ソードアートオンライン~Immortal Legends~ 作:ワッタン2906
本当に申し訳ございません<(_ _)>
その代わり、前回よりかは文字数少しだけ増えたので読み応えは、多少あると思います。
それでは、4話目をどうぞ!!
2022年12月2日 (金) PM15時45分
─第一層 トールバーナ ─
「意外に人いるね」
「ええ....そうか?」
俺はユウキに聞き返した。
俺達は昨日の広告を見て、第一回攻略会議が開催される《トールバーナ》の噴水広場にやって来ていた。広場には、約三十人程のプレイヤーがいた。このSAOは、一パーティが最大六人、それを八つまで束ねて計四十八人の、
「うん、だってこの人達は死ぬ可能性があるのに、ここにこうやって集まったんでしょ」
「なるほど.......そういう考え方もできるのか.......」
そうこうしている内に、会議開始10分前になっていた。今も少しずつだが、広場にはプレイヤーが集まって来ていた。
「キリト、ヒロ遅いね?」
「大丈夫、ヒロなら心配ないさ」
実は、ヒロは朝からいなかった。なんでも、「ちょっと武器と盾を強化したから試してくるよ」と言って、一人で出掛けていた。俺達も手伝おうとしたのだが、「大丈夫一人で充分だよ、たまには二人も体を休めた方がいいよ」と言われ、俺とユウキはその言葉に甘えて今日は《圏外》には出ず、二人で圏内の簡単のクエストをしていた。
「一応ヒロにも、今日のことは伝えてあるから、時間内にはちゃんと来るさ」
───五分後───
広場の入口に、見知ってる人物が現れた。少し茶色がかった髪、青系統の防具に、背中に剣と盾を背負っている。間違いないヒロだ。
「おっ!やっと来たようだぞ」
「あっホントだ!!よかったー間に合って.......うん?キリト、ヒロ誰か連れてない?」
ユウキに言われ、ヒロの方を見てみる。すると確かに、ヒロの横に一人のプレイヤーがいた。武装は見た感じ、腰からレイピアを装備していた。しかし、フードつきケープを羽織っているので顔が見えない。
「ホントだ、誰かいるな」
俺がそう返した瞬間、ヒロが俺達の方に気付き、一緒に居た謎のプレイヤーを連れて俺達の方にやってきた。
「ただいま、二人共」
「お疲れヒロ!!ねぇヒロ、隣に居る人は誰?」
ユウキが労いの言葉と同時に、ヒロに尋ねた。
「ああ、この人は.......」
ヒロが答えようとした瞬間、広場の中央に人影が現れ、よく通る声が広場に流れた。
「はーい!それじゃそろそろ会議を始めさせてもらいます!その前に、皆もうちょっとこっちに来ようか!」
堂々たる喋りの主は、長身の各所に金属防具を煌めかせた
「今日は、オレの呼びかけに集まってくれてありがとう!オレはディアベル、職業は気持ち的に《ナイト》やってます!」
その言葉で、広場は少し笑いに包まれた。SAOにはシステム的な《
「さて、こうして最前線で活躍してる、皆に集まってもらった理由は、もう言わなくても分かると思うけど.......」
青髪の騎士は、さっと右手を振り上げ、街の彼方にそびえる巨大な塔、──第一層迷宮区を指しながら言葉を続けた。
「.......今日、オレ達のパーティが塔の最上階への階段を発見した!」
どよどよ、とプレイヤー達がざわめく。すかさずディアベルが続ける。
「つまり、明日か、明後日にはもう辿り着くってことだ。第一層の.......ボス部屋に!」
ここで、ざわめきが最高潮に達した。俺も少々驚いた。第一層迷宮区は二十階建てで、俺達は昨日でようやく19階に上がったばかりだったので、そこまでマッピングがされてるとは思わなかった。
「一ヶ月。ここまで一ヶ月もかかったけど、.......オレ達は示さなきゃならない。このデスゲームをクリアできるんだってことを、《はじまりの街》で待ってる皆に伝えなきゃならない。そして、生きて俺達を待ってる人の元に帰らなきゃならない。そうだろ、皆!!」
広場にプレイヤー達の喝采が巻き起こった。会議が始まる前は、バラバラだった最前線のプレイヤー達を、見事に一瞬でまとめ上げるとは、中々のリーダーシップだ。俺がそう思っていると、この空気を壊すかのように新しい声が響いた。
「ちょお待ってくれんか、ナイトはん!!」
