とある魔術の仮想世界[4]   作:小仏トンネル

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第38話 禁断の扉

 

「・・・その禁忌目録が施行されて、それからこの世界の統治が始まっていった…ってわけか。でもいくらなんでも、クィネラのことを神の申し子だとか奉って盲信してるからって、人々は法を破りません…ってのは、理由として少し弱くねぇか?」

 

 

大図書室で会話を続ける上条は、注ぎ足された紅茶を飲みながら言うと、カーディナルもまた紅茶で喉を潤してから話を再開した

 

 

「分かっておる。順を追って説明せねば分からんじゃろう。禁忌目録を世に広めてからもクィネラは次々と改定を繰り返し、自身も属する公理教会にとって都合の良い道徳観念で民をギチギチに縛ると同時に、生活全般に於いて起こり得るトラブルの原因を排除した。そんな何も考えずに従っておれば問題の起こらなくなる法を疑う人々は、もう一人として現れんくなった」

 

「そうして己の地位と権力を確立させながら支配欲を満たしていったクィネラじゃが、天命限界という己の寿命に抗うことは出来なかったのじゃ。それを操作できるのは管理者権限を持つ者のみ。外界の管理者か、あるいは自律制御システムたるカーディナルだけじゃからな」

 

「クィネラの天命は日々着実に減少していった。やがて50、60と歳を重ね、比例して階層を高くするカセドラルの最上階の寝室から出ることはなくなった。普通ならばもうそこで諦めて今生を振り返りながら安らかに死を待つところじゃが、あやつは恐るべき生への執着から、『禁断の扉』を開く神聖術の研究を始めたのじゃ」

 

「き、禁断の扉…?天命限界を伸ばす神聖術ってことか…?」

 

「そんな甘っちょろいものなら良かったんじゃがな。クィネラは、その禁断のコマンドを呼び出そうと足掻き続けた。実るはずもない努力。千回コインを投げて、その全てで表を出すようなものじゃった。しかし命旦夕に迫ったある日の夜、あり得もしない偶然が起こった。あるいは、外界の何者かが手助けしたのかもしれんがな」

 

 

そう言うとカーディナルは一呼吸置き、座したまま杖を宙にかかげた。そして忌々しいものを呪うような口調で、ゆっくりと発音した

 

 

「見せてやろう。お主には使えんからな。システム・コール!インスペクト・エンタイア・コマンド・リスト!」

 

「・・・何だ?これ」

 

 

途端、上条の耳にこれまで一度も聞いたことのないような重厚な効果音が響いた。その異様な音に思わず目をつぶり、恐るおそる瞼を上げていったその先に、ステイシアの窓より少し大きめの紫の窓があった

 

 

「・・・おい、これって…嘘だろ!?」

 

「察したか。そう、これこそまさに禁断の扉。コイツには、この世界に存在するあらゆるシステム・コマンドの一覧が記してある。過ちという他ない。この世界の創造者達の、取り返しのつかない巨大な過ちじゃ。このコマンドだけは消去しておかねばならなかった。これを必要とした原初の四人が、世界を去ったその瞬間に…な」

 

「ず、杜撰すぎる…!あり得ねえ!この世界を作った人間は、仮想世界やプログラム設計に関しちゃズブの素人もいいとこだぞ!?」

 

 

信じられないようなものを見る目で、上条はその窓を凝視し、何度も指で小突きながら怒りを露わにした。カーディナルはそれに深く頷くと、ため息をついて口を開いた

 

 

「クィネラはそれを開いた時、文字通り躍り上がった。まず自分の権限レベルを最大まで上昇させ、世界をコントロールするカーディナル・システムへの干渉を可能にした。そして次に、カーディナル・システムのみが持つ権限の全てを己に付与した。地形や建造物の操作、アイテムの生成。そして人間を含む動的ユニットの耐久性……つまりは」

 

「・・・天命の操作。天命による寿命の限界を突破したんだろ?」

 

「憎きことじゃ。完全なる管理者となったクィネラは齢80を超えていた消滅寸前の天命を全回復させ、続いて天命の自然減少の停止、容姿の回復を行った。まさに永遠の命。じゃがこの魔性の女は、それを手にしても己の欲望に満ち足ることはなかった」

