ソードアートオンライン~Immortal Legends~ 作:ワッタン2906
最近は、何とか月一投稿を続けれてます。
多分それは、Twitterのタイムラインとかで流れてくる、他のハーメルン投稿者の方々の、進捗報告などに執筆意欲が湧きたてられてからだと思います。
それでは、第十三話をどうぞ!!
2024年4月23日 (火) PM12時03分
──第五十七層 マーテン──
「ホントにきちゃったよ.......」
ユウキが呟く。
アスナがメッセージを送って三十分後、昼飯オゴるから、という俺の追記に惹かれたのかは分からないが、本当にその男が現れたのは驚いた。
転移門から件の男が進み出てきた途端、広場を行き交う多数のプレイヤー達が激しくざわついた。ローブを見にまとい、長髪を束ね、まるで《魔道士》みたいな雰囲気をまとう男。
《血盟騎士団》のリーダーにして、アインクラッド最強の剣士、《神聖剣》ヒースクリフは、俺達三人を見つけると、近づいて来た。ヒースクリフが俺達の前に来ると、アスナがびしいっと敬礼をした。
「突然のお呼び立て、申し訳ありません、団長!!」
「何、構わんよ。かの《黒の剣士》キリト君にご馳走して貰える機会など、そうそうあろうとも思えないしな」
ヒースクリフにそう言われ、俺は肩をすくめる。
「あんたには、ここのボス攻略戦で十分もタゲを取ってもらった礼をまだしてなかったからさ。そのついでに、ちょっと興味深い話を聞かせてやるよ」
「ふむ、そうか。所でアスナ君、ヒロ君が居ないがどうしたんだ?」
ヒースクリフが辺りを見回し、ヒロの姿を探す。
その言葉に俺達は、微妙な顔をした。
俺達が微妙な顔をする訳については、三十分前に遡る。
~三十分前~
『わ、ワリィ、俺コノアト用事ガアルカラ、三人デイッテクレ』
とヒロは、誰からの目でも見ても分かりやすい嘘を吐き、俺達が呼び止めるまもなく、何処かへと行ってしまった。
大方、昨日怒られたばかりで、顔を合わせづらいなのだろう。
三人が微妙な顔をする中、「ふむ」とヒースクリフは頷き、呟いた。
「.......なるほど、大体分かった。大方私と、顔を合わせづらいなのだろう」
(((バレてるし.......)))
ヒースクリフの言葉に、三人は同じことを思っていると、ヒースクリフが再び言葉を紡ぐ。
「全く彼の人間性には、心底手を焼かされるよ.......まあ、そういう部分が彼の良いとこでもあり、私が尊敬する部分でもあるんだがな」
ヒースクリフのその言葉に、俺は前々から疑問に思っていたことをぶつける。
「なあ、あんたは何で、アスナだけではなくヒロをギルドに入れたんだ?」
アスナだけをギルドに入れるのは分かる。だが、言ったら悪いが俺と同じく攻略組の中でも割と不良であるヒロをギルドに入れる理由が見当たらない。
「ふむ.......それは理由が二つあるな。まず一つ、彼は少々人間性に問題があるが、実力は申し分ない。さらに加え、ああ見えて彼は面倒見がいい。最後一つだが.......これは、直接本人かアスナ君に聞くといい.......もっとも教えてくれるかは分からんが.......」
「だ、団長!?」
ヒースクリフがそういうと、アスナが驚きの声を上げる。心なしかその顔は赤みを帯びていた。
「おやおや、これは失敬.......さてキリト君、そろそろ行こうとしよう」
「あ、.....わ、分かった」
俺はそう言うと、ヒースクリフ達をメシ屋へと案内する為に歩き出した。
「.......あ、ああ〜、なるほど、そういうことね(ボソッ」
「ユ、ユウキ!?な、何が!?(ボソッ」
「.......アスナ、頑張れ(ボソッ」
「いや、違.......そう言う事じゃなくてねユウキ!?(ボソッ」
女性陣が何やら言っていたようだが、俺の耳にはその話し声は届かなかった。
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「.......行ったか」
キリト達とヒースクリフが会ったのをこっそりと確認してたヒロは、建物の影から出てきた。
「....ふぅ、俺が悪いとはいえ、今は会いたくなかったからな」
