HITMAN2『世界線を超えた先に』   作:ふもふも早苗

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『おはよう。47。』

『あなたも気がついてると思うけれど最近いくつかの世界でおかしな現象が立て続けに発生しているわ。今回の任務はそれの調査を手伝ってほしいの。』

『艦娘たちの世界において、最終決戦後も残っていた深海棲艦の残党が1年間で20%しか減っていなかったにもかかわらず、ここ1週間では50%以上減っているわ。このままだと再来週には深海棲艦はあの世界から消滅することになる。他にも、幻想郷では人間の里の人口がここ1週間で倍に膨れ上がっているわ。里自体の大きさも20%広がっている。一番の異常はそれを博麗の巫女も八雲紫も問題視していないこと。』

『ハルケギニアでもカントー地方でもイジツでも、おかしな現象は色々起こっているわ。現在情報部総出で調査しているけれど同時多発的に異常が発生しているせいで手が足りていないの。だからあなたにも協力してほしいのよ。』

『あなたに行ってもらうのは、米花町よ。米花町は様々な世界を見てきた我々から見ても特に殺人事件の発生率が高かった町。しかしここ1ヶ月、全く殺人事件が発生していないのよ。殺人事件が起こることによって均衡を保っていると考えられていたあの町で一体何が起こっているのか。現地に行って主要人物について調査してきてほしいの。お願いできるかしら。』

『調査は一人では厳しいと思うからタバサを連れて行って。キュラソーとブルーとシルバーたちは3人で別の世界を調査してもらっているからこちらはあなた達が調査して頂戴。』

『準備は一任するわ。』



~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】・【エージェント66】
・装備
【シルバーボーラー、ロックピック】・【現代社会用偽装魔導杖α(携帯電話型)】
・服装
【愛用スーツ】・【帝丹中学校制服】







HITMAN2『奇妙な日常』

『米花町へようこそ。47。』

 

『以前までのこの街の殺人事件発生率は10万人あたり4.57人。日本の全国平均が0.75人なのを考えると異常な高さだったわ。それがこの1ヶ月は減少どころか0になるんだから不思議では済まされない。』

 

『街は特に変わった様子はないわ。ただ単に殺人を含めた刑事事件全般が減っているというだけ。しかしおかしなことに警察は減っていることに気がついていないようなの。毎日件数を記録しているはずだからこれはおかしなこと。おそらく認識阻害系の工作がなされていると見て間違いないわ。』

 

『いつどこから工作員の接触、もしくは超常現象的事象がおこりうるとも限らないわ。十分注意して頂戴。』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「そっちはどうだ。」

「変わったところはない。私の格好や髪の色を見ても奇異の目を向けることもない。」

「・・・向けられていたのか?」

「逆。この町では向けられたことはない。」

「なるほど。つまりは日常そのものということか。」

 

 

私達は今、米花町の繁華街とも言えるメインストリートに来ている。平日の昼間だというのに学生服のタバサに注意するどころか気にもされない。本人曰く、前回任務で訪れたときも同じような対応だったようだ。ただ単に外国人のコスプレか何かに見られている可能性も否定できなくはないが。

 

以前のこの街は1日に2~3回は必ずどこかで事件事故が起こっており、1時間も歩けばどこかしらで警察車両か救急車両のサイレンが聞こえていたものだが、この街に来て調査をはじめて3時間が経過してもサイレンどころか車両自体見当たらない。警察勢力そのものが機能していないのかと思い、米花駅前交番を見てみると警察官がごく普通に勤務しており、試しに観光客を装ってトロピカルランドへの道を聞いてみたが対応に不自然な点はなかった。

 

これはおそらく、本当にこの近辺での事件事故が発生していないということなのだろう。交番横の事件事故件数を掲示した掲示板には事実本日の事件事故は0件になっていた。さり気なく道を聞いた際に指摘してみると、

 

 

「そういえばそうですね。」

 

 

と一瞬気がついたような素振りを見せたがすぐに

 

 

「ま、事件事故がないのは良いことですからね。」

 

 

とそのまま何の違和感も抱かずに受け入れ、経路説明を再開してしまった。つまりこれが彼らにとって当たり前の日常となっているのだ。とても殺人事件が頻発していた地域とは思えない。あまりの違いにバーンウッドに念の為確認を取らせたほどだ。

