【実況】掲示板でデンドロを進みたい【安価】   作:レイティス

27 / 118
前回の産業:
安価は楽しくネ!
カジノだぁー!
ディーラーのお姉さんかぷかぷ

今回から少しの間メイン視点が主人公から離れた閑話となります。
それでも大丈夫という方のみスクロールしていってください。



閑話・稀人たちの鎮魂歌その一

 

【実況】掲示板でデンドロを進みたい17【安価】

 

1 :【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/03(火)

このスレは【神貪双牙 ゲリ・フレキ】の<マスター>、アバターネーム「ルミナス」が楽しく<Infinite Dendrogram>を遊ぶのを実況したり安価したりするスレです

荒らしとかはスルーして楽しく安価!

次スレとかは970を超えたら私が立てるのでそのあたりで減速してね

 

前スレ

【実況】掲示板でデンドロを進みたい16【安価】

http://dendro141624/thread/899854/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

162:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)

うーん

ひーまー!

 

 

163:【貪食巨人 ガルガンチュア】[sage]:2044/05/04(水)

えぇ……

 

 

164:【賦活昇天 ニルヴァーナ】[sage]:2044/05/04(水)

まぁ、ずっと砂上船に乗ってもう……リアルで三日だっけ

それは確かに飽きる

 

 

165:【使鳥星 デカラビア】[sage]:2044/05/04(水)

連休羨ましい限りだ……

 

 

166:【封身猿技 サンザル】[sage]:2044/05/04(水)

船上殺人事件とか起きない?

安価も出来ないよ!

 

 

167:【穿地潜殻 ノーチラス】[sage]:2044/05/04(水)

不謹慎……っ

 

 

168:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)

こんなんじゃ私……どこか別のスレに遊びに行くしかないじゃん……

 

 

169:【誕深大蛙 ヘケト】[sage]:2044/05/04(水)

もうちょっとがんばって

 

 

170:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)

頑張る

というわけで誰かネタ、ネタない?

 

 

171:【神意発現 メジェド】[sage]:2044/05/04(水)

難しいことを言う

 

 

172:【貪食巨人 ガルガンチュア】[sage]:2044/05/04(水)

砂の海で釣りとか……ないか

 

 

173:【穿地潜殻 ノーチラス】[sage]:2044/05/04(水)

ワームばっかり釣れそう……

いやでも砂漠を泳ぐ魚もいるか。モン〇ンみたいに

 

 

174:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)

それならネタというかちょっと募集したいことがあるんだが

 

 

175:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)

えー

六道かあ

 

 

176:【封身猿技 サンザル】[sage]:2044/05/04(水)

この反応である

 

 

177:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)

何故なのか……

 

 

178:【賦活昇天 ニルヴァーナ】[sage]:2044/05/04(水)

割と同期勢に対して露骨に対応が変わるスレ主

 

 

179:【万知双告 フギン・ムニン】(管理人)[sage]:2044/05/04(水)

妹は負けず嫌いなので同期というか同じグループ内で戦闘能力が高い傾向にある人に対して割と辛辣になります

 

 

180:【誕深大蛙 ヘケト】[sage]:2044/05/04(水)

えぇ……

 

 

181:【神意発現 メジェド】[sage]:2044/05/04(水)

精進すれば良い

 

 

182:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)

同期組では既に上級エンブリオになってるなんておのれ六道

 

 

183:【使鳥星 デカラビア】[sage]:2044/05/04(水)

もう初めて二ヵ月弱……だったか? それなら変ではないだろうに

ともあれ進まないからテトラビブロス、はよ

 

 

184:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)

ああ、今コルタナの死霊術師ギルドにいるんだが

簡潔に言うと<UBM>が出たから暇な人手を貸してくれ

 

 

185:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)

ほほう

 

 

186:【貪食巨人 ガルガンチュア】[sage]:2044/05/04(水)

なぬ

 

 

187:【誕深大蛙 ヘケト】[sage]:2044/05/04(水)

<UBM>の募集!