歓声がぴたりと止み、広場の中央に新しい人影が現れた。サボテンのように尖ったスタイルの茶色の髪型の、なかなか印象的ながっちりした体格の男だった、男が口を開く。
「ワイはキバオウっていうもんや。仲間ごっこをする前に、コレだけは言わしてもらわんとあきまへんな」
男(キバオウ)はそう言うと、広場のプレイヤー全員を睨みながら見渡す。(その時に、視線が俺の顔で停止した気がした)そして、さっきよりドスの効いた声で言った。
「こん中に、五人か十人死んでった二千人に詫びを入れなあかん奴らがおるやろが!!」
キバオウが叫ぶ、重苦し沈黙が広場を包んだ。キバオウが言ってる《奴ら》の意味を全員が理解したのだ。その沈黙を切り裂くように、ディアベルがキバオウに確認した。
「.......キバオウさん。君の言う《奴ら》というのはつまり.......元βテスターの人達のことかな?」
「決まっとるやろ、βテスター連中はゲームが始まった日に、ワイらビギナーを見捨てて《はじまりの街》から消えよった。その後もずーっと知らんぷりや。.......こん中にもおるはずやで、βテスターってことを隠してボス攻略の仲間に入れてもらおうと考えてる小狡い奴らが。そいつらが土下座して、今まで溜め込んだアイテムや金を軒並み出してもらわな、命は預けれんし預かれんと、ワイはそう言うとるんや!!」
まるで牙の一咬みのような糾弾が終わっても、誰も声を上げるものはいなかった。今声を上げたら、βテスターの一員にされるのではないかと恐れているようだ。かくいう俺も、知らない内に体が震えていた。この後、誰がβなのかを吊し上げされてしまうのではないかと恐れながら。
その時、ユウキが俺の右手を握ってきた。そして俺に小声で話しかけてきた。
「.......キリト、大丈夫だよ。ボクは何があってもキリトの味方だよ」
「.......ああ、大丈夫だユウキ。ありがとう」
ユウキの手は、暖かく感じた。そのおかげで俺は何とかこの場を耐えることが出来た。その時だった新しい声が広場に響いたのは。
「発言、いいか?」
豊かな張りのあるバリトンの声が、広場に響き渡った。視線を向けると、広場中央の前に進み出る大型のプレイヤーの姿があった。
「オレの名前はエギルだ。キバオウさん、アンタの言いたいことはつまり、元βテスターが面倒を見なかった。だから、ビギナーに謝罪、賠償しろそういうことだな?」
「そ...そうや」
一瞬、気圧されかけたキバオウだがすぐに前傾姿勢を取り戻した。するとエギルは、鼠マークの付いた簡易な本アイテムを取り出した。
「キバオウさん。アンタもこのガイドブック貰っただろう。道具屋で無料配布してるんだからな」
「.......貰ろたで。それが何や!」
キバオウがまたも噛み付くように答える。対するエギルは冷静な口調で言った。
「このガイドは、オレが新しい村や町に行ったら必ず置いてあった。ということは、モンスターやマップのデータを情報屋に提供したのは、元βテスター達以外には有り得ないってことだ」
プレイヤー達が、一斉にざわめいた。キバオウがぐっと口を閉じ、背後でディアベルがなるほどとばかりに頷いた。そして、エギルは視線を集団に向けた。
「いいか、情報はあったんだ。なのに沢山のプレイヤーが死んだ、その失敗を踏まえて今日の会議が行なわれると思ったんだがな」
エギルの発言は全くもって正論であり、キバオウも噛み付く隙を見いだせなかったようだった。無言で対峙する二人の後ろで、ディアベルが口を開いた。
「キバオウさん、君の言うことは理解できるよ。だけど今は力を合わせる時だろ?元βテスターだからこそ、その戦力はボス攻略の為に必要なんだ。彼らを排除して、結果攻略がしたら意味がないじゃないか」
キバオウにそう言うと、ディアベルは周りを見渡しながら発言した。
「皆、それぞれに思うことはあるだろうけど、今だけ力を合わせて欲しい。どうしても元テスターとは一緒に戦えない、って人は抜けてもらっても構わないよ。ボス戦では、チームワークが大事だからさ」
ぐるりと周りを見渡したディアベルは、最後にキバオウを真顔でじっと見つめた。キバオウはその視線を受け止めていたが、ふんと盛大に鼻を鳴らすと、言葉を発した。
