ソードアートオンライン~Immortal Legends~   作:ワッタン2906

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あけましておめでとうございます!!ワッタンです。そして2ヶ月振りの更新すみません<(_ _)>
本当は、年内には投稿したかったのですが間に合いませんでした。本当に申し訳ございません。これからも、更新が遅くなるかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。さて、前置きはこのくらいにして、第八話どうぞ!!
(※今回誤字脱字が非常に
多いかもしれません<(_ _)>)


第八話 クリスマスボス

2023年11月20日 (金) AM10時00分

─第十五層 主街区──

 

その噂は、十一月の初旬頃から広まった。各層のNPCが、こぞって同じモンスターの情報を口にするようになった。──十二月二十四日の深夜二十四時ちょうど、どこかの森にあるモミの巨木の下に、《背教者ニコラス》なる怪物が現れる。もし倒すことができれば、怪物が背中に担いでいる財宝が手に入るだろう───いつも迷宮区踏破にしか興味を示さない《攻略組》達は、この噂に色めきたった。だが、俺はその噂には興味を引かれなかった。どう考えても、ユウキと俺だけで狩れる相手とは思えないし、そして何より、ただでさえ《ビーター》として注目を浴びているのにボス攻略に名乗りを上げて、さらに俺の悪名を広げるのは真っ平御免だ。というような理由から、俺は興味を示さなかったのだが.......。

 

「キリト頼む!!この通りだ!!」

 

俺はもう日課になりつつある《月夜の黒猫団》の所にサチのコーチをしに来ていた。そしてギルドホームの扉を開けた矢先に、ケイタに頭を下げられていた。

 

「な......何がだ?」

 

俺は、思わずそう聞き返していた。ケイタは、頭を上げ話し始めた。

 

「僕らと一緒に.......クリスマスボスを倒してくれないか?」

 

俺は、その言葉にすぐには言葉を返せなかった。

(今なんて言った?.......俺の聞き間違いか?)

 

「.......ごめん、今何て言った?」

 

「だから、一緒にクリスマスボスと戦ってくれないか?って言ったんだ」

 

ケイタが、呟いた。

(.......うん、聞き間違いじゃなかった。.......でも、いきなりなんでだ?)

俺は疑問に思い、ケイタに話しかけた。

 

「.......ケイタ、とりあえずクリスマスボスを倒そうと思った理由を、教えてくれないか?」

 

「あ、ああ分かった」

 

ケイタがそう言うと、俺はギルドホームの中に入った。ホームに入ると、そこはケイタ一人しか居なかった。どうやら、俺と二人だけで話をする為に、サチ達をどこかに行かせたのだろう。俺はケイタの向かい側の椅子に座った。そして、ケイタは話し始めた。

 

「僕ら.......そろそろ前線に上がりたいと思ってるんだ。レベル的にも、そろそろ《攻略組》に追いつくし.......でも僕らはまだ前線でやってける自信が無い。だから、クリスマスボスを倒して、レベルも追い付いて自信を付けたいんだ。僕達は、前線で戦えるっていう自信がね。けど、《黒猫団》だけでボスと戦ったら、間違いなく負ける。だから、申し訳ないんだけど.......キリト一緒に戦ってくれないか?そして、できることなら僕らの戦いを見て前線でやってけるか判定して欲しい。自分勝手な話は分かってる。けど、キリト達にしか頼めないんだ。頼む!!この通りだ!!」

 

俺はその話を聞いてる内に、過去のことを思い出していた。

(.......なるほどな、そういうことか。.......ケイタ達と出会って八ヶ月弱。あの時、《攻略組》に追い付いてやるって言ってたけど.......まさか本当に追い付きそうなとこまで来るとはな.......俺もできることなら、その願い叶えてやりたいけど.......その前に)

 

「.......理由は分かったよ。.......けど、俺とユウキが居ても勝てる今現在の見込みは、せいぜい五割ってとこだぞ。それに.......年に一回のフラグボスだから、多分フロアボス並みに強い、それをケイタは倒そうとしてるんだぞ。勿論生半可な装備やレベルじゃ勝てない。それでも.......やるのか?」

俺は、かなり低い声で呟いた。

 

「うぐっ.......そ、それは.......」

 

ケイタは、そう言うと言葉を詰まらせた。

(ちょっと言い過ぎたか.......いやでもこれは必要なことだ)

そう、俺はわざと心が折れそうになる位キツめに言ったのだ。理由は主に二つあるのだが.......

俺がそう思っていると、ケイタはサッと顔を上げ呟いた。

 

「ボクらはそれでもやりたい。.......一応ボス戦まで最大限にレベル上げもする、けど.......もしボス戦間近にキリトが駄目だって言ったら、もうスパッと諦めて、違う方法が《攻略組》になれるように努力するよ」

 

ケイタはそう言った。俺はその言葉を聞くと、微かに笑いただ一言呟いた。

 

「合格だ」

 

「え.......何が?」

 

俺の言葉に、ケイタは困惑しているようだった。俺はケイタに種明かしをした。

 

「悪い、今ケイタを試したんだよ。《攻略組》になる為の心構えを持っているかっていうね。一つは、素早く判断ができること。そしてもう一つはは.......引き際を考えていることだ。それを持っているかを判断する為に、キツめに言ったんだ。」

 

「そう、だったのか.......」

 

ケイタは、へなへなと机に崩れ落ちた。

 

「さっきの答えだけど、いいよ。一緒にボス戦やろう」

 

「え、でもさっき勝率は五割って.......」

 

ケイタが俺に尋ねてくる。その顔は、嬉しさ五割、訝しさ五割という感じの顔だった。

 

「言ったろ、()()()()って」

 

俺はそう言うと、ニヤリと笑った。

 

──────────────────────

2023年11月20日 (金) PM18時10分

─第四十七層 フローリア──

 

「という訳で、黒猫団のクリスマスボス攻略を手伝うことにした」

 

「...........それはいいけどキリト、この前ボクが言ったこと覚えてる?」

 

「えと、......何だっけ?」

 

はて、と首を傾げる。

 

「この前ボクが、クリスマスボス挑みたいって言ったら、キリトは駄目だって言ってたのに、なんでケイタ達の手伝いは引き受けたのさ!!」

 

どうやらユウキは、前に俺がクリスマスボスは挑まないって言った時のことを根に持ってたらしい。

 

「いや.......それは二人だから無理だって話で.......」

 

俺はしどろもどろになりながら、必死の弁明をした。すると、ユウキは大きな溜息をついた。

俺は、あの後ケイタと大まかな打ち合わせをして、今俺達が拠点としている層に帰って来ていた。

 

