スマホの中の女の子と合体したらTS変身したのですが、どうしたらいいですか!? 作:Plusdriver
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「君たちは話を聞きに来たんだろう?」
「うん。君のオリジナルであるキャロルにね」
アリスが調べてくれたおかげで、見つかったこの
「知り合いなのです?」
「いや、初対面さ。でも、一方的には知っている」
『...キャロルちゃんと、繋がっているから』
「その通りだよ、タチバナヒビキ。いや、貴方もその名前だったね」
「...私はただの響。苗字は、意味ない」
「そうかい」
気に留めることなく、彼女は錬金術を使用する。それを見て身構えてしまった。
「ああ、驚かせてしまったね。これは僕の錬金術じゃないんだ。僕は錬金術を教えてもらっていなくてね。代わりにあちらからの連絡のみを受け取る事が出来るのさ」
開いたその錬成陣からは、声のみが聞こえてきた。
『俺に用があるなら、勝手にしろ。時間がないんだ。サッサとしろ』
そう、たったそれだけだけど、懐かしく感じられた。薄れた記憶の中でも未だに輝くたった一人の、奇跡の殺戮者。後輩達に一人で向かう事を伝えて、ノエルに二人の相手を頼み準備を終わらせる。
「今いくよ。響、おいで」
「うん」
スマホとガングニールを忘れずに、響を抱きかかえて錬成陣へと飛び込んだ。
「おまたせ、キャロル」
ゆっくりと響を降ろし、玉座に座る小さな彼女へと言葉を交わす。
「...余りオレをイラつかせてくれるな...ただでさえ未来を知った勢でへその下の疼きが止まらないんだぞ!!!!」
どうやら彼女もまたフィーネの様に未来を知っている様だ。あの様子からして、自らの計画が失敗し、分かっていたものの、理解したくなかった真実から目をそらしたいのだろう。
「あらあらマスター、今までで一番イラついてますねぇ...でもまたその表情がイイ!!!」
「もうちょっと地味に行こうね、ガリィちゃん」
「早く指示を、命令を、マスターッ!!!ソードブレイカーを使いたくて使いたくて仕方がありませんっ!!!」
「ああもうっ!お前たちは大人しくしていろっ!!!」
自分達の後ろでは彼女が手掛けたオートスコアラー達が彼女の指示を待っている。だが、自分の知っている彼女たちとは全く異なっているようだ。見た目は変わっていないモノもいるが、全く異なっているモノもいる。いい例はレイアだろう。身長は低くなり、表情は幼さを残したものになっている。彼女の片手はもう一人の小さな人形と繋がれている。可愛らしいゴスロリを来た人形そのものだ。で、問題はその隣。今にも切りかかって来そうな目をしてソードブレイカーを振り回すファラ。忠誠心は残っているのか、命令がない限りは暴れる様子はない。でも、危険であることに変わりはないだろう。
「...サッサと本題に入るぞ。ここにお前たちを長居させたくないからな」
『えぇ~キャロルちゃん、もっとお話ししようよ~』
「お前が出てくると更にややこしくなるんだよ!立花響っ!」
スマホから聞こえてくる声を止めるためにスマホをスリープモードにする。これでしばらくの間は響は出てこれない。
「最初に言っておくが、オレはこの世界のことについては何も知らん。調べても調べても、何も得られなかった。それが事実だ」
「そう、なんだ...」
最後の切り札とも言える彼女でも、この世界については分からなかった。原因となった存在は分かった。その正体まではわからなかったが、これでまた進歩したはずだ。
「...あと、お前が『ユニゾン』と名付けたソレを使いすぎるな。それはお前たちと聖遺物の融合で行っているということを忘れるな」
「!?」
「それって...!」
...どうやら自分と響が融合したことは間違いではなかったようだ。やはり融合していたんだ。だから、一番長い時間、多くユニゾンしている自分がユニゾンを解除できなくなってしまったんだ。
「それじゃあ、ワタシの様に響もガングニールに...」
「そう焦るな、別世界の立花響。こいつの場合は他の奴らよりかは時間が掛かる。一度融合しているからな」
自分達のシンフォギアは繋ぐ力なんてものじゃない、繋がり混ざる力なんだ。別世界の己と聖遺物を用いることで混ざり合い、少しずつ自らを浸食させて戦っていたんだ。それは、未来を過去へと刻み込む...まさか響達が元の時代に帰れないのは、自分達と融合したために、戻れなくなっているんじゃないか____
「オレから言えることはもうない。だが、お前は行かなければならない場所がある。...本来ならば、こんなことはしないが、契約だからな。終わらせて別の未来を創らせてもらおうか」
行かなければならない場所?一体、どこなんだ?