ヒロは、そう言うと一息つき、ウインドウを操作し始めた。そして、ウインドウ操作の手が止まる。そこには、三人のプレイヤーが写っていた。一人はヒロで、あと二人は、男性プレイヤーと女性プレイヤーが写っていた。
「.......じゃあ、俺は探しとしますかね.......どこにいるんだ?「ノーチラス」.......」
ヒロはそう言うと、人混みの中へと消えていった。
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2024年4月23日 (火) PM12時21分
──第五十七層 マーテン──
KOBのNO.1とNO.2を招待したのは、俺の知る限りアルゲードで最も胡散臭い、謎のNPCの飯屋だった。アルゲードのまるで迷宮のような裏路地を、右に左へと歩き、ようやくその店に辿り着いた。店を眺めながらアスナが言った。
「.......よく、こんな場所の店見つけたわね」
「前に、セツナとユウマでここを散策したんだよ、んでその時に見つけた」
そう答えると、ユウキが俺に尋ねる。
「へー、ちなみに味は?」
「.......それは、後でのお楽しみだ」
恐らく俺の顔は、引きつっていただろう。
何故引きつっていたのかと言うと、そう言うことだからだ。
「帰りもちゃんと案内してよね、わたしもう広場まで戻れないよ」
アスナがそう言うと、ヒースクリフが何事も無いように呟いた。
「.......道端のNPCに頼めば、10コルで広場まで案内してくれる。だが、その金額すら待ってない時は.......」
そう言うながら肩をすくめると、ヒースクリフはスタスタと店の中へと入っていた。
「「「.......」」」
三人でヒースクリフが店に入っていくのを見ると、アスナとユウキはそれぞれ無言で《転移結晶》を準備し、中へと入った。
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狭い店内は、期待通りに全くの無人だった。安っぽい四人がけテーブルへと座り、陰気な店主に《アルゲードそば》を全員分注文してから、氷水をすする。すると、ユウキの向かいに座るアスナが呟いた。
「.......なんだか.......残念会みたいになってきたんだけど.......」
「気のせい、気のせい。それより、忙しい団長殿の為に早速本題へ入ろうぜ」
ヒースクリフに、昨夜のあらましを(といっても、圏内で殺人が起きたことだけはヒロとアスナは伝えていた)、俺とユウキが説明した。俺たちが説明をする間にも、ヒースクリフの表情は変わらなかったが、カインズの殺された方のあらましの場面で、片方の眉がピクっと動いた。
「.......というわけで、団長様の意見を聞きたい」
俺が最後にそう締めくくると、ヒースクリフは氷水を口に含み、ふむ、と呟いた。
「.......では、まずはキリト君達の推測から聞こうじゃないか。君達は、どのように今回の《圏内事件》の手口を考えているのかな?」
話を振られ、ユウキと顔を一瞬だけ見合わせ、ヒースクリフに向けて指を三本立てた。
「まあ、一応さっき、アスナとヒロには言ったけど、.......大まかには三通りだよな。一つ目は、正当な圏内デュエルによるもの。二つ目は、既知の手段を組み合わせた、システムの抜け道。三つ目は.......」
「三つ目は、コードを無効化するスキル、あるいはアイテム.......かな」
俺とユウキが、俺達の推察を説明し終わると、ヒースクリフが真っ先に断言する。
「三つ目の可能性は除外して良い」
「.......断言しますね、団長」
言い切ったヒースクリフの顔を、思わずまじまじと凝視してから、アスナは言った。
「想像したまえ。もし君らがこのゲームの開発者なら、そのようなスキルやアイテムなど設定するかね?」
ヒースクリフに問われ、再びユウキと顔を見合わせてから、二人同時に答えた。
「まあ、しないかな」「いや、しないよ」
「何故そう思う?」
ヒースクリフの二度目の質問に、俺は代表して答えた。
「そりゃ.......フェアじゃないから。認めるのもちょいと業腹だけど、SAOは基本的に
ヒースクリフにそう言うと、口に微笑を浮かべた。