「.......まあ、手伝うことに関しては文句はないけどさ............折角予約入れたのに.......」

 

最後の方はよく聞き取れなかったが、俺はその言葉に胸を撫で下ろした。

 

「でも、ボク達が力を貸すにしても多分勝率は五割切るよね。どうするの?」

 

ユウキも俺と同じ疑問を抱いたようだ。

 

「そうなんだよなぁ。仮に俺達が後、レベルを十上げたとしても六割五分ってとこかな」

 

「それに、他の《攻略組》の人達も狙ってるわけでしょ。まずクリスマスボスが出現する場所を先を越される前に、探さないと」

 

「だよなぁ」

 

うーんと、俺達は二人して唸った。二人で唸っていると、不意にユウキがシステムウインドウを操作し始めた。どうやら、誰かから連絡が来たらしい。

 

「あ、ごめんちょっと連絡が来た.......え、ええええ!!」

 

メッセージを読んでいたユウキが大声を上げた。

 

「ど、どした!?」

 

俺が尋ねると、ユウキが顔を上げた。

 

「キリト分かったよ!!勝率を上げる方法!!」

 

そう言うと、ユウキはウインドウを可視モードにすると、俺の前に見せてきた。差出人はセツナからだった。その内容は.......

 

「クリスマスボス倒すの手伝って!!」

 

と書かれていた。

 

──────────────────────

2023年12月21日 (木) AM1時27分

─第四十六層 アリ谷──

 

「ぜぇあああ!!」

 

俺は、穴から出てきたアリ型のモンスターを、単発重攻撃技(ソードスキル)《ヴォーパルストライク》で仕留めた。モンスターの体が、ポリゴン片に変わり四散するのを見届けてから、後ろを振り返る。

 

「やあぁぁっ!!」

 

ユウキはアリ型のモンスターのボス的な存在の女王アリに向かって比較的隙の少ないソードスキル《シャープネイル》で削り女王アリのHPが五割を切った。

 

「いくよ、二人共!!」

 

そう言うとユウキは、上段突進技(ソードスキル)《ソニックリープ》を女王アリに向かって発動させた。《ソニックリープ》は実はスタン効果があるのだ。だがスタンになる確率は物凄く低い、しかし俺達はかなりの戦闘経験を積んできたので、(これはスタン)するなという感覚が自然に分かってきていた。ユウキの《ソニックリープ》が見事に命中し、女王アリがスタン状態になった。そしてそこにユウキの後方に待機していた二人のプレイヤーが前に出てきた。

 

「了解!!」「OK!!」

 

セツナとユウマだ。セツナが片手直剣七連撃(ソードスキル)《デッドリーシンズ》ユウマが片手直剣三連撃(ソードスキル)《サベージフルクラム》を発動させ、女王アリのHPを削った。HPゲージがすごい勢いで減っていきそしてゼロになった。女王アリがひと際大きなうめき声を上げ、その体を青いポリゴン片へと変えた。女王アリを倒したことにより俺達に経験値が振り分けられる。そして振り分けられたことによって俺のレベルが69へと上がった。

 

俺はそれを確認した後、セットしていたタイマーを見た。タイマーを見るとそろそろ狩場に入って一時間経とうとしていた。俺はそれを確認すると、ユウキ達に話し掛けた。

 

「よし、そろそろ一時間になる。そろそろ切り上げよう」

 

俺はそういうと、狩場を後にする準備を始めた。

 

ケイタがクリスマスボスを倒したいと言われてから一ヶ月が過ぎた。言われた当初はボスを倒せる確率は五割を切っていたが、一ヶ月経った今では《月夜の黒猫団》達のレベルも上がり六割に近づいた。

 

「.......にしてもセツナ達がクリスマスボスを倒したいって言った時は驚いたよ」

 

「うん、ホントにビックリしたよ!!」

 

狩場からの帰り道、セツナに俺達が話し掛ける。俺達が居た狩場は、通称《アリ谷》と呼ばれる狩場だ。この《アリ谷》は、今現在この《アインクラッド》で一番の経験値効率を叩き出せる場所で、とても人気の狩場なため1パーティ一時間という制限が設けれている。

 

「いやー、すんませんね。ホントは最初ヒロ達に頼んだですけど、「ギルドがあるから無理」って断られたから、ホントは諦めようと思ってたんですけど、駄目元でキリトさん達に頼んだらまさかのOKだったんでびっくりしましたよー」

 

と、セツナが笑いながら答える。その言葉にユウマがボソッと、

 

「.......本当は僕、止めたんだけどな.......」

 

と俺に聞こえる位の声で呟いた。俺はその言葉に苦笑し、セツナに言葉を返した。

 

「いや、.......本当は俺達もボスには挑まないつもりだったんだけど、ちょっと理由ができてな」

 

「《月夜の黒猫団》でしたっけ、良い人達ですよねー」

 

そう俺とユウキが、《月夜の黒猫団》達の勝率を上げるために模索した結果、《月夜の黒猫団》と俺達.......そしてセツナとユウマの二人を加えてクリスマスボスに挑むことにしたのだ。ちなみに、セツナとユウマは二週間前に顔合わせを済ませている。

 

「ああ、そうだな.......」

 

俺はセツナの言葉に肯定を示した。

歩き始めて数分、谷の出口が見えてきた。谷を抜けると、一つのパーティがこちらに近づいてきていた。

 

「.......ちょっとお前らとレベル差がついちまったから、オリャあ今日は抜けるわ。危なくなったら遠慮しねぇで助けを呼べ」

 

リーダー格の男がそう言うと、男の仲間達が、うす、おう、と六、七人の声が答え俺達とすれ違い、《アリ谷》の方に消えて行った。

 

「よっ、クライン」 「こんばんは、クライン!!」

 

俺とユウキは趣味の悪いバンダナをしたリーダー格の男.......《クライン》に話し掛けた。

 

「おっす、キリトにユウキちゃん」

 

クラインは第一層で俺達と別れた後、以前からのゲームの友達と一緒に、ギルド《風林火山》を立ち上げ、ギルドリーダーとなり今では《攻略組》の一員として一緒に、戦っている。そして今日この狩場に来た理由も、俺達と同じクリスマスボスを倒すためのレベル上げの為だろう。

 

「おっ、セツナっちにユウマも居るのか」

 

「こんばんはー」 「こんばんは、クラインさん」

 

セツナとユウマがクラインに挨拶を返す。

 

「おっす、.......ところでキリトよう。お前また今日もこの狩場潜ってたのか?」

 

クラインがセツナとユウマに挨拶を返し、俺に尋ねてくる。

 

