HITMAN2『世界線を超えた先に』   作:ふもふも早苗

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「おはよう。47。」
「今回向かってもらうのは過去の世界よ。時代は1959年、場所はモスクワより北に250kmほど行ったところにあるルイビンスク人造湖。そのほとりよ。」
「ターゲットはヴァシリーセミョーノフ。彼はほど近いヤロスラブリでOKB-24。通称セミョーノフ設計局の所長よ。彼は主に水上を移動する技術の開発を行っていてね。ホバークラフトや水上機の類を研究しているらしいわ。」
「彼は今、ルイビンスク湖で新型の水上ジェット戦闘機の試作実験を行うために湖にやってきているらしいわ。資材の運搬と秘匿性の観点から、湖畔の都市ルイビンスク近くの半島沿岸で実験を行うみたいね。」
「この半島は大半が原生林に覆われていて人は殆ど入ってこない。対岸も原生林な上、湖はそれなりな広さ。秘密兵器の実験にはもってこいの環境というわけね。」
「クライアントはOKB-23。ミャスィーシチェフ設計局よ。彼らも新型の爆撃機を制作していて、その技術の一部がセミョーノフに盗用されたと思ってるみたいね。」
「ああ、それと。未確認情報でまだ情報収集中だけれど、セミョーノフにはかなり凄腕の護衛がついているという噂があるわ。実態は確認されていないからフェイクの可能性も高いけれど一応気をつけて頂戴。」
「準備は一任するわ。」



~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】・【エージェント67-1】・【エージェント67-2】
・装備
【ロックピック、ワイヤーロープ・シルバーボーラー】・【ポケモン6匹】・【ポケモン6匹】
・服装
【愛用スーツ】・【潜入用スーツ(黒)】・【潜入用スーツ(迷彩)】




HITMAN2『不幸な研究者』

 

 

「…クシュン!流石に冷えるわね・・・」

「仕方あるまい。気温は氷点下だ。」

「ほんとにこんなところで水上機の実験なんかやるのかしら?湖なんか凍りかけてるけど。」

「もしかしたら水上と氷上両用なのかもしれないね。」

 

 

私とブルーとシルバーは揃って湖畔の砂浜と森林地帯の境目を歩いている。情報ではさらに北に向かえば実験中の機体とターゲットの集団が見えるはずだ。

さきほどブルーも言ったように湖の氷は凍り始めており、水の部分と氷の部分が入り混じっている。普通なら水上機は離着陸するのは不可能だ。そのあたりを克服しようという試みなのだろう。

この水辺はルイビンスク市街地が直ぐ側にありながら、高い木々の森に囲まれているため、まだ人工衛星やドローンなどもろくにないこの時代では格好の秘密実験場と言える。

その代わり実験場へ向かうあぜ道は確認しただけでも目立つところに検問所を設置して5人。更に隠れて4人が道沿いを監視しており、変装しての突破も困難を極めると判断したため、私たちは湖畔沿いを草木に隠れつつ進むことになっている。

 

 

「あとどのくらいかしら?」

「情報部が設置した簡易衛星による位置情報だとあと3kmくらいかな。」

「3kmかあ・・・結構まだあるわねえ・・・隠れながらだから速度かなり遅いし。」

「だがもう立ち入り禁止区域ではある。周囲に気を配れ。」

「はーい。」

「了解。」

 

 

今回新しく導入された「簡易衛星」は一応役には立ちそうだ。これは人工衛星を打ち上げる技術やそれに付随する科学力がない世界において、本格的な情報収集衛星を設置する前の比較的短期間のいわゆる使い捨て目的の衛星とのことだ。

能力としては各種スキャンはできないが半径500km圏内に専用GPS装置への位置座標送信と、同じ範囲の衛星写真を撮影できる。稼働可能時間は48時間程度と短い。その代わり20ftコンテナ一つに収まる簡易的なレールガンシステムで射出するだけで打ち上げることができ、価格も1機あたり1万ドルかからないらしい。

 

