HITMAN2『世界線を超えた先に』   作:ふもふも早苗

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『おはよう。47。』

『今回向かってもらうのは米花町にある図書館よ。地上4階建てのそれなりに大きな図書館で、この地域の人達にも頻繁に利用されているから暗殺は難しいものになるでしょうね。』

『ターゲットは玉田和男。この図書館の男性職員よ。ごく普通の一般人で、武術関連も特に習得しているという情報はないわ。暗殺自体は楽にこなせるでしょう。』

『クライアントは館長の津川秀治。どうやら自分の小遣い稼ぎがバレてしまって、それを警察にリークされる前に消してほしいそうよ。』

『今回の任務は暗殺した後の死体の処理方法について指定がなされているわ。現地でその方法は通達されるから遺体を回収できない状況にはしないように注意して頂戴。』

『準備は一任するわ。』

~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】
・装備
【ワイヤーロープ、ロックピック】
・服装
【愛用スーツ】





HITMAN2『探偵の御膳立て』

『米花図書館へようこそ。47。』

 

『蔵書数35万冊の日本のごく一般的な図書館よ。内部構造もそれほど複雑ではなく、一般公開されている部分も多くて周りの目には十分注意が必要ね。』

 

『ターゲットの動向を探っているインフォーマントによると、ターゲットは今夜にでも警察へ証拠品となる写真を持って告発するようね。今日の勤務時間中にターゲットを暗殺できなければ任務は失敗よ。』

 

『幸運を祈っているわ。』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「こんにちは!」

「こんにちは。」

 

 

館内に入るやいなやすれ違った小学生たちから挨拶された。この地域の特徴として犯罪発生率が高い割に治安がそれほど悪くないという点がある。普通毎日のように殺人事件が起きれば、生活への不安や警察機関への不満などが爆発してその他の犯罪の発生率も急激に上がるはずだが、ここではそれが全く見られず、全世界的に見ても特異な場所と言える。

 

今回の任務は公共の図書館にしてはやたら利用者が多いこの図書館内で如何に人目を避けつつ静かに暗殺するかが焦点だ。そのため無駄に後処理が面倒になる銃火器の類は持参していない。事故死か気絶させてからの絞殺が望ましいだろう。それに暗殺後の死体処理方法についての指定があるらしいので、それによっても場所や方法などが変わっていくだろう。

 

 

『館内に入ったわね47。聞こえるかしら?』

「聞こえている。」

『では死体の処理方法なのだけれど、この図書館の内部で事件が露呈しないようにしてほしいらしくてね。暗殺後は比較的長期間放置していても問題ない場所に安置していてほしいそうよ。』

「比較的長期間放置・・・しかし遺体は防腐処理などを行わない限り比較的早期に腐敗してしまうぞ?」

『そこは当てがあるようよ。1週間以内に息のかかった工事業者が工事に訪れるらしく、その業者が廃材と一緒に処理する予定みたいね。』

「なるほど。では長くても1週間か。」

『ええそういうこと。任務を開始しして頂戴。』

 

 

一週間遺体をそのまま放置するとなるとそれなりに安定した場所でなければ行けないだろう。陽の光や風が当たる場所では簡単に腐敗や劣化が進んでしまう。密閉された空間で室温変化がほぼない場所が良いのだが、そんな場所がこの図書館にあるだろうか?

 

私は一旦図書館内を巡回して回ることにした。1階は書庫や事務室、管理室や簡単な警備室があった。蔵書があるのは2階以降ということらしい。

 

事務室の受付窓口から中を覗き込んだ。中はちょうど誰もおらず、机に置いてあるコーヒーカップの中身がなく、奥の給湯室で何か物音がすることを考えると、おそらく一時的な離席だろう。私は周囲を確認し、こちらを見ている人間がいないタイミングを見計らって事務所内に中腰で潜入した。事務所内は腰の高さほどあるカウンターやデスクが密集しており、デスクの上も物で溢れているため中腰ならば気が付かれることはないだろう。

 

