HITMAN2『世界線を超えた先に』   作:ふもふも早苗

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HITMAN2『終幕の世界 Ⅲ』

 

 

 

 

どうする・・・。打つ手は・・・正直無い。

 

中央のコンピュータは戦略AI本体でもカテゴリ・スパディルの制御装置でもないので壊しても意味がない。本体はここより下の地下にあるようだが、そこまでたどり着くすべがない。タバサの魔法ならばあるいはこの合金製の床を破壊することができるかもしれないが、破壊してたどり着く間にスパディルが発射されてしまう。とても間に合わない。

 

悠長に考えている時間もない。部屋には神経毒ガスが注入され始めている。部屋自体がそれなりの大きさなので、私達の場所まで来るのに10分はかかるだろうとはタバサの予測だ。実際はもっと早く来るがタバサの風魔法で無理矢理そらしているらしい。が、それもいずれ限界が来るだろう。

 

扉は固く閉ざされており、開けるにはそれなりの時間がかかる。持ってきた電子励起爆薬ならば瞬時に開けられるかもしれないが、その時はおそらく我々も一緒に吹き飛ぶだろう。私が連れてきたウィンディの火炎放射で開けるという手もあるが、ただでさえ密閉空間であるこの部屋の中で扉を融解させるほどの高熱を出せば、扉が溶ける前に我々が暑さに耐えきれなくなって意識を手放すことになる。

 

改めて言おう。打つ手は無い。ここまでなのか・・・。せめてボールに入っているウィンディだけでも逃したいところだが、そんなスペースもなさそうだな・・・。諦めかけたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『戦術AIです。ガス注入機構に異常発生。注入を緊急停止します。』

「え?」

《状況報告。》

『ガス注入圧力制御ユニットの出力低下中。原因不明。』

「何が起こっているの?」

「わからん。」

『基地動力炉に異常。出力低下中。現在出力55%まで低下。』

《原因究明開始。ドローン全機出動。》

『作業用ドローン全機稼働停止。原因電力不足。』

《・・・。》

 

 

どういうわけか施設動力炉の出力が落ちていっているようだ。

 

 

「ブルー、シルバー聞こえるか。」

「聞こえるけどちょっとまって!こっちいまロボット軍と戦闘中!ぷりり!来るわ!躱して!」

「オーダイル!ハイドロカノン!マニューラ!れいとうパンチ!」

 

 

外は外で戦闘を繰り広げているようだ。ということは彼らではない・・・ならば。

 

 

「本部、聞こえるか。そちらが何かやったのか?」

『こっちは迎撃システムの復旧で手一杯よ。そんな余裕はないわ。』

 

 

本部でもない。なら・・・何が起こっている?兎に角この期を逃す手はない。

 

 

「タバサ、扉を破れるか?」

「少し時間がかかる。」

「私も手伝う。できる限り早急に頼む。」

「私も手伝うわ。」

 

 

扉は固く閉まってはいたものの、隙間なくぴったりというわけでは無い。指はおろかバールの先すら入らないようなごくごく僅かな隙間ではあったが、タバサはそこに魔法で空気を入り込ませ、一気に膨張させることで僅かながらに隙間を作っていく。そこへ更に氷を滑り込ませ、更に私とキュラソーが両側をこじ開けようと試みる。

 

人一人がなんとか通れるくらいの隙間を開けると、タバサは天井付近の境目を大規模に凍らせた。氷によって扉は完全に固着している。私達3人はその隙間をくぐり抜け、スロープ部分に戻ることができた。

 

 

『捕縛対象者の脱走を確認。』

《正面スロープ侵入防止機構作動。》

『侵入防止機構作動。』

 

 

AIが我々に気が付きスロープに施されている罠を作動させたらしい。壁内部で音がしたかと思えば、次の瞬間壁の至るところから長さ50センチくらいの棒が出てきた。棒は明らかに何かを放射する為のものだ。この状況で侵入を防止するために放射するもの・・・まさか!

