404小隊(チビ)は現実へと現れる【完結】   作:畑渚

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壁打ちしてたら受け止めてくれるフォロワーさんがいて、そのラリーの結果できてしまった……

この小説の連載予定は未定です。未定です!!!


第一話 夢の始まり

 なぜそう思ったかのはわからない。

 

 ただそう……なんとなく公園に行こうと思ったのが発端だった。

 

 だがどうして……

 どうして俺の隣に子供が?

 

 

「ねえねえおじさん!これってどう遊ぶの!?」

 

 右手の方には俺のスマホでゲームをする明るい茶髪の女の子がいる。無邪気な笑顔でゲームをプレイする様子は、あたりを通る諸兄姉たちまでを笑顔にする。

 

 左手の方には暗めの茶髪の女の子が、うさぎの人形を抱えて静かに座っている。あたりを通る諸兄姉はその少女に庇護欲すら抱いていく。

 

 そして、その諸兄姉たちはなぜこんなやつが少女を2人侍らせているのだろうと疑問の表情を俺に向けてくる。

 

 

 声を大にして言いたい。なぜこうなったかを一番疑問に抱いてるのは俺自身だと……

 

 

 

 

=*=*=*=*=

 

 

 俺の今年の夏休み初日は、珍しく何も予定がなかったはずだった。バイトはもちろん、友人や家族との約束も入れていなかった。昨夜は1人で宴をして、呑んだくれたあとがまだ残っている。

 

 冷房もガンガンにかけて気持ちよく寝ていたところ、インターホンの爆音が俺の耳に刺さる。

 

「なんだ……荷物なんて頼んでないぞ?」

 

 訝しみながらモニターの前に行くと、そこには訪問者の姿が映し出されている。

 

「……なんだ、間違いか」

 

 そこには2人の幼女が背を伸ばしてカメラを覗き込んでいた。

 

「はぁ……ついてないなぁ。寝なおそう」

 

 横になれば、眠気はすぐにやってくる。意識はすぐに薄れていった。

 

 ピンポーン

 

 ピンポーン

 

 

 ピンポーン

 

 

 ピンポーン

 

 

 

 ピンポーン……

 

 

 

 

 

=*=*=*=*=

 

 

 目を覚ませば、昼をすぎていた。とりあえず起き上がって背伸びをする。なにやら途中眠りを妨げる何かがあった気もするが、きっと気の所為だろう。

 

「げっ何もねえ」

 

 冷蔵庫を開けても、本当になにもない。少ししか使っていない調味料が端の方でひっそり自己主張しているくらいである。

 

「しょうがない、どこかに買いに行くか……」

 

 とりあえず適当なズボンとTシャツを着て、顔を冷水で流してから外へとでる。

 

「あっつ……」

 

 昨日の雨のせいか、やたらと湿度が高い。せっかくの晴天をすべて台無しにしている。

 

 とりあえず、近くのスーパーまで歩いていくことにした。

 

 

 

 

「いらっしゃいませ~」

 

 やる気のない店員の声が俺を癒やす。褒められた態度でないだろうが、俺はこのくらいが好きだ。適当にカゴにポンポンと商品をいれ、レジへと通す。

 

「ありがとうございました~」

 

「はい、どうも」

 

 支払いを終えて、商品をうけとる。外に出れば、またもや灼熱の世界だ。

 

「まったく……どうしてこんなに暑いんだ……」

 

 温暖化だとかそんなもんじゃ断じてない。ただただ、この日、この地域が暑いだけだ。

 

「汗がうざったいな……」

 

 確かちょうどすぐ側に公園があったはずだ。木陰で休憩していこう。

 

 

=*=*=*=*=

 

 

 近くの自販機でスポドリを買って喉に流し込む。やっぱりこういう日には冷えたスポドリが一番だ。炭酸っていうのも理解はできるが、俺はこっち派だ。

 

