『今回はシンガポールのフラートンホテルへ向かってもらうわ。シンガポールのほぼ中心にある高級ホテルで、ここに泊まっているココ・ヘクマティアルという人物を狙う殺し屋が今回のターゲットよ。』
『ココ・ヘクマティアルは、世界的な軍需企業であるHCLI社の実質的なトップであるフロイド・ヘクマティアルの娘。幼い頃から武器商人として世界を渡り歩いており、その道すがら優秀な傭兵集団を抱え込んで私兵部隊を構成、常に彼女の周りを防護しているわ。』
『ならその私兵に守らせればいいじゃないかって思うでしょう?ところが今回差し向けられた殺し屋は複数のグループを同時にけしかけて、周りの私兵を剥がしてから襲おうとしてるみたいなの。今回のクライアントでもあるフロイド氏がその情報を掴んだことで、私兵部隊だけでは対処が難しいと判断したみたいね。』
『私兵部隊は2方向から同時に攻め込んでくるであろう殺し屋グループを既に補足しており、その対処に出撃中。今ココ・ヘクマティアルの側にいるのは私兵部隊の隊長であるレーム、そして運転手のウゴ。この二名だけよ。加えて言うなら彼女たちは第三の殺し屋が来ることを把握できていないみたいね。』
『ターゲットの素性は現在情報部が調査中だけれど、人数は2名であることが判明している。個別か共同でかはわからないけれど、そのあたりは臨機応変にお願いね。』
『準備は一任するわ。』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】
・装備
【シルバーボーラー、jaguar7】
・服装
【愛用スーツ】
『シンガポールへようこそ。47。』
『フラートンホテルはダウンタウンの中心地に位置していて、有名なマーライオンの直ぐ側にあるわ。ドーリア式の円柱が特徴的な神殿のような雰囲気の高級ホテルよ。』
『建築自体が文化財になっているみたいで、歴史的価値も高く、目の前の通りの名前にもなってるわ。8階建てで部屋数400室。人気のホテルだから人も多いことに注意して頂戴。』
『ココ・ヘクマティアルは最上階のロイヤルスイートに滞在しているわ。既に北側の博物館と南のオフィス街からは別グループが来ていて、秘密裏に銃撃戦が行われているわ。』
『うまく潜入してココ・ヘクマティアルを守りつつ、ターゲットを排除して頂戴。』
『健闘を祈ってるわ。』
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「いらっしゃいませ。ご予約はされていますでしょうか?」
「フォード・セブルスで予約している。」
「かしこまりました。少々お待ちください。・・・はい。フォード・セブルス様ですね。ようこそフラートンホテルへ。お部屋にご案内します。」
私は今、観光客の一人としてホテル内に侵入した。部屋に案内され、荷物を置き、早速ホテル内を散策という名の調査に出かける。
流石に銃声などは聞こえないが、独特のピリピリした雰囲気が5階のこのフロアにも伝わってくる。おそらく殺し屋は既にホテル内に最低でも一人はいるようだ。私はエレベーターホールの館内図を見る。しかし、この階を含めた通常の部屋のフロアしか書かれていない。スイートルームはセキュリティ上の問題で記載されていないようだ。
私はひとまずエレベーターで最上階へ向かった。最上階に着くと、1フロア貸切になっているのか人の気配がほとんどしない。廊下の右側の部屋からは人の気配がするが、左側やその他の部屋には客は入っていないようだ。ということはおそらくあの一番奥の部屋がココ・ヘクマティアルの宿泊部屋なのだろう。エレベーターの直線状には窓があるがその先には高層ビルが立っており、見晴らしはいいとは言えない。見たところこのフロアには侵入感知用の仕掛けが色々とあるようだ。私はそのままエレベーターで下の階に降りた。
3階へやってきた私は、シーツ交換用のカートを押している一人のコンシェルジュを見つけた。さり気なく後をつけ、従業員用のエレベーターに乗ろうとしたところを後ろから首を絞めて気絶させた。そのままエレベーターに乗り、コンシェルジュの服装を借りると、気絶したコンシェルジュはカートの中に隠した。私は5階に戻り、自分の部屋に戻った。
自分の部屋に置いておいた荷物の中から釣り竿用のケースを取り出す。無論中身は釣り竿の他にjaguar7が入っている。それを持ってきたカートの中に隠し、代わりにコンシェルジュを引きずり出して部屋にあったシーツをロープ代わりにして軽く縛ってクローゼットに押し込んだ。そのまま部屋を出る。ドアノブに“睡眠中につき訪問不可”の札をかけるのも忘れずに。
廊下を回り、情報を集める。エレベーターホールの隅で立ち話をしている男性観光客が居た。近くにカートを止めて作業をしている風を装って聞き耳を立てる。