 

「そ、それで満足しないって言っても、これ以上何すりゃいいんだ?世界の権限にアクセスして、あまつさえそれを手にして今さら何を…」

 

「許せなかったのじゃ。文字通り世界を手中に収めた自分と、同等の権限を持つ者の存在がな」

 

「・・・それはつまり、カーディナル・システムの存在すら邪魔だって思ったってことか?」

 

「然り。意識をもたぬプログラムさえも、彼女は排除を試みた。クィネラはカーディナルの権限を奪おうと考え、強大な神聖術を組み上げて唱えた。しかしその結果、カーディナルに与えられていた基本命令を己のフラクトライトに書き換え不可能な行動原理として焼き付けてしまった。権限レベルを奪うつもりが、カーディナル・システムと自らの魂を融合させてしまったのじゃ!!」

 

 

彼女の底知れぬ欲深さを語りながら、改めてその愚かさに腹を立てたカーディナルがテーブルに怒りの拳を叩きつけた。ダンッ!という音を立ててカップが少し揺れると、少女は慌てて眼鏡をかけ直して平静を装った

 

 

「すまん、取り乱したな。秩序の維持…それがカーディナルの基本命令であり存在意義じゃ。お主も同じシステムに制御された世界にいたことがあるなら分かるじゃろう。お主らプレイヤーの行動を常に監視し、バランスを見出すような事象を見つけるや否や容赦なく対処する」

 

「そんな人間に、いや…『人間ではない何か』にクィネラはなってしまったのじゃ。そして支配者にして管理者となった己の名を…公理教会最高司祭『アドミニストレータ』へと改変したのじゃ」

 

「・・・だから、絶対の秩序を保とうとするアドミニストレータが管理するこの世界の人達は、禁忌目録には絶対に逆らわない…あるいはアドミニストレータがそうプログラムした…ってことか?」

 

「いや、何かしらの先入観のようなものは存在するかもしれんが、プログラムされたということはあるまい。人工とはいえ、フラクトライトは生きた感情、魂そのものとも呼べる。その人工フラクトライトの、あまつさえアンダーワールドに住む全ての民の思考ロジックを操作するなど、たとえシステム・コマンドでも操作できるものでもないじゃろう」

 

「そうか…事情は分かった。だけどまだ俺は、アンタ自身の話を聞いてなかったな」

 

「そうじゃな。満を持してようやくワシの登場じゃ。この世界は絶対統治者アドミニストレータの管轄で、平和かつ無為な時代が続いた。しかし70年ほど経った時、彼女は記憶を保持するためのフラクトライトの容量がいつの間にか限界を突破しておったのじゃ」

 

「・・・言ってもどうせ、それも解決しちまったんだろ?なんせ管理者権限持ってんだから」

 

「その通り。記憶容量の限界という思いがけない事態に、さしものアドミニストレータも困惑した。しかし、それを悪魔的な方法で解決しようと試みた。アドミニストレータはある一人の少女を選び、その女子のフラクトライトに己がフラクトライトの思考領域と重要な記憶を上書き複写しようと考えたのじゃ」

 

「なっ!?」

 

 

カーディナルの言葉に、上条は思わず言葉を失った。それはつまり、紛れもない魂の上書き。他人の魂を物とも思わないアドミニストレータの残酷さに、上条は驚愕する他なかった

 

 

「そ、それってつまり…バックアップ取るってことだよな!?それを他人の魂の容量使ってやるなんて…許せねぇ!」

 

「アドミニストレータは悪魔の儀式、魂と記憶の統合を意味する『シンセサイズの秘儀』によりついに他人のフラクトライトを強奪することに成功した。じゃが、それがあやつの失敗じゃった。カーディナル・システムと自らの魂を融合させてしまった…もう今では決して取り返しのつかない一つ目の失敗に続く、二つ目の失敗じゃ」

 

「失敗…?」

 

