優雅に甲板ティータイムをする姉妹
ロイナン第二形態撃破!
取り巻きと共に突撃してきたロイナンにピンチ!?
□■<カルディナ大砂漠>
【混貪讐念 ロイナン】が光の塵となって消え行く【ドラグワーム】の体内から強襲を仕掛けるのに呼応して動くことが出来た<マスター>は三人。
必殺スキルによるガーディアンとの融合により高いAGIを確保している【司祭】ヘルツ。
包囲された当初から盾役として他の<マスター>を庇えるように目を配っていた【墓守】六道。
そしてパーティの中央から船上を、戦場を見渡していた【大死霊】ホワイトジャックの三人だ。
【ロイナン】の速度は生前と比べると遅い。
アンデッドの身体では食事バフを得られないのか、はたまた食べても
それでも亜音速に達するAGIに、狙われているベネトナシュは反応は出来ても動けない。
【高位霊術師】とその補助に振り切った純魔術師ビルドの彼のAGIでは避けることも迎撃することも出来ない。
(この一撃で、趨勢を決める)
激情のままに顎を開き、頭では冷静に戦いを決める一手を打つ手筈を整える。
六道たちの思いとは裏腹に、この戦いはその実既に【ロイナン】はかなり追い詰められている。
HPは既に二割五分を切り、頼みの綱である固有スキルの《混食の氾濫》はストックの大部分を囮として放出している。
更に現在進行形で砂漠を照り付ける太陽が【ロイナン】の、そして《混食の氾濫》で作り出したアンデッドを焼いている。
このままでは攻撃を喰らわずとも数分で【ロイナン】のHPが尽きる程には、日光によるスリップダメージは強力だ。
(だが、その天秤はスキル一つでひっくり返るものだ)
「アンデッドに日光の耐性を与えるスキル」。
それを相対する<マスター>のいずれかが持っている事は状況からも確定であり、それさえ《混食の氾濫》でラーニング出来れば状況は一転する。
こちらは日光の耐性を得て、デスペナルティによりスキルの効果が切れればあちらの数は大きく減ずる。
あと三歩。それでようやく念願の<マスター>のスキルを喰らうことが出来る。
そして、それを阻もうとする者が三人。
「──《メジェド・ビーム》!」
一人は<マスター>の中で唯一【ロイナン】に勝るAGIを持つヘルツ。
白布の目の部分から放たれる熱線は光速であり聖・炎属性を持つ驚異のアンデッド特攻攻撃ではあるが、あくまで貫通する光線のダメージでありノックバックなどは発生しない。
もとよりスキル獲得からの短期決戦で蹂躙することが逆転の目となっている【ロイナン】はその光線を甘んじて受けつつ前進を止めない。
あと二歩。
「──《アウェイキング・アンデッド》」
【ロイナン】の視界の端で遮陽ローブを身に纏った骸骨、ホワイトジャックが新たにアンデッドを召喚する。
三メテルにも達しようという巨躯の骸骨が携えてるのはその身を更に超える大きさを持つ巨弓。
《デッドリー・エクスプロード》により怨念が焼却された現状で撃てる最大の単発火力を誇る手駒なのだろう。
しかし、遅い。
ベネトナシュ同様にAGIが大きく劣る彼は後の先を狙っているのだろう。
つまりベネトナシュへの攻撃の後、その次に繋げる前に《メジェド・ビーム》と併せてこちらのHPを削りきるつもりなのだ。
バリスタと見間違えるほどの太矢にどれだけの威力があるかは分からないが、確かに《メジェド・ビーム》の削りも含めると危ないかもしれない。
(だが、その考えは甘い)
読み違いがあるとすれば、それは<UBM>の固有スキルに対してであろう。
【混貪讐念 ロイナン】の唯一の固有スキル、《混食の氾濫》は複数の効果を併せ持つスキルだ。
《弱肉供食》の捕食対象からのラーニング、ラーニングスキルを消費してのアンデッドモンスターの生成、死者を利用した自己を含む部位改造修復。
そして生者を捕食した時の体力回復効果だ。
他の<マスター>を捕食することにより発生するHP回復で蹂躙することが出来るだろう。