行きたいけど今定点狩り中なんですよねー……

 

 

188:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)

他にもギルド所属のマスターが三人いるので先着二名ならパーティ入り出来る

別に一パーティ縛りとかはないけれど連携のし易さ的にな

 

 

189:【屍撃襲 フランケンシュタイン】[sage]:2044/05/04(水)

なのだ

 

 

190:【神意発現 メジェド】[sage]:2044/05/04(水)

そういうことなら立候補しよう

対アンデッド性能ならばスレ主が見せていることだし

 

 

191:【使鳥星 デカラビア】[sage]:2044/05/04(水)

同じく行く

帰宅後のタイミングでよかった

 

 

192:【賦活昇天 ニルヴァーナ】[sage]:2044/05/04(水)

戦闘系じゃないので応援してる

がんばえーついでに実況して

 

 

193:【封身猿技 サンザル】[sage]:2044/05/04(水)

俺も俺もって思ったけどもう二人行ったならいいや

PT組めないと色々と面倒だしー

 

 

194:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)

特典武具欲しいナー

 

 

195:【貪食巨人 ガルガンチュア】[sage]:2044/05/04(水)

>>194

大人しく船室に戻ってましょーねー

 

 

196:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)

では来るマスターは三十分以内にコルタナ北門へ

そこでパーティ組んで【混貪讐念 ロイナン】の討伐に向かう

 

 

197:【誕深大蛙 ヘケト】[sage]:2044/05/04(水)

うん……?

 

 

198:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)

>>196

なんて??

 

 

199:【穿地潜殻 ノーチラス】[sage]:2044/05/04(水)

懐かしい……懐かしい?名が

言うてさっきも言ってたけど二ヵ月経ってないのか

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 □商業都市コルタナ・死霊術師ギルド

 

 

 時は少し遡る。

 

 

「どうも、今日もクエスト請けに来たんだけど──」

「あぁ、よく来てくれた六道君。今日も宜しく頼むよ」

 

 その日、ルミナスの同期の一人、【墓守(グレイブ・キーパー)】の六道は自身の所属する死霊術師ギルドへと顔を出していた。

 ティアンであるギルド職員の反応が示すように彼は頻繁に──デンドロ内の時間で週一(リアル二日に一回)程のペースでギルドを訪れている。

 その頻度は彼が<マスター>である事を考えると高いと言える。

 ジョブクエストを条件とするスキルや上級職もあるし、ティアンと交流することを目当てにジョブクエストを受注する<マスター>もいるが、そもそもジョブクエストとは基本的に特定のジョブの専門性を求められるクエストだ。

 該当するジョブの規律やジョブスキルの練度などと言ったステータスに現れない項目を参照するそれらは一般的な<マスター>からしてみれば一様に手間がかかり、戦闘系の<マスター>であれば街の外で狩りを行う方がジョブレベル上げにしても金銭的にも実入りはいい。

 六道が知る一例として、ルミナスなどは安価をしない平日は冒険者ギルドで討伐依頼を受けながらカルディナの砂漠の各所を転々と移動狩りし続けていて、料理人ギルドに行くことは専ら外で使うための調理道具や食料の購入の時ぐらいだ。

 

 そのような理由から雑多な依頼を取り扱う冒険者ギルドと比べると専門ギルドへと訪れる<マスター>は少ない。

 数少ないジョブクエストを回す<マスター>の大半は、モンスターとの戦闘が得意ではないか、リアルスキルや<エンブリオ>によりティアンよりも上手くクエストをこなすことが出来る者となる。

 そして六道は()()()()()()()()()()()()()<マスター>の一人だった。

 

「よし、それじゃ失礼して、っと」

 

 六道は職員に促されてギルドのカウンターの内側に座る。

 彼が今メインジョブに据えている【墓守】は幽霊たちから請けるクエストに補正を加える【傭兵(マーセナリー)】に似た特性を持つジョブだが、職員側の席に着く彼を咎める者はいない。

 そして彼の周囲をまるで衛星のように浮遊し続ける三冊の本──青、黒、白の装丁の本の内の一冊、青い本を手に取り、

 

「《霊交青書(ペイル・ログ)》、発動」

 

 自身の<エンブリオ>、【転星史書 テトラビブロス】の固有スキルの発動を呼び掛けた。

 その宣言に呼応するよう本が自動的に開かれる。

 本の中身は全くの白紙のように見えて──筆記具もなしにひとりでに文字が追加されていった。

 

トゥルーグ:やっときたぞー

エメラ:かまってー

ゴビット:殺殺殺してあいつ

太刀風:仇討ち以外も聞くというのは本当か?