「ふむ.......それを言われると、ちょっと痛いが。まあ、キリト君の言う通り、基本的にこのSAOでは、公正さを貫いているのは確かだ。なら、そんなスキルやアイテムが存在するとは思えない.......まあ、でも確かに私の《神聖剣》はフェアではないな.......まあ、それでもちゃんと、スキルレベルの上がり方は正常だったがな」
「へぇー、そこはちゃんとフェアなのか」
「ああ、他のスキルと同じように、上がり方は一定だったよ。私とて、完全習得したのは1ヶ月前の話だがな」
そこまで話すと、ユウキが話に割り込んできた。
「ちょっと、キリト。話脱線してるよ」
ユウキがそう言うと、アスナがため息混じりに首を振り、ユウキと同じように言葉を挟んだ。
「どっちにせよ、3つ目の可能性を探るのは時間の無駄だわ、.......てことで、仮説その一、デュエルによるものから検討しましょう」
「ああ、よかろう.......ところで料理はまだなのか.......」
ヒースクリフがカウンターの奥を見ながら言うが、料理は出てくる気配がない。
机の上の水差しを、ヒースクリフのコップへと注ぎながら話を続ける。
「圏内でプレイヤーが死んだならそれは、デュエルによるものってことがまぁ、当たり前だよな、けど.......」
「けど、あの時はウィナー表示は出てなかったよ。あの人数で見つけれられないってとことは無いから、断言してもいいかも」
俺とユウキがそこまで続けると、アスナが首を傾げ俺たちに尋ねてくる。
「.......そもそも、デュエルのウィナー表示って何処に出るの?」
「決闘者二人の中間位置」
即座に、ヒースクリフがアスナの問いに答える。
「あるいは、デュエル終了時にお互いが十メートル以上離れていると、二人の近くに出現する」
「.......よく知ってんな、ということはあの時は、二人の近くに出現していないと、ダメな訳か.......でも、出なかったってことは、やっぱり.......」
「デュエルじゃない」 「デュエルでは無い」
女性陣二人が、俺の推測の結論を口に出した。
「.......そう言うことになるな、.......で残りの選択肢はシステム上の抜け道.......か」
「カインズさんの死因は、《貫通継続ダメージ》なのよね」
「うん、でもそれはさっき、ボクとキリトが実験して、圏内に入ればダメージは止まるってことは分かってるよ」
「でも、カインズは確実に圏内で発生した《貫通継続ダメージ》で死んだのも事実だ.......そこのトリックさえ分かればなぁ」
そこまで話すと、NPC店主がお盆の上に白いドンブリを四つ乗せて持ってきた。
「.......お待ち」
やる気皆無な声とともに、NPC店主は白いドンブリを机の上に乗せ、カウンターの向こうへと戻って行った。
女性二人が、ドンブリの中を見つめながら言った。
「.......何なの、この料理?」
「ラーメン.......かな?」
「に、似た何か」
二人の問に答え、俺は割り箸を割り、スープに沈む縮れ麺を引っ張り上げた。
寂れた店内に、麺をすする音が四つ侘しく響いた。
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数分後、空になったドンブリを机の端に押しやってから、向かいに座る男を見やった。
「.......で、団長殿は、何か閃いたことはあるかい?」
スープまできっちりと飲み干し、ドンブリを置いたヒースクリフは、コップの水を飲み干すと、言葉を発した。
「.......これは、ラーメンでは無い。断じて違う」
「うん、俺もそう思う」
俺がそう言うと、まだ麺をすすってる女性二人がうんうんと頷き返した。
「では、この偽ラーメンの分だけ答えよう.......現時点の材料だけで《何が起きたのか》は断定することはできない。.......だが、この事件で確実と言えるのは、君たちがその眼で見、その耳で聞いた情報だけだ」
「.......?どういう意味だ.......?」
「つまるところ、このSAOに於いて、直接見聞きするものは全て、コードに置換可能なデータである、ということだよ。そこに、幻覚や幻聴などという、不確かな物の入り込む余地などない。.......逆に言えば、データでは無い情報には、常に幻や欺瞞が内包される。.......この事件を追いかけるならば、己の脳がダイレクトに受け取ったデータだけを信じることだな」
