【実況】掲示板でデンドロを進みたい【安価】   作:レイティス

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前回の産業:
決闘で検証だぁ!
個人ランキング殴り込み
ピーキーなエンブリオ固有スキル、好奇心旺盛なスレ主、何も起きないはずがなく

今回は独自設定つよつよなので「そうだねそういう世界線もあるね」の精神を忘れずに!


第三十三話 検証・緑

【実況】掲示板でデンドロを進みたい22【安価】

 

1 :【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/13(金)

このスレは【神貪双牙 ゲリ・フレキ】の<マスター>、アバターネーム「ルミナス」が楽しく<Infinite Dendrogram>を遊ぶのを実況したり安価したりするスレです

荒らしとかはスルーして楽しく安価!

次スレとかは970を超えたら私が立てるのでそのあたりで減速してね

 

前スレ

【実況】掲示板でデンドロを進みたい21【安価】

http://dendro141624/thread/245414/

 

 

 

 

 

 

 

 

356:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/14(土)

さて今日も楽しい週末がやってきたよー!

 

 

357:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/14(土)

イエー!

 

 

358:【星菓彩天 ミルキーウェイ】[sage]:2044/05/14(土)

やったぜ

 

 

359:【蛮勇印力 ゲッシュ】[sage]:2044/05/14(土)

仕事ですが

 

 

360:【魔導図書館 グリモワール】[sage]:2044/05/14(土)

やっふー

 

 

361:【白鋼真虎 ビャッコ】[sage]:2044/05/14(土)

>>359

悲しいなぁ

 

 

362:【死屍類涙 ネクロノミコン】[sage]:2044/05/14(土)

して

安価は??

 

 

363:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/14(土)

まあ落ち着くんだまだ挨拶しただけ

というか日付変わったばかりだよ!

 

 

364:【星菓彩天 ミルキーウェイ】[sage]:2044/05/14(土)

そらここからがゲーマーの時間ですしおすし

 

 

365:【綿獣複胚 シュブニグラス】[sage]:2044/05/14(土)

やあやあ

 

 

366:【雷雷圏 ライジン】[sage]:2044/05/14(土)

綺羅星の如く現れた自滅芸人げふんげふんエンターテイナールミナスちゃんちっすちっす

"炎怒"さんに弟子入りしよ?

 

 

367:【蛮勇印力 ゲッシュ】[sage]:2044/05/14(土)

空き時間に見る実況系スレが癒し……

 

 

368:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/14(土)

スレ主の戯れが人の役に立つなんて

 

 

369:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/14(土)

美少女がわいわいしてたら癒しになって当然だけどそう言ってもらえれるのは嬉しいね!

……はて大学生は美少女換算でいいのか

 

 

370:【白鋼真虎 ビャッコ】[sage]:2044/05/14(土)

>>366

必ずラーニングに自爆系スキル入りそうだなそれ……

いやビシュマルは普通にどころか最上位のバトルセンス強者ではあるが

 

 

371:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/14(土)

あんな分かりやすい弱点があってあのランクってすごいよね

 

 

372:【魔導図書館 グリモワール】[sage]:2044/05/14(土)

AGI型にもきっちり反撃決めて倒してるのはやべーやつらの巣窟ことランカーの面目躍如というところか

 

 

373:【星菓彩天 ミルキーウェイ】[sage]:2044/05/14(土)

【ゲリ・フレキ】は決闘映えする<エンブリオ>だよねぇ

アルターとは限らないけどやっぱり決闘ランキング駆けあがってほしい

 

 

374:【綿獣複胚 シュブニグラス】[sage]:2044/05/14(土)

面白いは大事

 

 

375:【蛮勇印力 ゲッシュ】[sage]:2044/05/14(土)

うむ

 

 

376:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/14(土)

と、いうわけで!

安価だー!

今週末は何しようか?>>390

 

 

377:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/14(土)

ひゃっはー!

 

 

378:【雷雷圏 ライジン】[sage]:2044/05/14(土)

やったぜ

 

 

379:【星菓彩天 ミルキーウェイ】[sage]:2044/05/14(土)

よーし

レジェンダリアに突貫しようぜ!

