『今回向かってもらうのは、以前進化の秘法を取りに行った旧アッテムト鉱山よ。』
『アッテムト鉱山がICAの砲撃によって崩壊してからはや2年が経過したけれど、完全復旧の目処は未だに立っていないわ。アッテムト近隣の管理自治体であるキングレオも調査団などを派遣して色々活動を行っているの。』
『それで今回のターゲットはそのキングレオから派遣される予定の調査担当者であるコロルという人物よ。彼はICAがアッテムトで行っている復旧作業の妨害を企てていて、このままでは復旧がさらに遅れてしまう。それを避けるために調査団のリーダーであるコロルを暗殺することが決定されたわ。』
『すでにターゲット率いる調査団はアッテムトに向かっていて、予想ではあと数時間もすれば到着するわ。あなたに頼みたいのはコロルの暗殺の他、調査団を調査続行不能に追いやること。調査団全員を暗殺しても構わないけれど、できればコロルのみにした方が良いでしょうね。』
『準備は一任するわ。』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】
・装備
【シルバーボーラー、電子励起爆薬50g】
・服装
【愛用スーツ】
ガガガガガ…
ガラガラガラガラ…
町のあちらこちらでドローンが忙しく働いている。ドローンと言っても、何も知らないものから見れば人間と対して見分けはつかないが。本部はドローンと呼称していたがどちらかと言うとアンドロイドに近いらしい。
復旧の目処が立っていないと言っていたが、すでに町の大部分は完成しており半島を複数の大河が分割している以外はほとんど元の形に戻りつつあった。もっとも、その大河を埋め戻す作業が一番難航しているわけだが。
建物自体はそれなりに建っているが全て建築中の扱いであり、窓や扉は全て閉ざされ粉塵侵入防止用の目張りがされている。人が住んでいないのもあって屋外には殆ど物がなく、意外に隠れる場所は少ない。加えて町は周囲の森とそこそこ離れており、ターゲットが現れても待ち伏せするのは難しいかもしれない。
『47。聞こえるかしら?』
「聞こえている。」
『調査団の一団が予想よりも早く到着しそうよ。早くしないと鉢合わせになってしまうわ。』
「何?時間は?」
『・・・あと5分ほどで視認圏内ね。』
それはもう鉢合わせと言って良いようなものではないのか。確かに海岸線近くのランディングポイントからこの街まで来る道中で想定よりも多くの魔物と出くわしてしまったから到着が遅れているとは思っていたが、まさか準備をする間もないくらいになっていたとは。
私は急いで隠れられそうなところを探したが、先程も言ったように建物の影に隠れる以外に選択肢がない。私はとりあえず鉱山の詰所の影に身を隠した。
隠れるとほぼ同時に町外れの森の中から調査団一行が現れた。このあたりは平坦になっており、町の最奥であるこの詰所からも町の外がよく見えている。調査団の中心付近に周りのものとは少しだけ身なりのいい男が居た。
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『あの真ん中の男がターゲットのコロルよ。彼は用心深くかつ狡猾で察しが良い切れ者として名が知られているらしいわ。注意して。』
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ターゲットは調査団一行約10名ほどに囲まれながら町の入口付近に居たアンドロイドに声をかけている。どうやら調査する旨を伝えているらしい。
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『ドローンからの情報によると彼らは坑道内へ入るつもりのようよ。坑道内へ入られたら襲うのは困難になるわ。出てくるのを待つ手もあるけれど、大勢と戦闘状態になることは避けられないわね。』
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ならば先に坑道内で待ち伏せするほうが得策だろう。坑道内は入り組んでおり、閑散としたこの町よりも幾分隠れるところが多いはずだ。また迂回路も豊富にあり経路策定にも困らない。
私は一団が別の方向を見ている隙に坑道内へと侵入した。
アレガコウナッテ…
イヤソレガドウナッテ…
ヤハリコウドウカ…
「む、待て。」
「いかがなされたコロル殿。」
「コレを見ろ。」
「これは・・・足跡ですか?鉱山にも彼らは出入りしてるみたいですし珍しいものでもないのでは?」
「いや、他の足跡を見てみろ。靴の形は似たようなものだが、この足跡だけ靴底の模様がまるで違う。」
「はあ・・・言われてみれば・・・?」
「しかもこの足跡、まだだいぶ新しい。数時間どころか10分と経っていないだろう。ビコー、この鉱山は閉鎖中なんだったな?」