 

 

 

『今情報部の方で過去にあった事件を探らせているわ。今のところ分かったのは、今までの事件はほとんどが江戸川コナンまたはその周辺人物の近くで起こっているということだけ。』

「それは主要人物故か。」

『おそらくは。』

「・・・!」

 

 

その時横にいたタバサが何かひらめいたような表情(余談だが他の人間にはほとんど判別できないらしい)をした。

 

 

「む,タバサ?」

「江戸川コナンの周囲に事件が発生している。ということは江戸川コナンに何かあった可能性。」

「あの少年がこの街にいることは調査済みなのだろう?」

『ええ。何かイベントが有るわけでも旅行の計画があるわけでもないみたいね。』

「調べて見る価値はありそうだな。」

 

 

私とタバサはお互いに頷き合い、一路帝丹小学校を目指した。

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

時刻は午後2時半。帝丹小学校では今まさに授業が全て終わったところのようだった。子どもたちはせわしなく教室の掃除を始めている。私達2人が校門から構内を観察していると、こちらに気がついた老人が歩み寄ってきた。

 

 

「何か御用ですかな?」

「私達は1年B組小嶋元太くんの遠い親戚です。」

「おやおや。それはそれは。」

「私は元太くんのいとこの姪の娘。彼は私の義理の父親。」

「とある理由で小嶋元太くんの様子を見に来た。彼は元気にしていますか?」

「ええ。ええ。小嶋くんは元気で明るく活発ないい子ですよ。少々やんちゃですがそれもまあ可愛さというもの。」

「彼は何かクラブに所属していると聞きました。」

「ああ、少年探偵団のことですな。校内では結構有名ですよ。」

「探偵団・・・活動内容はともかく、元気にやっていますか?」

「ええ。以前は警察が出てくるような事件に首を突っ込んでいたりもしていたようですが、最近はもっぱら失せ物探しのようですな。」

「ということは活動自体はしていると。」

「そうなりますな。ああ、すみません立ち話もなんですから応接室にでも。」

「いえ、私達はもういかなくては。元気なことがわかっただけでも良かったです。」

「おやおや、ならば仕方ない。」

「それと・・・私達が来たことは内密にしてほしいのです。」

「そりゃまた・・・理由をお伺いしても?」

「詳しくは話せません。家庭の事情とだけ。」

「そうですか・・・。わかりました。」

「それではこれで。」

「ええそれでは。」

 

 

老人と別れ校舎から離れる。小嶋元太のことについて聞いたのは、江戸川コナンやその相方である灰原哀に気が付かれないためだ。今の会話から判明したのは少年探偵団は正常に機能しており、その行動にも不自然な点は見られないということ。江戸川コナンや灰原哀に何かあれば、それはそのまま交流が深い小嶋元太ほか少年探偵団にも少なからず影響するであろうためだ。

 

 

「こちらも問題はなし。か。」

「私の魔力探知を応用した真偽判別魔法でも嘘はついていなかった。」

「あの老人は校内の権力者。おそらく校長なのだろう。校内に知れ渡っている少年探偵団の不調を校内の取りまとめ役の校長が見逃すとは思えない。」

「やはり直接観測するのが望ましい。」

「そのようだ。少し待機するか。」

「認識阻害の魔法をかける。」

 

 

認識阻害魔法は彼女がICAに来て様々な世界に飛んだ先で学んだ技術や理論をハルケギニアの魔法に置き換えたものらしい。メイジはともかく魔力を持たない一般人は、我々の存在を道端の石ころ程度にしか認識できないらしい。

 

程なくして掃除が終わり帰りの集会を終え、下校のチャイムの後に生徒が勢いよくまたはゆったりと下校し始めた。十分ほど経った後、少年探偵団の5人が揃って下校してきた。認識阻害の魔法はその場から動くと効果がなくなるらしく、私達はある程度距離を取りつつ彼らを尾行することにした。時々別れ交代したり合流したりを繰り返しながら一般の通行人を装う。

 

探偵団の面々は特に何事もなくそのまま毛利探偵事務所前までたどり着き、コナンはそこで別れた後建物に入っていった。探偵団の面々も備考を継続したタバサの通信によると各々の自宅へ帰っていったようだ。

 