ご馳走様、キリト君。と最後に言いそえ、ヒースクリフは立ち上がり店を出ていった。「何故こんな店が存在するんだ.......」そんな呟きが微かに聞こえた気がしたのは、気のせいだろう。
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2024年4月23日 (火) PM13時14分
──第五十七層 マーテン──
「おーす、どうだった?」
俺達を見つけるや否や、ヒロがそんな声をあげながら近づいてくる。
そんなヒロに俺は、
「どうだったも何も、ヒロ。ヒースクリフの奴はお前が居ない理由すぐに嘘だと見抜いてたぞ」
そう告げると、ヒロは頭をかき、
「ああー、.......やっぱり?」
そう返した。
現在俺達は、あのラーメン屋を出るとヒロに連絡し、転移門広場へと(幸い迷うことは無かった)帰ってきていた。
「.......ふーん、団長がそんなこと言ってたのか.......」
「ああ、どういう意味か分かるか?」
「いや、さっぱり.......であの二人はどした?」
あの二人というのは、さっきからずっと黙ってるユウキとアスナの事だ。
先程からずっと黙って.......、
「アレだわ!!」
と、急にアスナが声をあげる。
「つまり、あの味は《醤油抜きの東京風醤油ラーメン》!!だから、あんな味なんだわ」
「「へ.......?」」
男性二人の気の抜けた声が上がった。
「ああ!!それだよ、それだよアスナ。何か足りないと思ったらソレだよそれ。醤油が足りないんだよ!!ね、キリト?」
「へ.......ああ、そ、そうだな?」
急にテンションが変わった二人に、俺はたじろいだ。
「決めたわ!!ユウキ、わたしいつか必ず醤油を作ってみせるわ!!」
「おお、アスナ頑張って!!」
女性二人が盛り上がる中、男性二人はただただ困惑していた。
「.......お前、何食わせたんだよ.......?」
「.......面目ない」
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「それで二人は、ヒースクリフの言葉の意味分かったのか?」
騒いでいた女性陣を落ち着かせ、本題へと移った。
「うーん、ボクは分からなかったけど.......アスナは?」
「わたしは、多分分かったよ。あれはつまり、伝聞の情報を鵜呑みにするな、ってことでしょう。つまり、.......この件で言えば、ギルド《黄金林檎》の、レア指輪事件のほうを」
「ってことは.......ヨルコさんを疑えってのか?」
アスナの推論に驚いた声を出す。
それもそうだろう、ヨルコさんは完全に被害者だからだ。
「恐らくはね.......でも、団長の言う通り、PK手段を断定するにはまだ材料が足らなさすぎるわ。こうなったら、もう一人の関係者に直接話を聞きに行きましょう」
「「もう一人の関係者?」」
アスナの言った《もう一人の関係者》が誰の事か分からず、ユウキと一緒に聞き返す。だが、ヒロは「.......なるほどな」と呟き、アスナと同時に俺達に向けて言い放った。
「「君(お前)から、あの槍をかっぱらってた人よ(だ)」」
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2024年4月23日 (火) PM14時00分
──第五十六層 主街区──
目的地へと着くと、視界右下へと表示されている、時刻がちょうど午後二時を示した。普段ならこの時間は、迷宮区攻略の午後の部が絶賛開催中の頃合だ。
だが、俺達四人は、迷宮区ではなく、城と言うよりは、もはや要塞と呼ぶべき、《聖龍連合》のギルド本部前に居た。
「しっかし、いくら天下のDDA様と言っても、よくこんな物件買う金があるよなぁ.......」
明らかに《血盟騎士団》の本部よりデカい《聖龍連合》のギルド本部を見上げながら、呟いた。
「まあ、ギルドの人数だけでは、DDAはうちの倍はいるからなぁ。.......うちの会計担当の人が、高効率のファーミングスポットを抱えてるはずって言ってたよ」
「へぇぇ」
そんなことを話しつつ、ギルド本部の最初の城門をくぐる。ここまでは、一応システム上誰でも入れるのだが、この二つ目からの城門からは、基本的にギルドメンバーしか入れない。