 

 

380:【白鋼真虎 ビャッコ】[sage]:2044/05/14(土)

折角のギデオンでなんてことを

いや近場ではあるが

 

 

381:【綿獣複胚 シュブニグラス】[sage]:2044/05/14(土)

レジェンダリアいいところ一度はおいで

 

 

382:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/14(土)

まだ再移籍期間終わってないんですけどぉ!

 

 

383:【魔導図書館 グリモワール】[sage]:2044/05/14(土)

まだ検証は終わってないことをお忘れでは??

結局二十戦弱で検証に専念が出来た訳ではないんだからね!

 

 

384:【魔導図書館 グリモワール】[sage]:2044/05/14(土)

そして何よりギデオン

これは追加検証の時間では?

 

 

385:【死屍類涙 ネクロノミコン】[sage]:2044/05/14(土)

なるほどな?

 

 

386:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/14(土)

私のストックは一万八百式まであるぞ

 

 

387:【白鋼真虎 ビャッコ】[sage]:2044/05/14(土)

本当にあるから性質悪いぞこのスレ主

 

 

388:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/14(土)

草ぁ

そしてもう安価先だ

 

 

389:【死屍類涙 ネクロノミコン】[sage]:2044/05/14(土)

検証検証

 

 

390:【白夜洛陽 ティエンレンウーシュァイ】[sage]:2044/05/14(土)

《緑》を使って魔法のお勉強

 

 

391:【大天蓋 アトラス】[sage]:2044/05/14(土)

一心不乱にギデオン周辺で狩り

 

 

392:【魔導図書館 グリモワール】[sage]:2044/05/14(土)

追加検証

 

 

393:【白鋼真虎 ビャッコ】[sage]:2044/05/14(土)

ギデオン周辺からレジェンダリアにかけてモンスター食べ歩きツアー

 

 

394:【綿獣複胚 シュブニグラス】[sage]:2044/05/14(土)

アイドル活動

 

 

395:【雷雷圏 ライジン】[sage]:2044/05/14(土)

決闘ランカー道を突き進むのです……

 

 

396:【星菓彩天 ミルキーウェイ】[sage]:2044/05/14(土)

折角だしフライングして<安寧の流刑地>いこ

 

 

397:【星菓彩天 ミルキーウェイ】[sage]:2044/05/14(土)

俺が遅い? 俺がスロウリィ?

 

 

398:【蛮勇印力 ゲッシュ】[sage]:2044/05/14(土)

よくあることだぞ

 

 

399:【匿名希貌 ジョン・ドゥ】[sage]:2044/05/14(土)

ふむ?

 

 

400:【魔導図書館 グリモワール】[sage]:2044/05/14(土)

ふむ?

wikiさん!!

 

 

401:【白鋼真虎 ビャッコ】[sage]:2044/05/14(土)

なんと

 

 

402:【雷雷圏 ライジン】[sage]:2044/05/14(土)

潜んでたんかワレェ!

 

 

403:【白夜洛陽 ティエンレンウーシュァイ】[sage]:2044/05/14(土)

ふふふ

 

 

404:【大天蓋 アトラス】[sage]:2044/05/14(土)

残念

 

 

405:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/14(土)

まあスナイプも安価の華だからねー

そして魔法のお勉強とは……?

 

 

406:【白夜洛陽 ティエンレンウーシュァイ】[sage]:2044/05/14(土)

カルディナ支部から聞いているんだよ

魔法開発に便利そうなスキルをラーニングしたってことは……!

 

 

407:【魔導図書館 グリモワール】[sage]:2044/05/14(土)

ガタッ

くわしく

 

 

408:【神貪双牙 ゲリ・フレキ】[sage]:2044/05/14(土)

情報交換が盛んな人たちめぇ……

どれのことだろ?

 

 

409:【白鋼真虎 ビャッコ】[sage]:2044/05/14(土)

候補が複数あるのか……

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 □決闘都市ギデオン第六闘技場

 

 この<Infinite Dendrogram>における()()とは何か。

 広義には魔力(MP)を用いて行うスキルを含んだ全ての現象を指す。

 そして狭義には【魔術師(メイジ)】に代表される魔法職が習得する、あるいは多大な研鑽の果てに編み出した「魔法スキル」のことであるとされる。

 

 広義の魔法はMPをコストとする《レーザーブレード》などの属性系武器スキルや<エンブリオ>の固有スキル、モンスターのスキルの他にもレジェンダリアのように膨大な自然魔力が巻き起こす自然魔法現象<アクシデントサークル>などを含む。