空を飛びヘルツも一人であればやりようはいくらでもあるし、融合スキルの効果時間も無限ではない。
単純なAGIでそもそも【ロイナン】に勝るものがいないのだから。
あと一歩。
「《カバーリング》──!」
そう、単純なAGIでは足りなければスキルで補えばよい。
サブジョブの【
これまでの戦闘におけるその堅実な防御能力に他の<マスター>は六道が守ることを確信して次の一手を選んでいた。
──そして、それはこれまで六道を突破出来ずにいた【ロイナン】も同様だ。
盾の強度・形状をそのままに防御範囲を拡大する力場を生み出す《ブロッキング》や逆に盾の中心部の強度を数倍化する《ピンポイントガード》、対闇・対怨念の障壁を作成する《弔いの浄壁》。
それらの防御スキルに阻まれ<マスター>に《弱肉供食》を当てることが出来なかったが、ここに来て【ロイナン】にとって最後のチャンスが巡って来た。
これまで【ロイナン】の必殺の一撃が防がれて来たのはアンデッドに対して強力な効果を発する【墓守】の障壁魔法が突破出来なかったからだが、【盾士】の防御スキルと比べると発動が遅れる。
六道が直に受ける分には間に合う程の誤差だが、カバーリングスキルからの発動では間に合わない。
(そして、【盾士】のスキルでは防御力が足りない……!)
【盾士】は同系統の盾スキル特化職である【盾巨人】と比べると機動力の分防御スキルの性能が劣る。
《ブロッキング》では防御力が足りず守り切れない可能性があると考えれば使えるスキルは一つ、適用範囲の狭い《ピンポイントガード》だけだ。
盾の中心部分のみの防御性能強化、そしてそれを外す力を──【ロイナン】は持っている。
(これで終わりだ──)
【ロイナン】の口が限界まで開ききり、そこから口内に納まるとは思えないほど巨大な牙が露わになる。
《混食の氾濫》により甲殻や羽の時のように自らを改造した【ドラグワーム】の砕牙だ。
驚愕の顔を浮かべる六道たちを前に、【ロイナン】は歓喜を隠さずにそのスキルを宣言した。
『《
◇◆
ベネトナシュを庇うように立つ六道と【ロイナン】が交錯し、一瞬の静寂が訪れる。
ロイナンの、【暴食魔王】のスキルに狙われ、身を挺して六道が庇う。
【ロイナン】はあの時は
だが、その結果は大きく異なる。
『ナ、ニ……』
突如生えた大牙はその目論見通り、六道の目測を外し《ピンポイントガード》の効果範囲外から盾を貫通していた。
──だが、それだけだった。
六道を貫通してENDの低いベネトナシュまで串刺しにして捕食するはずの牙は、六道の身体に傷一つ付けられずに止まっていた。
「残念だが──
それを成しえたのは──六道のエンブリオ、【転星史書 テトラビブロス】の必殺スキル、《
常時発動のそのスキルの効果は「《
生前があったからこそ止められた死後の一撃に、勝利を確信していた【ロイナン】は一瞬その動きを止めてしまう。
そして、その決定的な隙を逃す<マスター>はいない。
『グオォォォォッ!?』
弓矢が、光線が、銃弾が、魔法が、様々な攻撃が最後の一手を防がれた【ロイナン】に殺到する。
死に体となった彼にそれらの攻撃を耐える術はない。
(こんな、こんなところで──)
不死に対する執着、力への固執、死の恐れの払拭。
アンデッドになってからも抱き続けて来た願いを原動力に戦い続けて来た怪物に六道が顔を近付ける。
「来世ではまともに暮らすんだな」
『マス、タアァァ──!』
小さく告げられた忠告とも言えない言葉の後に口を開き、
「──《弱肉供食》」
因果応報のようにその肉体に齧り付いた。
◇◇◇
【実況】掲示板でデンドロを進みたい17【安価】
1 :【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/03(火)
このスレは【神貪双牙 ゲリ・フレキ】の<マスター>、アバターネーム「ルミナス」が楽しく<Infinite Dendrogram>を遊ぶのを実況したり安価したりするスレです
荒らしとかはスルーして楽しく安価!