「お前の欲しがっている答えは、この先にある。サッサと行け。オレはこれ以上は干渉しないからな」
そう言って、彼女は新たな錬成陣を創り出す。余り創りたくないのか、その表情は歪んでいた。
「これはどこに繋がって___」
「はぁい、3名様、ごあんなぁ~い!!!」
質問をしようとしたが、ガリィに背中を押されて錬成陣に入ってしまう。あっという間に、知らない場所に転移させられてしまった。3名とか言っていたが、この場所には自分とスマホの中の住人しかいない。響は別の場所に転移されたのだろう。
「やっと来たワケだ」
「キャロルに連絡を貰ったはいいけど、流石に遅過ぎよ?」
「...まぁいいわ。さぁ、案内するわ。貴方を待っている方の元へ」
正しく錬金術師オンパレード。今日という日だけでシンフォギア世界の有名どころに会いまくっている。彼女達(?)に案内された先には、何処か見慣れた男の姿があった。
「...アダム」
「もう一つの名で呼んでくれないのか、君は。思い出してはいないようだね、全ての記憶を」
「さぁ、話をしようじゃないか。この世界の真実を」
会いたくなかったさ、君とは。手に入れられてないのさ、神の力は。探したんだ、別の方法も。見つけたのは、時間を稼ぐ方法のみ。超えられなかったのさ、僕は。消えて欲しくないのさ、この世界に。だからこそ、使い探し続けるのさ、神の力の一端さえも。さぁ、時間だよ。
ここ2、3年で世界では原因不明の事件が多発している。思わずため息が出てしまう。それも気にせず世界は回り続けている。
「なんだかなぁ」
取り柄のない自分だが変わってしまった世界で、生き続けている。いつもと変わらず、スマホでアプリを起動させる。その名は『戦姫絶唱シンフォギアXDU』。一人残った教室で、最近恒例となった事をする。
「起動しても、サーバーは見つからない、か」
インターネットからも消えてしまった作品を探すのは、現代では不可能に近いだろう。平和なニュースは少なくなった。今のニュースを彩るのは、原因不明の消失事件、通称『アンノウン』である。見飽きた記事から目をそらし、始まった夏休みをどう過ごすかを考える。
____帰り道、スマホが震えている事に自分は気が付かなかった。
ガリィ
感情を見るのが好き。
レイア
ゴスロリロリ娘。妹は小さな人形。その妹は無数のコインで構成されており、巨大化も可能。攻撃を行う際は人形からコインが発射される。ゴスロリを脱ぐことで、近接戦も可能である。性格は原作とは異なり、地味好きに。
ファラ
戦闘狂に。ソードブレイカーを振り回すが、マスターの命令は絶対。許可がない限りは暴れることはない。
ミカ
未だ起動していないオートスコアラー。性格は遊び好きな大人しい子に。しかし、一度スイッチが入ると話し続ける。攻撃中であっても。
キャロル・マールス・ディーンハイム
過去と未来が混ざり合ったことで、フィーネの様に未来を知る。己が奇跡に負けたことを認めず、新たな方法を模索し始める。彼女は今日も、奇跡を殺す。父が残した命題を果たす為に。
アダムと会ったことで、世界は再び回り出した。でもそれは____
次回、『終わらない夏休み』
全ては、取り残された彼女が知っていた。