 

「おう。それじゃ一人ずつ聞いてくから順番に話してくれ」

 

 多種多様な人物からの発言がまるで議事録のように浮かび上がる。

 一般人からすればそう見えるかもしれないが……ここは死霊術師ギルド。

 そこにいる職員やギルドに所属するティアン、<マスター>問わずに、少なからず()()()()()()()霊が見えている。彼らが六道の周囲に集まっていることも含めて。

 【テトラビブロス】の固有スキル、《霊交青書(ペイル・ログ)》の効果は「周囲に存在する死者の霊との意思の疎通」。

 モンスターのアンデッドではない、怨念が少ない彼ら(幽霊)との文通を行うことが出来るスキルだ。

 

「おっ、六道仇討ちなら俺に振ってくれよな!」

「遺言伝言とかなら任せろー」

「なんかそっちの人怨念滲んでない? 大丈夫?」

「ええい、いつも通り書き出すから待ってろ!」

 

 周囲のジョブクエスト待ちの人員の野次を一喝しつつ六道は書類に一枚ずつ幽霊たちの依頼を書き記して行く。

 【書記】などのジョブも持ってない身にしては慣れたものだ。

 そう、彼が主にこなしている仕事は──代筆。

 本来、アンデッドモンスターとしての【スピリット】や【レイス(死霊)】のように怨念を持って現世に干渉してくる幽霊以外は視認することが出来ない。

 例外として【死霊術師(ネクロマンサー)】やその派生職のジョブスキルによって朧気に視る事が出来るが……【冥王(キング・オブ・タルタロス)】をはじめとする死霊術師系統の超級職でないと完全な視認・意思疎通をすることは出来ない。

 超級職の奥義である《観魂眼》と違い魂の状態を確認して異常を察知することは出来ないが、【高位霊術師(ハイ・ネクロマンサー)】でもノイズや掠れ声によって聞き取りにくい幽霊との意思疎通が十全に出来る《霊交青書》は死霊術師ギルドとしてもありがたいのだ。

 幽霊からの仇討ちや遺言、届け物などのクエスト。

 死霊術師系統ならではの、未練を解消して現世に留まっている霊魂(残滓)を、怨念を発生させないように溶けさせるためのジョブクエスト。

 そのために六道のエンブリオはギルドでも大いに役立っていた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「よし、これで今日も大体行き渡った……な?」

 

太刀風:残念無念

エメラ:天地は遠いから手紙とかで妥協しなきゃ

太刀風:そうもいくまい

マルクロ:人が足りない人が足りない

フィルス:ごはん

 

「【墓守】は基本西方三国ばかりだから仕方ない。他の死霊術師系統のみんなが頑張ってくれてるだけありがたいんだぞ」

「お疲れ様です。……ダグラス・コインが市長になってから未練を持った霊が増えて我々の力だけでは難しいところですし」

「まあ……あれは、なぁ」

 

 数十分後。

 未練(依頼)を書き出してカウンターに並べては幽霊に自分の出した依頼の紙面の前に並ばせて、会話が困難なギルド員へ通訳をし続け、彼らがクエストに発った事で死霊術師ギルド内は閑散としていた。

 ……もっとも、依頼を受ける人員が足りず、待ちぼうけの幽霊も多くいるため「閑散としている」は一般人から見た視点なのだが。

 

 <マスター>が増える以前からもここ、コルタナは商業都市として巨大な富の裏で貧富の差が激しい場所ではあったが、以前はここまで幽霊が……未練を残して死ぬ者が多い都市ではなかった。

 かつては死者は市営墓地へと入るか、浮浪者などで税金を払っていないのであれば火葬の末に共同墓地へと入れられる。

 だが今から二年ほど前、ダグラス・コインが市長となり、共同墓地のスペースも市場開発に踏み切り浮浪者の遺体を街の北外れに廃棄するよう方針転換したことで状況が変わった。

 たとえ浮浪者であろうと、生来のストリートチルドレンであろうと、その弔われ方は死後に影響を与える。「終わり方」への納得というのはその日の糧を得ようと生きてきた者たちにも重要なのだ。

 

「六道さんの力でコイン市長のことを中央議会に訴えられないですか? 《真偽判定》があるのですから<マスター>がエンブリオで得た情報だって……」

「残念ながらそこまで便利じゃない。あちら(幽霊)に伝える意思がないと《霊交青書》は読み取れない、完全にパッシブ(受動的)なんだ、だから……」

 

エメラ:ダグラス・コインの悪事を知ってる幽霊まで六道の事が伝わるようここでクエストを続けるしかない、っと

太刀風:相手方が何もせずに暴かれるのを待つことに期待するのもな

 

「……それな、あっち(リアル)のように「死人に口なし」でもないのだからダグラス某が対策を打っている可能性もあるんだよな」

「それは……確かにそうなのですが」

 