「そうとも。なぜなら用意した少女に乗り移り、それまでの自分を処分するその一瞬だけ、同等の権限を持つ神が二人存在することになることを、あやつは完全に失念していたのじゃ」

 

「・・・なるほど、ようやく合点がいった。それがアンタだったのか」

 

 

これまでの話が全て腑に落ちたように上条が言うと、カーディナルは頷くことでそれに答えた。そしてフッと可愛い鼻息で笑うと、杖を手で回しながら語り始めた

 

 

「カミやん。お主ワシのオリジナルを知っておるのじゃろ?その特徴を申してみよ」

 

「と、特徴たって…俺そんな詳しくねぇんだけどな。まぁ知ってるのは、人間があんまり直にテコ入れせずに、ゲームのバランスを保って長時間稼働できるようにする…ってことぐれぇだよ」

 

「それで十分じゃ。そのためにカーディナルには、メインとサブ、二つのコアプロセスが存在しておる。メインプロセスがバランス制御を行っている間、サブプロセスが…」

 

「待った!分かりやすく!分からん!」

 

「・・・バカにも程がある」

 

「ほっとけ!」

 

「要するに、実際に仕事としてバランスを調整するメインという人格を長持ちさせるために、メインにエラーが出てないかチェックする、サブという人格がカーディナルには同居しておるのじゃ。だからクィネラが己のフラクトライトに刻み込んだのは、秩序の維持という目的を果たそうとするメインプロセスだけではなかったのじゃ」

 

「えっとつまり…じゃあアンタがその、アドミニストレータがかつて同化したカーディナルのサブプロセスの人格…?」

 

「うまく説明できたようじゃな。そう、ワシはあやつの中で『メインの過ちを正さねば』と反芻しながら、ずっとチャンスを待ち望んでおった。そして70年の長きに渡り、待ちに待ったその時がついに訪れた。ワシはこの少女の体にあやつのフラクトライトが乗り移ったその瞬間、決死の抵抗を試みた」

 

「じゃが同じ権限を有するとはいえ、この少女の幼い体とあやつの10代前後の若さを保った体では、一対一でヤツを倒すことが出来ないと、熾烈を極める神聖術の撃ち合いの中で悟った。そこでワシは万能のあやつでも管理の届かない二つの場所のうちの一つに逃げ込んだ。果ての山脈の向こう側であるダークテリトリーと、今ワシがこうしている大図書館じゃ」

 

「なるほど…それでアンタっていう本の虫…いや引きこもりが誕生したわけだ」

 

「・・・失礼なヤツじゃの。その本の虫がいなければ、さっきお主は逃げる暇もなく牢屋にぶち込まれたのかもしれんのだぞ?」

 

「じょ、冗談ですよ…難しい話をずっと聞くってのは、どうにも好きじゃないんだって」

 

 

上条のその言葉に、カーディナルがムッとして杖を構えると、上条は即座に両手を挙げて降参の意を示した。眼鏡少女は口の減らない少年に大きくため息をつくと、そのまま続けた

 

 

「・・・それからここで200年間、ワシは自分のフラクトライトの記憶を整理しながら、ひたすらに観察と思索のみを積み重ねてアドミニストレータに逆襲の一撃を見舞う方策を練った。じゃがそれはヤツとて同じこと。あの憎き女はワシの奇襲に備え忠実にして強力な手駒を揃えようと考えたのじゃ」

 

「それが、さっきのエルドリエや、アリスみたいな整合騎士か」

 

「左様。魂と記憶の統合という『シンセサイズの秘儀』によって、アドミニストレータは数ある素体の中からその第一号、『ベルクーリ・シンセシス・ワン』を生み出した」

 

「ベルクーリ…?ッ!ルーリッド村に伝わるお伽話の騎士と同じ名前だ!」

 

「そうじゃ。その英雄は大昔に禁忌を犯してカセドラルに捕らえられ、長らく凍結保存されておったのじゃ。じゃがその英雄の記憶さえもアドミニストレータは操作、改ざんして己への絶対的な忠誠を強いる『敬神モジュール』なるオブジェクトを頭部に埋め込んだ。見た目はこのくらいの、紫色の三角柱の水晶のようなものじゃ」