.......なので、門番とかは必要ないんだが、人手があるギルドは来客対応の為に、交代制で人員を配置していることが多い。《聖龍連合》も例に溺れず、二つ目の門の前には、二人の重槍戦士が佇んでいた。
「ちょっと、その辺で待っててね」
アスナがそう言うと、門番の方へと歩いて行った。
「こんにちは、わたし、血盟騎士団のアスナですけど.......」
アスナは門番へとそう話すと、門番へと用件を伝える。用件というのは勿論、俺から槍をかっぱらってた《シュミット》に話を聞く事だった。
「.......ねえ、ヒロ?この時間は、DDAも攻略に行ってるんじゃないの?」
アスナを除く三人は、城門に近い樹の下で待機していた。そしたら、ユウキがヒロにこのように尋ねた。
「んー、大丈夫だと思うぞ。だって.......」
そこまで言うと、ヒロはアスナの行った方をチラッ見ると、ニヤリと笑みを浮かべ、話を続けた。
「だって、シュミットはカインズと同じ立場で、狙われる立場だ。.......なら、簡単だ。身の安全を確保する為に、宿屋に立てこもるかあるいは.......」
そう言うと、コツコツと音がこちらへと歩いてくる、足音が二人分聞こええきた。足音の方へと、三人が視線を向ける.......
「.......籠城するか、だもんな。DDAの本部に」
視線の先には、アスナと神妙な顔色を浮かべたシュミットが歩いてきていた。
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カインズの要望から、あの場所では話したくないとの事だったので、場所を帰って市街地の広場へと移動し話しを聞くことにした。
「誰から聞いた.......指輪の事を.......」
カインズが尋ねてくる。
その顔は、眠れなかったのだろうか、明らかに昨日会った時より、やつれていた。
カインズの質問に、慎重に答える。
「.......ギルド《黄金林檎》の元メンバーから」
そう答えると、すぐにまた尋ねてきた。
「名前は」
「ヨルコさんだよ」
今度の質問には、ユウキが答えを告げると、
目の前の大男は、一瞬放心したように視線を上へと向け、次いで長く息を吐いた。そんな様子を見ていたヒロが、逆にこちらから尋ねる。
「なあ、シュミットさん。昨日あんたがキリトから持ってた槍の製作者、《グリムロック》。今どこにいるか知ってるか?」
「し.......知らん!!」
叫びながら、シュミットは首を振った。
「ギルド解散後は一度もメンバーとは連絡をしてないからな。生きてるか、どうかも知らなかったんだ!!」
早口で言いながら、視線が彷徨う。その様子は、どこからか狙われている事を怯えているようにも見えた。
と、ここまで黙っていたアスナが口を開いた。
「あのね、シュミットさん。わたし達は、《指輪事件》の犯人を突き止めようってわけじゃないの。昨日の事件の犯人.......残念だけど、現状で疑わしいのグリムロックさん.......に話を聞きたいだけなの。今の居所か、あるいは連絡方法に心当たりがあるのなら、教えてくれませんか?」
アスナに真剣な声で問われ、シュミットは少し固まっていたが、ボソボソと話し始めた。
「.......居場所は本当に分からない。でも、.......当時、グリムロックが異常に気に入ってたNPCレストランがある。ほとんど毎日のように行ってだから、もしかしたら今でも.......」
「ほ、ほんとか、なら、その店の名前を.......」
身を乗り出しながら、言いかけたその言葉を、シュミットが半ばで遮った。
「条件がある.......教えてもいいが、彼女に.......ヨルコに会わせてくれ」
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俺とユウキはシュミットを、アスナとヒロに任せ、
一旦離れて相談する。
「.......危険は、ない.......よね?」
「うーん、ないと思うけど.......」
ユウキにそう問われ、
しかし俺も即座に判断ができずにしばし唸った。
仮に、シュミットが《圏内事件》の犯人だった場合、ヨルコを次の標的に狙っている可能性が存在する。