「はい。住民もまだ鉱山内に着手する余裕はなく様子見で少し入った程度だと言っていました。」
「ならばなぜこんな新しい足跡が鉱山の入り口にある?他の足跡は角が崩れてるところから見て数時間から数日は経っているというのに。」
「言われてみれば・・・。」
「どうやら先客がいるらしいな・・・。こんな魔物だらけのろくな産出物もない鉱山に入るのは悪党かもしくは・・・。」
「もしくは・・・?」
「襲撃者だけだ。」
ターゲットが坑道内に入ってきた。気のせいか先程よりも用心しながら入ってきている。もしや侵入したのがバレたのだろうか。しかしすでにお互い坑道内にいる以上それ相応の準備をして待ち構える他あるまい。
坑道内の構造は先の砲撃によって全くと言っていいほどに変わってしまっている。おかげで色々攪乱作戦などもやりやすくはなっている。私はモンスターが多い場所へ誘導するためにあちらこちらで石を投げて誘導を試みる。
調査団は動きはかなりぎこちないもののその誘導に乗って動いている・・・。おや?ターゲットの姿が見えない・・・っと、かなり後方に別の一段と一緒にいるのが確認できた。だいぶ用心深い性格のようだ。
それでも調査は行わなければならないため、先行部隊が安全を確認してからターゲットの本隊が動く形式のようだった。モンスターも時折襲撃しにかかるが殆どろくにダメージを与えられずに撃破されてしまっている。なかなか手ごわい相手だ。まあこの坑道内のモンスターが弱すぎるだけかもしれないが。
私は作戦を変更して持参した電子励起爆薬を使って坑道を崩落させるプランで行くことにした。この坑道は縦横無尽に入り組んでおり、通路が立体交差状態になっているところも珍しくない。調査団一行は端からすべての通路に入っては調べてを繰り返しているため、数ある袋小路の一つに入ったところで起爆、調査団ごと生き埋めにする算段だ。私はこれから調査するであろう袋小路の天井の裏側にあたる坑道へ向かった。
「ふむ・・・なるほどな。」
「コロル殿、なにか?」
「襲撃者は我々を分断もしくは散り散りにさせようとしているようだ。」
「それは本当ですか?!」
「ああ。先程から謎の物音がしていただろう。君たちはモンスターの出した音だと思っているようだが、モンスターならもっと派手な音がするものだ。奴らにあそこまで繊細な音の誘導はできない。」
「ならばあの音は襲撃者が出したものだと?」
「そうだ。そしてその音がぱったりとやんだ。それはどういうことかわかるか?相手は作戦を切り替えたということにほかならないのだ。」
「切り替えた・・・次はどのような手で来るつもりでしょうか?」
「我々は通路を片っ端から調べて回っている。襲撃者は我々に危害を加えたいのだろう。しかし面と向かっては相手にならない。ならば通路の先で待ち伏せても退路が断たれるだけでなんの意味もない。」
「では・・・?」
「私なら・・・ふむ・・・。なるほど。こっちだな。」
「あ、コロル殿、どちらへ?」
「裏をかいていてやるのさ。」
少し奥まったところに来ると、周りのモンスターの様相がガラリと変わった。以前来たときとは違うモンスターが巣食っているのだ。中には岩系と思われる頑強そうなモンスターまで居る。一瞬目があったときは冷や汗が出たがモンスターの方は何食わぬ様子で移動していった。アレはシルバーボーラーでは太刀打ちできそうにないな。
ともかく、相手が虱潰しに通路を調べているとすると、いずれこの真下にある通路に来るはずだ。先回りして地面、相手からは天井に当たる場所に爆薬をセットしていく。周りのモンスターにも気が付かれないよう慎重に物音を立てないように設置していく・・・。
「ふふふ。まさか私が開発した新魔法がこんなところで役立つとはな。」
「素晴らしいものですね。襲撃者はおろかモンスターすらこちらに気がついていません。」
「トヘロスの魔法を改良して我々が出す音を無音にする魔法だ。名前はまだないが実証試験できたので城に戻ったらゆっくりと名前を考えることにしよう。」
「閣下。襲撃者の真横と予想される地点まであと少しです。」
「一応慎重に掘るんだ。いくら音がないからと言って姿が消えているわけではないことに留意しろ。」
「はっ。」
「どうするおつもりですか?コロル殿。」
「真横に穴を開けてやり、気がついていない襲撃者を後ろから強襲する。」
「なるほど。その意味ではこの魔法はうってつけですな!」
「ああ。予定ではあと数メートルも掘れば襲撃者のすぐ後ろに穴がつながるはずだ・・・。」
「閣下、壁の向こうからなにか音がしています。」
「よし。クックック・・・さあ、まずは顔を拝ませてもらおうか・・・。」
ガッ
「ん?何だ?この岩は。やたら硬いな・・・。ふん!」
ガリッ
グルン
「「あ。」」
メ
「な、何だこれは・・・」
ガ
「も、もしかしてそれは・・・」
ン
「さ、下がれ早く!こいつは・・・」
テ!