「だからさ、お前チラッとでいいから見てこいよ。」
「やだよ。あぶねーやつだったらどうすんだよ・・・。」
「俺らはただの一般人の観光客だぜ?俺らを殺しても数千ドルくらいにしかならねえだろ。」
「わかんねじゃねえか。ビルから狙撃しようとしてたら顔なんてわかんねえんじゃねえのか?」
####情報を入手####
「だから、狙撃しようとしてるかなんてわかんねえだろ?ただの覗きかもしれねえ。」
「そんなに言うならお前が見てくればいいじゃねえかよ。」
「いやあ、俺は・・・あっちの窓日差しがきつくてなあ・・・。」
「あっちは西向き、今は昼前、直ぐ側はビルで日差しなんかねえだろうが!」
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『どうやら西の窓の向こう側に怪しい人影が居るみたいね。衛星で確認したところ、確かに隣のビルの屋上に不審な人影が居るわ。高さは丁度このホテルの8階と同じくらいね。』
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私はカートを押しつつ西の窓際に向かった。確かに向かいのビルの中層部分に長ものを持った不審な人影が見える。おそらくターゲットかもしくはココ・ヘクマティアルの私兵のどちらかだろう。私は小型望遠レンズで顔を確認する。あの顔は・・・私兵部隊のリストには載っていなかったな。そんな時丁度良く知らせが入った。
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『47。情報部が殺し屋の情報を入手したわ。スマートフォンに送るから確認して頂戴。』
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スマートフォンには顔写真付きの情報が記載されていた。どうやら男女2人組の殺し屋らしい。そのうちの男の方の顔はたった今さっき見たばかりだ。
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『あの屋上にいるのはターゲットである殺し屋“ファイナルフォックス”のメンバー、コウ・スーチェン。元人民解放軍の狙撃手でライフルの扱いに長けている人物。気をつけてね。』
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ファイナルフォックス。確か報奨金400万ドルが掛けられている有名な殺し屋だ。主にイギリスで活動していると聞いていたが、地球の反対側まで出しゃばってくるとはよほど高額で雇われたのだろうか。私はもうひとりのターゲットの行方を探すことにした。2人が連絡を取り合っていたとしたら殺害するときのタイムラグはできるだけ小さい方が良いだろう。私はひとまずエレベーターに乗った。
~ココside~
「ココ、外にスナイパーが一人。ガッツリこっちを狙ってるぜこりゃ。」
「あの位置だと廊下に出た瞬間に打たれかねないっすね。」
「ぐぬぬぬぬ・・・。」
殺し屋に狙われるのはいつものことだけど今日は多すぎでしょ!なんなの!?殺し屋3グループ総勢30人って!?そのうち13人と16人の2グループはこっちをふたチームに分けて対処してるから直に終わるだろうけど、あのワンマンアーミーまで相手にしなきゃならないなんて!
「どうするね、ココ。この部屋はエレベーターからもっとも遠い。階段からもだ。逃げるには西側のテラスかエレベーターホールを通らにゃならねえ・・・。」
「今考えてるの!ぐぬぬぬ・・・。」
「一応、エレベーターホールには赤外線センサーを設置したので誰かが来ればわかりますけど・・・。」
「来たとしても誘き出してスナイパーの前に引きずり出す役って感じだろうな。じゃなかったらとっくに突入しててもおかしくねえ。」
「ですな・・・むっ!」
「ん、おいでなすったか。」
「そのようです。ココさん、バスルームに隠れていてください。」
「了解。はあ・・・なんでこうなるかなあ・・・。」
私がバスルームに隠れてすぐに扉が乱暴にこじ開けられる音がして、直ぐ様サプレッサー付きの銃撃音がした。おそらくレームの先制攻撃だと思うけど・・・。何も反応がないってことは手応えがなかったわけか。
そのまましばらく沈黙があったあと、バスルームの換気扇から金属音がした。
「!レーム!」
「!チッ!そう来やがったか。」
プシュー
「ぐっ、これは催涙ガス!」
「まずいなコレは・・・。」
「レームさん、ココさん、俺が突破口を開きます。その隙に!」
「わかった。死ぬんじゃねえぞ。フラッシュバンの後3カウントで廊下に出る。ココ、行くぞ。」
「わかってる!ゲホゲホ」
「行くぞ、3!」
「私が左いきます。」
「2!」
「1!」
ボォン!