だが、その可能性の場合、どうしてもソードスキルを発動させなければならないはずだ。
「.......俺たちが目を離さなければ、大丈夫な筈だ」
「.....そうだね.......分かった。ヨルコさんに確認とってみるよ。後、念の為に二人には、武器を外してもらった方がいいよね?」
「ああ、そうだな。悪いけど、頼む」
「リョーかいっ」
ユウキはそう言うと、ウインドウを開きキーボードを叩き始め、メッセージを送った。すぐにヨルコから返信があったらしく、返ってきたメッセージを見てユウキが頷いた。
「OKだってさ、キリト。」
「分かった。とりあえずシュミットを、ヨルコさんの宿屋へ連れてこう」
「うん、そうだね。まだ、ヨルコさんを部屋から出すのは危険だからね」
「ああ」
俺は同意すると、三人の待ってる方へと歩き出した。
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2024年4月23日 (火) PM15時46分
──第五十七層 マーテン──
「.......久しぶり、シュミット」
「.......ああ、もう二度と会うことはないと思ってたけどな」
シュミットをヨルコの止まっている部屋へと連れてきて、かれこれ五分程無言のままだったが、先に口を開いたのはヨルコだった。
現在部屋の中は真ん中に机が置いてあり、それを挟む様にして椅子が置かれている。ヒロとアスナは、部屋のドアの前で待機、俺とユウキはヨルコさんの座っている椅子の、右側の壁と左側の壁に待機している。
「シュミット、今は《聖龍連合》にいるんだってね。すごいね、私なんかは、ギルドが解散してから、上に行くのを諦めちゃったのに.......」
「オレのことはどうでもいい!!それより.......、訊きたいのは、カインズの事だ」
シュミットが、がちゃっと鎧を鳴らしながら身を乗り出しつつ、苛立ちを隠さないように言葉を発した。
「何で今更カインズが殺されんだ!?あいつが.......指輪を奪ったのか?
シュミットの叫びを聞いたヨルコは、シュミットを睨みつけた。
「そんなわけない。私もカインズも、リーダーの事を本心から尊敬してたわ。」
「それは.......、オレだってそうだったさ。なのに.......グリムロックはどうして今更カインズを.......。指輪の売却を反対した三人を全員殺す気なのか?オレやお前も狙われてるのか!?」
──演技には、決して見えなかった。シュミットの顔には、明確な恐怖が刻まれているように、俺には見えた。怯えるシュミットに対して、平静さを取り戻したヨルコは、カインズに言葉を投げかけた。
「私、ゆうべ、寝ないで考えた」
そう言うとヨルコさんは部屋の窓枠に腰掛けた。
「結局のところ、リーダーを殺したのは、ギルメンの誰かであると同時に、メンバー全員でもあるのよ。.......あの指輪がドロップした時、投票なんかしないで、リーダーの指示に任せれば良かったんだわ。.......だから、ただ一人、グリムロックさんはリーダーの指示に任せると言ったわ。あの人は、私達全員に復讐する権利があるんだわ.......」
しん、と落ちた沈黙の中、窓からの冷たい夕暮れの風が微かに部屋の中の、空気を揺らした。やがて、フルプレート・アーマーを纏った、歴戦のトッププレイヤーは、叫んだ。
「.......冗談じゃない。冗談じゃないぞ!!お前はそれでいいのかよ、ヨルコ!!今まで頑張って生き抜いたのに、こんな、わけも解らない方法で殺されていいのかよ!?」
シュミットの言葉に全員の視線が、ヨルコへと集まった。
ヨルコの唇が動き、何かを言おうとした─────
その瞬間、
とん、と乾いた音が部屋に響いた。同時に、ヨルコの口と目がぽかんと見開かれ、よろめきながら窓枠へと振り返り、枠に手をつく。
その背中には、
前後へと頼りなく揺れていた体が、窓の奥へと傾いた。
「「ヨルコさん!!」」
近くに居たユウキと俺は同時に叫び、窓の外へと手を伸ばし、ヨルコの体を引き戻そうとする。だが。
その手は虚しく、宙を切るだけで、ヨルコは音もなく、宿屋の外側へと落下していった。
石畳へと墜落し、バウンドしたヨルコの体を、青いエフェクトがつつみ、その体をポリゴンの欠片へと変え────。