私たちはやがて現れた海岸にせり出した岩場の向こう側を覗き込む。するとそこには何人かの人だかりと、試作機と思われる湖面上に浮かぶジェット機が見えた。

 

 

「見えたわね。シルバー。」

「わかってる。さあて・・・。」

 

 

シルバーが取り出した双眼鏡で集団を確認する。・・・ん?今一瞬だが左の森の中が光ったような気がする。自前で持っている双眼鏡でそちらを確認してみるが、鬱蒼と茂った森があるだけで光学的にも熱源的にも異常は見られなかった。

 

 

「ちょっと47、そっちは森よ?なにか見えた?」

「いや、気の所為だ。」

 

 

この時代の迷彩技術では我々のサーモグラフィーは騙すことは出来ないと思われる。やはり気の所為だったようだ。

そうこうしているうちに人だかりの集団は内陸の方へ移動を開始してしまった。

 

 

「見つけた。あれがターゲットだと思うけれど・・・ちょっと周りに人が多すぎるね。」

「まあ見つけられただけでも良しとしましょう。じゃあ行くわよ。」

 

 

ブルーは森の中へ入っていく。私とシルバーもその後に続く形で森に入った。森の中を進み、ジリジリとターゲットとの間合いを詰めていくことにする。

 

 

 

 

 

ヒヒーン

 

 

 

 

 

今の鳴き声は・・・

 

「・・・ねえ47。この森って野生の馬が居るの?」

「いやそんな情報はない。そもそも馬はこんな鬱蒼とした森には住まない。」

「でも今の鳴き声。明らかに馬の鳴き声だったよ。それもおそらくサラブレッド系だ。」

「シルバー、鳴き声でわかるの?」

「うん。選択訓練過程に含まれていたからね。この前時間が空いたから履修したんだ。」

「へえ・・・勉強熱心ねえ・・・。」

 

 

シルバーの日々の成長はさておき、ソ連の寒冷地の森にサラブレッドが居るのは明らかにおかしい。となれば誰かの飼い馬である可能性が非常に高く、即ち近くに人がいる可能性が高いということだ。

 

「警戒態勢だ。」

「了解。」

 

 

私たちは慎重に前に進んでいくことにする。幸いにして今回のターゲットの予定では明日の昼ごろまでここにとどまるらしいので時間はある。

ターゲットの居ると思われる地点まで残り1kmと切ったと思われたその時だった。

 

 

パカパカパカパカ

ババッ

「うお!」

「え?!」

「な!?」

 

 

私と2人の間をすり抜けるようにして茂みの中から突如として白馬が走り込んできた。私は咄嗟に前方へ飛び回避した。ブルー達も後方へ飛び退いたようだ。

馬はそのままブルー達を牽制するかのように間に立ちふさがった。視線を少し上にずらすと、鞍がかけられている。しかし騎乗者はどこに、と確認しようとしたその瞬間だった。

 

 

「ハッ!」

ドガッ

「うぐっ!?」

 

またも突然上から人が降ってきて、両肩を足蹴にされた。その反動でバランスを崩しかけるが、すぐさま後ろを向き体制を立て直す。そのまま格闘戦へ移行した。

相手は白い服を着た女性であり、かなりの格闘戦の使い手だと思われるこちらの放つ拳はことごとく往なされるか受け止められ、逆にこちらは放った拳を軸に放り投げられてしまった。

 

 

ドサッ

「ぐっ・・・」

「47!」

「まずい!行け!ドサイドン!」

「ニドちゃん、あなたもお願い!」

 

私は投げられた反動で意識が一瞬朦朧とした。それを見て2人は馬を避けるようにポケモンを咄嗟に繰り出した。

 

 

「ふむ・・・ハッ!」

「ニドちゃん、メガトンパン・・・え?!嘘!」

 

 

その女性は目にも留まらぬ速さでブルーのニドクインの懐に飛び込むと、膝、脇腹に的確に打撃を与え、一瞬怯み頭をもたげたニドクインの首筋に打撃を与え、一瞬でニドクインを気絶させてしまった。

 

 

「クソ!ドサイドン!はかいこうせん!」

キュィィィンドゴォォン!