そのまま事務所の真ん中にあるホワイトボードに到達し、内容を確認した。

####情報を入手####

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『ターゲットの今日の予定が書かれているわ。今日はこの後11時から3階の児童書コーナーの整理を行った後、12時頃にここに戻ってくるみたいね。彼のデスクがどこにあるかはボード隣の座席表を確認すれば良さそうよ。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ボード横の座席表を確認する。ターゲットの座席はちょうど事務所の中央部の柱の影になる部分で、一般公開領域からもうまい具合に死角になっている。私はそこを目指そうと動き出したが、直後に給湯室から女性職員がひとり戻ってきてしまった。

 

女性職員は隠れている私に気がつくこと無く、そのまま受付カウンターの近くのデスクに座り、コーヒーを片手に何か作業をし始めた。私はその背後を他のデスクに隠れつつ、ターゲットのデスクを目指した。

 

ターゲットの机はよく整頓されており、他のデスクよりも幾分きれいになっている。もしかすると告発後戻ってこないつもりなのかもしれない。だがそんな彼でも腹は減るようで、デスクの下に置かれていたターゲットの鞄の中には小さな弁当箱が入っていた。

####アプローチ発見####

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『ターゲットは妻に弁当を毎日持たされているみたいね。愛する妻の弁当ならば彼は喜んで何の躊躇いもなく口にするでしょう。何か仕込むならここかもしれないわね。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

私はあたりを見回し、何か使えそうなものがないか探した。その時先ほど職員が出てきた給湯室が目に入った。私はカウンターで書類を整理している職員に気が付かれないよう静かに給湯室へ入った。

 

給湯室には簡単なガスコンロと、茶葉やインスタントコーヒーなどが入れられた棚があった。基本的にそこまで物が入っているわけではなく、混ぜて効果の有りそうなものは見当たらない。私は音を立てないようにゆっくりと流し台下の戸棚を開ける。するとそこには流しを洗うためと思われる塩素系洗剤が置かれていた。これは使えそうだ。私は洗剤を持ってまた静かにターゲットのデスクへ戻った。

 

デスク下に置かれている鞄から弁当を取り出し、まず見た目を観察する。基本的な風呂敷包みで、目立った特色等は出していないので包み直したとしても気づかれる心配はないだろう。慎重に包みを開け、蓋を開ける。中にはご飯や煮物系のおかずなど基本的な弁当の品々が並んでいた。私はそのうち煮物に少量洗剤をたらす。泡立たない程度に軽く混ぜ、蓋を締めて再び包み直した。鞄にしまい直し、入ってきた出入口から周囲に気を配りながら一般開放エリアに戻った。

 

 

 

キーコーンカーンコーン

 

しばらくして館内に控えめのチャイムが響き渡った。時計を確認するとどうやら12時の鐘らしい。それから少ししてからエレベーターから数人おりてきた。その中にはブリーフィングで確認した顔も混じっていた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『アレが玉田和男。図書館の秘密を知ってしまったがために消される可愛そうな男。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ターゲットを含めた数人の職員はそのまま事務室に入っていった。遠目から見る限り自分のデスクで昼食をとったり、外へ食べに出かけたりするようだ。ターゲットは自分の机に座り、机の下にあったかばんから弁当を取り出して包みを開けて食べ始めた。

 

しばらくすると明らかに具合の悪そうな顔をし始めたのが遠目からでもわかった。ターゲットは弁当を机の上に広げたままおもむろに席を立ち口を抑えつつ事務所から出てきた。私は不自然にならないように静かに後をつけた。

 

ターゲットはそのまま近くのトイレへ入っていった。私もさり気なくトイレの中へ入っていく。一番奥の個室の中で扉を開けたまま便器の中に嘔吐しているターゲットがいた。トイレの中には既に1人男がいたが、ターゲットが嘔吐し始めるのを見て気分を悪くしたのかそそくさと出ていってしまった。

 

私はターゲットの背後に静かに近づき、嘔吐し終わって一息ついたタイミングを見計らって首にワイヤーロープをかけた。

 

 

「うぐぅ!?」

「・・・。」

「ぐぐぐ・・・貴様・・・まさか館長の・・・。」

「・・・。」

「・・くっそ・・・」

 

 

