『今回向かってもらうのは我々の世界から隔絶された、神・怪物・妖精などが身を寄せ合う楽園、“幻想郷”よ。』
『以前にICAと色々いざこざを起こして以来幻想郷の管理者“八雲紫”との関係はあまり良好とは言えないわ。上級委員会は今後の作戦行動に際して支障をきたす恐れがあるとして、関係修復の策を模索していたの。』
『そんなさなかに八雲紫の方から接触があったわ。幻想郷に迷い込み、現地の主要人物たちと接触を図っている男が今回のターゲット。名前は坂東貴一。幻想郷に迷い込んだのは全くの偶然らしいけど、帰還の方法を提示してもそれに従わず、幻想郷にとどまり主要人物と良からぬ関係を築こうとしているという話よ。』
『坂東貴一は現在魔法の森と呼ばれている森林地帯に身を潜めているらしいわ。そこに住む“霧雨魔理沙”と“アリス・マーガトロイド”との関係を八雲紫は懸念している。これら主要人物に悟られないよう、秘密裏に排除してほしいみたい。』
『今回の依頼は八雲紫からの依頼だけれど、ICAは関係改善に役立つと踏んで通常よりだいぶ割安の金額で依頼を受けたみたいね。この任務が成功すれば少なくとも八雲紫との関係性は好転するでしょう。』
『準備は一任するわ。』
~準備~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・メンバー
【エージェント47】
・装備
【シルバーボーラー、コイン×5、ロックピック】
・服装
【愛用スーツ、ICA特製防毒マスク】
『魔法の森へようこそ。47。』
『この森は普通の森とは違って魔法的な成分、私達の技術部でもいくつか解析不能な成分が、森の大気中に含まれているわ。でも特製のガスマスクで防げることは確認済みだから安心して。』
『地面には様々な種類の植物やきのこ類が生えているけれど、決して食べないように。人間には有毒なものが殆どで、幻覚作用を起こすものが多いから。』
『森は昼間でも薄暗く、その中の一部を切り開いて霧雨邸とアリス邸は作られているわ。どちらも洋式の一軒家で内部を探るのはそれほど苦労はしないはず。』
『ふたりとも魔法使いで感覚は鋭いわ。でもターゲットはただの人間。調査の結果外の世界に居た頃は普通の一般商社勤めだったようね。感覚はそれほど鋭くはないと思うわ。』
『くれぐれも魔法使い二人には見つからないように。相手はまだあなたのことを覚えていると思うから。健闘を祈ってるわ。』
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ピーピー
キュキュキュ
この森はよくある森林地帯と言うよりはジャングルに近いものになっている。縦横無尽に這い回る木の根や蔦に足を取られそうになることもしばしばあった。
私は今ジャングルのような鬱蒼とした森、通称“魔法の森”の中を進んでいる。ブリーフィングでみた位置情報だともうそろそろアリス邸が見えてくるはずだが・・・。
「ふんふーん♪・・・あら?」
「!」
「あなた人間ね?こんなところまで来るってことは魔理沙かアリスのところにようがあるのかしら?」
「・・・まあそんなところだ。君は?」
「私はエタニティラルバ。アゲハ蝶の妖精よ!」
「そうか。君はアリス・マーガトロイドの家を知っているのか?」
「ええ勿論。ココは私の庭みたいなもんだからね!案内してあげるわ!」
「助かる。」
不意に現れた背中に蝶の羽を持った少女がアリス邸まで案内してくれるようだ。所謂妖精というべき存在なのだろうが、この世界の妖精はいたずら好きとの情報が入っている。むやみに信頼するのは本来は憚られるのだが、丁度迷いかけていた上、進む方向は一応ブリーフィングでの所在地情報の方角とだいたい一致する。何か有れば適当に気絶させて放置でいいだろう。もしかしたら、この妖精もターゲットのことを知っている可能性がある。聞いてみよう。
「もう一つ質問いいだろうか?」
「あら?なあに?」
「坂東貴一という人間を知っているか?」
「・・・ごめんなさい、よくわからないわ。人間の名前は複雑で覚えにくいわよね。」
「このくらいの背丈の男なのだが。私と違って町人の服装をしていると思う。」
「もしかしてあの人かな?最近良く見かけるの。」
「本当か?」
「ええ。名前は知らないけどたしかにそんなくらいの背の男の人。最近魔理沙の家にちょくちょく行ってるみたい。アリスの家にもよく行ってるよ。」
「実はその人を探してココまで来たのだが、今どこにいるのかわからないか?」
「うーん・・・多分今の時間ならアリスか魔理沙の家のどっちかにいるとおもうけど・・・。」
「そうか。会えればよいのだが。」
「まあ多分会えるよ。最近よく見かけるもん。・・・っと着いたよ!」
話をしていると森のなかに突如として開けた場所が現れ、そこには三角屋根の洋風の建物があった。蝶の妖精はそのまま家の窓を覗き込んだ。