「ばくだん岩だ!!!!!」
ドッガアアアアアアアンン!!!!!
「うお!?」
突如として真後ろの壁が強烈な爆風によって吹き飛んだ。そのあまりの破壊力にこちらも吹き飛ばされかける。なんとか体制を立て直すものの、今の爆発で坑道が崩れかけている。元々それなりに脆そうな場所を選んで爆薬を設置していたため坑道はいとも簡単に落盤を始める。
私は設置途中だった爆薬をひっつかみ、全速力で前に走った。後ろがどんどんと崩れていく。さながらインディアナ・ジョーンズのようだ。行く先も余波でどんどんと崩れていっている。私は巻き込まれる寸前のところで通路から這い出て、広い比較的頑強な坑道へ逃れることができた。一体何だったんだ・・・。
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『・・・47?ターゲットの生命反応が消えたわ。もしかして今の爆発と落盤に巻き込まれたのかしら?・・・と、とにかくミッションは達成よ。帰還して頂戴。』
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私はまだ崩れる可能性のあった坑道を出た。遅れること数分後、調査団の一部が同じく坑道から這い出てきた。私は近くの建物の影に隠れた。物が少ない為隠れるのには十分とは言えないが、相手はかなり混乱しているようでこちらに気がついてはいない。
私は気が付かれる前に町を出てランディングポイントへ向かった。
~~~6時間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『おかえりなさい。47。』
「ああ。」
『今回はまあ・・・その・・・良かったわね?』
「私は何もしていない。」
『結果的には暗殺は成功。電子励起爆薬も使わずに済み、あなたも落盤に巻き込まれずに済んだのだから。万々歳よ。』
「ううむ・・・。」
『・・・まあ納得はできないでしょうけれどね。』
「あの時一体何があったんだ?」
『簡易事後調査の結果、ターゲットのコロルがあなたの裏をかいて側面から強襲するつもりだったようよ。でも穴をほっている最中に運悪くモンスターに出くわしてしまったみたいね。それもその状況下で考えうる限り最悪のモンスターに。』
「何が居たんだ?」
『爆弾岩。そうよばれる岩のモンスターよ。あなたも一度目にしたはずよ?』
「あの目があった岩か。」
『そう。彼はこちらから攻撃したりしなければ不気味に微笑むだけで何もしてくることはないのだけれど、攻撃すればたちまちその身を爆発物として炸裂させるわ。』
「なんとも恐ろしい岩だ。ダイナマイトが動いているようなものか。」
『どちらかと言うとニトログリセリンね。少しの刺激を与えても爆発する可能性があるみたいだから。しかもその威力は同質量のダイナマイトよりも高いわ。威力はそのまま半分ほどの大きさなら電子励起爆薬にも匹敵するレベルよ。』
「危険物極まりないな。」
『ドローンたちが坑道の復旧に時間がかかっているのもあのモンスターのせいらしいわ。あなたも見たでしょう、あの入り組んだ坑道を。』
「アレは先のアッテムト砲撃の際にできたものではないのか?」
『それもある。けれど半分以上はあのモンスターの駆除に失敗した結果よ。今の所3000体以上のドローンがアレで木っ端微塵にされているわ。』
「・・・復旧はまだ当分先のようだな。」
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「お先に失礼」
【+1000】『ターゲットより先に坑道へ入る。』
・「調査済み」
【+1000】『坑道内調査を中断させる。』
・「発破掘削」
【+4000】『ターゲットを爆発によって暗殺する。』
・「誰の仕業?」
【+5000】『エージェントが手をくださずにターゲットを始末する。』
ドラクエのモンスターの中でも個人的に1位2位を争うレベルで好きなモンスターです。
マイクラの匠のような潔さを感じます・・・。