「ん、まあな」

 

「おいおい、無茶しすぎなんじゃねェのか。いくら《月夜の黒猫団》.....だっけか?そいつらを手伝うにしても、ボスと戦う前にくたばっちゃ元も子も無いぞ」

 

クラインが、心配そうに尋ねてくる。するとユウキが口を挟んだ。

 

「大丈夫だよ、クライン。ボクもキリトもちゃんと休憩を取ってるから、それに....キリトが何か無茶しそうになったらボクが止めるよ!!」

 

「そ、そうか.......それなら安心だな」

 

クラインが顎の無精髭を撫でながら、一言呟いた。すると、アリ谷の方が騒がしくなってきた。どうやらクラインの仲間達が騒いでるようだ。

 

「.......どうやら、お呼びのようだな。ちょっくら行ってくるわ」

 

クラインはそう言うと、《アリ谷》の方に向けて歩き始めた。

 

「そうか.......気を付けてな」

 

「気を付けてね、クライン」

 

俺とユウキが後ろから、歩くクラインに向けて声を掛けた。するとこちらを振り返り、クラインが言葉を返した。

 

「あったりめぇよ、俺達もクリスマスボス倒そうと思ってんだ。こんな所でくたばる訳にはいかねぇよ。」

 

そう言うとクラインはニヤリと笑い、再び《アリ谷》の方へ向けて歩き始めた。その瞬間、クラインが言葉を発した。

 

「じゃあな、セツナっちにユウマ。んで.......」

 

そこで一旦止め、谷に入る前にこちらに振り返りさっきより少し大きい声で言葉を発した。

 

「《黒の剣士》に《絶剣》」

 

クラインは人をからかう時の顔でそう言うと、谷の方に消えていった。

 

「「な.......」」

 

俺とユウキの口から思わずそんな声が出た。

実は俺とユウキにはいつの間にかついた二つ名があった。一つは《絶剣》、この二つ名はユウキについた名だ。名前の由来は絶対的な強さを誇る剣、絶対無敵な剣、そんな意味が込められているらしい。そしてもう一つは《黒の剣士》、これは俺についた二つ名だ。名前の由来は、俺がいつもずっと黒っぽい服装で戦っている為についた。

 

(クラインめ.......俺達が二つ名で呼ばれるの苦手と知ってて、わざと二つ名で呼んだな.......今度会ったら覚えてろよ.......)

 

俺は、そう心に誓い狩場を後にした。

 

──────────────────────

2023年12月23日 (土) PM14時00分

─第十五層 主街区──

 

クリスマスボス出現まで残り一日となった今日、俺とユウキは黒猫団のギルドホームがある第層に降りてきていた。勿論理由は、明日の打合せをするためだ。ちなみにセツナとユウマにはある頼み事をしたので今この場には居ない。歩くこと数分、ギルドホームに着き扉を開けた。

 

「おっ、来た来た」

 

扉を開けて中に入った瞬間、ケイタにそう声を掛けられる。

 

「すまん、待たせたか?」

 

「いや、時間通りだよ」

 

俺の問いにケイタがそう答える。中に入ってみるとケイタ以外にも黒猫団のメンバーが居るようだ。しかし、サチの姿が見えない。ユウキも気になったのだろう、ケイタに質問した。

 

「ねえ、サチは?」

 

「そういえば.......居ないな。最近サチのやつ一人でふらっと何処かに行くんだよな。まぁすぐ帰ってくるだろ」

 

ケイタが答える。どうやらサチが一人で何処に行ってるのか知らないらしい。だが俺達はサチが何処に行ったか、そしてそこで何をしているのか検討がついていた。

 

「そうか..........ユウキちょっといいか」

 

俺はケイタ達に背を向け、ユウキにそっと耳打ちをする。

 

「なに?」

 

「.......多分サチは、あの場所だ。連れてきてくれないか?俺はもうケイタ達に先に説明するから」

 

「うん、リョーかいっ」

 

ユウキはそう言うと、ギルドホームを出て行った。ユウキが出て行ったのを確認すると、俺はケイタ達の方に向き直った。

 

「じゃあ、サチには後から説明するとして、明日の打ち合わせをしよう」

 

──────────────────────

 

ユウキは、ギルドホームから出ると真っ直ぐ、街の地下にある水路へと足を向けていた。地下へと続く階段を降りると、何かが空気を切る音が聞こえてきた。ユウキは音がする方に向かった。

 

音の方に向かうと、そこには一人の女性プレイヤーが()()()()()を装備してソードスキルの練習をしていた。

 

「おーい、サチ!!」

 

ユウキは、ソードスキルの練習をしている女性プレイヤーに声を掛けた。

女性プレイヤーがユウキの声に気付きユウキの方に振り返る。

 

「あっ!!ユウキ!!」

 

女性プレイヤー─サチが向かってくるユウキに気付き、構えていた剣を腰の鞘に収め、ユウキの方に近づいた。

 

実は、サチが一人で泣いていた次の日、なんとサチが自ら片手用直剣をレクチャーして欲しいと頼まれたのだ。前日に片手用直剣の移行は無理しなくていいとケイタに言われた矢先だったので、驚いたが特に断る理由もなかったので、サチが無理をさせない範囲でケイタ達に内緒で、キリトと一緒に教えていた。

 

「サチ、みんな待ってるよ。早く帰ろ」

 

「えっ、もうそんな時間!!」

 

サチが慌てて、ウインドウを開き時刻を確認する。

 

「あっほんとだ.......ごめんユウキ。心配かけて」

 

時刻を確認し、サチがユウキに頭を下げた。

 

「大丈夫だよ、.......それよりサチ随分動きが様になってきたね!!」

 

「えっ.......ほんと?」

 

「ほんと、ほんと。ボクが言うんだからね」

 

「あ、ありがとう.......」

 

ユウキの言葉に、サチが少し照れたような顔をしながらユウキに微笑んだ。

 

──────────────────────

 

「ねえ、ユウキ?」

 

「ん、何?」

 

地下水道からの帰り道、サチがユウキに話し掛けてきた。

 

「ユウキ前に言ってたよね。前、中々予約が取れない有名な料理人プレイヤーが経営するレストラン予約したって」

 

「あ、.......ああ、確かに言ったね、それがどうしたの?」

 

「うん、これは勘なんだけど、.......本当は明日、キリトと一緒にそのレストランに行く筈だったんじゃないの?キリトに内緒で」

 

サチがユウキに尋ねてくる。

 

「.......あ、あははは.......、やっぱり気付いてたかー」

 