最後の言葉としてはいささかお粗末だったが、そのままターゲットは背中で動かなくなった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『ターゲットの死亡を確認。まずは始末に成功したわね。でもそこではすぐに発見されてしまうわ。どこか別の場所に移動して頂戴。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

そうだった。今回の任務はこの遺体を安定している場所に安置して置かなければならないのだった。失念していたわけではないが、どうとでもなるだろうという考えがあったのかもしれない。

 

とりあえず一旦トイレの個室の中に放置し、内側から鍵をかけてドアの上の隙間から外へ出た。遺体の隠し場所もさることながらそれを移動させる手段も必要だ。流石に大の大人1人を肩に担いで館内をうろつくわけにはいかない。

 

トイレから出ると、広間向かいの別のトイレから清掃員の男性が出てきた。そばには清掃用具を入れる大きめのカゴ台車があった。あれはつかえそうだ。私は清掃員に駆け寄った。

 

 

「すみません。あのトイレの一番奥の個室がものすごく臭い。手早くでいいから清掃してくれないか。」

「ええ?おっかしいなあ・・・あそこはさっき掃除したばっかりなんだけどな・・・。」

「だが現に臭い。もしかしたら誰かが嘔吐してそのままなのかもしれない。ともかく来てくれ。」

「あいよ。やれやれ・・・。」

 

 

清掃員の男性は若干面倒そうにしながらも台車を動かしてトイレへ向かった。トイレの入口に清掃中の看板を置き、中にはいっていった。私もさり気なくそれに続いていく。

 

 

「うん?何も変なにおいなんかしねえぞ?おいにいty」

ガッ

「うぐっ!?」

 

ドサッ

 

 

トイレに入るやいなや、清掃員の男性の後頭部を台車の中に入っていたモップで殴りつけ気絶させた。気絶した男性をターゲットの死体のある個室に上から放り入れる。足からゆっくりと入れたため流石にどこかにぶつけて死んだりはしないはずだ。私も個室に入り、清掃員の服を借りる。

 

ターゲットの遺体をドアの上から外へ出し、外に止めているカゴ台車を中に入れてその中に遺体を隠した。カゴ台車の中には“故障中”の札があったので、それをロックした個室のドアノブにかけておく。看板を回収し、私は遺体とともに館内に安置できる場所がないか探すことにした。

 

 

 

作戦は成功し、清掃員の格好をしているため、館内をうろついていても誰も気にもとめていない。そのまま2階3階と順に適当に清掃をしながら回ったがどこも人目がありとても遺体を隠せそうな場所はなかった。だが最上階である4階にはちょうど良さそうな場所を見つけることができた。

 

エレベーターのすぐとなりにエレベーターの機械室があった。鍵がかかっているが、ロックピックならばこじ開けられるだろう。幸いにしてこの4階は輸入本や小難しい専門書の類ばかりおいてあるらしく、他の階に比べて人が少なかった。その数少ない人達も皆勉強や読書に夢中で誰も周りを見ていなかった。

 

私はカゴ台車をドアの前につけ、ドアの扉をロックピックで開けた。ドアを静かに開け、カゴ台車ごと機械室へ入った。

 

機械室はエレベーターの制御機械や空調管理などの機械が所狭しと並べられている。発見した当初はこの中に放置すれば良いと考えていたが、壁に貼ってあった点検予定表を見る限り、1週間に3回は何かしら定期点検の予定が入っているようだった。一番近くでは明日の午前中にも水道関連の機械の定期点検があるようだ。流石に出入りのある場所に遺体を置いておくことはできないだろう。

 

 

ゴウン・・・

 

 

どうしたものかと思案していると、隣で滑車が回り始めた。エレベーターが動き出したのだ。エレベーターシャフトの中には機械室の更に上に登る必要があるようで、シャフト内部は全く見えない。ここは使えるな。

 

私はエレベーターが登ってくるのを待った。数分後登ってきたエレベーターの上に登り、カゴ台車から出した遺体をその上に乗せようとした。しかし遺体の死後硬直が始まっており、うまく載せることができないままエレベーターは下に降りていってしまった。放り投げることもできなくはないが、落下の衝撃でエレベーターが揺れることは明白であり、乗っている人間に気が付かれる可能性が高い。エレベーターが来た瞬間に素早くかつ静かに下ろす必要がある。