 それこそ浮浪者の遺体を無造作に廃棄することが、未練を持つ者を大量に生む事こそが目的の可能性だってある。

 未練を抱えたまま現世を彷徨い続ければやがてただの幽霊も少しずつ溶けていき怨念を生み出す。

 怨念の密度が高まれば秘密を抱えた死者もそれを伝える心がすぐに怨念に溶け混じる。

 ダグラス・コインが本当にそこまで考えてこの方策を打ち出したかは定かではないが、死霊術師ギルドの処理能力を飽和させることには間違いなく成功していた。

 

「超級職か固有スキルの強化があれば……やっぱりどうあれ、我を通したいならスペリオルクラスへの到達が目標になるな」

「《観魂眼》……【冥王】に誰かが就くことが出来ればいいですね!」

「俺は前衛だから【墓守】の超級職になるが、そうなるとやはり他国に行く必要もありそうだ……と?」

 

 未だ空位となっている超級職について話している時、六道たちは一人(?)の幽霊が新しく死霊術師ギルドに入って来たのを察知して会話を止めた。

 勿論ここは死霊術師ギルドなのだから幽霊が出入りすることはよくあることだが、朧気に見える姿でも個人を判別出来るため誰が来たかは分かる。

 そして、それは本来この時間帯には来ない人物だからこそ六道も呼びかけた。

 

「ローライル、何かあったのか?」

 

ローライル:ああ、緊急事態だ

ローライル:ロイナンの霊が<UBM>化した

 

「……なんだって?」

 

 

 

 ◇

 

 

 

 □【墓守】六道

 

 男の霊、ローライルは割と古参の幽霊だ。

 少なくとも俺が《霊交青書》を習得した時には既に死んでいた……もっと言うとデンドロ内で一年半ほど前に死んだと聞いている。

 自身が持つ超級職……【食王(キング・オブ・フード)】を狙われて<マスター>に殺されたティアンであり、そのことが原因でロイナンが不安定になったことが未練となり現世に留まっているらしい。

 彼が事件を起こして多くの……俺を含む<マスター>を殺したことにも心(?)を痛めており、何かと死者と会話できる俺の手助けをしてくれた。

 ルミナス(スレ主)の護衛作戦の時、一職目で感知系スキルなんてない状態で俺たちがロイナンの奇襲を防げたのも彼が知らせてくれたおかげだ。

 そんな彼は事件でロイナンが死んだ後も未練を果たして消え去りはせず、【レイス(死霊)】となったロイナンの見張りをしてくれていたのだが……

 

ローライル:あいつはいつもどおり……と言っていいのかわからないが、砂漠を徘徊して周囲のモンスターを見定めていたんだが

 

 ちなみにロイナンは死後、幽霊になってしばらくは呆けたように動かなかったが、一週間ほどしてから活動を開始し、【グリード・レイス】となり夜な夜な近くのモンスターに襲い掛かるようになったらしい。

 ティアンや<マスター>は狙っていないらしいが……

 

ローライル:一時間程前、突然にあいつの存在感が増して急に<UBM>と化した。銘は【混貪讐念 ロイナン】

 

「混貪讐念……」

 

 <UBM>のネーミングはその特性を示すことが多いとの噂は確証はないがよく出てくる。

 あの最期は、その結果(不死)を得られなかったことから怨讐を抱いたのだろうか?

 

ローライル:そして<UBM>となったあいつは生前の肉体を手に入れ復活して──【スカヴェンジング・ジャイアントバグ】の個体と互角の戦いを繰り広げていた

 

「は?」

「あ、い、今は()()()()()!?」

 

 ローライルの説明にギルド職員と一緒に突っ込む。

 アンデッドは昼間……より正確には日光の下では活動出来ない、死霊術師でなくとも知っている常識だ。

 より正確には身体を持つアンデッドは、だが。

 スピリット系の非実体系はこの限りではない。それでも日光下ではステータスはある程度減るらしいが。

 今の外の天気は雲り、活動は出来てもステータスは大きく制限される。

 それでも二~三職目ほどのステータスがあればタイマンで狩れるモンスター相手に互角となると、日が落ちる前に早急に討伐するべきだろう。

 

ローライル:……話はまだ終わらない。戦いの末ジャイアントバグを気絶させその身を喰らったロイナンが……甲殻に包まれた。

 

「甲殻……虫の?」

 