そうサチの言った通り、実はユウキはキリトに内緒で中々予約が取れないレストランに、キリトとユウキの二人分の予約をクリスマスイブつまり明日に取っていたのだが、ケイタ達を手伝うことになった為、なし崩し的に予約はキャンセルしていた。

 

「うん、なんとなくね.......その、ゴメンね私達がクリスマスボスを倒したいって言っちゃって.............」

 

「あー.......、大丈夫だよ。ボクは気にしてないからさ、それに.......レストランはいつでも予約できるからさ」

 

「う、うん.......」

 

ユウキはサチにそう言ったが、サチはまだ納得していないようだった。ユウキはサチが納得するように言葉を続けた。

 

「それに、キリトはこの事知らないからさ。そんなに気を落とさなくても大丈夫だよ」

 

「えっ.......キリトこの事知らないの!?」

 

サチが驚く。

「うん、元々今回予約したのは、キリトが前に、たまには美味しいもの食べたいって言ってたから、キリト喜ぶかなーって思ってサプライズ的な感じで予約してたんだけど.......」

 

「ふーん、なるほどね」

 

サチが、小悪魔的な微笑を浮かべながら納得したように呟く。

 

「え.......なるほどねって.......なにが?」

 

サチの言葉にユウキが思わず聞き返す。

 

「いや、.......カワイイなって思ってさ」

 

「ふぇっ!?カ、カワイイって.......」

 

サチにカワイイって言われ、ユウキが顔を真っ赤にして慌てふためく。サチはその様子を見ながらユウキに、

 

「とりあえず早く帰ろ、ユウキ。」

 

とユウキに言い、出口に向かって歩き出した。

 

「あ、うん」

 

(と、とりあえず帰るまでにこの顔を治さないと.......このままだと、絶対にキリトに何か言われる!!)

ユウキはそう思いながら、サチの後ろを追いかけた。

 

──────────────────────

2023年12月23日 (土) PM14時40分

─第十五層 主街区──

 

ユウキとサチが、ギルドホームに着いてから三十分が経過した頃、ギルドホームの前に二人の男女プレイヤーが来ていた。

 

「つ、疲れたー!!」

 

「あ、ああ.......ホントだよ。まさかキリトがこんな重労働を押し付けてくるとはね」

 

男性プレイヤーがそう言うと、ギルドホームの扉を開けた。扉を開けた瞬間、声を掛けられる。

 

「お疲れ!!セツナ、ユウマ」

 

キリトに声を掛けられ、セツナとユウマが中に入った。

 

「ただいま、キリト」

 

「キリトさんっ!!、なんでこんな重労働を頼んで.......ってユウキや皆は?」

 

「ああ、明日の為に色々とポーションを買いに行ったよ。んで俺はセツナ達を待ってたんだ.......調査を押し付けたのは後で謝るから、とりあえず先に結果を教えてくれ」

 

──────────────────────

 

「さて、調査の結果だけど、キリトの言われた通りセツナと一緒に情報屋から貰った情報とキリトが気になってる場所を調べた結果.......」

 

ユウマがそう言うと、机の上に地図を数枚広げた。地図には森型ダンジョンの地図が書かれていた、そして最後に赤いマルで印をつけてあった地図を広げ終えると、セツナが報告を続けた。

 

「えっとね、情報屋から貰った情報の場所に行って確認したんだけど.......キリトが言った通り、スギの木の特徴だったの。そして、最後にキリトが気になった場所に行って確認したら、.......その赤マルの場所だけモミの木だったよ」

 

「そうか.......」

 

セツナとユウマが報告を終え、キリトは改めてマークされた地図を見た。その地図に書かれていたダンジョンは.......

 

「やっぱりこの場所か.......《迷いの森》」

 

──《迷いの森》名前の通り、非常に迷う可能性が高いダンジョンだ。森は数百のエリアに分かれており、一つのエリアに踏み込んでから一分が経過すると、隣接エリアの連結が入れ替わってしまうという、中々に攻略に骨が折れる場所だ───

 

「.......ありがとう。二人共、本当に助かったよ」

 

俺は、地図から目を離し改めてセツナとユウマにお礼を言った。

 

「ホントですよー。無茶苦茶疲れたんですからね!!.......ところでキリトさん一ついいですか?」

 

「ん、なんだ?」

 

セツナが質問をしてくる。

 

「なんでキリトさん、モミの木とスギの木の違いを知ってたんですか?」

 

「あー、それはな.......」

 

何故俺が、二つの木の違いを知っていたのかと言うと.......

 

「.......前に本物を見た事があるんだよ。そん時に違いを調べたんだ」

 

実は現実世界の俺の家には、モミの木とスギの木が両方生えていたのだ。そしてその時にモミの木はスギの木と比べて葉が丸っぽいということを知っていた。

 

「へー、そうなんですか」

 

セツナが俺の答えに納得したその時、ギルドホームの扉が開いた。三人は、扉の方に目を向けた。

 

(誰だ?)

 

扉を開けて入ってきたのは、サチだった。

 

「あれ、サチ?もう買い物終わったのか?」

 

ユウキ達が、買い物に出てからまだ十分しか経っておらず、少なくとも一時間はかかると思っていたのだが、サチが十分で帰って来たことに驚いた。

 

「いや、買い物はまだ終わってないよ」

 

サチが呟いた。

 

「え、そうなのか?じゃあサチはなんで帰ってきたんだ?」

 

俺は驚き、サチに尋ねた。

 

「えっとね.......キリトにちょっと伝えたいことがあってね」

 

「ん、俺に.......?」

 

「うん、実は.......」

 

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2023年12月24日 (日)PM21時20分 天候 雪

─第四十九層 ミュージェン──

 

この日は、昼前から雪が降っていた。それもそのはず、今日は俗に言うクリスマスイブ。アインクラッドでは、今日と明日は必ず天候が雪になるのだ。

 

雪降る転移門広場で、ユウキはケイタ達を一人で待っていた。本当ならキリトと一緒に待つはずだったのだがキリトが、

 

「ちょっと用事があるから、ユウキは先行ってくれ。後で合流する」

 

と言い、夕方から出掛けていた。

 

(.......キリト遅いな、てか用事ってなんだろう)

 

と、思考を巡らせていた。その時、転移門から見知った顔が現れた。

 

「おっ、居た。お待たせユウキ!!」

 

その声に、ユウキは顔を上げ声の主を見る。

 

「あっ.......ケイタ」

 

転移門から現れたのは、ケイタ達《月夜の黒猫団》だった。

ユウキがそう呟くと、ケイタ達が近づいて来た。ユウキの近くまでいくと、キョロキョロとケイタ達が当たりを見回す。

 