 そして一般に「魔法」と認識されている「魔法スキル」だが、その内容も多岐に渡る。

 

 「天」「地」「海」の三大魔法属性及びその細部分類属性、「聖」や「闇」などのその他属性、回復魔法や死霊術、強化魔法や呪術と言った非属性的魔法に通信魔法のようなマイナー魔法などetcetc。

 それらの魔法スキルの多くは魔法職のレベルアップにより習得するが、問題となるのが極一部の才ある者のみが出来る「オリジナル魔法スキル」の創出だ。

 

 <Infinite Dendrogram>において魔法職をメインジョブに据えている一部<マスター>は魔法スキルのことを「アプリケーションのようなもの」と表現する。

 レベルが上がり権限があればアイコンをタップ(スキルを宣言)すれば発動する、単純な仕組み。

 単に「魔法を使って戦う」だけであればそれだけで十分だ。

 

 しかし魔法を改良する、新しく魔法を作るとなれば話は変わって来る。

 アプリケーション(魔法スキル)の中身を編集するための魔力制御能力はスキルによる補助もなく、身体で感覚を覚える必要があるのだ。

 更に、そもそもプログラムとして魔法スキルが動くOS(■■■■■■・システム)の詳細も果てしないブラックボックスに包まれており、<Infinite Dendrogram>内で実際に現象を引き起こすために指示する機械言語に相当する命令群すら分かっていないのだ。

 ティアンであれば長年の蓄積や師弟間の継承でノウハウもあるのかもしれないが(実際、一部の魔法系の超級職を歴代擁立する家系というものも存在する)、まだこの世界に来て二年半ほどの<マスター>にはその足掛かりすら掴めていない段階なのである。

 

 

「つまり、理論的に組み上げた魔法を、感覚的に扱うことが魔法の改造及び創作に必要というわけだ」

「率直に言って無理ゲーでは??」

 

 

 ギデオンの第六闘技場の一角、ブロックの一つを()()()()したその結界内で男性──<Wiki編纂部・アルター王国支部>のクランオーナー【白氷術師(ヘイルマンサー)】のアット・ウィキが講義をするように話を続ける。

 講義を聞いている中にはルミナスの他にも<Wiki編纂部>のクランメンバーが含まれているがその面々は一様に苦笑を浮かべている。よくあることなのか。

 

「そう、少なくとも我々<マスター>は積み上げられた知識も生まれた時から慣れ親しんだ魔力(MP)の感覚もない。あるのは万能のジョブの器と<エンブリオ>と不死性()()だ」

「ティアンの人キレそう」

「"だけ"はないでしょオーナー」

「情報が力なのは"大鴉"を見ても明らかだ。つまり何が言いたいかというと──この「魔法を始めた時期の差」も<マスター>の特性……<エンブリオ>で解決しようということだ」

 

 アットのその発言に、ルミナスも「なんで安価に割り込んでまでこんな話をしたか」に思い至った。

 【神貪双牙 ゲリ・フレキ】のストック能力、既にかなりの数の<エンブリオ>の固有スキルをその中に宿す己の<エンブリオ>。

 その中でもこの状況で有用な、アット・ウィキが知っているような能力と言えば──

 

「<カルディナ支部>の人たちの固有スキルの恩恵を得たいって訳だ」

「如何にも。君が件のスキルをラーニング済みなのは確認している。使ってもらえないだろうか、《魔導書目録(エフェクトアーカイブ)》を」

 

 《魔導書目録(エフェクトアーカイブ)》。

 カルディナでお世話になった<Wiki編纂部・カルディナ支部>のマスター、アイラクスのエンブリオ【魔導蒐集 アレクサンドリア】の固有スキルであり、【ゲリ・フレキ】がストックしたスキルの一つだ。

 その能力というのが──

 

「私も使ったことないんだけど、それじゃ早速試しに……《ファイアボール》」

 

 《青》で《魔導書目録》をセットし、氷で作られた案山子に向かって最下級の炎属性魔法を放つ。

 すると──

 


#castboot

FireBall{

 main(ManaCapacity mmax,Mana m, Expansion e[]){

  ControllBurst(m);

  if(m > borderFirst){

   fire f = CreateBallSecond(mmax, m);