「うーん・・・今は居ないみたい。どうする?」
「ココで待たせてもらうさ。ちなみに霧雨魔理沙の家は近いのか?」
「私は近いと思ってるけど人間にとってはどうだろう・・・。」
「どちらの方角にある?」
「えーっと・・・こっちかな?」
「わかった。ありがとう。しばらく待って帰ってこなかったら行ってみる。」
「多分大丈夫だと思うけどこの森にも妖怪はいるから気をつけてね。じゃあ私友だちと遊ぶ約束してるから!」
「ああ。世話になった。感謝する。」
「じゃあねー。」
そういうとふわふわ浮かび上がって森の上を飛んでいってしまった。鱗粉のようなものを撒き散らしながら飛んでいったが防毒マスクはちゃんと機能しているようだ。
私は周囲を見渡し、人や妖怪、妖精などがいないかを確認する。幻想郷に何回か出入りした関係である程度は妖怪や妖精の気配も探れるようになった。回りに誰も居ないことを確認し、私はアリス邸の扉をロックピックでこじ開けた。
家の中は至って普通の洋風の住宅だった。やたら所狭しと人形が並べられている以外は。早速手がかりがないかを探す。いくつかの部屋を回った後、作業部屋と思わしき部屋にたどり着いた。
作業部屋には人形を制作する作業台があり、そこには作りかけの人形が放置されていた。
・・・と、その横に和紙のメモ書きが置かれていた。
####アプローチ発見####
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『メモによるとターゲットの坂東貴一は午後4時頃に魔理沙邸からこちらへやってくるようね。道はほぼ一本しか無いみたいだから待ち伏せするには良い機会なのではないかしら。』
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現在時刻は午前11時過ぎ。時間はたっぷりとある。私はなにか使えるものがないかを探した。すると本棚に更に別のメモ書きが挟まっているのを発見した。どうやらターゲットの借用書のようだ。
####情報を入手####
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『坂東貴一はアリス・マーガトロイドにそこそこの額のお金を借りているみたい。支払期限は1週間後になってるわね。見知らぬ土地で生活するには何かとお金がいるものだからね。』
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もしかするとこの情報は使えるかもしれない。私は頭の中で色々とプランを立てた。そしてそれを実行するべく、一旦アリス邸を出た。アリス邸の裏手に回ると、裏にはガーデニング用と思われるシャベルが立てかけてあった。人間用と人形用の2種類ある。人間用を拝借し、魔理沙邸との間にある獣道を進んだ。
アリス邸が木々に隠れて見えなくなる程度まで進むと、道の脇に若干ではあるがスペースを見つけた。私はそのスペースの一部を掘る。3mほど掘ったので底に大きめの石を適当に敷き詰め、その上に草や細かな小枝などをのせて穴が空いていないように見せかける。即席の落とし穴だ。その落とし穴の上に持っていたコインを3枚置く。1枚は道を歩いていても見える位置に、もう一枚は誘導路に置いておく。
後はひたすらにここで待ち受けるだけだ。私は掘り返した土を木の裏などに隠しつつ、ターゲットが来るのを待つことにした。万が一ターゲット以外が来た場合はこちらから話しかければいいだけだ。・・・誰かが来た。
ザッザッザッ
「・・・あら?こんな所にお金かしら?」
む、まずい。やってきたのは遍路笠をかぶった少女だ。彼女はターゲットではない。私は急いで出て話しかけた。
「こんにちは。」
「うわあ!びっくりしたあ・・・。あ、こんにちは・・・?」
「ココはよく通るのか?」
「いえ、この道を通るのは私と最近良く見かける男の方くらいですね。アリスさんも魔理沙さんも空を飛べますし。」
「そうか。そのコインは私が落としたものだ。探してくれて感謝する。」
「あ、そうなのですか。はい。どうぞ。もう落とさないようにしてくださいね。」
「ああ。気をつける。」
「ところでこんなところで何を?人間の方はここの森は危険だと思いますけど・・・。」
「大丈夫だ。私はこの森の空気にも耐性がある。今日は森にきのこを探しに着ている。」
「そうなのですか。毒性のあるきのこも多いですから気をつけてくださいね。」
「わかった。ところで急いでいたのではないのか?」
「ああ!そうでした!じゃあ私はこれで・・・。」
「ああ。そちらも気をつけて。」
少女はこちらを時々振り返りながら道を進んでいった。私は少女が見えなくなると再び地面にコインを置き、ターゲットを待つことにした。少女の話では少女以外はターゲットしかこの道は通らないようだ。
