スマホの中の女の子と合体したらTS変身したのですが、どうしたらいいですか!?   作:Plusdriver

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今迄簡単にできたソレには代償があった。
そう、力には何時も代償が付き纏っているのである。





そう、『正義を信じて、握り締めて』


さよならを君に

スマホの中には誰もいない。それでもシンフォギアを展開できたということは、何かがそこに存在している事に変わりはない。

 

「何で...どうしてギアを纏えるの!?もうこの世界に立花響(ワタシ)はいないのに!?」

 

「やっぱり知っているんだな」

 

ウェルが知っているという事実はこの際どうでもいい。それよりもここで彼女からガングニールを除去出来ればこの世界がこれ以上壊れるのを防げるはずだ。軽く拳を構え両手を引き、同時に背後へと両腕のハンマーパーツを伸ばす。そして一気に彼女へと駆け寄り両拳を突き出す。

 

「ッはぁ!?」

 

ギアを纏っていない彼女の腹部に直撃したが感触が変だった。この感触は人間のものではない。やはり彼女はもう進み過ぎているのだろう。以前追い詰められた時もそうだった様に、未だ浸食されているのだろう。

 

「....ハハハ、流石だよ(ヒビキ)。でもそんなの、へいき、へっちゃらだよ!!」

 

「その台詞は君のものじゃない、彼女のものだッ!!」

 

彼女は片手を伸ばした。その手は鉱石そのものであり、突き刺さった壁が抉られた。どうやら彼女には取り込める能力があるようだ。接近戦は危険かもしれない。

 

『ぎゅっと握った拳ッ1000パーのThunder!!!』

 

「歌、だと!?」

 

ここまで自分は歌ってこなかった。口ずさむことはあろうと、スマホの中の彼女たちが代わりに歌ってくれていた。だからこそ戦いに集中できていたんだ。でも、もう彼女達はいない。ならば誰が歌うのか。僕は橘響だ。立花響じゃない。それでもこの街を。未来を守りたい気持ちに嘘偽りなんてない。自分の欲望そのものだッ

 

「その歌は私の、タチバナヒビキのものだぁああああッ!!!!」

 

『道なき道...答えはない、君だけを守りたいッ』

 

歌いながら彼女の両腕を交わし、反撃のタイミングを探る。一度伸ばした腕は戻るのに時間がかかるみたいだ

 

『響け響けッハートよ!!!熱く歌うハートよッ!!!!へいき、へっちゃらッ覚悟したからぁああああああ!!!!!!』

 

「考えなしの拳は、よけるのも簡単だよ!!」

 

伸びる鉱石の数が増え、彼女の着ていた制服はその形を変えた。こちらの拳は本体に当たらなくても伸びてきたクリスタルを次々と砕いていく。

 

「それも狙い通りィイイイイ!!!」

 

『ぐべらっ!?」

 

胸部に衝撃を受けたまま壁へと押し付けられる。鉱石が身体を包み始め、早く脱出しないと取り込まれてしまう恐れがでてきた。

 

「ぅぅ...たとえ、命かれても、手を繋ぐぬくもりがぁ』

 

「まだ歌うの?もう無駄なのに?」

 

パトカーのサイレンが聞えてくる。誰かの怒鳴りつける声、泣き叫ぶ子供の声すらも、僕の歌でかき消していく。

 

英雄(ヒーロー)なんてなりたくないッ想いを貫け、3、2、1、ゼロッ!!!』

 

「君が否定してどうする!?君がこの世界での我が英雄(ヒーロー)でしょう!!!」

 

そんなこと覚えてない。僕は橘響だ。立花響は平行世界の僕でしかない。それを同一視するのは間違っているッ

 

『そんな、ものが、いらないッ世界へとッ!!!』

 

「逃がさないっ!このまま一つになれば何も問題なぁああああいッ!!!」

 

砕いて脱出しようとするが再生が速すぎる。拳が、ドリルの回転が間に合わない。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

スマホの中には誰もいない。一体僕は、誰とユニゾンしていたのだろう。

 

『ひびき、おきて。さいごのたたかい、だよっ』

 

声が聞こえる。憶えている。彼女だ、今僕に力を貸してくれているのは。

 

『このまま、のまれちゃうよ?』

 

僕だけじゃもうダメなんだ。僕じゃ彼女は止められない。

 

『いま、うぇるからワタシ(・・・)をあつめてるから...』

 

僕はタチバナヒビキじゃない。守りたいものがあっても、その手段を手に入れられなくて、奪われる世界のタチバナヒビキだ。

 

『ホントに、それでいいの。ワタシを助けてくれたあなたはどこに行ったの?』

 

あれは、彼女達が僕に力を貸してくれていたからで...

 

『あなたはワタシと似ていたんだ。大切なものが奪われた時の表情が。逃げずに助けようとした時の目が』

 

何が言いたいのさ、僕にはもう__

 

『未来を置いていくの?』

 

...置いていきたくない。でも

 

『ワタシ達が力を貸すよ。だから、大切な人を失わないで。守ってみせてよ、ワタシの大切な人』

 

...ああもう、君は変わらないね。

 

『負けたら、許さないから。必ず帰ってきてね』

 

勿論、君たちの力があれば『ワタシ達の力、だから』

 

『響も入って、ワタシ達なんだ。だから、負けない。負けられない、でしょ?』

 

僕は何かできたのかな?

 

『守り切ったじゃん、大切な人を』

 

そうだね、それじゃあ行ってくる

 

『...うん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さよなら、ひびき』




いよいよ、最終決戦決着の時ッ!
響君に力を貸してくれたのは一体誰か。それはもうお分かりのはず!
さぁ、この物語に終幕を下ろす時がきたッ!!!

次回、『世界に響く歌がある』

世界はもう重ならない___

聖遺物と言えば?(原作のみ)

  • ガングニール
  • 天羽久斬
  • イチイバル
  • シュルシャガナ
  • イガリマ
  • アガートラーム
  • 神獣鏡
  • ソロモンの杖
  • ネフシュタン
  • デュランダル
  • ネフェリム
  • ダインスレイフ
  • ダウルダブラ
  • ヤントラ・サルヴァスパ
  • アンティキティラの歯車
  • シェム・ハの腕輪

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