「!?待った。何だ今の音は。」
「爆発音・・・?」
「誰かが戻ってきてくれた?」
「いや、こんな早く戻ってこれるわけがねえ・・・。だとするとなんだ?」
~47side~
最上階でサプレッサーの銃声が聞こえたので、カートを非常階段側に置いたまま階段を上がり、最上階の非常扉の先の廊下の曲がり角へ向かい、コンシェルジュが身だしなみ確認用に持っていたと思われる鏡を使ってで廊下の先を覗いた。廊下を曲がった先で換気ダクトに何かを投げ入れているターゲットを発見した。ターゲットはフルフェイスのヘルメットをしており、拳銃弾では致命傷が与えられるかわからない。しかしターゲットは手榴弾をベルト付近につけているのが確認できた。
ターゲットがなにかに気が付いたようにこちらを見た。私は既の所で鏡を引っ込めた。かなり感覚が鋭いターゲットだ。私は距離を慎重に計算する。ああも警戒心が強くては身を乗り出して撃ったのでは対応される可能性がある。私は再度鏡で確認したのち、廊下の向こう側からシルバーボーラーを壁に向かって撃った。
パシュン
チュン!
ボォン!ガラガラガラ
壁にあたって跳弾した弾は計算通りターゲットの腰の手榴弾に直撃。弾け飛んだ。腰で手榴弾が炸裂したことでおそらく内蔵は破片でズタズタにされたことだろう。その上爆発の衝撃で天井のパネル材と思われるものがターゲット付近に崩れてきた。この廊下は通れなくなってしまった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『殺し屋“ファイナルフォックス”のレン・シンエンの死亡を確認。素早い仕事ね。後はスナイパーのコウ・スーチェンだけよ。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私はそのまま下の階に戻りカートを押してエレベーターへ向かった。
~ココside~
「ちっ!ガスが室内にまで充満してきやがった。なんだか分からねえがココに居るのはまずい。フラッシュバンと同時に廊下に出るぞ。」
「了解。ココさん、私に隠れて居てください。」
「わかった。」
「じゃあ改めて行くぞ、3」
「2」
「1」
シュカンカラカラ…バシュン!
「GO!」
私達は勢いよく廊下へ出た。同時にレームがスナイパーに向かってM4で制圧射撃を行う。私とウゴはそれを背にエレベーターホールへ向かった。
エレベーターホールは廊下の直線状。そして非常階段が左側に・・・って!廊下ふさがってんじゃないのよ!