漆黒のダガーが路上に転がった。
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(有り得ない!!あんな小型のスローイングダガーが、一撃だけで中層レベルのプレイヤーのHPを吹き飛ばせるわけない!!第一、ここは
ヨルコが消えた石畳から、無理やり視線を上にあげ、ダガーの放たれた方向を見る。
そして、それを見た。
宿屋から二ブロック程も離れた、同じ高さの建物。その屋根に、夕焼けの光を背景に、ひっそりと立つ黒衣の人影────。
「あいつか.......!!」
窓枠に右脚を掛けようとした瞬間────、
俺の隣の人物──ユウキが、既に向かいの建物の宿へと、一気に跳んだ。
「....!?おい、ユウキ!!」
俺はユウキに向けて叫んだが、ユウキは俺の叫び声には、目もくれず襲撃者を追う。
「くっ.......、二人とも、後は頼む!!」
俺は、アスナとヒロに向けそう叫ぶと、
俺もユウキの後を追った。
窓を飛び越え、屋根へと着地し前方のユウキを見る。
ユウキは剣を抜き、襲撃者との差を一ブロック程詰めていた。
「待ってろ.......!!」
俺もダッシュしながら、剣を抜き屋根の上を屋根へと飛び移り疾走する。
下を行き交うプレイヤー達は、俺達の事を敏捷力自慢の痛いパフォーマーだと思っているだろうが、そんなの関係無しに、ジャンプをし続ける。先程、ユウキが居た場所へと俺も追いつき、ユウキと襲撃者の距離が残り三十メートル程に縮まる。
すると、襲撃者は腰から、サファイアブルーの結晶──転移結晶を取り出す。
「くそっ!!」
俺は、腰からピックを取り出した。ユウキの方も、ソードスキルのモーションを取り、残りの距離を詰めようとしていた。
だがその瞬間、マーテンの街全体に、大ボリュームの鐘が鳴り響き渡ったと同時に、俺達の抵抗虚しく、漆黒のフーデッドロープ姿は呆気なく消え去った。
「「.......ッ!!」」
消え去った直後に、ちょうどユウキのソードスキルが、奴が居た場所に叩きつけられた。そして俺も同時にユウキの元へと追い付いた。紫の光が飛び散り、視界の中央に【Immortal Object】が表示された。
いかがでしたでしょうか。
今回の話は、アニメだけを見てる方だと分からないと思いますが、実は原作では、1回ここでヒースクリフに会ってるんですよね。もっと知りたい方は、SAOの8巻に収録されてるのでおすすめです。
さて今回は、冒頭の方の部分の事で、実はアスナとヒロの血盟騎士団のギルドに入ることになった経緯は、番外編で投稿しようかなと考えてます。当分先になると思いますが、しばしお持ちを。
そして今日は、二つお話することがあります。
一つ目は、二話前に実施したアンケートですが、ほとんどの方がユウキのオリジナルユニークスキルがみたいとの事でしたので、ユニークスキル登場させます。登場させるからには、設定をしっかりとしますので、期待しながら待っててください。
二つ目は、宣伝になるのですが、実は私、新しい小説の投稿を開始しました。原作は、SAOではないのですが、そちらも読んでくれるとありがたいです。下にリンクを貼っておきますので、読みたい方は是非
それでは、またお会いしましょう。
(きさらぎ駅って怖いですね.....)
↓例の新作
https://syosetu.org/novel/233348/
↓作者のTwitter
https://twitter.com/1bIY5VNohlwCjl9
質問です。今ユウキのオリジナルのユニークスキルの案があるんですけど登場させるか迷ってます。理由としては設定がまだ不完全だからです。つまり聞きたいことはユウキのユニークスキルを見たいですか?
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見たいです!!
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見たくないです(武器を登場させるかも)
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どちらでも、作者に任せます。