「.......ええわ、ここはあんさんに今だけは従うといたる。けど、ボス戦が終わったら白黒つけさせてもらうで」
以上のような言葉を言うと、元いた席に引っ込んで行った。それを確認したディアベルは頷きながら言葉を言った。
「よし、それでは会議を再開しよう」
───十分後───
「それでは、会議を終わろうと思います。具体的な作戦とかは、ボス部屋が発見された時にしたいと思うんでその時は、皆またよろしく!!.......それでは解散!!」
解散の言葉と同時に、プレイヤー達は広場からゾロゾロと出て行った。
「.......さて何とか、終わったな。けど、あのキバオウって奴の態度はちょっとなぁー」
「ホントだよー、ボク言い返そうかと思ったよ。βテスターが何もしていないと思ってるのかってね」
会議が終わってユウキとヒロは、キバオウの愚痴を喋っていた。あれそういえば.......ヒロと一緒に居たプレイヤーはどこに行ったのだろう?
「なぁヒロ?お前と一緒に居たプレイヤーは?」
ヒロに尋ねる。
「ああ、あの人か。あの人は、ディアベルの号令が終われない内に、行ってしまったよ。けど一応、ボス攻略には参加するって言ってたから、また会えるさ」
「そうなの?ボクあの人と話して見たかったんだけどなー.......そういやヒロさっきの続き、あの人とどうやって知り合ったの?」
ユウキは残念な表情をしたが、すぐに切り替えてヒロに尋ねた。
「俺も気になるな、ヒロどうやって知り合ったんだ?」
ヒロに、二人で質問した。
「あの人は、.......迷宮区で知り合ったんだ。そこで色々あって攻略会議に連れてきたんだよ」
ヒロが質問に答えた。けど俺はそこでもう一つの疑問が浮かんだ。色々って何があったんだ.......それを問いただす前に、別の声が聞こえた。
「不思議な女だよナ、どう見てもネトゲ素人なのに、技は恐ろしく切れル。何者なのかネ」
いきなり背後からそんな呟きが聞こえ、振り向いた。そこには俺より頭一つ以上低い、すばしっこそうな女性プレイヤーがそこに居た。
「.......アルゴいきなり話し掛けてくるなよ」
「やっほーアルゴさん」
俺とユウキは、アルゴに挨拶をした。
アルゴと呼ばれた女性は、笑いながら話してきた。
「にひひ、神出鬼没じゃなきゃこの仕事はやってられないヨ」
《鼠》のアルゴ、彼女はそう言われている。彼女の仕事は情報屋だ。コルを払えば、どんなネタ(それが例え自分のステータスでも)も売る、ただしそれ相応のコルを払えばの話だが.......けど、その分情報屋としてのウデは確かなのだ。またさっきの会議で話題が出たガイドブックを作っている。
「アルゴ、あの人....フェンサーのことを知ってるのか?」
ヒロがアルゴに尋ねた。すると即座にアルゴが言葉を返した。
「安くしとくヨ。五百コル」
「.......女の子の情報を買うのは気が引けるんで、遠慮しときます。」
「にひひ、いい心がけだナ、ヒロ」
ヒロとアルゴのやり取りが終わった後、俺は咳払いしてからアルゴに質問した。
「で?今日は何しにきたんだアルゴ?」
「今日もまたキー坊に、代理交渉しに来たんだヨ。今回は二万九千八百コルまで引き上げるそーダ」
アルゴは、本業の情報屋以外に《メッセンジャー》の副業もしている。本来は口頭による伝言や、スクロールに書かれた短文を届けるだけの仕事のはずなのだが、俺に接触してきた依頼人は俺の《アニールブレード》を買い取りたいそうなのだ。
「.......アルゴ、俺はこの剣をどんだけコルを積まれても売る気はないよ」
「分かったヨ、依頼人には今度も断られたって伝えとくサ。んじゃな、お前達」
そう言うと、アルゴは人混みの中に消えてった。
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攻略会議が、いいガソリンとなったのか、迷宮区の20階のマッピングはとてつもない速さでマッピングされた。そして攻略会議の翌日12月8日の午後には遂に、ディアベル以下の六人パーティがフロア最奥の巨大な二枚扉を発見し、しかも大胆なことにディアベルはその場のボス扉を開け、そこに住む住人の顔を拝んできたそうだ。
