これは、ある事件を示唆した予言である。
無限の欲望と星を飲み干す悪魔交わる時、大いなる災いが起きる。
黒炎が舞う中、法の塔は虚しく焼け落ち、それを先駆けに数多の海を守る船も砕け落ちる。
それは次元世界・ミッドチルダにおける法の塔・・・ミッドチルダを収める次元管理局の崩壊を指す一文だ。
そして、この予言には続きがある。
無限の欲望と星を飲み干す悪魔達が手を結び、数多の世界は破滅の炎に焼かれる。それを食い止めるは、世界を渡りし魔女と異界の英雄。鋼を纏し者、器を扱いし戦士。両者手を結び、悪魔達と刃を交える。
戦士倒れし時、世界は終焉を迎える。
最初に言うと不動和真は重度の機械オタクである。
齢三十を迎える今年まで、一般人ながらも多くの機械を熟知してきた。
職場では「こいつに聞けば大抵は直るし解決する」と風評され、勤める食品工場で導入している機械は大抵構造を把握している。
そんな見た目は中の上、顔もそんなに良くはない何処にでもいる青年は趣味の仮想メカフィギュアを手にしている
端的に言うとそのフィギュアは、軍需産業の社長が紛争地帯で売った覚えの無い自社製品を目の当たりにし、実費で製作したパワードスーツでテロリストを撃退する、後に宇宙から襲来する人外勢力と戦うヒーローとして知られるようになる。
その英雄はアイアンマンと呼ばれた。
そして後に、不動和真は、アイアンマンの主役:トニーと似たような立場になる。
時刻は午後二十時前後、居酒屋やお菓子チェーン店、パチンコ店が並ぶ商店街には人一人居ない。
ゴーストタウンと言うのが相応しい、否。
ラーメン屋に入れば、カウンターには食べかけのラーメンがあるし、湯でられた麺はお湯に掛けっぱなし。
誰もが一目で分かる異常な状況に置かれ、和真は出会って間もない少女の手を走っていた。
世渡クレア。
金髪のセミロングヘアー、戸との顔立ちは美少女と言って間違いではなく見た目十代後半にしては女性らしい体つき。
そんな機械オタクとは縁のなさそうな少女が、「助けて!」と懇願してきたのがほんの数十秒前だ。
「で、さっきのスーツ姿の奴らは何?」
「・・・・言っても信じてもらえないと思う。」
逃げ込んだデパート、その行きつけの店に戻った和真と連れてこられたクレア。
和真としては棚を利用して捲くことを考えていた。
店内に配置された商品棚は変則的に配置されているからだ。
「巻き込まれた時点で、俺に選択肢はない。だってそうだろ?もしキミを逃がして俺が捕まったら、あいつ等は問い詰めるだろうし!?」
直ぐに考えは浅はかだと和真は思い知ることになった。
「・・・お前以外の魔女は捕縛したぞ。世渡クレア」
「っ!?」
唐突に声が聞こえたと思ったら、まっすぐ隠れていた棚を吹き飛ばした。否、
(魔女!?いや、それよりも・・・あいつ等からは見えていなかった筈だ。だと言うのにピンポイントで!?)