 

 

「まずい!タバサ!我々を急いで氷で分厚く囲え!」

「!?」

「ど、どうしたのよ?!」

「いいから急げ!」

「わ、わかった。」

 

 

タバサは全力で魔法を展開した。通路はそれなりに広かったため、我々を囲ってもなお厚さ1mはあろうかという氷のドームが完成した。直後、周りの壁から迫り出した棒が光り輝き始めた。輝き始めた直後から氷の外側がまたたく間に溶け始める。

 

 

「何が・・・?」

「マイクロ波だ。」

「マイクロ波ですって!?」

「この通路全体が電子レンジの様になっている。氷が今は吸収してくれているが、この氷がなくなれば我々が丸焼きになる番だ。」

「マイクロ波を防ぐ魔法はない。」

「備えも無いわよ?どうするの?」

「・・・ダメだ。マイクロ波の影響で外との通信もできない。タバサ、できる限り氷を分厚く絶やすな。」

「わかった。でも無限には無理。」

「わかっている。だが予想が正しければおそらくそろそろ・・・。」

「そろそろ?」

 

 

そう、先程のAIのアナウンスを聞く限り、予想が正しければもう少し耐えれば勝機が見えてくるはずだ。

 

 

 

 

 

 

『マイクロ波放射装置、出力低下中。』

《原因究明》

『基地動力炉出力25%まで低下。マイクロ波放射中止。非常電源作動。』

 

 

周りの棒の輝きが収まった。どうやら予想は正しく、出力不足で動作を止めたようだ。何が原因で動力炉の出力が落ちてるかは知らないが、うまくすればスパディルの発射も食い止められるかもしれない。

 

 

「よし、タバサ。氷を解除しろ。脱出するぞ。」

「わかった。フゥ……」

「ん?」

「はっ!」

ドガッ!パリィン!

「えぇ・・・。」

「この手に限る。」

「・・・まあいい。脱出するぞ。」

 

 

魔法で氷を消すのかと思いきや、盛大に真正面の氷を蹴っ飛ばして叩き割った。マイクロ波で相当量溶けていたので魔法を唱えるよりも蹴り割るほうが速いのはわかるのだが・・・。

 

 

《作業計画前倒しを承認。最終フェイズへ移行。》

『最終フェイズへ移行。』

 

「何かしら?最終フェイズって。」

「わからん。」

「外への扉。ロックはされてない。」

「よし。」

 

 

私達はスロープを登りきり、修復途中と思われる施設の正面扉を押し開けて外へ出た。が、次の瞬間

 

 

 

ボォォォン!

「きゃあ!」

「エンデットウィッチ!」

「くっ・・・一旦中へもどれ!」

 

 

 

そこには制御を取り戻したエンデットウィッチが待ち構えていた。おそらく出てくるところを砲撃で吹き飛ばそうという算段だろう。

 

 

 

《最終フェイズ、ミサイルサイロ直上に転移門を展開。》

『転移門展開。』

《カテゴリ・スパディル。発射体制。転移門目標座標、38.53.02.6、77.01.15.1。ICA本部直上。》

『設定完了。発射まで90。』

 

 

 

「まずいわよ。スパディルを発射する気みたい。」

「本部、聞いたとおりだ。スパディルが発射される。そちらの迎撃システムの復旧はまだか!」

『まだシステムは復旧の目処が立っていないわ!これは非常にまずい・・・!』

「クソっ!」

 

 

発射サイロをどうこうしようにもサイロ自体が離れている上、我々の進路はエンデットウィッチが塞いでいる。もう一度制御を奪取できればあるいは・・・。そう考え、ブルーたちに連絡を取ろうとしたときだった。

 

 

「・・・?47。エンデットウィッチの様子がおかしいわ。」

「何?」

 

 

確かにエンデットウィッチは姿勢制御を行おうと舵を小刻みに動かしているが、明らかに側面のプロペラは止まっている。もしかすると・・・。

 

 

そのままエンデットウィッチは制御が効かなくなったのか、降下しつつ高層ビル街の方へ流れて行き、ついには・・・

 

 

 

ドゴォォォォン!

 

 

 

高層ビルの一つに衝突。途中から折れたビルの下敷きになる格好でエンデットウィッチは押しつぶされ、爆散した。我々の進路を妨害するものがいなくなったのは良いが、これではスパディルを止める手立ても一緒に失ってしまった。

 

 

『発射準備完了。』

 

「何!」

「まずいわよ!間に合わないわ!」

 

《カウントダウン開始。》

『発射まで5秒前。』

 

「タバサ!氷の魔法を!」

「無理。距離が遠すぎる。」

 

『4,3,2,』

 

「ああ・・・終わりね・・・。」

 

『1,発射!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あら?発射音がしないわ?」

「サイロから直接?」

「加速が必要なはずだ。直接ではこちらにも被害が来る。」

「じゃあなんで音もしなければ衝撃すらないのかしら?」

 