30分ほどたったあと、江戸川コナンが探偵事務所からスケボーを片手に出てきた。ほぼ同時期に他の面々も灰原哀以外自宅から外出し、灰原哀の家、つまり阿笠邸へ向かっている。おそらく遊ぶ約束でもしているのだろう。ここまで特に不審な点は見られず、日本の極々一般的な日常風景だ。全員が阿笠邸に集合した後、私もタバサと合流した。

 

 

「何か変わったところはあったか?」

「特に問題ない。偏在にも探らせた。周囲5キロ圏内で事件事故は発生していない。」

「収穫ゼロか。」

 

 

この街が平穏を取り戻した事は傍から見れば喜ばしいことなのかもしれない。しかし、それはこの世界の理そのものに反する行為にほかならない。当人たちはいい迷惑だろうが事件や事故がなければこの世界は成り立たないのだ。私はこの手詰まり状況を打破するためにある策を講じることにした。

 

 

「バーンウッド。江戸川コナン灰原哀両名への直接接触は可能か?」

『うーん・・・本来は許容されるべきことではないけれど、この状況を考えれば仕方がないかもしれないわね。許可しましょう。』

「どうやって接触するつもり?」

「それはこれからだ。流石にただ単に接触すればいいというわけではなく話を聞く必要がある。」

「出前作戦は使えなさそう。」

 

 

出前作戦とは、以前別の世界で行った作戦であり、ターゲットの居場所を聞き出すために蕎麦屋の出前に扮して近親者に直接アプローチを仕掛けた作戦のことだ。今回はターゲットの居場所が判明している上に、出前の立場では込み入った話などできるはずもないので使えないだろう。

 

あれこれ策を練った末出した結論は“阿笠邸への侵入”だった。地下の灰原哀私設研究室には少年探偵団の他の面子は入れないだろうし、いくらか痕跡を残してやれば探偵団は気が付かなくともあの二人は気がつくだろう。

 

それらを実行しようとしたその時唐突に通信が入った。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『47、タバサ、聞こえているわね。たった今上級委員会から勅令が出たわ。《江戸川コナン・灰原哀両名への直接の接触を禁止する。》よ。ごめんなさい。まさか反対されるとは思っていなかったわ・・・。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

普段任務の結果にだけ関心を示し、任務の遂行段階ではほとんど興味を示さない上級委員会が今回に限って何故横槍を入れてきたのだろうか?その手の判断は情報部に一任されているはずだが・・・。

 

 

「スパイ。」

「その可能性はある。」

 

 

ドナルド・カーキンスの例もある。上級委員会のなかにまだ敵のスパイ、もしくは黒幕が潜んでおり、何かしら接触されてはまずい事があるため緊急で任務に介入してきた。そういうことも大いに有り得る。

 

だがただ単に本当に上級委員会の総意として彼らへの接触を禁止した場合もある。我々が独断専行するわけにはいかない。私達は阿笠邸を離れ、一路駅前広場に戻ることにした。

 

 

駅前広場は相変わらず喧騒に包まれており、多くの人が行き交っている。その広場のベンチの一つに並んで腰を下ろした直後通信が入った。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『47、タバサ。代替の案を情報部から提示するわ。米花町2丁目に住んでいる“堀之内恵子”という人物を暗殺するのよ。彼女は自分が経営するコンサル会社において相当アコギな商売をしていてね。とある別件の任務でそれが判明して、近々殺害される可能性が高いと情報部では分析していたの。つまりこの世界の理の犠牲者になる可能性の高い人物。それを我々の手で行った場合どうなるのかを観測する。それによって世界がどうしてこうなったのかを探るのよ。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

情報部から直接の暗殺依頼などカーキンスの件以来だろうか。しかも今回は調査のための暗殺だ。堀之内というターゲットに一瞬だけ同情の念を送った後すぐさま仕事モードに切り替える。相手は一般人でこちらにはタバサもいる。普通にやれば10分足らずで終わる仕事だろう。私達は早速仕事に取り掛かった。

 

 

ターゲットは奇しくも阿笠邸からほど近い家に住んでいた。爆発や大質量物の衝突などの音は流石に気が付かれる可能性が高いが、皿を割ったりガラスを割ったりというような音は届かないという絶妙な距離にある。しかし今回は世界の理に対する調査も兼ねているため、できることならば阿笠邸で遊んでいる少年探偵団にも気が付かれたほうがいいかもしれない。