「あれ?キリトは?」

 

と、サチが呟く。

 

「何か用事があるんだってさ。多分すぐ来ると思うけど.......」

 

「.......ふーん、そういうことね」

 

ユウキが答えると、サチは昨日と同じように小悪魔的な微笑を浮かべた。ユウキはその微笑を見て、昨日のことを思い出し冷や汗が流れていたその時、

 

「おーい、.............スマン、待ったか?」

 

と言いながら、キリトが走ってくるのが見えた。よくよく見てみると、後ろにもセツナとユウマも一緒だった。

 

「ううん、大丈夫だよキリト。というか、セツナ達と一緒だったんだね。三人で何してたの?」

 

「ああ、それは.......」

 

ユウキの質問に、キリトが答えようとした時、セツナが代わりに答えた。

 

「それは、後で分かるよユウキ。ねっ?キリト?」

 

「あ.......ああ、そうだな」

 

セツナにそう言われ、キリトが頷く。

(後で分かる?一体何のこと?)

ユウキは、セツナとキリトの言葉に困惑の顔を浮かべていた。その様子を、キリトは横目で見て笑った。

 

「まあ、ユウキ後で分かるよ。.......さ、とりあえず目的地に行こうぜ」

 

俺の言葉に皆が頷いた。

皆が俺の言葉に頷いたのを確認し、転移門に足を踏み入れた。

 

──────────────────────

2023年12月24日 (日)PM21時30分 天候 雪

─第三十五層 ミーシェ──

 

第三十五層は、前線と打って変わって広場は静まりかえっていた。それもそのはず、この層の主街区は取り立てて見所がない農村風の造りで尚且つ、今日がクリスマスイブということもあって更に普段よりプレイヤーが少ないのだろう。

 

「なんつーか、静かだな」

 

メイス使い(メイサー)のテツオがこの場所の雰囲気を見てポツリと呟いた。

 

「まあ、仕方ないだろ。.......でも、一応俺達が心配したことはこの様子だと大丈夫そうだな」

 

「そうだね」

 

テツオの呟きに、俺とユウキが言葉を返す。

 

「とりあえず森の入口まで行こうぜ」

 

そう言うと、俺達は《迷いの森》に向かって歩き始めた。

 

── 一時間後──

 

幸い森に向かう道中、モンスターに数回エンカウントしたのみで、さしたる障害もなく、無事に《迷いの森》にたどり着いていた。

 

「さ、ここからは森だ。全員地図は持ったか?」

 

実は、この《迷いの森》のダンジョンは第三十五層の道具屋で森の地図が買える。この地図が無いと、攻略はおろか一度入ってしまうと、一週間は森の中で彷徨うことになる。なので、ここの攻略には、地図が必須なのだ。

 

「みんな大丈夫だよ。キリト」

 

ユウマが全員の地図を確認し、俺に報告をした。

 

「ああ、了解。俺とユウキが殿をやるから、セツナとユウマが前衛で中にはケイタ達で行こう」

 

「ああ、分かった」 「了解!!」

 

ケイタとセツナが頷き、森の中に入って行く。俺も森の中に、入ろうとしたその時、

 

 

()()()()()()()()()()()()()

俺は、咄嗟に背中の剣の柄に手が伸びていた。そして、辺りを見回す。しかし、周囲に誰もいない。

 

「どしたの?キリト?」

 

ユウキが、俺に尋ねてくる。どうやらユウキは気付いてないようだ。

(思い過ごしか.......?索敵スキルには何の反応も無い.......)

俺は、手を戻しユウキの方に向き直る。

 

「.......嫌.......何でもないよ。さ、行こうぜ、早くしないと置いてかれる」

 

そう言うと俺達は、周囲を警戒しつつケイタ達を追いかけた。

 

──────────────────────

2023年12月24日 (日)PM23時30分 天候 雪

─第三十五層 迷いの森──

 

森に入ってから一時間、戦闘を二、三回こなしただけで、目標のモミの木があるエリアの一つ手前まで到達していた。午前零時まで残り、三十分。

 

「よし、一旦ここらで最終確認をしよう」

 

俺達は、円陣になり最後のボス戦の打ち合わせをした。

 

「方針としては、この前も言ったと思うけど、まず序盤はボスのパターンを見切りつつ、攻撃出来るポイントを見つける。で、ポイントを見つけたら、全員を二つの隊に分けて、ローテさせながらボスのHPを削ってく。とりあえずは、これで行こう」

 

俺の言葉に、全員が頷く。

 

「よし、それで肝心の隊分けは.......」

 

その他色々の説明が終わると、午前零時まで残り八分となっていた。

 

「よし、それじゃあ、そろそろ.......」

 

俺がそう言いかけたその時、背後のワープポイントから複数のプレイヤーが出現する気配がした。俺は振り返り、背後の剣の柄に手を伸ばした。

 

「キリト!!」

 

今回の気配には、ユウキも気付いたようだ。ユウキも咄嗟に剣を抜き構える。他のメンバーにも緊張が走る。

 

現れた集団はおよそ十人。先頭に立っているのは、見覚えのある趣味の悪いバンダナをしたプレイヤー──クラインだった。

 

「.......なんだ、クラインかぁ」

 

ユウキが緊張の抜けた声を発し、剣を鞘に納めた。俺も背中の鞘に剣を納めクラインに話し掛けた。

 

「.......尾けてたのか、クライン」

 

「まあな、念の為四十九層の転移門に貼り付けといた奴が、お前ェ達がどこの情報にも出てないフロアに向かったっつうからよぉ、オレ達も慌てて此処に来たっつう訳よ」

 

「なるほどな.......まあ、クライン達で良かったかな」

 

「え、良かったって何が?」

 

俺の言葉に、クラインが困惑するそうな顔をする。

 

正直このようなパターンは想定していた。俺達の他にも、この《迷いの森》にボス攻略をしに来るという可能性があることを.......。そういった場合とるべき行動は.......

 

「.......クライン、お前達がクリスマスボスを狙っているのは知ってる。だけど俺達も狙ってるだからここは.......合同戦線と行こうぜ」

 

そう一緒に戦うことだ。本当は俺達だけで戦いたかったが、トラブルを避ける為にその場に居るプレイヤーと一緒に戦うことだ。しかしこの方法は、特定のプレイヤーにはこの方法は通用しない。だけどクラインだったら.......