  }else{

   fire f = CreateBallFirst(mmax, m);

  }

  ControllElement(f);

  BoostArche(f);

  if(e[] != null){

   ExecuteExpansion(f, e[]);

  }

  target t = GetTargetFirst(con);

  Ballshoot(f, t, mmaxm, m);

 }

}


 

「なるほどなー??」

「私たちには見えないんだが……」

 

 魔法の発動と共にシステムログが表示される。

 感覚的にしか理解できないはずの魔力の動きをプログラミング言語のように文字に起こされる。

 それが《魔導書目録》の効果だ。

 

「それじゃちょっとこれに書くね……っていうかどこから出したのこの黒板は」

「魔法の勉強だからこれぐらいはな」

「オーナー凝り性だからなぁ」

 

 アイテムボックスから取り出された黒板にログを書き写すルミナス。

 余談だが、《魔導書目録》のような情報系のスキルは《青》で埋まっていて《擬粘偽心》が使えずともシステムログに専用のタブが追加されその内容を見ることが出来る。

 同期の一人の<エンブリオ>である【転星史書 テトラビブロス】の《霊交青書》も似たように本を見ずともシステムログウィンドウから確認出来るらしいが、それはさておき。

 

「と、まぁこんな感じかな」

「ほう、なるほど……思った以上に()()()()()。流石<エンブリオ>ということか……!」

「このスキルがあれば私もオリジナル魔法で大活躍を!?」

「残念ながらそれは出来ないですね、《魔導書目録》で出来るのはあくまで「マナの流れを私たちに理解できるように文字に起こす」だけですので」

 

 と、テンションが上がって来た面々に忠告をしたのはアイリス。

 今日は仕事は終わっているらしい。

 

「と、いうとー?」

「「マナの流れ⇒コード」に訳すことは出来てもルミナスがコードを書いて「書いたコード⇒マナの流れ」と魔法を発動することは出来ない、という訳です」

「そう上手くは行かないか……」

「そーいやアイラクスさんも私の救出作戦の時は普通の魔法スキルしか使ってなかったね」

 

 なお、当の《魔導書目録》の持ち主はオリジナル魔法の創作よりは既存魔法の改造に使うことの方が多い。

 《詠唱》を追加することで燃費や基礎威力を底上げしたり本来は送受ともに心得が必要な通信魔法をPT内限定とはいえ無制限に送受信できるようにしていることなど目に見えにくい成果は出ているのだ。

 

「つまり……どういうこと?」

「簡単なことだ──結果が出るなら試行錯誤(トライ&エラー)で良い感覚を掴むまでやるんだよ」

「ぬわーっ!?」

「事案かな?」

「あ、資料作成のためにカメラ回しまーす」

 

 そして、地獄の魔法訓練の幕が上がった──

 

 

 

 ◇

 

 

 

 数時間後。

 

「ふぬむぅー!」

「仕上がってるよ! 仕上がってるよ!」

「そこまで(魔力を)練るには眠れない夜もあっただろ!」

「魔力に鬼が宿ってる!!」

 

 そこには金色の魔力を練り上げ形を変える練習をしているルミナスとそれを応援する<Wiki編纂部>のメンバーの姿があった。

 <Wiki編纂部>メンバーの中にはアットのようにルミナスの手元を見ながら自身も魔力を操る練習をしている者や己の<エンブリオ>で補佐する者などもいたがその大部分は謎のノリに憑かれていた。

 ついでに傍から見たら魔力に宿っているのは鬼ではなくスライムだ。

 

 そんな黄金スライムだが、ログを見ればそれは確かにルミナスの魔力が形どったものだと分かる。

 


#non-arche

main(ManaCapacity mmax,Mana m){

 m = shApeCreatE(147, 9, 51, 2141);

 m.end = 13;

 chaNGecOLoR(m, "FFd700");

 outPUt(m);

 

}


 

「面白いけど疲れる! そぉい!」

「グワーッ!!」

「魔力の塊投げんなー!」

 

 ルミナスはそう言い一通り形になった魔力を放り投げて制御を手放す。

 放たれた魔力はメンバーに当たる前にその形を霧散させ被害はなかったが、それはまだまだ魔法として未完成ということでもある。

 もっとも、魔法の改良に着手して数時間でその段階までに至るという時点で既に一般的な魔術師から見れば異常なのだが。

 成果を、改善点が目に見えて分かるという事がどれだけ重要なのかという話だ。

 