次スレとかは970を超えたら私が立てるのでそのあたりで減速してね
前スレ
【実況】掲示板でデンドロを進みたい16【安価】
http://dendro141624/thread/899854/
◇
405:【使鳥星 デカラビア】[sage]:2044/05/04(水)
終わった
疲れたっす……
406:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)
うむ
良き余興だった
407:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/04(水)
お疲れ様ー!
408:【神意発現 メジェド】[sage]:2044/05/04(水)
お疲れ様
409:【屍撃襲 フランケンシュタイン】[sage]:2044/05/04(水)
おつおつ
>>406
謎の上から目線である
410:【質実剛剣 ヒッタイト】[sage]:2044/05/04(水)
めでたい
411:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)
死ぬかと思ったぜ
アンデッド化して別スキル扱いだったらどうしたものかと
412:【封身猿技 サンザル】[sage]:2044/05/04(水)
はい、解散!
北門のマスターらも解散!
413:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/04(水)
やったぜ
414:【質実剛剣 ヒッタイト】[sage]:2044/05/04(水)
早速だが、UBMが召喚したアンデッドはどうなっている?
スキルによって術者倒しても消えたり残ったり色々だからな
415:【誕深大蛙 ヘケト】[sage]:2044/05/04(水)
MVPは?
416:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/04(水)
特典武具はよ
はよ
417:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)
ついでにアンデッドの味ってどうなの?
今後のために私、気になります!
418:【貪食巨人 ガルガンチュア】[sage]:2044/05/04(水)
基本的にちゃんと下処理しないとまずいぞ
419:【神意発現 メジェド】[sage]:2044/05/04(水)
ふむ
MVPについては言っていいものか
420:【賦活昇天 ニルヴァーナ】[sage]:2044/05/04(水)
>>418
それは【食中毒】とかの状態異常的な意味の「拙い」だよね?
下処理すれば普通に食べられるという意味での「不味い」じゃないよね?
421:【火葬灯朱 サラマンドラ】[sage]:2044/05/04(水)
おつおーつ
422:【使鳥星 デカラビア】[sage]:2044/05/04(水)
>>415
>>419
こっち組だしいいのでは?
というわけでMVPがログ出して
423:【屍撃襲 フランケンシュタイン】[sage]:2044/05/04(水)
仕方ないな……
424:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)
>>414
アンデッドは残ってたけど制御されなくなったからすぐに終わったというか勝手に日光で死んだ
多分サモン系とかは残るけどクリエイション系は残る(ただし指示がないと動きがデタラメ)
アンデッドワームとかも地中に潜らず暴れてたからな
425:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)
えっ
426:【誕深大蛙 ヘケト】[sage]:2044/05/04(水)
やったぁ
427:【変刃樹 シキ】[sage]:2044/05/04(水)
ざんねーん
流石にコルタナ防衛戦にはならなかったかー
428:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)
えー……
【<UBM>【混貪讐念 ロイナン】が討伐されました】
【MVPを選出します】
【【六道】がMVPに選出されました】
【【六道】にMVP特典【死廻伏念 ロイナン】を贈与します】
429:【誕深大蛙 ヘケト】[sage]:2044/05/04(水)
おー
430:【貪食巨人 ガルガンチュア】[sage]:2044/05/04(水)
おまえかーい!
なんだったんだよ>>423はぁ!
431:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)
ちぃっ
432:【火葬灯朱 サラマンドラ】[sage]:2044/05/04(水)
盛大に舌打ちするスレ主である
433:【使鳥星 デカラビア】[sage]:2044/05/04(水)
パーティ内でレベルが一番低かったのに……
やはりメタとビギナーズラックか……
434:【貪食巨人 ガルガンチュア】[sage]:2044/05/04(水)
果たしてゲーム内で五ヵ月ぐらいやって上級エンブリオなのにビギナー扱いしていいものか
435:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/04(水)
というかスレ主は管理人とみてたなら結果知ってるだろww
436:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)
なんのことかわからないな……っ
437:【質実剛剣 ヒッタイト】[sage]:2044/05/04(水)
うむ。処理したなら良かったのだが
<UBM>の影響で狩場の環境が変わるのはよくあるとはいえないに越したことはないからな
438:【変刃樹 シキ】[sage]:2044/05/04(水)
で、性能は??
439:【賦活昇天 ニルヴァーナ】[sage]:2044/05/04(水)
遠慮なぁい!
440:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)
流石に特典武具の詳細を書くつもりはないぞ!
441:【屍撃襲 フランケンシュタイン】[sage]:2044/05/04(水)
残念でもなく当然
442:【誕深大蛙 ヘケト】[sage]:2044/05/04(水)
うーん羨ましい!
こういうの見てると自分のエンブリオに相性のいい<UBM>でろー!ってなるよねー
443:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/04(水)
MVPなんてすごい(小並感
444:【封身猿技 サンザル】[sage]:2044/05/04(水)
よっ、未来の超級!
445:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)
なんだその雑な煽ては……
スレ主じゃないんだから出さんぞ
446:【屍撃襲 フランケンシュタイン】[sage]:2044/05/04(水)
ス レ 主 じゃ な い ん だ か ら
447:【変刃樹 シキ】[sage]:2044/05/04(水)
草生える
448:【貪食巨人 ガルガンチュア】[sage]:2044/05/04(水)
スレ主はチョロインだった……?(錯乱
449:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)
印象操作! 狡猾な印象操作だよ!
おのれ六道……私は清楚な美少女ですよ?
450:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/04(水)
清、楚……?
451:【使鳥星 デカラビア】[sage]:2044/05/04(水)
凄葬?
452:【火葬灯朱 サラマンドラ】[sage]:2044/05/04(水)
直接会ったことはないけど流石に清楚はイメージじゃないんじゃないかな
453:【誕深大蛙 ヘケト】[sage]:2044/05/04(水)
スレ主は元気で可愛いと思うよ!
454:【貪食巨人 ガルガンチュア】[sage]:2044/05/04(水)
両手に巨大な顎を装備している姿は贔屓目に見て深海棲艦のようにも見える
455:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/04(水)
なんでも食べるしどちらかというとアラガミイメージ
あちらは敵であまり人型いないけど
456:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/04(水)
おのれ……おのれ……
<墓標迷宮>目当てにアルターに来た時には盛大に歓迎しなくては……
457:【転星史書 テトラビブロス】[sage]:2044/05/04(水)
歓迎(物理)は止めろ繰り返す歓迎(物理)はやめろ
458:【質実剛剣 ヒッタイト】[sage]:2044/05/04(水)
うむ、まぁ……人それぞれだろう……
◇◇◇
◇◇◇
◇◇◇
□コルタナ北・遺体廃棄所
「…………」
積み重なる様々な遺体の山を前に瞑想をする