 ベンチに座り込み、スマホを取り出す。通知欄からゲームを起動させ、いつもどおりに操作する。

 

『ドールズフロントライン』

 

 それがこのゲームの名前だ。一年と少しくらい前だったか……、サービス開始の広告を見て飛びついたものだ。

 

『おはよう指揮官!今日もなにかあったら言ってよね!』

 

 設定されたキャラが、設定されたボイスを話すだけだ。それでもなんとなく気分はいい。副官をなんどもタップする。

 

『何をするんですか指揮官!まだそういう関係じゃないでしょう!』

 

 この言葉になんど顔を緩めただろうか。さすがに今は外だから表情は変えないが、心の中ではニンマリと笑顔になる。

 

「ねえ、今日は何を食べるの?」

 

 ん?そんなボイスが実装されていた覚えはない。そもそも支離滅裂だし、副官はホーム画面のボイスでは全部『指揮官!』と俺のことを呼ぶ。だがしかし、俺が推しの声を聞き間違えるはずがない……。

 

 

 他のやつが別のゲームでもやっているのかと顔をあげると、笑顔でスーパーの袋を覗いている少女が目に入る。その声は先程聞いていたものと同じだ。百人に聞いて百人が同一人物だと答えるはずだ。

 そしてその容姿は……今の俺のゲーム画面からはかけ離れていた。小さい背丈、子供服、柴犬のお面、俺の副官の重苦しい装備はそこにはない。

 

 しかし、それは見覚えがある。たしか中国版で実装された子供の日スキンとやらで、それと寸分違わぬ容姿を、俺の推しはすることになる。

 

 

「ちょっと9、走って行かないでよ……」

 

「45姉ごめん!でも我慢できなくて」

 

 エヘヘと9は笑う。それにくらべ45は拗ねているのかほっぺを膨らましている。

 

「えっと……君たちは?」

 

「あれ?ああそっか、自己紹介してなかったね。私はUMP9!」

 

「私はUMP45」

 

「ちょっと君たち、どこで見たのか知らないけどお兄さんをからかっているのか?」

 

 本気で自分が心配になってきた。話しかけてきた幼女が推しの姉妹に見えるだとか白昼夢にもほどがある。早くも熱中症になったのかも知れない……。

 

「あー信じてない!」

 

「ひどい……うぅ」

 

「ああ待って!泣かないでくれ!ほら!えっと……」

 

 45の瞳が潤んでいく。さすがにそれなりに人通りのあるこの公園で幼女を泣かせたと鳴っては、嫌な意味で有名になってしまう。

 俺は急いでスーパーの袋を開くと、アイスの袋を引っ張り出す。数十分前の俺、グッジョブだ……。

 

……帰りにコンビニで買い足して帰ろう。

 

 

「えっ?いいの!ほら45姉!」

 

 9は某PAPIC●を受け取ると、45と半分にわける。そして上の部分をちぎり、しばらく迷った様子を見せる。

 

「ど、どうした?」

 

「え、えっとね……これあげる!少ないけど……お礼!」

 

 そういって9はPAPIC●の上の部分を差し出してくる。少しだけアイスが入っている。これが優しさというものだろうか……。

 

「わ、私も……」

 

 45も同じように手渡してくる。両手にその小さいアイスを抱えたおれは、身動きができなくなってしまった。

 

「よし、それじゃあ元気に遊ぶんだぞ~」

 

 外向きの笑顔を繕って幼女達を送り出そうとする。

 しかし、子供だしすぐに去っていく……なんてことあるわけがなかった。

 

「うん、ありがとう!」

 

 9は右手側に、45もスーパーの袋越しに左手側に座る。

 

「スマホで何見てたの?」

 

 9が身を寄せてスマホの画面を覗き込んできた。9の腕が俺の腕にあたる。

 

 

 暑い夏の幼女の身体は、どこかひんやりとした冷たさも持っていた。

 

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