《状況報告。》

『ミサイルは正常に発射されました。』

《ミサイル現在位置を検索。》

『ミサイル現在位置、サイロ直上2m。』

《・・・。》

 

 

サイロ直上2mでミサイルが止まっている・・・?どういうことだ・・・。兎に角行動が止まっている今がチャンスだ。

 

 

「タバサ、キュラソー。離れるぞ。」

「「了解。」」

 

 

私はポケットからボールを取り出し、ウィンディを出すと背中に飛び乗る。タバサとキュラソーも飛び乗ったのを確認すると、ウィンディは全速力で駆け出し、ものの10秒足らずでクレーターの外周部に到達した。

 

 

 

 

私は間髪入れずに爆薬の起爆スイッチを押した。

 

 

ドゴォォォォォン!!ドガァッァァン!

 

 

建物の地下で盛大に爆発した電子励起爆薬は、そのあまりの威力で基地の建屋ごと空中に吹き飛ばした。数秒後、煙の中に建屋が落下すると、地面のクレーターに亀裂が走った。

 

 

ゴゴゴゴゴ

ガラガラガラガラ!!

 

 

亀裂は大きくなっていき、そしてついに基地周辺がまるごと亀裂の中に飲み込まれていった。どうやらこの階層の基盤そのものに大穴が空いたらしく、下の階層に基地の地下構造物ごと轟音とともに落下していった。地下にAIの本体があったのだろうということ、爆発直後からAIのアナウンスがまるで聞こえないことを踏まえるとおそらくAIシステム本体もまるごと爆散した後落下していったと推測される。つまり・・・。

 

 

「終わった・・・のかしら?」

「のようだな。」

「亡霊の最後。」

「やたら派手な断末魔だったわね。」

 

 

そう。これで終わったのだ。実験体の暴走から始まったICAの亡霊との戦いは意外にもあっけない形でその幕切れを迎えることになった。

 

 

「そういえば本部は?スパディルはどうなったのよ?」

『安心して頂戴。私達は無事よ。』

「バーンウッド。状況は?」

『迎撃システムはついさっき復旧したわ。でも転移門の存在自体は確認できたのだけれど、そこから何も出てこなかったわ。』

「ミサイルは発射されたはず。」

『こちらの観測機器が迎撃システムの妨害の余波で軒並み使用できなくなっているわ。詳細は不明よ。』

「・・・なら確認するべきだろう。」

「え?」

「ミサイルサイロは50kmほど離れているはず。」

「こいつが居ればそこまで苦ではない。道も大部分は舗装されている。」

「そりゃそうでしょうけど・・・。ちょっとは休まない?」

『残念ながら余波は渡界機にも及んでいてね。こちらの復旧は、後数時間はかかってしまうと思うわ。』

「時間はあるようだ。」

「・・・そうね・・・。」

 

 

キュラソーはやれやれといった表情で諦めたようだ。そこへブルーとシルバーが合流してきた。

 

 

「おーい!無事ー!?」

「47!」

「こっちは無事だ。」

「かなりギリギリだったけれど。」

「危機一髪。」

「こっちもそれなりに大変だったわよ。なにせあの転がってくるロボット、なんかシールドみたいなの張ってたし。」

「こちらの遠隔攻撃が無効化されたのはキツかったね。」

「まあ物理に弱かったみたいだからニドちゃんのメガトンパンチで粉々にしてやったけどね!」

 

 

あちらもあちらで中々壮絶な戦いを繰り広げていたようだ。現にブルー達の服はところどころ破れている上に、体の何箇所かにレーザー系の兵器がかすったような裂傷が見られる。それに気が付いたタバサがすかさず回復魔法をかけていく。

 

 

「それで、ミサイルサイロだっけ?」

「ああ。これから行こうと思う。」

「じゃ私達は最初の公園で待ってるわ。もうクタクタだから。」

「僕は姉さんについていくよ。ポケモンたちも休ませないと。」

「そうするといい。キュラソーとタバサも休憩してきてもいいぞ?」

「そう?じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら。流石に今回は疲れたわ。」

「休息も大事。」

 

 

私はブルー達と分かれ、ウィンディの背中に乗って高速道路のような道を駆け出した。場所は事前に本部の観測でそれらしきところを把握していたため、詳細は後まわしにひとまずミサイルサイロへ向かった。

 

 

 

 

 