 

「.....おう!!一緒に戦おうぜ、キリト」

 

と言うと、右手を俺の前に掲げてきた。俺も、右手を出し右手を絡ませた。そして皆の方に向き直り号令をかけた。

 

「さあ、行くぞ!!」

 

──────────────────────

 

キリト達が、最後のエリアへと姿が消えた三十秒後、数十人規模のプレイヤーが、キリト達がさっきまで居たエリアに現れていた。

 

「隊長、奴ら此処に入って行きましたぜ」

 

「ああ、念の為にあの奴らえーと.............そうそう《風林火山》の奴らを尾けといて良かったぜ。まさかこんな所にクリスマスボスの出現する場所があるとはな」

 

「そっすね、隊長。早く行きましょうぜ」

 

「ああ、そうだな。おいお前ら、一時的にオレンジ化もOKだ。ボスは、俺ら《聖竜連合》が頂きだ!!」

 

隊長がそう言うと、パーティの全員が雄叫びを上げた。そして、最後のワープポイントを踏み出そうとしたその時、

 

隊長の目の前に、ウインドウが現れた。そこには.......

 

──ヒロがデュエルを申しこんできました──

と、書かれていた。

 

「何だ、こりゃ!?」

 

隊長がそう呟くと同時に、茂みからある人物が出てきた。

 

「.......そりゃあルール違反じゃないのか?ハフナーさん」

 

茂みから出てきたのは、ヒロだった。

 

「な、.......お前、KOBのヒロじゃねぇか!!何でここにいる!!」

 

隊長が驚きつつ、ヒロに問いかける。するとヒロは、バツな悪そうな顔で言葉を返した。

 

「いやー、ちょっと迷っちゃって」

 

「てめぇ!!ふざけんじゃねぇぞ!!」

 

「そうだ、そうだ」「済ました顔しやがって」と、様々な野次が飛んできた。するとその時、ヒロの背後から大きな雄叫びが聞こえてきた。

 

「まずいですよ、隊長!!もうボスが湧いてます!!」

 

仲間の一人が隊長に耳打ちする。

「ちっ!!こんな奴に構ってる暇はねぇ、行くぞお前ら」

 

隊長がウインドウを閉じながらそう言うと、ヒロの横を通り過ぎ最後のエリアに入ろうとする。しかし.......エリアに入ろうとすると、透明な壁があるかのように行く手を阻まれていた。

 

「どういうことだ!?エリアに入れねぇじゃねぇか!?」

 

《聖竜連合》の全員が、慌てふためく中、ヒロが言葉を発した。

 

「.......お前ら、美味い狩場に潜ってレベル上げしてばっかだから、知らないだろ」

 

ヒロの言葉に、《聖竜連合》全員がヒロの方を見る。ヒロはそれに応えるように言葉を続けた。

 

「.......こういうフラグボスはな、クエストでも出る時があるんだよ。そしてそういう時はな......1()()()()()()()()()()()()()()そして、次に入れる時は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「な.......何だと.......」

 

ヒロの言葉に、《聖竜連合》のプレイヤー全員が泣き崩れる。しかし、ハフナーと呼ばれた隊長が何か思いついように顔を上げヒロに問いかける。

 

「ということは、てめぇが俺にデュエルを申し込んできたのは.......時間稼ぎする為だったのか!?」

 

「.......そういうことだな」

 

「ふ、ふざけやがって!!」

 

隊長が真っ赤な顔をしながら、ウインドウを操作した。そして、ヒロの前にウインドウが現れた。

──ハフナーがデュエルを申し込んできました───

 

「てめぇを、ボコボコにしてやるよ」

 

隊長がそう言うと、腰の鞘に収めていた剣を抜いた。ヒロは、フッと笑いながら、

 

「ああ、いいぜ」

 

と呟き、承諾ボタンを押した。両者の間に60秒のカウントダウンが、表示された。ヒロは背中に収めてた盾を装備し腰の剣を抜いた。

(キリト、頑張れよ。お前達なら、ボスに勝てる)

 

そう思いつつ、ヒロはカウントダウンが0になるのを待った。

 

──────────────────────

2023年12月25日 (日)AM0時00分 天候 雪

─第三十五層 迷いの森──

 

モミの巨木は、記憶にある通りの場所に、静かに立っていた。このエリアには、巨大なモミの木しか無い為、凄く幻想的な雰囲気だった。そんな事を思っていると、視界端の時計が零時を差した、その瞬間

 

どこからともなく、鈴の音が聞こえてきた。全員がキョロキョロと見回す中、クラインの仲間の一人が

 

「上だ!!」

 

と叫び、全員が上を見上げた。漆黒の夜空にふた筋の光が延びていた。よくよく凝視すれば、何か奇怪な形のモンスターに引かれた巨大なソリらしい。ソリがモミの木の真上に達すると同時に、ソリから黒い影が飛び降りてきた。

 

モンスターが着地すると同時に、その姿が舞い上がった雪から現れた。赤と白の上着に、同色の三角帽を被り、右手に斧、左手に大きな頭陀袋をぶら下げていた。背丈は俺の三倍くらい、そして顔の下半分からは灰色の髭が、下腹部まで届いていた。そしてその頭上には、《背教者ニコラス》と表示されていた。

 

ニコラスが辺りを見回し、目の前にいるプレイヤー達を見つけると大きく吠えた。

 

「ウグルルラァァァッ!!」

 

「来るぞ!!序盤は回避!!」

 

俺が叫ぶと、ニコラスが右手に持ってる斧をこちらに振り下ろして来た。

 

──────────────────────

 

《背教者ニコラス》の攻撃パターンは、斧と頭陀袋による振り下ろしと薙ぎ払い、振り下ろしによう衝撃波。そして頭陀袋から発射されるプレゼント?の爆弾という、比較的ボスの攻撃パターンにしては少ない方だった。

 

「振り下ろし来るぞ!!」

 

叫ぶと同時に、ニコラスが斧を振り下ろし、そこから前方に衝撃波が発生していた。しかし、この攻撃は振り下ろした後の、硬直が長い。

 

「今だ!!」

 

そう叫ぶと、ユウキ達がボスの背中からニコラスに向かって攻撃をする。ソードスキルを何発か打ち込んで、すぐさま次の攻撃に備えて後退する。事前に決めていた方針の通りに立ち回っていた。

 

「キリト!!そろそろオレ達、動けるぞ!!」

 

POTを飲んで後退していたクラインが叫ぶ。

 

「了解!!ユウキ後退だ!!」

 

「リョーかいっ!!みんな、次の振り下ろし攻撃で後退だよ」

 

ユウキが叫ぶと、その直後ボスが振り下ろしの動作に構えた。その直後、ボスが斧をユウキ達に向かって振り下ろした。しかしその攻撃は誰にも当たらずしっかりと、ユウキ達A隊は回避に成功し俺達B隊と入れ替わった。

 

ボス戦開始から数十分、ボスのHPは残り二ゲージとなっていた。しかしゲージが残り二つとなった為、ボスのパターンが変わり振り下ろしの攻撃をそんなにしなくなり、逆に爆弾攻撃を連発していた。

 

「くそっ、少しジリ貧だな」

 

爆弾の攻撃を避けつつ呟いた。その時近くで一緒に、攻撃を避けていたユウマが話し掛けてきた。

 

「大丈夫だよ、キリトそろそろアイツの動きは止まる」

 

「えっ.......ユウマを何を言って!?」

 

そう言った直後、ボスが突然攻撃を辞め呻き声を発した。

 

「ウ.......ウウウウォ.......」

 

よくよく見ると、ボスの体に小さいスパークがまとわりついていた。

(あれは.......《麻痺(パラライズ)》か!?)