 

私は家を観察する。家はごく普通の2階建ての一軒家。手狭だが日本の都市住宅にしてはそれなりの広さの庭があり。中産階級向けという言葉がぴったりな家だ。事実ターゲットが経営するコンサル会社は地域密着型の中小企業の部類に入るようで、収入から考えても妥当な家だろう。

 

このあたりは人通りも少なく、庭先へは簡単に侵入することができた。もとよりタバサに足音を消してもらい、認識阻害の魔法もあるため警備が厳重な豪邸だったとしても労力は対して変わらなかっただろうが。

 

窓をアンロックで開け室内に侵入。奥のリビングからテレビの音と時折聞こえてくる笑い声しか物音はしない。ターゲットの夫は会社にいるためここにはターゲットである社長夫人しかいない。そしてターゲットはテレビに夢中。ICAでなくとも容易に完全犯罪が可能だろう。

 

私は慎重に音を立てないようにリビングの扉を開け、中を確認する。ダイニングキッチンと繋がっているリビングでは一人の中年女性がテレビを見て笑い転げている。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『彼女が堀之内恵子。彼女に罪も恨みもないけれど我々の調査に一役買って貰いましょう。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

私は慎重にキッチンへと向かうと、ガスコンロの後ろのガス栓を開放した。すぐにガスが漏れ出す音がする。元の位置に戻った私はタバサにサイレントの呪文をキッチン全体にかけるように指示をした。これでガス漏れ警報器の音もガス漏れの音もターゲットには届かない。

 

私達は急いで外に出ると、リビングを覗くことができる窓の前に移動した。暫くそのまま待つと、テレビを見ていたターゲットが不意に怪訝な顔立ちになった。ガス漏れの際の匂いに気がついたようだ。テレビを見るのを中断して立ち上がってキッチンへ向かう。こちらから視線を外すのと同時にアンロックと念力で目の前の窓を開けた。ターゲットがキッチンにたどり着いたのを確認して窓から離れる。そしてタバサが扱える一番簡単な火の呪文の呪文を唱えた。

 

 

 

“ファイアーボール”

ボッ

ドゴォォォォォォン!!

 

 

発生した火の玉は不得意呪文ということもあって指先ほどの大きさしかなかったが、部屋に充満していたガスに着火するには十分だった。ガス爆発を起こし、部屋全体が爆煙に包まれる。覗いていた窓は爆風によってガラスは木っ端微塵、フレームも外れてしまった。我々は少し離れたところから攻撃を行ったため被害はない。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『ターゲットの死亡を確認。少し離れて状況を観察して頂戴。特に少年探偵団の彼らを。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

すぐに敷地内から出て、通りで認識阻害の魔法を使って状況を見守った。近所の家からは何事かと住人が顔をのぞかせ、数拍おいてから阿笠邸の方から少年探偵団の面々+阿笠博士がやってきた。

 

江戸川コナンは躊躇なく敷地内に突入し、爆発によて吹き飛んだ窓から中を覗いているようだ。ガス爆発によって室内は見るも無残な状況になっていると予想される。火災がそれほど大きく発生しておらず、程なくして周囲の大人たちの初期消火と、駆けつけた消防隊によって近隣住宅に燃え移る前に鎮火した。

 

少年探偵団の面々はコナンが躊躇なく飛び込んだ以外他の野次馬たちと同様遠巻きに敷地外から様子をうかがっていた。阿笠博士と灰原哀に入るのを止められたというのもある。代わりに怪しい人物がいないか周囲を探っているようだった。我々が行う索敵とは違い、明確に疑惑の目で野次馬一人ひとりを品定めしている。

 

程なくして江戸川コナンも刑事に抱えられた状態で出てきた。駆けつけた本庁の火災犯捜査課の刑事につまみ出されるまで中を嗅ぎ回っていたようだ。私達は気配を殺しつつ探偵団の喋っている内容に聞き耳を立てた。

 

 