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2022年12月3日 (土) PM16時30分
─第一層 トールバーナ ─
「皆聞いてくれ!今日俺のパーティが、ボス部屋を発見しボスの顔を拝んできた!」
ディアベルの言葉に、広場にいたプレイヤー全員が、ディアベルに拍手したり褒め称えた。ディアベルは、爽やかな笑顔で受け止め話を再開した。
「ボスの名前は、《イルファング ザ コボルドロード》武器は曲刀を装備している。そして取り巻きに《ルインコボルド センチネル》が三匹リポップする」
ディアベルがボスの情報を発表している内に、それは発見された。道具屋にいつの間にか販売されていた《アルゴの攻略本 第一層ボス編》が発見された。会議は一時中断され、プレイヤー全員が攻略本を貰い中身を読んだ。相変わらずもの凄い情報量だった。先程ディアベルが言った通りのことは勿論、ボスが使うソードスキルやHPゲージを一本削ることに、《センチネル》が三体ずつ出ることまで、詳細に記してあった。読み終えた四十数人は、指揮官(ディアベル)の方を見た。
「.......皆、今はこの情報に感謝しよう!!このガイドのお陰で面倒な偵察戦を省けさせてくれたんだから」
広場のそこかしこで、プレイヤー達が頷いた。
「この情報が正しければ、ボスのステータスは見た感じヤバい感じじゃない、これなら死者ゼロ人で倒せるはず、いや必ず死者をゼロ人にする、それは俺が約束する!!」
広場から、歓声が上がった。
「それじゃ、早速だけどボス戦での役割分担をするために近くの人とパーティを組んでみようか!!」
ディアベルの言葉に、広場のプレイヤー全員が一斉にパーティを組みだした。
「ボク達はこのまま三人でいいよね」
ユウキが俺に確認をしてくる。
「ああ、俺達はこのままで大丈夫だと思う」
「なあキリト、ちょっといいか?」
ヒロが、俺に尋ねてくる。
「どした、ヒロ?」
「あのフェンサーさん、あぶれてるみたいだからパーティに入れてあげないか?」
周りを見てみると、ヒロが言った通りフェンサーさん以外のプレイヤー達は既に、パーティが組み終わってるようだ。
「そうだな、あのフェンサーさんも入れてあげよう。いいよなユウキ?」
「うん、ボクは大丈夫だよ」
「ありがとう二人共、じゃあちょっと呼んでくる」
そう言うと、ヒロはフェンサーさんの元に駆け寄って行った。そしてすぐに、戻ってきた。
「OKだって」
俺はすぐにフェンサーさんへとパーティ申請を飛ばした。
フェンサーさんの前にウインドウが現れ、ウインドウのボタンを押した。
俺の視界の左端に、新しいHPゲージが追加された。そこには《Asuna》と書かれていた。アスナと読むのだろうか、それが不思議なフェンサーの名前だった。
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「さてこれで、会議を終了したいんだけど最後に一つだけ、アイテムのドロップは、《全てドロップした人の物》でいいかな」
プレイヤー達は、うんうんと頷いている。これは誰かがドロップしたアイテムを自己申告せずに済むということになる。そうすれば、ドロップしたアイテムに関するトラブルを防げるのだ。全くもって気が利くナイトだ。
「よし、それじゃあ明日は10時にこの広場に集合だ、それじゃあ解散!!」
ディアベルの掛け声と共に、会議は解散となった。プレイヤー達は今日の疲れをとる為に、あるいはボス戦前の験担ぎする為に、酒場やレストランへと散っていった。広場には俺達四人が取り残された。
「もぉーなんでボクらは、ボス相手じゃなくて取り巻きの相手なの!!ボクもボスと戦いたかったのに!!」
「し、仕方ないだろ、取り巻きの相手もしとかないとボスを攻撃している時に、後ろから襲われる可能性があるんだから、けど俺達は四人いるからスイッチでPOTローテする時間はあるから、大丈夫なはずだ」
「そうだけどさー」
ユウキがほっぺを膨らまし、不満の声を上げる。すると後ろから、訝しげな声が聞こえてきた。
「.......スイッチ?ポット?.......」
俺は、後ろに振り返った。《アスナ》という名のレイピア使いが、訝しげな表情をしていた。
(もしかして彼女は.......