考える、和真は次の一手を考えた。
クレアのことが気になるが、それは置いておく。本能的に、奴らに捕まれば死ぬと恐れている。
「成る程、相棒を見つけたのか?通りで
コート姿の男は嘲笑う。
「お前、どんな
男が手にしているのは何の変哲もない果物ナイフ。
魔女?力を貰った?疑問は尽きないが意識しても動かない身体は、男と目を合わせたことが引き金だ。
「・・・貴方を日常に返したかったけど無理みたい。恨んで良いよ?私は貴方から”
後ろで震えていたクレアが男に感づかれないように囁いた。
男はただ果物ナイフをチラつかせながら、和真に近づくと見下ろした。交わった視線に男は嫌悪感を露にする。
「お前、夢だとでも思ってるのか?」
「到底、コレが現実だとは思えないから」
和真の胸板は鉄板ではない。と言うか鉄板なんて仕込んでないし、鉄板であってたまるか。
「ッ!?」
「ほう、それがお前の力か!!」
白熱する男に、付いていけない和真と荒い息を整えるクレア。
正面から、鳩尾に突きたてられた果物ナイフはクレアが囁き、トンッ!と背を叩いた瞬間現れた逆三角型の“何か”に遮られてカズマを貫くことはなかった。
『初めまして、マスター。早速ですが離脱を推奨します。彼女を』
砕けたショウケースに映った姿に和真は驚くが、聞こえる人口音声にしたがってクレアの腰に手を回す。
『各種装備の操作方法はお分かりですか?』
「な、何と無く?」
「分かるはずよ、貴方の持ち物から生み出された貴方の
クレアが言うと戸惑う間も与えてくれないようで、男が突きの動きを見せる前にアーマーが勝手に動いて押すと同時に閃光を放って吹き飛ばした。
そう、和真はアイアンマンスーツMk50を纏っているから驚いた。
「夢か?夢だな!?でないとアイアンマンスーツなんて存在しないし、てかサポートAIはジャヴィス?何でフライデーじゃないん!?」
「ははっ!流石“魔女”の与えた力だ!!素人でこれほどとっ」
フッ飛ばした男が歓喜したと言わんばかりに飛び掛ってくる。和真は迷わずアイアンマンを代表する武器を思い描いた。
ナイフは意味をなさいと悟った男が、虚空から身丈ほどの剣を引き抜く、同時に和真が左手を向けると閃光が放たれた。
『詳しくは私自身にも分かりませんが、インフィニティストーンが関係しているでしょう。あ、それと銃火器類は使用できません』
「何で!?」
通常のリパルサー・レイ、左掌から放つレーザー攻撃を放つと男・バルサーは剣の刀身で受け止めた。
『恐らくは彼女の力による変化に伴って、何らかの異常が発生したと推測します。と言うかこのスーツ元フィギアですから、付属パーツで取り替える武器ならあるんじゃないでしょうか?』
「それは知ってるのね!?」
リパルサー・レイでは埒が明かないと和真は次を考える。しかし素人がいきなりこんな状況に置かれて満足に思考が纏るだろうか?
答えは否だ。
「殺ったぞ!」
振り上げられた剣をとっさに左腕を盾にする和真、ガキィンッ!と金属音が響くと同時に火花が散る。
「はっ!」
和真の後ろで、魔女と呼ばれたクレアが何かを弦を弾いた。
濁流のような光矢が放たれて、バルサーを一気に飲み込む。
「スゲェ・・・・」
「ほらっ!逃げるわよっ!!」
クレアが、唖然とする和真を牽引するようにぽっかりと明いた穴から飛び出す。
「ちょっ飛べるよな!?ジャーヴィス!!」
右側にクレアを抱えなおし、和真は叫んだ。
記憶にある“アイアンマン”と言うヒーローがそうしたように、その様に振舞ってみる。
『お任せを』
ジャーヴィスが答えるとスーツの性能に助けられて離脱する。
魔女、世界で報告される異常現象を起す異物の器となった女性を指す。
実際、異物が何なのか、何処の産物かなんて水面下で調べられていたが判別できず、調査機関は最終的に
異物と言う結論に至った。
そして、調査している段階で判明できなかった事実が三つある。
一つは剝き出しの
二つ目は、魔女となった女性は前時代的な魔女狩りを行う組織に狙われる。
三つ目、魔女は番を求めて閉鎖空間を生み出し、其処で活動できる異性に
それが、世渡クレアが魔女となった時に金色の杯のような形状の
「ンで、俺の力とやらは何でフィギアだったMK50?」
「簡単な話よ、貴方が良く知っていて扱いに長けているであろう物を
クレアが答えると和真はある意味納得した。
扱いに長けるかは別として“アイアンマン”シリーズは何度も繰り返し見た。
よもや、自分自身がアイアンマンとして戦う羽目になるとは思わなかったが、どんな武装があって、それがどんな用途か位は想像が付く。
それに見惚れてフィギアを購入してしまったのだ。
「さっきも言ったけど、私を恨んでも・・・」
其処まで言ってクレアは嘆息した。
「おお~ってことは本物か!?俺用のスーツ!!」
和真のテンションに真剣に悩んでいた自分が馬鹿らしくなったのだ。
クレアは、彼が後悔して責めて来るなら甘んじようと心に決めて話を戻す。
「貴方って言うのも変ね・・・私はクレア、世渡クレア。名前は?」
「不動和真。和真で良いよ。キミ・・・クレアさんの話しからするにパートナーってことだろ?先の奴も相棒を見つけたかって言ってたから・・・もう二人でセット扱いなんじゃね?」
「私もクレアで良い・・・それにしても以外、ちゃんと聞いていたんだ?」
「聞いてるわっ一度殺されかけましたからね!クレアがスーツの実物出してくれて助かったけども・・・・」
ヘルメット・マスクの内側はモニターになっているアイアンマンスーツ、空想上の人型
「え!?」
クレアを押し退けて、リパルサーを放つ。飛来した斧が閃光に飲まれて消える。
「コツは掴んだ。助けて欲しいんだろ?」
夢ならば、思い通りに行く。
ああ、そう思い込め!