 

──麻痺(パラライズ)名前の言う通り、くらうと体が痺れ一時的に体が行動不能になる状態異常だ。だが.............

 

(有り得ない!!プレイヤーがボスモンスターに状態異常を使える筈がない、一体何故?)

 

SAOの世界は、プレイヤーは基本属性を扱えることは出来ず、ボスモンスターが主に属性を扱える。しかし、プレイヤーもある属性は使える。代表的なのは、麻痺(パラライズ)(ポイズン)の二つだ。しかしこれらの属性は通常、ボスモンスターには効かず普通のモンスターにしか効かない。なのに今目の前にいるボスモンスターには効いている.......何故だ?

 

しかし、ここまで考えたところで現実に戻り、未だに体が動かないニコラスを睨みながら、次の指示を飛ばした。

 

「麻痺が切れるまで全員攻撃(フルアタック)!!」

 

俺の言葉に、B隊のみならず後方で待機していたA隊も攻撃に加わり、ボスを囲みソードスキルを繰り出す。

(今はそんな事を考えている場合では無い.......今はコイツだ!!)

 

そう思いながら、自分もボスの元にソードスキルの発動を準備しながら、駆け出した。そして着くや否や、ソニックリープ(ソードスキル)を発動させた。まだボスは動けない。ここが正念場と察し、俺は現在覚えているソードスキルの中で最強のソードスキル、片手用直剣最上位技(ソードスキル)《ノヴァ アセンション》を発動させた。そのヒット数は、脅威の十連撃。

 

「グガアァァァァァァ!!」

 

俺達の攻撃に、ボスが苦痛の叫び声を上げ恐ろしいスピードでHPを削り、二本あったゲージは、一本を軽く削り最後の一本も徐々に減らしていた。しかし、そこでボスの麻痺が切れた。

 

「ウグルルラァァァ──!!」

 

ボスが一際大きな咆哮を上げると、そこから衝撃波が発生し俺達は後方に吹っ飛ばされ、背中から着地した。すぐさまボスの方を見る。ボスはというと、雪が舞い上がって俺達の姿を見失ったようだ。キョロキョロと辺りを見回している。ゲージの方を見ると、残り数ドットHPが残っていた。

 

(これは、チャンス.......!?)

 

そう思い、動き出そうとしたが体が動かなかった。何故?と思い、自分のHPバーを見る。そこには、周囲に黄色の枠が点滅しており同時に同色のデバフアイコンが表示されていた。

 

(これは.......スタンか!!)

 

スタンにより吹っ飛ばされたメンバーは、全員動けなかった。雪煙が晴れ、ニコラスがこちらを見つけプレゼント爆弾のモーションを構えたその時、ニコラスの後ろから人影が飛び出してきた。

 

(あれは.......サチ!?)

 

なんと飛び出してきたのは、サチだった。サチは、走りながらソードスキルの構えをしていた。幸いニコラスは、サチに気づいていない。

 

「「行け!!サチ!!」」

 

ユウキもサチの状況に気付いていたようだ。ユウキと一緒に、サチに声を掛ける。俺達の声に、ニコラスがサチの方に気づいたようだが、時すでに遅し。

 

「やあぁぁぁっ!!」

 

ソードスキル《バーチカルスクエア》が発動し、ボスのHPを削る。その直後、ボスが最後の断末魔を放ち、その身体を爆発四散させた。ボスのいなくなった雪原に、全員の歓声と撃破報酬のウインドウが出たのは同時だった。

 

──────────────────────

2023年12月25日 (日)PM19時00分 天候 雪

─第十五層 主街区──

 

あの時、何故サチが動けたのかとゆうとどうやらあの時、確かにサチも衝撃波をくらっていたらしい。だがあの時咄嗟に左手の盾でガードしたらしく動けない時間は、俺達に比べ半分だった為最後のトドメをさせたらしい。ということをボス戦後の打ち上げで話してくれた。

 

そして今日クリスマス当日、打ち上げ後俺達はそのまま最前線には帰らず、ギルドホームで寝させてもらい、目覚めた後二人でギルドホームを後にし、最前線の層に向けて転移門広場に歩いていた。

 

「いやぁ、ようやく終わったね。キリト」

 

「ああ、ホントだな。けどまだ疲れが残ってる気がするよ」

 

「うん、そうだね。ボクもまだ残ってる気がするよ.......にしてもさ、驚いたよねー。まさかユウマがあんなスキルを隠し持ってたり、サチのLAボーナスのアイテムがさ」

 

「.......そうだな」

 

ボス戦が終わった後、驚く事が二つあった。一つはユウマの事だ。あの時、ボスは本来人為的に状態異常になる事はないのに、状態異常になった。その理由を、ユウマにこっそりと詳しく聞いた所.......

 

「あー、あれはね、.......《属性付与(エレメントエンチャント)》っていうスキルなんだ。詳しいことは省くけど、ソードスキルに色々な属性を付けれて、尚且つモンスターを状態異常にさせることも出来る.......」

 

という言葉が返ってきた。

 

「.......《属性付与(エレメントエンチャント)》.......そのスキルの名は、情報屋のスキルリストに載ってなかった。ということは.......」

 

「.......エクストラスキル?」

 

「かもな.......それどころかユニークスキルという線も.......」

 

───《エクストラスキル》名前の言う通り、隠されているスキルだ。エクストラスキルは、通常では習得することが出来ないスキルだ。しかし、ある一定の条件を満たせば習得出来るスキルだ。クラインの《カタナ》スキルや、俺とユウマの《体術》スキル何かがエクストラスキルだ。しかし、ある一定の条件を満たしてもただ一人しか習得出来ないスキルが存在する、それがユニークスキルだ。今現在このSAOでユニークスキルを習得しているのは、《血盟騎士団》の団長ただ一人だ.......

