404小隊(チビ)は現実へと現れる【完結】   作:畑渚

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待たせたな……!


第十三話 想像通りだ

「晴れた~!」

 

「9ちゃん、転ばないようにね」

 

 9が道をかけて行く。どうやら雨ばかりで退屈してたみたいだ。毎日外で遊びたいってタイプなんだろうなぁ。

 

「お兄ちゃーん!早くー!」

 

 道の先から9がそう叫んでくる。まったく、若いなぁ。俺もそんな老けてるわけじゃないけどさ。

 

「足元に気をつけるんだよ!」

 

「うん、分かった!」

 

 ああ、そう走ると……ほら、水たまりに突っ込んだ……。

 

「足元を見ないから……まったく」

 

「あはは、ごめんなさ~い」

 

 タオルで汚れた足を拭いてあげる。こんな細い足でよく動き回るなぁ。

 

「よい……しょっと」

 

「ちょっと9ちゃん、何をしているんだい?」

 

「肩車!」

 

「肩車か、よ~し」

 

 もってくれよ!俺の足腰!

 

「わー!たかーい!」

 

 9はどうやらお気に召したようで、キョロキョロとあたりを見回してるようだ。楽しそうでなによりだよ。

 

「ねえねえお兄ちゃん」

 

「ん?何だい?」

 

「ありがと!」

 

「ははは、どういたしまして」

 

 お礼も言えるなんて偉いなぁ。ほんと、その一言が言えるまま大人になるんだよ、9。

 

「……あれ?お兄ちゃんあれ見て」

 

「あれは……雨雲?」

 

 そういえば雨の前にする特有の匂いもする。早めに帰らなきゃいけないな。流石に濡れたくはない。

 

「少し急ごうか」

 

「うん、わかった!」

 

 9を肩車したまま、早歩きする。これは明日に響きそうだ……。

 

 

=*=*=*=*=

 

 

 少し買い物が長引いたのだが、幸運なことにまだ雨は降っていなかった。

 

「お兄ちゃん、荷物1つ持つよ」

 

「ああ、ありがとう」

 

 それじゃあこのお菓子たちを頼んだ。軽いし大丈夫だろう。

 

「それじゃあ帰ろっか」

 

「うん!」

 

 9は元気よく頷くと、また走り出す。

 

「急いで帰ろう!雨が降る前にさ!」

 

 9がそう言って振り返った瞬間だった。

 

 ザーーーッ!

 

 バケツをひっくり返したかのような土砂降りが始まった。

 

「やべえ降ってきた!」

 

「お兄ちゃん急ぐよ!」

 

 食品が濡れるだとか水溜まりで足が濡れるとか考えている場合じゃねえ!このゲリラ豪雨はひどすぎる。幸い、家までもうすぐだ!

 

「ただいま!」

 

 9の元気な声が玄関に響く。

 

「9!大丈夫だった!」

 

 パタパタと部屋から出てきたのは45が一番早かった。

 

「うん!でもビショビショになっちゃった」

 

「ほら、拭いてあげるから荷物下ろして」

 

 濡れたままの買い物袋が玄関に置かれ、9はそのまま風呂場へと連れて行かれた。

 

「おかえりなさい。はいタオル」

 

「ただいま、416ちゃん。ありがとう」

 

 416が持ってきてくれたタオルで簡単に買い物袋を拭いて、それから自分の足を拭く。

 

「お兄さん、今日は肌寒いからお風呂で温まった方がいい」

 

「そうだね……」

 

 今日はやけに気温が低い。連日の雨に加えての曇り空で空気が冷えてしまっているみたいだ。

 

「よし、9ちゃん!お風呂に入っていいよ!」

 

「えっほんと!?」

 

 こういうときのために常に清潔にしているのだよ。まあ最近は416ちゃんが勝手に掃除してたりするけれど。

 

「じゃあさ!」

 

 9ちゃんが脱衣所からひょっこり顔を出す。

 

「お兄ちゃんもいっしょに入ろうよ!」

 

 

 

 

 さすがにまずいのでは?

 

 

=*=*=*=*=

 

 

 全指揮官に告ぐ。ワレは悪くない。ワレは何も悪くない。たとえ同じ湯船に9がいて、よりかかられてるとしても、俺は悪くねぇ!

 

 そう、仕方がなかったんだ。涙目で9に

 

「お兄ちゃんは私と入るの嫌?」

 

 ってせがまれたから仕方がなかったんだ……。

 

「ふんふ~ん」

 

「ご機嫌だね」

 

「だってお兄ちゃんとお風呂だよ!楽しくないわけがないじゃん」

 

 目の前で頭の上のお団子が揺れる。普段のツインテ9もいいが……このお団子9もいい……。諸兄姉、ここが天国だ。俺は一足先に天国に行ってしまったみたいだ。

 

「ねえねえお兄ちゃん」

 

「なんだい9ちゃん」

 

「最近雨ばっかでつまらないね」

 

「そうだね。9ちゃんは外で遊ぶのは好き?」

 

 9は元気よく頷く。

 

「うん!でも45姉とか416ちゃんとかG11ちゃんとかと遊ぶのも好き」

 

「そっか……」

 

 どこか外に出かけるのもいいかもしれない。探してみるか。

 

「じゃあ今度、皆でどっか出かけようか」

 

「ほんと!?」

 

 9がバっと立ち上がってこっちに振り返る。

 

「じゃあ私45姉たちに言ってくる!」

 

 そのままバタバタと風呂から出ていってしまった。

 

 うん、はしゃぐのはいいけど恥じらいを覚えようか……。

 

 

=*=*=*=*=

 

 

「お兄さん、遅い」

 

「ごめんねG11ちゃん」

 

 風呂から上がると、G11がパソコンの前を占拠していた。その両隣は9と45が、後ろから覗き込むように416がパソコンを見ている。

 

「何を見ているんだい?」

 

「ここらへんの観光地」

 

 確かに上から覗き込んで見れば、ここらへんの観光地をいくつかタブで開いている。

 

「どこか行きたいところがあるのかい?」

 

「うん!私と45姉はここ!」

 

 そう言って指差したのは、公園だった。広い公園で、動物がいたり遊具があったり、花壇があったりと盛りだくさんだ。少し遠く、電車移動になるだろう。

 

「私はここにいきたいかな」

 

 次にG11が見せてきたのは、滝だった。家からはたしかに近いが、歩いて行く距離でもない。これはバスだな……。

 

「意外だね、G11ちゃんはインドア派だと思ってたよ」

 

「あっいや……えっとそうなんだよ~」

 

 目が泳いでいる。まあ、滝のマイナスイオンを浴びながら昼寝したいってところかな。リクライニングできるアウトドアチェアの通販サイトも開いているし。

 

「それで、416ちゃんは?」

 

「私は別に……それよりお兄さんは?」

 

「自分はとくにないからいいよ。どこにも行きたくないって訳じゃないんだろう?」

 

 なんとなく416の行きたいところは想像できていた。きっと静かな場所で、夜か夜のような暗さがあるところだな……

 

「じゃあ……この水族館」

 

 そういって416は画面を指差した。

 

 うん、ピッタリだ。




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これからも頑張って続けていきます。
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