 

 

カーディナルはそう言いながら、小さな手で10センチほどの隙間を作ってみせた。そんな物を頭部に入れられて正気でいられる訳がないと、上条は思わず背筋を震わせた

 

 

「それを埋め込まれることにより、記憶を奪われた魂と、造られた記憶及び行動原理が統合され、新たな人格が形成される。教会とアドミニストレータに絶対の忠誠を誓い、人界の現状維持のみを目的として行動する超戦士…それをあやつは、『整合騎士』と名付けた」

 

「・・・つまり…俺が倒したエルドリエも本当は『召喚』されたんじゃなくて、四帝国大会を優勝した元の人間だった頃の記憶を奪われて、新しく人格を生成された…?でも、さっきその思考ロジックを操作することは出来ないって…」

 

「それは今や人口8万人にも及ぶ全ての人間の記憶と人格を改竄することは不可能じゃよ。じゃが一人の人間に、相応の準備と処理を施して神聖術を行使すれば、十分に可能な事なんじゃよ。なんならワシが今から似たようなモジュールを生成して、お主の脳髄にぶち込んでやろうか?」

 

「や、やめてくれよ縁起でもない…」

 

「まぁ、そうじゃな。話を戻すと、今やその整合騎士は31人まで増えた。31番目までの騎士ほぼ全員が、禁忌を犯すほどの強い意志を持つ者や、己の剣で四帝国大会を制した者、そういった教会にとって脅威になり得る可能性を秘めた人間を集め、あやつはその記憶と人格を改竄し、自らの駒として仕立て上げたのじゃ」

 

「そうだったのか…じゃあさっきのエルドリエは、アンタが四帝国統一大会の覇者だったって言ってたように、記憶を改竄される前から強い騎士だったのか…」

 

「その通り。そしてお主は、その強者揃いの整合騎士残り30人を蹴散らして、あの塔のアドミニストレータをぶっ飛ばす。そうじゃろ?」

 

「・・・ちょっと厳しそうだな…」

 

「別に一人で戦うのも悪くないのではなかったのか?例えに出していた、ドラゴンなんとかとかいうのはワシの知るところではないが」

 

「いやぁ…まぁ厳しい戦いにはなるだろうって想像はしてたが…認識が甘すぎたみてぇだな。つっても、他人の天命を減らす禁忌を犯せないこの世界の人には、どっちにしろ頼れそうもなかったから、一人でやるしかねぇとは最初から覚悟してたよ」

 

 

大した策も考えずに特攻した上条は、そこでようやく現状を正しく理解した。30人もの神器を持った凄腕の騎士、そして管理者権限を有するアドミニストレータを自分一人で打ち倒そうなど、どう考えても不可能に近いと悟った

 

 

「故に、ワシもこうなっては対アドミニストレータに向けて協力者を探さねばならんと思った。じゃが、禁忌目録を破れる人間などそう易々とは現れまい。故に出来るだけ遠くまで扉を開いて周囲に生息する虫や鳥に、感覚共有やその他を施して全世界に放っておいたのじゃ」

 

 

そう言ってカーディナルは微かな笑みを浮かべて指を鳴らすと、上条のツンツン頭の中から黒い粒のようなものが飛び出し、カーディナルの手のひらへと飛び移った

 

 

「うわっ!?何ごと!?」

 

「ほれ、可愛いかろう。名前はシャーロットじゃ」

 

「く、蜘蛛!?なにそれずっと俺の頭の中にいたので!?」

 

「・・・ずっと、というと少し語弊がある。こやつは2代目シャーロットじゃ」

 

「えっと…じゃあ初代さんは?」

 

「ルーリッド村を出てからずっとお主ら二人の言動を監視しておった。じゃがつい先日、自然現象を止めていた200年の天命を全うした。一週間前の夜にな」

 

「・・・悪かった」

 

「そう暗い顔をせずともよい。ワシとてお主が何者かは分からんが、見たところお主も自分の本質が何か分からんと言った様子じゃからの。監視役を学院にも配備しておいたことが功を奏した。それで御の字としよう」