再びしばらくその場で待つ。万が一コインに気が付かず通り過ぎた場合は、止む終えないのでシルバーボーラーで背後から射殺する他ないだろう。弾丸等はあまり残したくはないので使わないに越したことはないのだが。日がだいぶ傾いて陽の光が木々の間から断片的にしか届かなくなった頃合いで、奥から一人の男が歩いてきた。
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『彼が坂東貴一。管理者に目をつけられたプレイボーイ。彼がどんな目的で彼女たちに会っていたのかはわからないけれど、どのみちもう会うことは無いでしょう。』
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「ふんふん・・・ん?あれは・・・。」
ターゲットがコインに気がついた。近寄ってコインを拾い上げるとみるみるうちに顔が笑顔になっていった。
「これはゴールドか!?こっちにもあるんだなこういうの・・・でもなんでこんなところに・・・お!あっちにもあるじゃないか!」
ターゲットは誘導路に撒かれたコインを目ざとく見つけるとそれを拾い集め始めた。そして3枚のコインにも気が付き、それを取ろうと手を伸ばしたその瞬間。
バッサー
「うわわわわあ!」
ドシン
ゴッ
ターゲットはものの見事に落とし穴に落ちた。落ちた時に頭を石にぶつけたようでそのまま伸びてしまっていた。私は一旦気絶したターゲットに駆け寄り、コインをすべて回収する。回収し終えると穴から出て木の裏に隠していた土を再び穴に埋め戻していった。ターゲットは生き埋め状態になり、それから数分後には完全に埋め戻せた。念の為掘り返したところがわからないように木の葉と小枝をかぶせておく。
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『坂東貴一の生体反応の消失を確認。埋めたせいで検知ができなくなっただけだけれど問題はないでしょう。ご苦労さま。帰還して頂戴。』
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もしかすると鼻の効く妖怪などには所在がバレる危険性もあるが、バレたところで既に死亡しているだろうから問題はないだろう。私はシャベルを返すためにアリス邸へ向かった。
アリス・マーガトロイド自身は既に帰宅しているようで、家の煙突から煙が出ていた。中には人の気配があり、私は気配を悟られないよう慎重に家の裏手に回り込み、元あった場所にシャベルを戻した。
ガチャッ
「・・・?誰か居たような・・・?」
「・・・?・・・!」
「上海もなにか感じたわよね?坂東さんかしら・・・?」
「・・・まあいいわ。上海。坂東さんを迎えに行ってもらえるかしら?」
「・・・!・・・♪」
「あ、ちょっとまって。外出用の服を新調したのよ・・・。」
バタン
あぶないところだった。中から人が出てくる気配がしたので、私は既の所で家の影に隠れることが出来た。感覚が鋭いのは情報として知っていたが、壁に立てかけたときの僅かな音に反応するとは。できる限り静かに立てかけてたつもりだったのだが。
私は忍び足で家を離れ、森の中へ入るとそのまま大回りで里へ向かい、以前から使っているセーフハウスへ帰還した。
~~1週間後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「こんにちわ。」
『・・・前にも言ったと思いますけど、唐突に目の前に現れるのは・・・。』
「あら、失礼。でも今回は上出来ですわ。アリスも魔理沙も気がついていないですし。」
『ありがとうございます。幻想郷とは今後共いい関係を築いていきたいので。』
「そういうならば隠し事はなしにしていただきたいですわね。」
『隠し事?』
「あなた達、またなにかやっているでしょう?」
『・・・申し訳ありません。私には情報は降りてきていませんね。』
「ふうん・・・まあいいわ。まだ実害は出ていないから不問にしましょう。」
『・・・。』
「いずれまた仕事を頼む時が来るかもしれませんわ。もしかしたら私の友人からも。」
『友人・・・ですか?』
「ええ。古くからの友人ですわ。」
~~ミッションコンプリート~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・「蝶のように舞い、蜂のように刺せ」
【+1000】『エタニティラルバに出会う。』
・「知らぬが地蔵」
【+1000】『矢田寺成美に出会う。』
・「十字架はいらない」
【+3000】『ターゲットを土に埋めて暗殺する。』
・「暗躍」
【+3000】『アリスと魔理沙に暗殺が露見しない。』
正直、天空璋は触ってもいませんがエタニティラルバちゃんは可愛いですね。
次回は今まで行ったことのない異世界へ向かいます。