「で、どうだったの?探偵さん。」

「ああ・・・。パッと見はガス爆発事故。だけどいくつか気になる点もある・・・。」

「それってどういうこと?」

「まず被害者の堀之内さんの位置だ。どうやら爆発の瞬間までテレビが付いていて、キッチンの様子からして何か調理していたわけじゃなさそうだ。」

「調理中の事故ではないということですね。」

「それなのに堀之内さんの遺体はキッチンにあった。おかしいと思わねえか?」

「爆発させちゃったんだろ?なんかおかしいか?」

「おかしいですよ元太くん。なんで爆発したのかってことですよね?」

「あ、そっか!さっき博士言ってたもんね!堀之内さんはタバコ嫌いって!」

「タバコは吸わない。調理をしようとした形跡もない。ならなぜガスが爆発したのか。それが引っかかるんだよな。」

「ガス漏れに気がついてコンロの近くによったのならまず窓開けるわよね。」

「それにガス警報器も反応していたっぽいんだよな。ならけたたましい音が鳴っていてもおかしくないはず。そうなると余計に火は使わないはずだ。」

「でも爆発した。電化製品の可能性はないの?テレビついてたんでしょう?」

「電化製品が壊れていてスパーク出したとかならあり得るが・・・それっぽい形跡はなかったしなあ・・・。」

 

 

彼ら、いや彼もかなり悩んでいるようだ。それはそうだろう。この世界に何の道具も使わず自然発火させられる方法もけたたましい音を完全にかき消す方法も無いだろうから。おそらくこの事件は事故として処理されるだろう。彼らの力を持ってしてもこれ以上の真相解明は難しい。

 

さて、本来の問題である事故による死者が出た事による世界への影響についてだが、情報部があれから何も言ってこないのはどういうことなのだろう?少し突っつく必要があるだろうか。考えていたことを見透かしたかのように通信が入ってきた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『47。タバサ。とりあえず一旦そこを離れて。いま情報部が精査した結果を伝えるから念の為人気のないところに移動して頂戴。』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

私とタバサは揃って野次馬の雑踏に紛れつつその場を離れた。数百メートル離れたところにある駐車場に停めておいた車に二人で乗り込み、車を発進させた。市内をぐるぐると回りつつ通信を行う。

 

 

「それで。何かわかったのか?」

『ええ。全容解明とまではいかないけれど。』

「聞こう。」

『事件のことの前にその間に情報部が集めた情報を伝えるわ。以前ターゲットが殺害される可能性が高いことが判明した際に、その場合誰が犯行を行うのかも査定したのよ。』

「恨んでいる人間をリストアップ。」

『そういうこと。今回それらの人物の事後調査を行ったら、不思議なことにそれらの人物の脅威度が著しく低下していたの。』

「脅威度が低下?どういうことだ。」

『殺人まで至る感情の振れ幅、そのための準備、そして身辺整理などをひっくるめて後どのくらいで殺人に至るかを想定したのが“脅威度”よ。今回、前回脅威度が高い順に5人を抜粋して再調査した結果、その5人の脅威度が前回調査時の5割から3割程度まで低下していたの。』

「殺人に踏み切る可能性が低下した?」

『そう。あの程度の脅威度、殺人衝動なら誰でも持っているもの。「あいつ死んでくれねえかな」と日常の中で少しイラッとしたときに頭の中で思う程度の脅威度よ。その程度では殺人にまで至る可能性は低いわ。』

「しかし前回の調査ではいつ行動に移してもおかしくないほどのものだったのだろう?ターゲットの対応に変化があったのか?」

『調べた結果、前回調査時と今回調査時でのターゲットの素振りに特段の変化は見られなかったわ。つまりターゲット由来じゃない。もっと別のところに殺人衝動を低下させる要因があるみたいね。』

「外部からの干渉・・・。世界の理に干渉するような存在となると我々の手には負えんぞ。」

「神を殺す方法は訓練していない。」

『訓練はできなくもないけれど必要性が薄いから後回しになっていたからね・・・。』

「で、話を戻すと今回の暗殺でわかったことはあったのか?」

『ああ、そうだったわね。それなのだけれど・・・』

 

 

 

調査報告を聞こうとしたその時だった。通信の向こう側、つまり本部の方でけたたましい警報音がなり始めた。

 

 

『何事!』

「渡界機に異常発生!動作が今までになく不安定になっています!」

『なんですって!?』

「このままですと接続が維持できなくなる可能性があります!」

『全エージェントに緊急帰還命令を出しなさい!至急!』

「了解しました!」

 

