クレアは目のまで起きた事についていけていなかった。
ただ分かっていることは、自分が頼って巻き込んだ和真が追手を見事に撃退して撃墜された事である。
否、撃墜ではないか。
「え?ちょっと何!?」
「あっ!大丈夫、落ち着いて!危害は加えない。私は時空管理局、機動六課所属の高町なのはです」
ゆっくりと降り立つ白い制服を思わせる服装の女性、なのはに怪訝な表情を浮かべるクレア。
「貴方はレジストに追われていたでしょ?安全な場所に行ってから話を聞かせてもらえるかな?」
クレアでも分かる。
なのはと言う目の前の少女は紛れもない歴戦の猛者で、時空管理局の者だといった。ならば、和真を撃ったのはなんだったのか?
「高町さんだっけ?其処でのびてるのっぺりしたマスクの彼、私の味方だったんだけど」
そう言うとなのはは「え!?」と驚いた表情を露にした。
和真が巻き込まれた砲撃の図太い光の帯を見届ける人物が二人いた。
腰には特長的な変身できそうなベルトを捲いて、走行を身に纏う戦士が二人。
一人は赤と青の複眼、もう一人は額に龍のような装飾のある戦士。
「あそこに行きますか、さっきまでの戦闘音も気になるしな」
「おい、戦兎。こいつ等何なんだよ?」
二色の複眼の戦士は、呼ばれて自分たちが倒した戦闘人形を指差した。
「知るか!少しは自分で考えなさいよ・・・・やばい!!」
カメラフィルムくらいの大きさのボトルをスマフォのケースに差し込むとバイクに変形、戦兎と呼ばれた青年はバイクに跨るとエンジンを吹かした。
「うおおっ!?ちょっと待てよ!!」
「万丈、早くしろ!!」
もう一人の戦士、万丈と呼ばれた青年も後ろに跨るとバイクは発進。
濁流のように押し寄せる無数の
こんこん、とマスクをノックされて和真は意識を取り戻した。
バルサーは気絶程度、ならば!っと文字通り飛び起きてリパルサーを構える。が、ほっと胸を撫で下ろすクレアと少し申し訳なさそうな表情のなのはが目に入る。
どうやら、敵組織の増援ではないらしい。
『先ほどの光ですが、其処の女性が放ったものの様です。』
「・・・・人ですか!?」
『マスター、彼女は間違いなく人間だと思われます』
ジャーヴィスが適切にツッコミ、返答を行う中で目の前の女性・高町なのはは敵ではなく第三勢力・・・敵の敵は味方らしいという結論に至る和真。
手を下ろし、マスクを解除すると一息ついた。
「あの、ごめんなさい。私は時空管理局に所属する高町なのはと言います・・・・」
『マスター、敵多数接近』
なのはの杖、デバイスのレイジンハートが敵の接近を警告し、同時にマスクを再展開した和真もマスクモニターにセンサーが捕らえた敵の数が表示されると溜息を吐いた。
「高町さんだっけ?クレアを連れて逃げてくれ。」
「え?貴方も・・・・」
「大丈夫、だってもう来た」
カズマが指差すとバイクが一切減速せずに飛び出してきた。
仮面ライダービルド、桐生戦兎と仮面ライダークローズこと万丈龍我と供にレーザービームに驚きこそすれば、一切の減速をせずにアクセルを吹かした。
「おい!何だよアイツ等!?」
「俺が知るわけないだろ!兎に角っ!!」
即答しつつ、戦兎はバイクをドリフトさせながら急停止するとベルトに差し込まれたボトルを一つ抜いて、新たに一振りしたボトルを嵌めこんだ。
『ラピット!ガトリング!Are you ready?』
「ビルドアップ!」
新たなフォームに姿を変えるとのっぺりとした赤基調の男と背を合わせるように背後にも迫る戦闘人形へガトリングガン型のマッチウェポン・ホークガトリンガーを連射した。
「敵じゃなさそうだ」
「良い読みしてる・・・で、誰?」
「仮面ライダービルド、創る・想像するって意味のビルドだ。コイツは筋肉バカ」
「おいっ!!」
「そうか、マッスルバカか。」
「お前も初対面に向かって大概だな!?」
青年三人のやり取りは実に自然な流れで掛け合いが行われた。
龍我が数年来の友人と話すような気軽さでツッコミに徹し、戦兎がボケて和真が更にボケる。それでいて戦いは続いている。
戦兎=ビルドはホークガトリンガーで絶え間なく弾丸をばら撒き、和真はリパルサー・レイを照射、とっさに剣型の武器・ビートクローザーの刀身で反射させたマッスルバカこと龍我=クローズが剣の角度を調節することで複数の戦闘人形を焼き切った。