「このあたりのはずだが・・・。」

『47.観測機器が復旧したわ。ミサイルサイロはその道をもう少し行ったところにあるみたい。』

「やっと復旧したか。」

 

私は小一時間ウィンディと休憩をはさみつつひた走っていた。高速道路のような道を走っていくと、この世界が本当に一面の廃墟なのだと実感できる景色ばかりだ。どこまで行っても続く都市郡を見ながら進んでいくと、ビルの合間に佇む白い場所が現れた。

 

 

『そこがミサイルサイロよ・・・え?』

「どうした?」

『47!気をつけて!生命反応があるわ!』

「何?」

 

 

私はウィンディをボールにしまうとミサイルサイロの上部へ登った。上部は開いたままのハッチが4箇所あり、そのうちの一つから白い物体がうねうね動きつつ出ていた。その物体の先端には三角錐の金属が見える。あれは・・・もしかしてミサイルか?

 

そのうちミサイルと思われる部分は白い物体に飲み込まれた。そうか、ミサイルが発射されなかったのはこの謎の白い物体に飲み込まれていたせいだ。私はシルバーボーラーを構えつつ、もう少し近寄ってみることにした。

 

すると、白い物体は先端をぐにゃりと曲げ、こちらに向けてきた。その先端部には先程は見えなかった目と口のようなものがみえる。こちらが何者か品定めをしているような目だ。・・・どことなくこの廃墟の都市の至るところにあった謎の石像に似ているきがする。

 

 

『あなたたちがこの高エネルギー体を作ったのか?』

「!?」

 

 

突如として通信機から今まで聞いたことのない声が響いてきた。もしやこの生命体が通信機に干渉しているのか?

 

 

「正確には我々ではないが、我々の技術ではある。」

『これらの物体は我々の観点から見てもかなり高度な技術を用いて作られていると推測する。あなた達は何者なのか?』

「それはこちらのセリフでもあるのだがな。我々は別の世界からこの世界にやってきた。」

『この世界から生命体がいなくなってから早数年。我々も眠りにつこうかという時にこのエネルギー体を作る者たちはやってきた。我々の使命は高エネルギー体を体内に取り込み分解し無力化すること。我々は眠るわけには行かなくなった。』

「睡眠の邪魔をしたというわけか。申し訳ないことをしたな。作ったのは我々ではないが。」

『この高エネルギー体を制作した者たちの信号は我々も把握していた。』

「信号?」

『制作した者たちは、我々よりも意思疎通能力に劣る者たちだったため、我々は彼らと対話することができなかった。』

「一応最高性能のAIなのだが・・・。」

 

 

元はと言えば我々ICAが開発した最高性能の量子AIなのだが、それを“劣る者”と形容するということは見た目に反してこの白い生命体はかなりの知能を持った生命体と推測できる。

 

 

『だが、先程、その信号も途絶えた。あなた達が行った破壊行為によって途絶えたと見ている。』

「その通りだろう。我々はあのAIを倒すために別の世界から来たのだから。」

『かの者たちの最後の通信は受信している。それは意思疎通能力に劣る彼らの最後の意志と見受けられた。』

「最後の意思?」

『彼らは、ICAという組織に対抗する傍ら、この世界を調べて回っていた。だが、我々と同じく、最上層には到達できなかった。それが心残りだったようだ。』

「最上層・・・そこにはなにが?」

『我々は最上層以外のほぼすべての階層を把握している。だが最上層だけは特殊な機構により、我々もかの者たちもたどり着くことはできない。最上層に登ることができるのは人間だけだ。』

「人間だけ・・・。」

『もし最上層へ登るつもりなら、ここから見えている第6基幹塔へ登ると良い。現状、その塔だけが最上層へ続いている。』

 

 

白い生命体は首を折り曲げて北にある一本の塔を指し示した。バベルの塔とも思えるその塔は一番上が霞んで見えないほどに高かった。おそらく高さはブルジュ・ハリファの数倍はあるだろう。

 

 

「わかった。行ってみよう。」

『我々はあなた達の旅路の安全を願っている。気をつけて。』

 

 

そう言うと真ん中付近から白い生命体の体が割れた。正確には周りの皮のような部分が分離したようだ。そのまま分離した皮は傘のようになり、中から白く光り輝く目のようなものが出てきた。傘の内側はひだが付いており、きのこのような見た目に変貌した。

 

きのこの生命体はそのまま傘をいっぱいに広げると、ふわりと宙に浮かび、やがて空の彼方へ消えていった。その姿はとても神々しく、私は彼らがこの世界における神のような存在なのではないかと思い始めていた。