ローライル:ああ、あいつの身体全体を覆う程のな

ローライル:それと同時に今までの鈍さが嘘のような身体能力を発揮し、近くで見ていた他のモンスターも虐殺し始めたんだ

ローライル:あれは、多分《弱肉供食》だと思う

 

「捕食した途端に……って肉のバフだとしても調理もしない生肉でそこまで劇的な効果が出るはずが……」

 

 職員の人が驚愕するが、俺はその情報に頭を抱えた。

 フレンドにそれを成す<マスター>がいるが故に。

 どう考えてもその異常は<UBM>の特性によるもの。

 そして、捕食によって得たのは恐らくバフではなく──

 

「捕食によるラーニング……スキルか部位獲得によって日光を防いだということか、まさに混貪」

 

ローライル:恐らくは。実際にその後はどんどんモンスターたちを食う速度も早まっていたからな

ローライル:そこまで確認して、時間を空けたら不味いと判断してギルドに戻ってきた

 

 お手軽なラーニングをする相手に時間を与えるのは確かによろしくない、掲示板でよく分かる。

 こちとらまだ両手で数えられる程度しかラーニング出来ていないというのに。

 

ローライル:今まで死霊と化しても人を襲っていないからと静観していた私が言うのもなんだが、あいつを倒すのに手を貸してほしい

 

「……あ、普通に頼まれるまでもなく討伐に向かうつもりだった。なんせ二回もやられたからなぁ……」

 

【クエスト【討伐――【混貪讐念 ロイナン】 難易度:七】が発生しました】

【クエスト詳細はクエスト画面をご確認ください】

 

 ローライルからの懇願にかつてのデスペナを思い出しながら呟くと同時に、クエスト受諾のアナウンスが表れる。

 <UBM>になってるのに生前とクエスト難易度が同じなのは何のギャグかとも思ったが、これはまだ<UBM>として生まれたて(逸話級)でラーニングも少ないからなんだと気付く。

 

ローライル:感謝する。報酬は……そうだな、【食王】の転職条件とかどうかな? 私はロイナンにしか伝えていなかったから今は条件がロストしているはずだ

 

 うーんこの、これまでの俺のジョブに全く合わない報酬。

 ルミナス姉(アイリス)に情報売ることになりそうである。

 

ローライル:それは残念。君ならロイナンにも並ぶ使い手になると思ったのだがね

 

「え、えーと六道さん? そもそも<UBM>の単独討伐なんて……出来るんですか?」

 

 職員の人の言葉ごもっとも、今のままでは皮算用もいいところだ。

 時間が経つごとに強くなる<UBM>、()()()()()()()()()なんて悠長なこと言ってられない。

 しかも前歴を考えればいつここコルタナに来るか分からない。

 ……いや、あの執着具合を考えるともしかしたらルミナスを追ってアルター王国方面に行く可能性もあるけれど。

 ともあれ、必要なのはMVPではなく確実な撃破。戦力が必要となれば──

 

「流石に一人で倒せる! ……なんて言いきれないし。ま、<マスター>の利点ってことであっち(リアル)で援軍を呼ぶとするさ」

 

 メニューを操作して定番となった掲示板のウィンドウを出す。

 まずは死霊術師板と、……よし、暇そうな連中がいるな!

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「よし、揃ったな。時間が惜しいからとりあえずPT組んで……詳細はいいから軽く出来る事の擦り合わせをしたら出発するぞ」

 

 掲示板で募集を開始してきっかり三十分後。

 コルタナの北門に集まった五人の<マスター>を前に俺は募集主として音頭をとることとなった。

 ルミナスのスレの住人とコルタナの死霊術師ギルドに所属している<マスター>、両方を知っているからということもあるが。

 

「というわけでまずは俺から。【墓守】の六道だ。合計レベルは262でエンブリオは【転星史書 テトラビブロス】、基本はタンクに単発アタッカーも兼ねてる」

 

 野良の臨時PTではエンブリオの独自性と各々が何処まで()()()が定まらずロール(役割)の擦り合わせぐらいしかしないことも多い。

 しかし、ここに集まった内の半分はそもそもエンブリオハンドルのスレに出るような面子なので単純に戦闘に使える情報は多いに越したことはない。

 そして俺の簡潔な申告に続き、掲示板から来た<マスター>の方が声を上げる。

 

「……【司祭(ビショップ)】、ヘルツ。こちらはガーディアンの【神意発現 メジェド】。合計レベルは312、ヒーラー兼対アンデッドアタッカーだ」

『riririri』

「私は【高位召喚師(ハイ・サモナー)】の黒紫無僧っす! 一応初日組って奴っすけどレベルは然程変わらず334! レギオンの【使鳥星 デカラビア】でテイマー、もといサモナーっす!」