俺がそう考えていると、ヒロがアスナに話しかけた。
「もしかして、君はゲーム初心者なのか?」
アスナがこくんと頷いた。
「そうか、なら詳しく説明するよ。でも何処で説明しようか.......」
ヒロが辺りを見回す。辺りはもう暗くなり始めている、一応ここは《圏内》だが女性プレイヤーが夜に出歩くのは危険だろう。ヒロが考えているとユウキがアスナに話しかけた。
「ねぇねぇだったら、ボクらが今借りてる部屋に来ない?そこなら安全だから、ね?」
「え....でも?」
ユウキの提案に、アスナは少し戸惑っていた。まぁそれもそうだろう、知り合って間もない人の宿屋に行くのは、流石に気が引けるだろう。しかし、この後のユウキの発言によって事態は急変する。
「しかも、ボクらが借りてる部屋は二部屋あって、ミルク飲み放題しかもお風呂までついて.......」
ガシッとアスナが、ユウキの肩を掴んで低く掠れた声が響いた。
「.......なんですって?」
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2022年12月3日 (土) PM18時30分
─第一層 トールバーナ ─
一体これはどういう状況だ。あの後、アスナに「.......あなた達の所でお風呂貸して、説明もそこでいいから」と言われ、アスナを俺達が借りている部屋に招待した。そして当の本人は、お風呂に入っている。なので今現在リビングには、俺とヒロ、そしてユウキがいる状況だ。
「まぁ仕方ないな、女の人は俺達と違って仮想世界でも、キレイにしないと気が済まないんだろ」
ヒロが少し苦笑いしながら呟き、部屋に置いてある牛乳を飲んだ。アスナが風呂から出てくるにはまだ時間がかかるだろう。その際にヒロに気になったことについて質問することにした。
「なぁヒロ、前に言ってたアスナの出会いについて色々あったて言ったよな、その色々について教えてくれよ」
「あ、それボクも気になるな。ね、教えてヒロ」
ヒロが牛乳を飲み干し、口を開いた。
「いいけど、そんなに面白くないぞ」
と、一言言ってから話し始めた。
「彼女は、この前も言ったように迷宮区の.......安置部屋の近くで会ったんだ。俺が休憩終わって帰ろうとした時に、近くで彼女の戦闘音が聞こえてきてさ、ちょっと見てみるとちょうど《コボルド》相手に、ソードスキル《リニアー》を放っている瞬間だったんだ。でもその《リニアー》は、速すぎて剣先が見えなかったんだ、だから最初俺は元βテスターかなって思ったんだけど、それにしては戦い方が危うかったんだ。」
俺とユウキは、無言でヒロの話を聞いていた。
「.......だから、少し気になって声をかけたんだ。でもそしたら、最初は俺なんか興味ないって感じで相手もせずに立ち去ろうとしたんだけど、そしたら急に彼女が目の前で倒れたんだ。呼びかけても目覚めないようだし、仕方なく迷宮区の外まで運んだんだ。後はご存知の通り、アスナが起きてから、攻略会議に行かないかって誘って一緒に攻略会議に参加したんだ」
「へぇーそんなことがあったんだ、ヒロ大変だったね」
ヒロとユウキがそんな会話をしていると、ドアから小刻みにコン、コココン、とノックの音が聞こえてきた。今のノック音は、とある人物と決めた合図である。俺は、扉の前まで行き扉を引き開けた。
「よおーアルゴ、珍しいな部屋に来るなんて」
「まあナ、どうしても今日中に返事を聞いてこいって、うるさいからサ」
アルゴは、そう言うとさっきまで俺が座っていたソファにどすんと腰を降ろした。するとヒロがグラスに牛乳を注ぎ、アルゴの前に置いた。
「サンキュー、ヒロ」
アルゴはそう言うと、牛乳が一気に飲み干した。グラスを置き、アルゴが話し始めた。
「そんジャ、本題に入らせてもらうナ。キー坊の剣、今日中だったら三万九千八百コルだすそーダ」
俺とヒロが、同時に吹き出した。そして慌ててヒロがアルゴに問いただした。
「アルゴ、それなんかの詐欺じゃないか?そんだけのコルがあればキリトの剣と同じ位のスペックの剣は作れるぞ」
「オレっちも三回同じ事を言ったんだけどナー」
ヒロの言う通りだった。今の《アニールブレード》の相場は、大体一万五千コル、そこから大体二万足せば俺と同じスペックのアニールブレードは作れる計算なのだ。なのに依頼人は、それだけのお金があるのにも関わらず、俺の剣を買い取りたいと言っている一体何故?
