なんでこんなことになってしまったんだろうか。
辺りに薄煙が漂う中、俺は今までの時を想い返していた。
必ずしも最初から間違っていたわけではないはずだ。
がしかし、どこかで間違えてしまったからこそ、今こんなことになってしまったのだろう。
「剣を持て、構えろ!何やってんだ!」
大剣を持った少年が龍型のモンスターの爪撃をいなしながらこちらに向かって叫ぶ。
「ごめん、みんな……こんなつもりじゃ、こんなはずじゃなかったんだ…」
目の前で繰り広げられる仲間たちと敵の攻防を見、それがどれだけの死闘かということが分かりつつも、俺はもう立ち上がる気力を失っていた。
耐えきれない謝罪の念に口を開いたが、果たして彼等には聞こえていただろうか。
「ガァァァァァァァァァ!!」
敵、龍型モンスターはギラリと光る歯が並んだ口を大きく開き、深呼吸を始めた。
あの構えばブレス。龍型モンスターは種的にブレス系統の攻撃を多用すると伝書で読んだことがあったが、目の前のコイツはいままで爪や尾といった物理攻撃を繰り返し、絶大な威力を誇るとされているブレスを全く使ってこなかった。
「くっ、ニーゼス!移動魔法、ルクトを始祖の町へ飛ばせ!!」
拳士の少年が呪士の少女に指示を出す。
最初は唖然としていた呪士の少女だが拳士の考えがわかったのか、コクりと頷くと共に移動魔法の詠唱を始めた。
長い付き合いから彼等が何をしようとしているのか分かってしまった俺は呪士の少女へ目を向けるが、彼女はもう意を決したようで強い眼差しをこちらへ返してきた。
やめろ。やめてくれ。そんな目で俺を見るな。
俺はもう……。
龍型モンスターの口が七色に光だし、大気が震える。
まともに受ければ防御を無視した死の閃光が俺達の体を貫き、もう二度とその目が開くことはなくなるだろう。
「リリース、始祖の町!」
移動魔法の詠唱を終えた呪士が杖を掲げると共に俺の回りには眩い光の円が生まれる。
「ルクト、大丈夫。今度は失敗しないわ。私達よりずっと強い仲間を見つけて、もっと強い装備でまた帰ってくればいいの。
きっとやれるわ。私はそう信じてる」
呪士の少女は母が子に諭すような優しい声色でそう言ったが、その優しい諭すような声がいまは何よりも辛い。
「俺は…俺はッッ…!!」
「私ね、ホントはルクトの事……」
龍型モンスターが轟音を立てて背中の四翼を地面に打ち、上空へとゆるやかに昇りながらブレス発射体勢をとる。
彼女の声が最後まで聞こえる前に、移動魔法が起動し、俺は激しい速度で上昇を始め、始祖の町と呼ばれる町へ飛ばされた。
「バイバイ……」
「3、2、1、マイクロウェーブ、来ます!!」
辺りが白で染まった。