 

 

シルバーのドサイドンが咄嗟に破壊光線を放つ。地面に向けてなのでニドクインは無事だが、驚くべきことに謎の女性はその破壊光線を避けきりドサイドンに猛チャージを仕掛けた。

ニドクインのときと同じように腹部や脇腹に打撃を与えるも、ドサイドンはニドクインに比べて外皮が硬いのかあまり有効打とはならず、振り払うようにドサイドンがパンチを繰り出している。

ようやく私の意識もはっきりしてきた。私はすぐさまシルバーボーラーを構え、女性に向けて発砲・・・する寸前のところで女性が片手間のように投げた石によってシルバーボーラーが弾き飛ばされてしまった。

 

「硬いな・・・ならば。」

「え?」

 

 

女性はドサイドンを足場にまたもや跳躍を行うと、シルバーの真正面に降り立ち、そのまま目にも留まらぬ速さでボディブローを与えた。シルバーは一瞬で意識を刈り取られてしまった。

女性はシルバーの腰につけていたモンスターボールの一つを取ると、中央のボタンを押した。

 

バシュゥゥゥン…

 

ドサイドンはあっけにとられている間にモンスターボールの中に戻されてしまった。まずい。戦力が各個撃破されていってしまっている。

謎の女性がニドクインに駆け寄っていたブルーに向かってとどめを刺しに行こうとしたその時、

 

 

「はあっ!」

「ふっ!」エアハンマー

 

ドォォン!

 

 

「なんか大変そうね。47。」

「助太刀。」

 

 

どこからともなくキュラソーとタバサが駆けつけてくれた。この状況を見て本部が緊急で派遣したのだろう。形勢逆転だ。ブルーはすぐさまニドクインをボールへ戻し、シルバーのそばに駆けつけた。目を覚まさせようと顔面をひっぱたいている。

 

私、キュラソー、タバサで謎の女性を取り囲んだ。おそらく事前情報にあった“凄腕の護衛”というやつだろう。だが三方向を囲んでしまえば格闘戦が主な女性では太刀打ちできるはずもない。

本来なら何者か聞くところだが、今回の場合はあまり時間をかけてはいけないだろう。先程の破壊光線の爆音はターゲットのところまで響いている可能性が非常に高く、被害がなかったとしても予定を切り上げてこの場を離脱して雲隠れされる可能性すらある。そうなれば非常に面倒なことになるだろう。しかし必要のない殺人は後々の処理の問題があるのでここは眠らせるに限る。

 

その時、謎の女性が頭を少しだけ上下に動かした。何かの合図だろうか。私は急いでタバサに指令を出す。

 

 

「眠らせろ。タバサ。」

「了解。」

 

 

タバサがスリープクラウドを唱えようと杖を掲げたその瞬間、

 

ダァーン!

バチン!

「うっ!」

「狙撃?!」

 

 

タバサの杖が狙撃によって発射された弾丸によって弾き飛ばされてしまった。杖がなければハルケギニアの魔法使いは一般人と大差ない。

 

 

「東だ!全員、近くの物陰に隠れろ!」

 

 

私は急いで指示を出し、全員が岩や木の影に隠れた。木の陰からサーマルで調べても狙撃手などどこにも見当たらない。まさかこの時代に我々ICAのサーマル技術を完璧にかいくぐる程のカモフラージュができる人間が居るというのか。

我々が隠れたのを確認すると、謎の女性が初めて口を開いた。

 

 

「お前が何者かは知らないが好きにはさせん。去れ。命までは取らない。」

「何?」

「私は上から護衛を命じられただけだ。必要のない殺しはしない。」

「まるでこっちの目的を知っているかのような口ぶりだな?」

「お前たちのような人間がこの場にいるという事実だけで、何をしに来たのかはおおよそ見当がついている。」

「ふむ・・・。」

 

 

「・・・。」スッ

ヒュン

ドス!

「!」

「無駄だ。我が部隊の配備は完了している。」

 

 

女性の死角からタバサが念のためと持っていた小型拳銃に手を伸ばそうとした時、、森の中から音もなく発射されたボウガンのボルトが、タバサの手の近くの木に刺さった。

 

 

「・・・。ふっ!」

 

バシュゥゥゥ!ボォォォォォ!