 

どうしたものかと周囲を見渡すと、部屋の端にロープがまとめられていた。私はロープを使ってエレベーターの上に遺体を下ろすことを考えた。ロープはおろした後すぐに回収できるように簡単に解けるようにするため、固定するのは首だけにした。それをエレベーターが来る前に天井から吊り下げ、見た目的には首吊り自殺のような形になった。

 

 

ゴウン…

 

 

エレベーターが動き出した。どうやら最上階へ向かっているようだ。エレベーターが止まるのと同時におろし終えるくらいを想定して遺体の高さをロープで微調整していく。エレベーターが到着し、遺体のつま先がエレベーターについた。そのまま足、腰、肩、頭と順におろしていこうとしたその時だった。

 

 

ブチッ

ドサッ!

「!」

 

 

後少しでおろし終えるというところでロープが途中から切れてしまった。そのまま遺体はエレベーターの上に落ちた。少しだけ衝撃があっただろうが、エレベーターが止まる瞬間だったため、おそらくバレてはいない・・・と思いたい。

 

なにはともあれエレベーターの上に遺体を下ろすことができた。そこならばエレベーターの点検が来るまで発覚することはないだろう。先程の表によれば、次のエレベーターの点検予定は3週間後。依頼内容の1週間程度は十分隠せるはずだ。ロープの一部が遺体に残ってしまったが、元々絞殺である上にどのみち遺体を回収するのは警察ではなく業者なのだから問題はないだろう。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『遺体をうまく隠せたようね。これで任務は完了よ。脱出して頂戴。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

私は機械室を慎重に出て、また清掃員として1階に戻った。トイレの前に清掃中の看板を立て、個室の中で伸びている清掃員に服を着せたあと、いつものスーツに着替え、内鍵を開けて外に出た。

 

清掃中の札はそのままに、私はそのまま図書館を後にした。

 

 

 

 

 

~~3日後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

『そういえば47。前回の図書館での任務。依頼人は館長だったわけだけれど、その後殺害したことが発覚してしまったそうよ。』

「ほう?」

『何でもあのちっちゃい高校生探偵率いる少年探偵団が事件を解決したんですって。』

「こちらに依頼したことを喋られるとまずいのでは?」

『ええ。だから拘置所内で出された食事の中に青酸カリを混ぜさせてもらったわ。』

「・・・彼も踏んだり蹴ったりだな。」

『隠蔽に失敗することは想定済み。そのために最寄りの米花署にインフォーマントを忍ばせているのだから。ともかくこちらのことはあちらの警察には露呈していないわ。ついでに情報もいくつかもみ消したからね。』

「しかし工藤新一は気がつくのではないか?」

『その可能性はないとは言い切れないのよね。』

「露呈した場合は・・・。」

『ICAの情報は外部に漏らしてはいけない。それはその世界の主要人物でも同じことよ。おそらく一時的に誘拐して記憶処理を施すことになるでしょうね。』

「彼も大変だな。まあどのみち彼は一度誘拐して記憶処理をし直したほうが良いと思うが。」

『以前ICAに関わった時の記憶ならもう処理済みよ。米花署に潜入させているインフォーマントについでにやらせたから。』

「それならばいいが。」

『あら。心配なのかしら?』

「・・・何か嫌な予感はしている。」

『・・・注視はしておくわ。』

 

 

~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・「私の弁当が食べられないの?!」

 【+3000】『ターゲットの弁当に毒物を仕込む。』

 

・「掃除屋」

 【+1000】『清掃員に変装する。』

 

・「持ち込み禁止」

 【+3000】『ターゲットの遺体を500m以上移動させる。』

 

・「重量オーバー」

 【+3000】『エレベーターの上に遺体を乗せる。』




かの有名な話の御膳立てを想定しています。もっとも、実際の話では深夜残業中に殺されてますけど・・・w


次回は未定です。おそらく本編になると思われます。
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