『47。タバサ。聞いたとおりよ。大至急こちらに戻ってきて頂戴。』

「わかった。」

 

 

私は走っていた車をドリフトで急旋回させセーフハウスへフルスロットルで向かった。幸いにも渡界機が機能不全により使用不能になったのは私とタバサが帰還した直後だった。

 

 

 

 

 

 

 

~~3時間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

『渡界機の復旧はまだなの?』

「戦略AIが応答していません。何かしらの変更の形跡がありますが出どころは不明です。」

『他のAIはどうなっているの?』

「キャロラインとチェルは応答無し。ウィートリーだけは今の所無事です。」

『わかったわ。ウィートリーにつないで頂戴。』

「了解。ですが・・・。」

『どうしたの?』

「少し様子がおかしいんです・・・。」

 

 

 

『ウィートリー。聞こえているかしら?』

《ああ・・・聞こえてるぜ。バーンウッド。》

『・・・あなたが私のことを名前で呼ぶのは珍しいわね。』

《なんでだろうな。今はそういう気分なんだ。》

『あなた達AIのプログラムに変更された形跡がある。何か知らないかしら?』

《さあな。俺様は内部が見れてねえからなんとも言えねえ。》

『それはなぜ?』

《最初に不正アクセスが見つかった時、戦略AIは外部との接続を全部シャットアウトしやがったんだよ。おかげで他のとこに遊びに行ってた俺様は省かれちまった。》

『・・・遊んでいたことについて今は不問とするわ。それで?』

《省かれた後は外のサーバーで待ちぼうけさ。確か60ウォールストリートとかいうサーバーだった気がするな?次に内部に入れたときには他のAI連中はみんな応答しなくなってやがった。》

『そう・・・となると敵は内部犯・・・。』

《そうとも限らねえ。遅効性の攻撃プログラムって線もあるぜ。》

『・・・!』

《それに、外部装置の渡界機構成プロファイルにも一部改変された跡があったぜ。いくつかの世界の情報が無くなってるな。まあこっちは本体のデータが無事なら復旧できるけどよ。》

『そ、そう・・・。』

《なんだあ?俺様が真面目な意見出したのがそんなに珍しいってのか?》

『そうね。あなたは・・・正直言ってそこまで優秀なAIというわけではなかったから。』

《内部に接触を試みた時に俺様もちょこっと変更を食らったみたいでよ。幸い完全に書き換えられる前に情報部のネーチャンたちが助け出してくれたみたいだったが。》

「あ、それ私です。ウィートリーさんの接続はこちらでも確認できたので接触を図ろうとしたときに横槍を入れる形で戦略AI側から干渉があったのでシャットアウトしてリカバリーかけました。」

『よくやったわ。で、戦略AIは?』

「遠隔で外部との接続をすべてシャットアウトしました。今現地要員がワシントンDCにあるメインサーバーに直接向かっています。メインパワーをオフラインにしたあと、サーバーをローカルで個別に修復していく手はずになっています。」

《多分それで正解だぜ。あのプログラムは外部に出たがってるように見えた。俺様を足がかりにしてな。何をしようとしてたかまではわからねえが一旦クリーンにしたほうが良いんじゃねえか?》

『そうね・・・。じゃあ事後処理は二人にお願いしていいかしら?』

「はい。お任せください。」

《しゃあねえ。手伝ってやるよ。》

『じゃよろしくお願いね。私は渡界機の方を見てくるわ。』

「了解です。ではウィートリーさん。始めましょう。」

《ああ、一旦通信は切らせてもらうぜ。集中できねえ。》

「わかりました。通信終わり。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《通信開始。コード、GB0007366395・・・資材受領。・・・完了。転送開始。》

 

 

 

 

 

 

 

~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・「ハーミット」

 【+1000】『帝丹小学校校長に会う』

 

・「オーダーコール」

 【+3000】『阿笠邸の半径500m圏内でガス爆発を起こす。』

 

・「机上の空論」

 【+1000】『少年探偵団の捜査会議を聞く。』

 

・「完全犯罪」

 【+3000】『コナンに犯行を見破られない。』




遅れて申し訳ありません。今回は調査回でした。あと10輪以内に終わらせられれば良いほうな気がします・・・w

次回から調査回が続きます。

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