 

「じゃあ、さっきT字路で俺を右に行かせたのは…」

 

「その通り。このシャーロットじゃ」

 

「・・・ありがとうな。先代にも礼を言っといてくれ」

 

 

そういうと上条は、少女の小さなの手の平にちょこんと佇む黒い蜘蛛に丁寧に頭を下げた。カーディナルはそれに少し笑うと、本棚の隅へと役目を終えた黒い小さな使いを放った

 

 

「えっと…話を戻すと、アンタはこの図書館に閉じこもったまま、200年も協力者を探し続けてたのか?」

 

「うむ。しかしそうして長きに渡って世界を眺めている間に、わしは思った。この世界を作った真の神たち…お主らのような外界の人間は、何故未だに偽りの神・アドミニストレータの統治を放置しているのか、とな」

 

「・・・たしかに。普通なら私的に管理者権限を持つフラクトライトなんて、放っとく訳ねぇよな。でもそれは別に気づいてねぇだけなんじゃあねぇのか?さっきの膨大なリストの中に、それを誤魔化す手段くらいはありそうだと思うけど…」

 

「無論、それも考えた。じゃがそれも構わんとするだけの結論に、この図書館のデータベースを参照していく中でたどり着いた。真の神たるこの世界の創造者は、この世界の人間達の真の幸せなど望んでおらん。むしろその逆じゃ。民達を万力でゆっくりと締め上げ、その負荷にどのように抗うかを観察しておる。現在も負荷は日に日に増し、いずれ最大の試練となる負荷実験の最終フェーズが訪れることじゃろう」

 

「さ、最終フェーズ?」

 

「その名も『最終負荷実験』。お主も知っておろう。人界の外側に何があるのかを。その世界こそ、民達に究極の苦しみを与えるべく作られた装置なのじゃ」

 

「ダークテリトリーの闇の軍勢のことか?たしかに、なんでそんなモンがあんだと常々思うところはあったが…」

 

「お主、実際に果ての山脈でそれと戦ったろう。その時のゴブリンは、この世界で禁じられとる殺人や傷害になんらかの引け目を感じているように見えたか?」

 

「・・・おい、まさか…アレはそういう風に作られたフラクトライトだとか言うのか!?あんな、明確な悪意を持ったモンスター達まで…俺たちと同じ魂が根底にあるのか!?」

 

 

上条は自分の予感を、震えながらもなんとか言葉にした。そしてその問いかけに、目の前の少女が頷いてほしくないと心の底から思った。しかし無情にも、カーディナルはゆっくりと上条に頷いて言った

 

 

「外観こそああじゃが、人間と同じフラクトライトに殺戮と強奪の行動原理を付与されておるのじゃろう。そしてその怪物達が人界人の領土に攻め入り、暴虐の限りを尽くすその日を今か今かと待ち望んでおる。おそらくそう遠い未来の話ではないぞ」

 

「そ、そんなことして一体何の意味が…ってのは、外界のヤツにしか分かるわけねぇな。じゃあアドミニストレータは、そのことをもう知ってんのか?」

 

「知ってはおるが、あやつは己の力と整合騎士のみで闇の軍勢を問題なく撃退できるとタカを括っておる。貴重な戦力となる東西南北の守護龍すらも、己の操作が効かぬという理由で屠ってしまった程にな。だがあやつらの戦力では到底無理じゃ。絶対数が少なすぎる」

 

「ってことは、アドミニストレータを倒そうが倒すまいが、この世界は変わらないんじゃねぇのか?」

 

「残念なことじゃがな。故にワシは唯一の結論に至った。アンダーワールドを人界もダークテリトリーも全てまとめて無に還す。ライトキューブに保存されている全てのフラクトライトを削除するのじゃ。人界の民の者も闇の民の者も一つ残らず…な」

 

 

世界を無に還す。カーディナルのたどり着いた結論に、上条は背筋を凍らせた。そんな恐ろしいことを、こんなにもあっさりと口に出来る人間と相対していることに、上条は計らずも生唾を飲み込んだ

 

 

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