 

 

 白衣を着た青年と濃い紫色の編み籠を被った少女のアバターの安価スレ組が自己紹介をする。。

 【メジェド】のスキルの対アンデッド性能は一度見たことがあるし攻撃回復の両面で活躍してくれるだろう。

 ……募った板を考えれば当然ではあるのだけど、ジョブ傾向被りが激しい。

 なお、二人ともジョブのガードナー系列の補助のためらしい。

 レギオンとガーディアンという違いはあれどエンブリオを支援するジョブビルドは獣戦士系統のようにある程度のテンプレがあるのかもしれない。

 しかし黒紫無僧は掲示板より明らかにテンションが高い……少し硬い口調のままのヘルツとは対照的だ。

 まあ掲示板ではよくあることであるが。

 

「【高位霊術師】の黄雨だ。対アンデッド特化のサポート兼テイマーだな。レベルは400ちょうどでエンブリオは【屍撃襲 フランケンシュタイン】」

「儂はホワイトジャック、【大死霊(リッチ)】じゃ。これがエンブリオの【死屍類涙 ネクロノミコン】」

「大死霊……」

 

 続いて死霊術師板からの二人が声を上げる。

 二人とも死霊術師ギルドとしての先輩でもあるが……片や怨念を扱う【大死霊】、片やエンブリオの性能がアンデッドの支配という能力故幽霊たちからの受けは少し悪い。

 普段は未練の解消ではなく危険なアンデッドモンスターの討伐などに精を出しているらしい。

 なお、禍々しい本のエンブリオを掲げるホワイトジャック氏は黒い遮陽ローブから除く本を掴む手は病的に白いとかそういうレベルではなくまんま白骨だ。

 【大死霊】のマスターはゾンビ系よりはスケルトン系の方が人気があるらしい。まぁ俺だって腐った状態で蘇るのはいやだな……

 

「《死霊術》全般が得意じゃが基本は魔法アタッカーじゃな。レベルカンストじゃが基本はリーダーである六道に任せるぞ」

「それでは、私は──」

 

 そして最後の一人、俺やルミナスより一週間ほど前に始めたおかげで事件に巻き込まれなかった死霊術師ギルドの同僚の一人。

 日光保護や幽霊からのクエストの受けもいい頼れる仲間の──

 

「──【高位霊術師】のベネトナシュと申します。合計レベルは372です。黄雨さんと同じくアンデッドサポートがメインです」

「そして妾が旦那様のエンブリオ、【冥導霊后 ペルセポネ】だ!」

 

 ベネトナシュとペルセポネ。

 板の関係でジョブの偏りこそあれど、このメンバーで怨霊退治に向かうのであった。

 

 

 

 To be continued

 

 

 

 

 





【アビスシェルダー】さん!? まずいですよ!


〇【墓守(グレイブ・キーパー)
死霊術師系統の派生上級職。
【暗黒騎士】が【呪術師】+【騎士】であるように【墓守】は【死霊術師】+【盾士】の複合上級職であり、その特性を簡潔に述べると防御系魔法戦士。
派生元の【死霊術師】とはその方向性が違っており、主に対闇属性(非物質系)、対アンデッド・怨念の障壁魔法や呪怨系状態異常耐性増加魔法などを習得する。
また、幽霊から受けるクエストの難易度に応じてステータスに補正がかかるのも大きな特徴。
これは【高位霊術師(ハイ・ネクロマンサー)】がアンデッド使役、【大死霊】が死者に近付くことに対し、【墓守】は「幽霊は幽霊のまま消す(未練を解消する)」ことを目的としているため。
怨念も残さずスキルにより無理やり成仏(?)させるのでなく穏当に氷を常温解凍するように自然に消す事が目的なため「死者の復活」を掲げる死霊術師(ベネトナシュ含む)では就かない人も多い。
そもそも転職条件に「《死霊術》の使用回数が一定以下」というのが存在するため基本的に他の死霊術師系の上級職を修めている人は取らない。
ロストしている超級職の転職条件の一つは「一度も《死霊術》を使用していないこと」ではないか?と噂されている。

そんな仮説を実証するため今日も【墓守】たちは超級職のジョブクリスタルを求めて<墓標迷宮>に潜るのであった……
※なお、全く関係ない模様

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。