ある一人の少年がいた。
あの日、あの場所にいた。
目の前で多くの人が死んだ。
少年は……怪物になった。
これは、怪物から原点に戻る物語である。
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「よ、響。お前もライブに来ていたのか。」
「うん!焔君も来てたんだ!」
いやー、嬉しいねー。僕の友達は誰もツヴァイウィングのライブの抽選に外れてこれなかったから友達がいて助かるよー。
「本当は未来も来るはずだったけど……寝込んじゃって…。」
「あー、御愁傷様。」
未来ねー、僕はあいつがあんまり好きじゃないんだよなー。基本的に真面目でつまらないし、しょっちゅう怒ってくる、まるで先生がちっちゃくなったような奴だからなー。
「あ、開いたよ。」
「よし、じゃあな。俺は指定された席に行くで。」
「うん!」
さーて、俺の席は会場の一階だから名一杯興奮して感想を未来に伝えて悔しがらせてやろーと。
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すげぇすげぇ本っ当にすげぇ!
天羽奏と風鳴翼の最初の曲『逆光のフリューゲル』だけで会場は大盛りやがりだ。
『みんなー!まだまだいくよー!』
奏さんの合図と共に次の曲を歌い出そうとした瞬間
目の前の男の人が黒い何かになった。
「……はっ?」
黒い……粉……?人間が黒い粉に……?
い、嫌な予感がする。早くここから逃げないと!
「「「「きゃあああああああああああああ!」」」」
俺よりも中心の方にいた人の悲鳴が聞こえたがそんなのお構い無しに逃げる。
人を黒い粉にする…そんなことが出来るのはノイズだけだ。ノイズ、それは特定災害に指定されてる謎の存在である。触れた人間を炭素に変え、既存の兵器では攻撃が通じない存在。
そんな相手に逃げるしかない。たとえ……何があっても。
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僕は逃げて逃げて、気がついたら階段の下にある薄暗い場所に身を押し込んでいた。
道の方では悲鳴と、助けを呼ぶ声と、そして罵声が聞こえた。
生まれつき五感のなかで聴覚と視覚が優れていたこともあり、その声が聞こえ、その景色が見えてしまうのだ。
(嫌だ、死にたくない!)
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
僕の頭に死にたくないという思いだけが加速する。
あんな死にかたは嫌だ。ゴミのように死ぬのは嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、嫌だ!
~ーーーーーー
なんだこの音は……。誰かが歌う声が聞こえてくる。まるで歌に全てを捧げるような、そんな悲しい旋律だ。
ドクンッ
え……?この歌と呼応するかのように僕の胸が熱くなっていく。まるで、何かが胸の中から出るような、そんな苦しい感覚だ。
(収まれ、収まれ収まれ!)
この熱をなんとか収まらせ、階段の陰から出る。
もう、歌も、悲鳴も、何も聞こえない。ただ、誰かがすすり泣くような音が聞こえて来るだけだ。
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「奏、かなでえええええええ!」
僕は会場に戻っていた。黒い粉が舞う会場の中心で、謎のスーツを着た青い髪の女性が泣いていた。
(奏……ツヴァイウィングの奏か…?)
だとしたらあそこで泣いているのは風鳴 翼か……。
そして、近くを見渡すと響が血を流して倒れていた。
「響!?」
僕はすぐに響のそばに駆け寄り、手で脈を図った。胸に傷ができているようだけ問題ないな……。一応生きてる。
俺たちは生きてこの地獄から戻ってきた。
ーーそして、新しい地獄へと入っていった。