「レーム!階段は使えなくなってる!」
「何だとぉ?!ちっ!一旦ホールの横に隠れろ!」
「了解!」
制圧射撃を行いながら移動している。が、そろそろ弾倉内の弾が尽きる。弾が尽きた瞬間、レームもホール脇に隠れた。その時向こうも撃ってきたけど何とか当たらずに済んだ。
「さあて、これからどうするかね・・・。」
「もうフラッシュバンは残っていません。」
「階段は使えず、エレベーターは2機ともスナイパーの射線上。どうしたもんかねえ・・・。」
「ルツ達が帰ってくるまでここで待ちますか?」
「それしかねえが、その間にやつの他の仲間がエレベーターから来たら終わりだな。このホールは隠れるところがねえ。」
「アイツらの仲間か俺達の仲間、どちらが先にくるかってことですか・・・。」
「そういうこったな。」
その時、エレベーターが動き出した。一つ下の階で止まったあと、そのままこの階へ来るようだ。時間的に早すぎる。ルツ達ではない・・・万事休すか・・・。
エレベーターが到着し、扉が開く・・・と同時に扉の中から銃声が轟いた。
バシュン
~47side~
エレベーターに乗った私は行き先を押す前にカートからjaguar7を取り出した。それをカートを土台にして扉が開く瞬間に撃てるようにする。カートの裏側に隠れつつ最上階のスイッチを押した。
エレベーターはゆっくりと動き出し、最上階に止まる。扉が開いた瞬間に予め照準しておいたjaguar7でターゲットを狙撃した。
バシュン
既に割られていた窓を通過してそのまま吸い込まれるように弾丸はターゲットの脳幹部分に直撃した。ターゲットは構えていたライフルを取り落とし、そのままビルの縁に倒れ込んだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『コウ・スーチェンの死亡を確認。素晴らしい腕前ね。任務完了よ。撤退して頂戴。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私はココ・ヘクマティアル達があっけにとられているうちに、すばやく5階のボタンを押して扉を閉めた。向こうからはおそらくエレベーターの扉が開いたと思ったら中から銃弾が飛び出して、そのまま扉が閉まったようにしか見えないはずだ。
私はそのまま自分の部屋に帰ると、クローゼットの中で気絶しているコンシェルジュに服を着せ、自分は愛用のスーツに戻った。コンシェルジュをカートの上に寝かせ、廊下に誰も居ないことを確認して、廊下にカートを放置した。そのままjaguar7のケースだけを持ち、エレベーターで1階へ向かった。
「急げ!お嬢と連絡が取れなくなってからもう30分も経つ!」
「わかってる。今ヨナ達の方とも連絡が取れた。無事に向こうも制圧できたっぽい。」
「そりゃいい、レームのおっさんが簡単にやられるとは思えねえが、手数は多いほうが良い。お!丁度エレベーターが来てる。乗るぞトージョー!」
「あいよ。」
ホテルの玄関を通り過ぎる際に私兵部隊の2人とすれ違った。確かルツとトージョーと言ったか。後始末は彼らに任せればいいだろう。私はそのままホテルの前に停まっていたタクシーで郊外のセーフハウスへ向かった。
~~3時間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「結局何者だったの?その殺し屋は。」
「ファイナルフォックスっていう2人組の殺し屋だよ。主にイングランドで活動してるはずなんだけど東南アジアまで出しゃばってくるとはね。結構厄介でね。基本的に顔を見せるほど近くには来ないで、メインとなるスナイパーのレンジまで誘き出して仕留めるっていうやり方だ。そのスナイパーは元人民解放軍のエリート部隊出身で、腕前だけならルツより上だよ。」
「ふうん。レームとウゴだけでよく対処できたね。」
「あー・・・それがね、ヨナ。」
「俺とウゴはほとんど何もしちゃいねえ。」
「え?じゃあココがやったの?」
「私がやれるわけ無いでしょ・・・。なんかよくわかんないうちに2人共殺されてたんだよねえ。」
「はあ?」
「おっさんがやったんじゃないのか?」
「ルツ。お前アイアンサイトのM4で500m咄嗟に狙撃できるか?」
「あ、無理っすね。」
「エレベーター内から誰かが狙撃した。それが誰なのかを今調べてるとこ。」
「わかるの?」
「監視カメラ映像は入手したからねえ・・・。んん??」
「どうしましたココ。」
「バルメ、この人見覚えある?」
「うーん・・・見覚えないですね。パラミリか何かではないのですか?」
「パラミリがわざわざコンシェルジュの格好するう?」
「変装してるってことは用意周到なやつってことだろ。でもなら何故ココじゃなくて殺し屋の方を狙ったんだ?」
「癪だけどHCLI本部にも問い合わせてみるか。今後敵にならないとも限らないし。」
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「HOTELMAN」
【+1000】『コンシェルジュに変装する。』
・「語学の賜物」
【+3000】『ターゲットの手榴弾を誘爆させる。』
・「上へ参ります」
【+3000】『エレベーター内からターゲットを狙撃する。』
・「すばやく、静かに、徹底的に」
【+3000】『ココ・ヘクマティアルとその私兵に姿を見られない。』
47ならばココの私兵部隊ともまともにやりあえそう。ナイトナインレベルで。
次回は2期に際して新しい仲間をスカウトしにいきます。