「とりあえず書きたいように書けるようにはなったけどねぇー」

「最初は文字化けかって感じのコードだったしな」

「てーか大文字小文字とかの区別どうやって付けてんの?」

「私にもわからん」

 

 そんな風に休憩をしていると、一旦結界を解除して全員のMPを全快させたアットが戻って来た。

 形になっているとはいえ現状では攻撃にも防御にも使えないその魔力操作にも相応のMPを消費する。

 ステータスのMP(魔力)と本人のMP(精神力)のどちらも適度な休憩は必要なのだ。

 

「やぁ、調子は良さそうだね」

「面白いは面白いよ。出来るようになればね!」

「そうだろうそうだろう」

「ただまぁやっぱり実用に足るようにするにはまだまだまだまだ研究の余地ありっぽいけどねー」

「そうだろうそうだろうそう言うと思って次のステップに進む準備は既にしてあるんだ」

「だからあとは<編纂部>の人の魔法のコードをメモって渡して……なんて?」

 

 アットはニッコリと笑い、アイテムボックスから薬瓶を取り出す。

 ラベルには【MPポーション(特濃)】と印字してあるソレを見てルミナスの笑顔が引き攣る。

 

「ねくすと すてっぷ、さぁもうひと頑張りだ」

「ふ、ふふふ……やーってやろうじゃなーい!!!」

「うーん良い悲鳴だ、ナイスリアクション」

「やはり事案では?」

 

 メンバーを加えた寸劇をしつつも、ルミナスもやる気があるようだ。

 それだけこの魔法弄りが気に入ったらしい。

 

「オリジナル魔法の創作……というよりはその前段階だね。さて、ようやくキーボードを不自由なく打てるようになった人がプログラミング言語に慣れるにはどうするのがいいかな」

「えー……そんなのひたすらコードを書くでしょ? 参考書とかサンプルコードが載ってるサイトとかで」

「素晴らしい、その通りだ。つまり、既存の魔法のコードをコピーして書いてその感覚を掴んで改変出来るようにするということだ」

「なるほどな?」

「そして折角のルミナスなのでそのコピー先も《緑》……もっと言えば<エンブリオ>の固有スキルにしようというわけだ」

「にゃるほどな?」

 

 広義の「魔法」。MPを扱うあらゆる行動がログとして表示されるのであればそれは固有スキルも同じことだ。

 物は試しに、とルミナスが早速《地よ楔を外せ》を使用してみると、

 


#non-arche

#path-■■■■■■■■

main(Resource r){

 spell = externalEffect("Embryo/Atlus/AntiGravity");

 target t = GetTargetOther3(con);

 t.gravity = Gravity/spell.effectPower;

 spell.timer.Start();

}


 

「文字化けどころか黒塗りされてるぅー!?」

「うーんこれは熟練度不足」

「これは魔術師ギルドの門下生に聞いた話だけど、スキルを使わずに習得している魔法を実行するのはよくある修練法らしいからね。手伝いは惜しまないとも、魔法の発展のために犠牲はつきものだからな……!」

「<編纂部>こんなんばっかり!?」

「こっちで二時間後には夕飯なのでそこで一旦区切りつけてくださいねー」

 

 ツッコミどころが多すぎるログに悲鳴を上げるルミナスの声もスルーして、アットの中で好奇心からの徹夜が決定した瞬間であった。

 なお、オーナーであるアットも含めて<Wiki編纂部・アルター王国支部>の面々が新しい魔法沼に落とせそうな仲間を前に満面の笑みであったことに気付いたのはアイリスだけであった。

 

 

 




〇《魔導書目録》
 【魔導蒐集 アレクサンドリア】の固有スキル。
 他の人が初見のハードで手探り・手打ちでアプリ開発してる中にE〇lipseとかVisual Studi〇めいた統合魔法開発環境を持ち出すスキル。
 なお、コードとコンパイル結果が表示されるだけのものとする。
 直接ダメージ的な補正を与えることのない<エンブリオ>だが一定以上の位階の魔法職から死ぬほど羨ましがられている。
 元の持ち主も当然のように料金を取って他人の魔法を見ていたりする、Win-Winですね?

追記7/19:プロットが導禍戦したので来週は更新お休みです

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