 

「くっ!」

「無駄だと言っている。」

 

 

完全に背後に回り込み、ボウガンの位置からも狙撃の位置からも死角になる位置から女性に飛びかかろうとしたキュラソーに対し、進路を遮るようにして火炎放射が放たれた。森の中だというのに延焼はおろか木々の葉を焦げ付きすらさせていない絶妙な炎だ。放射元を見ると、宇宙服のような格好をした人物がいた。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『全員、聞きなさい。たった今上級委員会から作戦中止命令が出たわ。それ以上交戦してはだめよ。』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

作戦中止だと?確かにこの膠着状態を打開できるかどうかと言われれば怪しいものがあるが、一旦相手の要求を聞き入れてから再度アプローチするなどやりようはあるはずだ。それが作戦中止とは・・・。

 

 

「もう一度いう。去れ。お前たちの組織とやり合うつもりもない。」

「わかった。作戦を中止する。私たちは速やかに撤退するが、追撃はしないでもらいたいのだが。」

「良いだろう。追撃はもとより任務に入ってはいない。」

「・・・全員、撤退だ。」

「・・・わかったわ。」

「了解・・・。」

「シルバーはまだ起きないからおぶっていくわ。」

 

 

私たちは名も知らぬ精鋭部隊の視線を受けつつ撤退した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~30分後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「やはり先程のは襲撃だったのか!」

「そうだ。だが我が部隊が撃退した。問題はない。相手方の組織の上層部にも直接働きかけた。もう襲撃はない。」

「しかし狙われていることがはっきりした今、やはりこのままここで実験をする訳にはいかない!襲撃を受けるということは情報が漏れていることが確定している!他の組織が来る可能性がある以上実験は中止だ!」

「・・・我々の任務は、“この演習中のセミョーノフ局長の護衛”だ。演習を中止するというのであれば、我々も撤退することになる。」

「むう・・・だがいつ何時襲われるかの恐怖は図りしれず、まともに実験もできやしない。やはりここは一旦体制を立て直すに限る。」

「そうか。」

「私は一旦モスクワに戻る。名前を変えてほとぼりが冷めるまで地下に潜るつもりだ。無論、研究はその間も続けていく。君たちさえ良ければ、このまま護衛を継続してほしいのだが。」

「それは任務の範疇から逸脱する。クレムリンと掛け合うことだな。」

「そうか・・・わかった。では私は行くよ。そうだ、“カミルズ”という名前から依頼があったら受けてくれると嬉しいよ。私の渾名のようなものでね。当分はその名前を使う予定なんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かったのですか。ボス。」

「フィアー。奴は腰抜けではあるが護衛対象には変わらない。だがそれもチャーター機で飛び立った今となってはその任務も終了だ。それに我々の真の目標も達せられている。」

「“セミョーノフの技術の奪取”ですか。そちらはザ・ペインが滞りなく回収しています。」

「よし。我々も撤退するぞ。ジ・エンドはどうした?」

「ここにおるよ。この森との会話は退屈することがないが、気になることもある。」

「気になること?」

「先程から森がざわめいておる・・・。」

 

キィィィン!バシュウウウン!

 

「な!?」

「奴の乗った飛行機が・・・消えた?」

「ふむ・・・このことじゃったか・・・。」

「・・・ともかく我々も撤退するぞ。国境までの車をチャーターしろ。」

 

 

 

 

 

 

 

~~ミッションディフェクティブ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

・「蜃気楼」

 【+1000】『ターゲットを1km以上離れたところから確認する。』

 

・「母の慈愛」

 【+1000】『ザ・ボスに発見された状態で撤退する。』

 




お久しぶりです。

彼女はいつか出そうと思ってたままお蔵入りになっていたものを、ちょこっと再構成したものを掲載します。

あと一つ話のストックがありますがそちらはプロットしか出来ていないためまだ大分かかります。完成するかどうかもわからないですし。
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