大八車ごと本部へ帰還した。
~~同時刻~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「さあさあ!霊夢さん!お茶が入りましたよ!」
「・・・ありがと。」
「さあ早速団子を食べて見ましょう!どんな味なのか楽しみですね!」
「・・・文。」
「あ、霊夢さん。こっちが良かったですか?じゃあ2本ずつ有ることですし、半分ずつ・・・」
「文。」
「・・・なんでしょう。」
「いい加減になさい。さすがの私だって気がつくわよ。」
「何のことでしょうか?」
「あなた自分でわからない?あなた私にお茶を入れてくれることなんて無いでしょうに。」
「えっと・・・それは・・・たまたまそういう気分だったんですよ!」
「それに団子の味が知りたいのに神社に来る意味はないし、そもそもその話の流れだって色々強引だったでしょ。」
「えー・・・と・・・」
「はぁ・・・大方、翁澆寺の連中のことでしょ?」
「!?」
「そして、それを暗殺しようとしていた。」
「!?!?」
「これでも一応博麗の巫女よ?あんたの後ろにあの男が控えてたのくらい気がつくわよ。店の奥に連中がいることもね。」
「れ、霊夢さん・・・?」
「あの翁澆寺って男。最近やたら阿求や慧音に取り入ったり、私にも挨拶に来たりと何かと怪しかったのよね。で、この前独自にちょいと尋m・・・調べたら、簡単に吐い・・・わかったわよ。」
「(あの賢者、しゃべったのか・・・。)」
「その共産主義ってのがどれほど危険かは私にはわからないけれど、友達を救いたいってのはわかったわよ。でも普通そこであの男に頼る?」
「・・・私が直接手を下せばあなたは私を退治するでしょう?」
「そりゃあね。でも直接じゃなければ退治されないってわけでもないのよ?」
「・・・。」
「・・・まあ今回のことは大目に見てあげるわ。」
「え?」
「私もあの男、あんまり気に入らないのよね。なんか胡散臭くて何か企んでそうだったし。」
「で、でも。」
「紫も承知してたんでしょ?そっちで全部片が付きそうだし。私、面倒なのは嫌いだしね。」
「えぇ・・・。」
「だから暗殺の件は不問。だからあなたは友人を救いに行ってやりなさい。」
「・・・!・・・今回ばかりはお礼を申し上げないといけませんね・・・。」
「いいわよそんなの。さっさと行きなさい。あ、団子は4つとも貰うわよ。」
「ふふっ。団子代程度で手打ちになるならよろこんで。では!」
ビュン
「・・・。ま、紫を問い詰めたのは事実だけれど、情報源は他にもあったことは内緒にしておきましょうか。」
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「古来と言うほどでも無い知恵」
【+1000】『暗号文を解読する。』
・「一味違う」
【+3000】『ターゲットの食べる大福に毒、又は殺鼠剤を混ぜる。』
・「古典的だが効く方法」
【+5000】『ターゲットを果物ナイフで暗殺する。』
・「天狗のかけら」
【+1000】『ターゲットの遺体を本部へ持ち帰る。』
なんか2週間かかってる・・・!遅くなって申し訳有りませんでした。
構成は前回投稿直後にできていたんですが細かい部分ができていなかったのと、ゲームの実績を解除するのに夢中になっていた結果こんなに遅くなってしまいました。次回はもうちょっと早くできるようにしたいところですが、おそらく1週間から10日ほどかかると思います。
次回はイギリスへ向かいます。