「.......アルゴ、確かソイツの払った口止め料って確か、千コルだよな」
アルゴが、頷く。
「アルゴアンタの依頼人の名前に千五百コル払う。それ以上相手が積み返すか、確認してくれ」
「.......わかっタ」
アルゴは、ウインドウを開き依頼人にインスタントメッセージを飛ばすために、タイピングをし始めた。
「.......ねぇボク思ったんだけど、ボクとヒロも大体キリトと同じ位《アニールブレード》強化してるのに、なんでキリトの剣だけを買い取りたいのかな?一回キリトが断ったんだから、ボクとヒロにもそんな話きてもいいのに.......」
「確かにそうだな.......なんでキリトの剣だけなんだ?」
俺達三人が考えていると、アルゴに依頼人からのメッセージが返ってきた。
「教えて構わないそーダ」
俺は、アルゴに早速千五百コルを払った。アルゴはそれを、自分のストレージに格納した。
「確かに貰ったヨ、.......依頼人の名前は、お前達三人はよく知ってるヨ。何せ昨日の会議で大暴れしたからナ」
「.......まさか.............キバオウ、か?」
俺の言葉にアルゴは頷いた。
(.......何故キバオウが、俺の剣を?この話は、一週間以上も前に持ちかけられたから、待ちかけてきた相手は初対面の人では無いと思ってたのに、まさかの相手は初対面の人だったとは.......しかも、何故俺だけに買い取りの話を?)
俺が唸ってると、アルゴが念押しするように言った。
「.......今回も、剣の取引は不成立ってことでいいんだナ?」
「ああ.......前にも言った通りこの剣は売る気はないよ」
アルゴは、俺の答えを聞くと音もなく立ち上がった。
「そんじゃ、オレっちはこれで失礼するヨ。.......その前に脱衣所借りるよ、夜装備に着替えたいカラ」
「ああ.......」
俺は、半ば自動的に相槌を打っていたのでアルゴの言葉を理解するのに遅れた。
「おい、キリト今アルゴが脱衣所行ったら.......」
「えっ.......あっヤバっ!ユ、ユウキ頼んだ」
俺が、そう言う前にもうユウキは動き出していた。しかし、不幸なことに今まさにアルゴがドアノブを回して、脱衣所に入っていった所だった。
「ダメ!!アルゴ!!」
ユウキもそう言うと、脱衣所に消えていった。俺達はその後のことを容易に想像できた。だが、無慈悲にも神は俺達が逃げ出す時間を与えてはくれなかった.......
──三秒後──
「わあア!?」
という驚いた声と、
「.............きゃああああああ!!」
という凄まじい悲鳴と、
「お、落ち着いて!!」
というなだめる声が、同時に聞こえた。直後、ドアから飛び出してくるユウキでもなく、アルゴでもないプレイヤー。
俺達のその後の記憶はない。
いかがでしたでしょうか。
今回から、色々キャラでましたね。特にアルゴは、原作の最新刊でも出てきましたね。読んでいてビックリしました。さて、今回は攻略会議ということで、次回はボス戦ですね。上手く戦闘描写書けるきがしませんが、何とか頑張りたいと思います。それでは、また次回の話でお会いしましょう。
(SAOの短編集欲しいーー!!)