けものフレンズ系 思い付き短編集   作:yatagesi

3 / 7
今回も鉄道ネタ、時期設定とかは全くなし。

ただ旅をさせたかった、それだけなんだ、許してくれ。


旅するフレンズ

鉄道での旅が好き。

そういうと、ほかのフレンズには変な顔をされる。

フレンズが鉄道に乗るときは、遠くでイベントとか、アイドルのライブとか、しかも余裕があるときに限る。

でも、私は違う、鉄道に乗って旅をするのが好きな、変わり者。

私はチベットスナギツネ、ジャパリパークのサンカイで暮らす、変わり者のフレンズ。

 

「ふぅ、おいしい」

 

仕事を終えて、何処にも寄らずに直行してきたから、夕飯と一緒に買ったお茶が美味しい。

自分がいるサンカイセントラル駅はサンカイエリア最大の駅、こんな時間でも観光客が沢山いる。

 

「まぁ、誰もこっちは見てませんけど」

 

観光客が沢山なのはパークセントラルからくる列車のホーム、こっちのアンイン方面のホームは自分だけ、少し早く来すぎたみたい。

 

「ホームに来るまで後10分ならそうでもないか」

 

観光客相手の列車は時間厳守だけど、職員、フレンズ相手の列車はそうでもない。

ホームに定刻通りに来ても、出発が遅れるのはよくあるし。

あっ、騒がしくなってきた。

 

「今のうちに、切符を確認」

 

サンカイセントラル駅発、ホクリクエリア経由、アンインセントラル行き、よし。

パークスタッフカード、よし。

後は列車を待つだけ。

 

「・・・来た」

 

遠くに明かりが見えて近づいてくる。

赤い機関車がホームに入り、その後ろに青い荷物車に客車、これから乗る列車。

 

「ナイトサファリ・アンイン、こじんまりしてて良いですね」

 

パークの職員、フレンズ向けの車両は古い車両が沢山ですけど、観光客の目に触れるので見た目は綺麗です。

機関車はよくわかりませんが赤いディーゼル機関車、客車は急行型客車が5両、荷物を積む荷物車、その間に、自分が乗る車両。

 

「やっぱり寝台車は私だけ」

 

寝台車、本当は一つの群れみたいに使うらしいけど、ポツンと1両くっついてる。

乗るのは自分だけ、まぁ、普通に乗るには高いし。

 

「切符拝見」

「どうぞ」

「パークスタッフカード認証、職員優待切符ヲ有効ト判断、ヨイ旅ヲ」

「ありがとう」

 

車掌のボスにスタッフカードと切符を見せる。

改札でもしたけど、不正防止とかでこうしないと安くならない。

これの為に頑張ってパーク関連会社の職員になったようなものだし。

 

「私の席は、ここですね」

 

座席は真ん中、誰もいないから車両は貸し切り同然。

これだから寝台列車の寝台車は楽しい、座席車は夜行性の子や職員が沢山乗るから少し窮屈だけど、此方は高い分楽に眠れるし静かだし。

 

「ふぅ、横になれるのはやっぱり良いですね」

 

寝台は広くないですけど寝転べるので楽ですね。

今日も1日よく働きましたし、体も疲れてます。

 

「次のお茶を・・・あ、いつの間に」

 

列車が発車してる、まどろんでる間に出発時間が来たんですね。

駅を出てすぐは建物がいっぱいですけど、少しすると、サンカイならではの光景が広がります。

 

「星がきれい」

 

サンカイエリアは砂漠と荒野が大半で、海辺や川沿い、オアシスの回りに町がある。

その間を結ぶように鉄道や道路が整備されてる。

だから町から少し離れるだけで街灯も減って星がきれいに見える。

 

「・・・星を見てたらお腹が空いてきました」

 

星は綺麗でもお腹はすきます。

買ってきたジャパリまんでささやかな晩餐を。

 

「やっぱり、ジャパリまんは美味しいですね」

 

急いでるときは取り敢えずジャパリまん、外れなしは正義ですね。

とはいっても、やっぱり飲み物は欲しいですね、買って来ましょう。

 

「今は止まってましたか、さて、ほうじ茶はあるでしょうか?」

 

パークだと夜行列車は貨物列車や荷物列車の合間を縫って走るんで、こうして小さな駅で止まることはよくあります。

揺れないので入口と反対にある自販機にいくのも楽ですし。

 

「ありましたね、おや、あれは」

 

隣のホームにいるのは、貨物列車みたいですね、アンインから来たのなら、あと少しで目的地か、そのままセントラルかですね。

っと、こっちが動き出す前に、座席に戻らないと。

 

「あぶないところでした、こぼしたらかっこ悪いですし」

 

この辺りから、動き出すときに結構来るんですよね。

これまでどれだけのほうじ茶が犠牲になったか、覚えたくもありません。

 

「山間だと、星もよく見えませんね」

 

北上すると線路は山肌にそって引かれてるので、夜の車窓はつまらないんです。

こうなると、出来ることは一つだけ。

 

「おやすみなさい」

 

消灯前ですが寝ます、どうせ深夜は事故防止で走りませんし。

 

ーー

ーーー

ーー

 

「・・・あぁ、朝ですか」

 

折角の夜行列車なのに、夢に職場の人間が出てくるなんて、しかもフェリー移動でしたし。

 

「朝御飯は・・・忘れてました」

 

ジャパリまんはきのうの夜に全部食べちゃいました。

車内販売もないですし、終点につくまでなにも買えません。

一番は、いまどこにいるかですけど。

 

「ジャパリ大鉄橋の上」

 

パークの外に広がる大海原を楽しめる絶景ポイント。

この景色を見ながら朝御飯はを食べられたら、最高だと思います、本当に。

でもありません、終点はまだ先なので、朝に朝御飯も難しいです。

 

「もっとジャパリまんを買うべきでした」

 

後悔先に立たず、仕方がないので飲み物で誤魔化しましょう。

私は鉄道の旅が好き、でも、旅はうまくありません。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。