アースラで観測された戦闘人形の数は、なのはの砲撃を加味しても排除しきれる物ではなかった。
艦長席で唸るはやて。
なのはは転送すればいい。が、クレアや和真、ビルドとクローズは管理局員ではないからこちらから強制転送は出来ない。
管理局員の認証か、間接的に触れていなければデバイスが認証しない。
それは今まさに奮起する青年たちを援護し、特大の砲撃を放つなのはも同じ思いだった。
(数が多すぎる!このままだと・・・・)
思考を巡らせて活路を探すなのは、事態は更に悪化する。
「き・さ・まぁぁぁぁ!!」
目が覚め、怒りに身を任せたバルサーが巨大な剣を手に和真に攻め寄った。
何処から出した!?何て質問は野暮だろう。
「何だコイツ!?」
「ああ、敵だよ。人形達の親玉だ!」
急速にMk50の使い方、性能を把握していく和真は、ビームキャノンを形成する。νガン○ムのフィン・ファンネルのような部品が肩甲骨辺りから現れ、両手首辺りからを強化
パーツが覆うと答えながら放つ和真。
「なら、倒して良いんだよな!?」
『ラピット!タンク!ベストマッチ!!Are you ready?』
ベルトに新たなボトルを差込、レバーを操作する戦兎。
「勿論!逃げるにしても邪魔な奴だ!!」
ビームを放ち、バルサーをフッ飛ばすと直ぐにリパルサーキャノンへ換装。戦闘人形へ高出力リパルサーレイを見舞いながら和真が答える。
鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!!
専用の音声の後、ビルドは基本形態のラピットタンクフォームを纏うと左足装甲に仕込まれたのスプリングを利用して飛び掛る。
アースラの転送ゲート前には、機動六課の主要メンバーが集まった。
なのは、はやての親友であるフェイト・T・ハラオウンは機動六課が誇るライトニング分隊の隊長だし、時空管理局でも有数の実力者。
さらには先のJ.S.事件で活躍した機動六課のフォワードチーム五名だ。
現状動かせる最大戦力が揃ったわけではあるが・・・・。
「みんな、なのはちゃんが民間協力者を保護次第全力で離脱や!」
部隊長であるはやてのまさかの離脱宣言である。
戦況は一言で言えば、異常数の補給パーツを得たバルサーが、ただ暴れる。ビルド、クローズのダブル必殺キックを受けて破損すると直ぐに戦闘人形を変形・変化させて左に大型の篭手、右に隻腕一体型のブレードを生み出す。
「ならコイツで!」
『ゴリラ!ダイヤモンド!ベストマッチ!!Are you ready?』
ビルドがボトルを換装、レバーを回す。同時にバルサーの肥大化した左拳がビルドを捉えて吹っ飛ばした。
「ヤバイ、ヤバイヤバイ・・・どうしよう?どうすれば良い!?ねぇ!!」
「そんなもんっ!!」「ハルクバスターをください!!!」
混乱しだしたクレア、クローズが右のブレードを蹴り上げ、和真がフットクランプ展開からのパワーマレットで下あごをぶん殴る。
「ぐぷっ!調子にっ・・・乗るなぁぁ!!」
即席ながら、クローズと和真のチームプレーに圧され始めて力任せにそれを振り切るバルサー。
吹っ飛ばされたビルドは未だに姿を見せず、徐々になのはとクレアに近づきつつある。
抵抗する二人、クローズとビルドのように歴戦の猛者という訳ではない和真は正直限界が近い。
「なのはさん!」
「応援に来ました・・・・」
青い髪の二人、ナカジマ姉妹が目を丸くした。
「スバルとギンガ!?二人共どうして」
「八神部隊長がレジストの二次被害を懸念して保護対象を早急に保護、その後に離脱すると支持を出しまして、なのは隊長一人では荷が重いと」
「市街地では私たちの方が機動力に秀でますから!」
となのはの部下らしいスバルとギンガが経緯を説明、すぐになのははバルサーに視線を向ける。
和真が頭をつかまれ、クローズは殴り飛ばされ四人の足元に転がってきた。
ばきんっ!と金属が割れるような音と供に和真の頭部装甲が剥がされ、同じく殴り飛ばされると飛び出してきたビルドにぶつかって七人は集まる事になった。
「すまん!二色の人」
「いや、ビルドだからな!?」
意外と大丈夫そうである。
結論だけ言うと和真達は逃げ切った。