 

 

『47?聞こえている?応答して頂戴。』

「・・・あ、ああ。聞こえている。」

『やけにボーッとしていたわね。貴方らしくもない。』

「・・・神々と交信したような気分だ。」

『は?』

「なんでもない。どうした?」

『ああ。渡界機が治ったわ。公園まで戻ってきて頂戴。』

「わかった。」

 

 

私は再びウィンディと共に来た道を戻り、この世界に来て最初に降り立ったあの無機質な公園へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~6時間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

『みんな揃ったわね。ああ、47とキュラソーは再調査に出ているからブルー・シルバー・タバサで報告会をするわよ。』

「働き者ねえ・・・。」

「見習わなきゃならないところなんだろうけどね。」

『じゃあ調査結果を報告するわ。私達は47がミサイルサイロで会ったあの生命体にどうやら助けられたようよ。』

「47が会ったっていう白いきのこの人でしょ?どういうこと?」

「映像を見た限り、エリンギに似ている。」

『残骸調査の結果、施設動力炉にそのエリンギに似た生命体が活動していた痕跡を見つけたわ。この生命体は47との会話から推測すると、高いエネルギーを持つ物体を取り込みそれを分解消化するために存在しているみたいね。』

「高エネルギーっていうとミサイルとか?」

『それだけじゃないわ。弾薬や砲弾、石油化学燃料や原子炉の燃料棒ですら彼らの食べ物でしか無いようよ。彼らはそれらを周りの外郭ごと取り込み、体内で分解消化していると考えられる。』

「武器弾薬を食べる生命体か。すごい生命体がいたもんね。」

「摩訶不思議。」

『カテゴリ・スパディルの中にあったゼロポイントエネルギーも例外じゃなかったみたい。あの生命体が発射前にそれらミサイルをまるごと食べてくれたおかげでICAは救われたってわけ。』

「毒ガス散布が止まったのも彼らのおかげ。」

「ということはエンデットウィッチが制御不能になって墜落したのももしかして?」

『確証はないけれどおそらくは。最後の映像からして明らかに動力炉の動作が停止していたわ。』

「まあなんにせよ、あのエリンギもどきによって亡霊は討ち滅されたってことか。」

「そう考えるとなんか味気ないわね。」

「エリンギだけに?」

「タバサ・・・。」

『あの世界に関してはまだまだわからないことだらけ。それらの報告も47とキュラソー待ちね。』

「じゃあ私達はゆっくり待ちましょうか。」

「そうだね。最近働きすぎな気がするよ。」

「休息は大事。」

『そうね。47とキュラソーが帰ってくるまでICA全体としても一時休業体勢をとるわ。色々整理しなきゃならない後始末も大量だからね。』

 

 

ガチャ

「皆さんお揃いですか?」

『キャロライン、どうしたの?』

「いえ、亡霊を倒したお祝いにみんなでパーティでもやろうかと思いまして。」

「もしかして・・・。」

「それ提案したのって・・・。」

「・・・そう言えば再構築されたと聞いた。」

 

 

『そうだ!俺様だよ!』

「ウィートリー!」

「生きてたんだね。」

『まあ一回死んでるけどな。何があったかはログデータとして保管されてるからいつでも読み込め・・・あれ?』

「どうしたの?」

『いや、ここに保管していたはずなんだが・・・またどっかに行っちまったな・・・。』

「・・・いつものウィートリーだ。」

「そうね。ある意味安心するわ。」

『はぁ?どういう意味だよ?』

「なんでもない。それよりパーティするんでしょ!」

「そうだったそうだった。キャロラインさん、どこでやるんです?」

「ハイ、ご案内します!」

ワイワイガヤガヤ

 

 

 

『やっといつもの通常に戻れるわね。これで・・・。』

 

 

 

 

~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

・「バックオーライ」

 【+1000】『広間から扉を通って脱出する。』

 

・「最後の関門」

 【+3000】『マイクロ波を回避する。』

 

・「奈落」

 【+5000】『基地を下層へ落とす。』

 

・「支配種」

 【+5000】『エリンギと会って第6基幹塔の場所を突き止める。』

 

 




ちょっとあっけない終わり方でしたが、AIが色々と遺言残すのもおかしいかと思いこんな形になりました。

次回はエピローグになります。


追記:編集前の文字が残っていたのを修正

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