 

「まあ今は詮索しても仕方ないよ。それよりも.......サチがゲットしたアイテムの方が一大事だよ」

 

「うん、そうだね。あんなアイテムが存在するってことを知られたら、一大事だよね」

 

サチがゲットしたアイテム.......《還魂(かんこん)の聖晶石》にはこう書かれていた。「対象のプレイヤーが死亡してからおよそ十秒以内に、使用すれば対象プレイヤーを蘇生させることが出来ます」と書かれていた.......

 

「.......あのアイテムが、存在するって知られたら《攻略組》どころか、アインクラッド中が大騒ぎする。そして最悪の場合.......」

 

しかし話は、そこで途切れた。話している間に、転移門広場に到着していた。転移門広場で四十九層の主街区の名前を口にし、周囲を光で包まれながら、四十九層にワープした。

 

四十九層にワープすると、現在の最前線だけあって人が溢れ返っていた。転移門広場には、昨日の段階では無かった巨大なクリスマスツリーが、展示されていた。

 

「わぁ、すごーいキレイ!!」

 

隣のユウキが、クリスマスツリーを見て目を輝かせていた。しかも、天候が雪ということも相まって、中々に良い雰囲気を出していた。

 

「.......あ、そういえばキリト!!昨日の事覚えてる?」

 

クリスマスツリーを見ていたユウキが、隣の俺に話し掛けてきた。

 

「昨日の事?」

 

「うん、昨日セツナとユウマと一緒に、何処か行ってたよね。何してたの?って聞いたら、セツナが「後で分かる」って言ってたから今、教えてもらおうと思って.......何してたの?」

 

「あ.......ああっ!!.......忘れてた!!」

 

キリトはそう言うと、メニューウインドウを開きとある小包を実体化させ、ユウキに話し掛けた。

 

「すまん、ユウキ遅くなった」

 

「え?なにが?」

 

キリトの言葉に、ユウキは困惑の言葉を返した。しかしキリトは、それに応えず言葉を続けた。

 

「.......メリークリスマス!!ユウキ!!」

 

と言うと、小包をユウキに渡した。

 

「えっ.......ええええええ!?」

 

小包を渡した瞬間、ユウキが驚きの声を上げた。

 

「い、嫌だったか?」

 

「う、.......ううん、ちょっとビックリしただけ。ありがとうキリト!!」

 

ユウキが、とびきりの笑顔で答えた。

 

「そ、そうか、良かった。.......実はな一昨日サチにな、ユウキが昨日、俺の為にレストランを予約してのをキャンセルしてたを聞いてな、何かお詫びしないなと思って、.............後、単純にクリスマスだから日頃のお礼を込めて、プレゼントあげようと思って、セツナとユウマに買い物を付き合ってもらってたんだよ」

 

「そうだったんだ.......ねぇキリト?これ、開けていい?」

 

「ああ、いいぞ」

 

キリトがそう言うと、ユウキは小包を開け始めた。中に入っていたのは.......模様が少しだけ入った赤いヘアバンドだった。

 

「わぁ、可愛い!!」

 

ユウキはそう言うと、ヘアバンドを付けキリトの方を向いた。

 

「ありがとう、キリト!!大事にするね!!」

 

ユウキにそう言われ、俺は顔が赤くなるのを感じ、咄嗟に横を向きぶっきらぼうに呟いた。

 

「.......どういたしまして、さ、帰るぞ」

 

「あっキリト、ひょとして照れてる?」

 

「.......うるさいぞ」

 

そんなやり取りをしつつ、二人は宿屋に向けて歩いていた。そんな二人を、聖夜の夜が優しく包んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

2023年12月25日 (日)PM22時00分 天候 雪

─第三十九層 主街区──

 

「つ、疲れた.......」

 

「自業自得よ、ヒロ君。昨日の夜、皆が頑張ってパーティーの準備してる時にこっそりと抜け出したんだから」

 

「わ、悪かったよ。アスナ」

 

《血盟騎士団》が開催するパーティーが終わり、抜け出した罰として片付けに奔走したヒロが椅子に座りこみ、アスナがそんな言葉を掛けた。

 

「あ、それより、ヒロ君。さっき団長が呼んでたよ。何でも昨日のことを聞きたいんだって」

 

「.......うへぇ、めんどくさいな」

 

「うへぇ、じゃないでしょ。さ、行った行った」

 

「はーい」

 

アスナに急かされ、ヒロはギルドホームの二階に上がり、奥の部屋をノックした。

 

「どうぞ」

 

「失礼します」

 

中から返事があったので、一言断わってから中に入る。

中には、窓の外を見つめる男が居た。暗赤色のローブの背にホワイトブロンドの長髪を束ねている男───《血盟騎士団》の団長にしてアインクラッド最強のプレイヤー《ヒースクリフ》はゆっくりとヒロの方に向き直った。

 

「すまないな、ヒロ君。こんな時間に呼び出して」

 

「いや、大丈夫ですよ。元々は俺が悪いんですから」

 

俺の言葉に、

 

「そうか、.......では本題に入ろう。君は昨日何故パーティーの準備中に飛び出したんだ?」

 

ヒースクリフに、そう尋ねられる。ヒロは、その言葉にゆっくりと深呼吸をし、真剣な眼差しでヒースクリフに言葉を返した。

 

「.......昨日、俺が動いた理由それはとある情報をキャッチしたからです。そしてその情報を元に昨日動いた結果、1つの結論に辿り着きました。」

 

そこで一旦言葉を切り、更に真剣な眼差しで説明を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キリ.......いえ、《黒の剣士》そして相棒の《絶剣》が《PoH》に狙われています」

 

ヒースクリフに、そう告げた瞬間、外の雪が激しさをまし、どこからともなく、ヒロは何者かの声が聞こえてくるような気がした。

 

 

「イッツ ショウ タイム」




いかがでしたでしょうか。今回色々と設定を変えておりますので、どうかお許しください。今回は、原作では悲しい話なんですが、私は書き換えました。やっぱり悲しくない方がいいと思いますからね尚その結果、文字が2万弱になった模様(笑)
なので、今回の話がお気に召さな方がいましたら本当にすみません。元々決めていたので。

さて、今回もお読み頂きありがとうございました。相変わらず更新は遅いですが、気長に更新を待っていただけると幸いです。Twitterもやってますので気軽にフォローよろしくお願いします。それでは、また次の話で会いましょう!!

(新年早々おみくじ引いたら、大吉だったぜ!!)
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