幸運だったのは、なのはの周りにビルド・クローズ・和真・クレアが集まったこと。なのはの部下であるスバルとギンガ、ナカジマ姉妹が前衛型でバルサーの一撃を一定時間防げたことでなのはの最大技であるスターライトブレイカーをフルパワーで放って目くらまし兼集束砲のストッピングパワーで時間稼ぎ。
それが一週間の一戦となる。
「当分はMk50に制限をかけて対応するか。」
現状で、和真とクレア、龍我と戦兎の4人は保護兼民間協力者・・・所謂実戦にも出せるバイトとしてなのはが教導官を勤める訓練に参加している。
そして、元の生活には戻れないとクレアから言われたように自分を取り巻く現状に「だろうなぁ」と悟っていた和真は技術部に篭ってアイアンマンスーツに制限を掛けていた。
和真はトニー・スタークのように天才ではない。
ジャーヴィスが見つけた設計データを元に、プログラムを三日徹夜で解読してミッドチルダ仕様とも言うべき型を確立したのが今だ。
当分火器類は実弾を封じる形になる。
ま、メインはリパルサー等の光学兵器類なのでどうにでもなるだろう。
「和真くん、おるか?」
「はい、いますよー八神部隊長」
空気が抜けるようなプシューッ!と言う自動ドアの開閉音と供にはやてが顔を覗かせた。
機動六課内に限るが技術部といい自由に出入り、使用を認めてくれた人である。
元の生活に戻れないと女々しい話ではあるが落ち込んでいた所、はやてはこのような寛大な処置を取ってくれた。
何でも「いきなり魔法に触れて右も左も分からなかったのは私もやから」らしい。
はやて、なのは、フェイト。
機動六課の中核である二人と大黒柱である部隊長のはやて、三人の過去を詮索する気はないが、うん。
近しい境遇からこの世界に入ったのかもしれない。
「何でもクレアちゃんのデバイスを組んだらしいやん?しかもシャーリー顔負けの精度らしいし」
はやてが感心したように言った。
「機械に強いだけが取り柄ですから。」
そう答えると続いてクレアがデバイス『グレイヴ』を持って現れた。
クレアは基本的に、なのはに戦場でパニックならずに済む様に訓練を受けている。
戦兎は和真と同じく技術部に篭って適応させたビルド
龍我?龍我は訓練場でスバルとギンガ、二人を相手にスパーリングが訓練中は当たり前の光景だ。今もそうだろう。
「あのさ、アサルトモードとの切り替えが少しぎこちないんだけど」
「ごめんね、和真くんしか見れないってシャーリーが・・・」
続いてなのはも現れて口添えした。
うん、クレアが魔法武器を使わない代わりに魔法武器に近いものをと基礎フレームまでシャーリーことシャリオ・フィーノと供に組んだ。
シャーリーが切り上げて、眠りについた翌日にはグレイヴは仕上がっており、ジャーヴィスがシャリオに記録、設計データを見せた所「あ、コレは私の手に負える代物じゃないわ」と言うビギナーズラック全開の代物を作り上げた。
基礎理論等を纏めた広辞苑ばりに分厚い論文本を読破した戦兎が驚愕し、シャーリーも驚いた。
そう、独創的な設計データは基本に沿ったシャーリーの物とは別物で実に前衛的な仕上がり。
シャーリーから見れば「どうして完成した?」のか分からない構築なのだ。
「・・・・オーライ、反応速度を0.3%上げる。それでまだぎこちないと感じるならまた来てくれ、今度は十回分の変形データと一緒に持ってきてくれるとありがたい」
「シャーリーみたいや・・・いや、シャーリーより判断はやいし的確や」
「ま、自分で組んだ武器ですし・・・クレアのクセは何度か訓練で分かりましたから」
と驚くはやてに答えると異常を知らせる赤ランプが回った。
ミッドチルダ山岳部に走るリニアレール、その車両にガジェット・ドローンⅣ型といわれるシャープなデザインの雑魚が群がっていた。
「レヴィアタン、人命優先だ。分かっているね?」
青いヘルメットに青い丸みを帯びたアーマーの青年が、似たようなデザインアーマーを纏う少女に言う。
「分かっているわ、エックス様!」
ハルバートを一閃し、ガジェットⅣ型を切伏せるレヴィアタン。
エックスとレヴィアタン。
この二人の無双しているお蔭でリニアレールの外装に傷こそ着いても運転手・乗客に被害は出ていない。
「新手!?」
エックスが鋭い視線を空に向けると先行したアイアンマンが視認できた。