次元世界の崩壊を招きかねない
次元管理局は、先の事件で多大な戦果を残した奇跡の部隊に魔女を巡る事件を託すことになった。
正確に言えば、先の事件・・・J.S.事件で多くの戦力を失い、または負傷者をだした管理局に全面的な対応を取る力は残っていなかった。
何より、
「今回なのはちゃん達に出張ってもらうわけやけど相手は“レジスト”の一団と見て間違いない。追われている魔女の保護を最優先に離脱してな」
部隊長である八神はやては、軌道上に停泊させた次元航行艦アースラの会議室で、親友であり、信頼の置ける部下である高町なのはに内容を告げる。
レジスト、J.S.事件後に台頭した魔女狩り組織。
現状把握できているのは、魔女が
魔女の心臓とも言える器官、マナクォーツはロストロギアに匹敵するエネルギーを秘めていることの二点。
「今回は私だけで出るよ。敵の戦力も分からない以上、フォワードの皆を危険に晒すわけには行かないし皆全快じゃない」
なのはが言う。
幸い、管理局の非殺代名詞・ミッド式魔法は通用するので、長距離射撃・砲撃が得意ななのはは、比較的安全に対応できるのだ。
「ほな、なのはちゃん。状況次第じゃ即撤退やで?」
はやてが念を押した。
アイアンマンスーツMk50は、ナノテクノロジーを応用したナノマシンで装甲が構成されている。
特性として、装着者の脳波を読み取って質量さえ確保されていれば、武器を生成するという物がある。
和真は、クレアを庇いつつ追いついてこちらに斧を投擲してくるバルサーを迎え撃つ形になっていた。
「力の使い方をマスターしたか!ならばっ」
「それは悪手っ!」
右手のリパルサーで斧を迎撃しつつ、武器を剣に変えたバルサーが飛び掛ってきたところを左手のアーマーから拘
束装置を撃ち出す。
見事、バルサーの左足をアスファルトに縫い付けると和真は必死に考えた。
素人がいきなり戦場で、武器を考えろといわれて「はいそうですか」と明確に銃や剣を直ぐに連想できようか?否。出来ないだろう。その為、右手に現れたのは、
「ジャーヴィス、サポートよろしく!」
アーマーが変形し、フライパンをかたちどったのである。
「ふ、フライパンだと!?」
バァン!と殴りつけたれたバルサーが、道路に頭を強打して僅かにバウンドするのを見届けるクレア。
「嘘・・・勝った!?」
「気絶しただけだ。ホラ逃げるぞ、つかまっ!?」
クレアに歩み寄り、先ほどのように飛行しようとしたところ閃光に飲み込まれた。
・
一般の女性を「魔女」に変えてしまう物質。
作中でも触れている通り、魔女となった女性の意のままに武器として手元に出現させられる。
イメージとしては水銀のような液体状の金属、クレアは主に槍・弓を形成・使用する。
・魔法兵器
管理局のデバイスとは異なり、しっかり殺傷能力を秘めた魔女が扱う武器。