ベネトナシュは狩りやクエストの傍らに時間を作ってはこの墓地に訪れ、考え事のついでに片付けや整備をしていた。
彼女にとってこの場所に抱える思いは複雑だ。
彼と初めて出会った場所であり、彼の願いの源泉。
──もし妾が孵ったのがここでさえなければ。
「……ん」
「もういいのか、旦那様?」
目を開き、振り返る己が<マスター>に問いかける。
「今日は、お別れをしに来たからね」
「そうか……」
ベネトナシュの言葉通り、今日この後彼らはこの町コルタナを去る。
【混貪讐念 ロイナン】のMVPとなった六道が「掲示板で募集して戦力を集めて自分がMVPになると何か悪い気がする」と無理やり報酬を渡そうとしたのだ。
とはいえ死霊術師ギルドから報酬が出ているし、もとより誰がMVPを取っても恨みっこなし、という臨時パーティだったので無用だと他のメンバーも言った。
しかしそれなら、と六道は《霊交青書》で幽霊たちから話を聞き、各々のメンバーに情報を渡したのだ。
強力なモンスターの生息地、砂漠の地下にある遺跡の所在、レアなスキルの習得方法。
──そして、かつての死霊術師ギルドの長が発見した【死霊術師】系統の超級職のジョブクリスタルの在り処。
【大死霊】と【高位霊術師】の違いはあれどビルドの似ているホワイトジャックは「まだこの国でやることがある」と固辞し、黄雨も「ジョブの見直しをしたいからドライフに行く」と言ったのでベネトナシュは単独で……もとい、ペルセポネと二人旅でその手がかりへと向かうこととなったのだ。
「レジェンダリアの<死霊王の霊廟>だったかの。情報を得たとはいえ早めに済ますに限るな。ホワイトジャックのように地上を走る【
「それもいいかもしれないね……ペルセポネ、何かあった?」
「……どうしてそう思うのだ?」
「何か、考えてるみたいだったから。……いつも、この場所に来た時は思いつめた顔をしてるのに」
「……気付いておったのか。旦那様も人が悪い」
彼女の主は別に鈍感ではない。
むしろ感じ取れすぎるが故に、無視することが出来なかった。
彼女の思いを理解しつつも諦めることを選ばないように。
「あの戦闘を……いや、あやつらの<エンブリオ>について考えていた」
ベネトナシュとペルセポネは初めてログインし、孵化したその日から狩りとクエスト、そして《死霊術》に明け暮れており、早々に【死霊術師】としてアンデッドを仲間にしたことで他の<マスター>とパーティを組んでの戦闘など本当に初期の初期ぐらいしか経験がなかった。
そして今回、<UBM>との戦闘で他の<マスター>……そして上級の<エンブリオ>と共闘したことで
「やっぱり、<エンブリオ>でも他人の力が羨ましいって思うものなのかい?」
「それはもうな。今回の戦いなぞ、妾は日傘の役割しかしておらぬではないか!」
ぷんぷんと擬音が聞こえるかのように頬を膨らませてベルセポネが言う。
何より、
(「死」を前に進む糧にするような力が、妾にあればな)
──今回は特に、近いようで真逆の力を持つ<エンブリオ>が多くて、堪える。
自らの力の方向性が彼らのようであれば、
「それでも──私にとって一番の<エンブリオ>はペルセポネだよ」
「──当然だ! 差し当たってはさっさと【
その苦悩を見せずにベネトナシュの手を引く。
「あぁ、それじゃあ行こうか。レジェンダリアへ──」
笑顔を作ってベネトナシュもそれに応じ、二人は朝日に照らされた砂漠を歩き出す。
死した子供たちの霊魂が安らかに救える未来を信じて。
To be Continued
【転星史書 テトラビブロス】
<マスター>:六道
TYPE:アームズ 到達形態:Ⅳ
能力特性:転生・克服
スキル:《霊交青書》《黒星史》
必殺スキル:《第三世界の白転譚》
モチーフ:ローマ帝国時代に書かれた占星術の専門書テトラビブロス
備考:浮遊する本型の<エンブリオ>。
範囲が狭い代わりに永続する【殲滅王】みたいな能力、条件が厳しすぎて弱いと見るか永続は強いと見るかは人次第。
デスペナルティが条件故にこのエンブリオに【セプテントリオン】のように蘇生能力はないがステータス補正はラーニングとしてはそれなり以上。
なお、アクセサリー枠を費やしているそれぞれの本にはスキルとしての形以外にも本の中身はちゃんと記されている。
《霊交青書》:幽霊たちの会話が議事録のように記されている。
《黒星史》:死亡時の加害者の名前と死因スキル名が記載されている。一番上の項目はなぜか黒塗りにされている。なんでやろなぁ……
《白転譚》:《黒星史》と同様の事が白地に黒字で書かれている。リベンジ達成すると加害者名の部分に白線が引かれる。
結局四話かかってしまった閑話ですが次回で二章完結です。
なんとか三月中に章完結というわけでもう少しお付き合いください!