404小隊(チビ)は現実へと現れる【完結】   作:畑渚

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遅くなり申し訳なす
激動の9月でした……


第十四話 こっちを見るその目は何?

「すごーい!ひろーい!」

 

「待って……9……!」

 

 公園に入るなり9が目の前の広大な芝生を走り回る。45も心なしか声が陽気がかっている気もする。

 

「お兄ちゃんも早くー!」

 

「ああ、今いくよ」

 

 俺は後ろを振り返る。そこには右手にバスケットを持ってトテトテと歩いている416がいる。その左手は、しっかりとG11の手を握っている。

 

「何ですかお兄さん」

 

「楽しみだね」

 

「まあ、そうですね」

 

 そうクールに言う416も、さっきまでは鼻唄混じりに歩いていたんだぜ……可愛いだろ?

 ここまでの移動は電車だった。ずっと眠りっぱなしのG11に変わって俺が全員の面倒をみなきゃならんのは疲れたが、まだまだ一日はこれからだ。

 

「ねぇお兄ちゃん!」

 

「どうしたんだい9ちゃん」

 

 先に行っていた9が唐突に振り返った。

 

「楽しいね!」

 

 満面の笑みを浮かべながら、9はそう言う。

 ああ、すでに楽しい。準備して、みんなで移動して、そしてみんなで公園に到着した。それだけで、十分楽しい。でも……

 

「まだ公園に入ったばかりだよ。もっと楽しいことがたくさんあるさ」

 

「うん、楽しみ。アレなんだろう?行こう、45姉!」

 

「う、うん」

 

 9と45が遠くへ行ってしまいそうだ。でも416から離れるわけにもいかない。

 

「いいよお兄さん。9ちゃんと45ちゃんに付いて行って」

 

「いいのかいG11ちゃん?」

 

「私だって子供の面倒くらいみきれるよ」

 

 少し不安だが……子供2人だけでどこか行く方が不安か。

 

「わかった、任せたよG11ちゃん」

 

「うん、任せてよ……フワァ、ねむっ」

 

 G11が大きなあくびをした。やっぱり不安があるが、今は9と45を追いかけるのが先か……。

 

 

=*=*=*=*=

 

 

「あはは!お兄ちゃんこっちだよ!」

 

「そう簡単には……捕まらないよ!」

 

「はぁ、はぁ、待ってくれぇい!」

 

 子供の体力は化け物か!?延々と走り回ってまだ疲れ知らずだなんて、これが若さか。いや、俺も十分若い部類に入るけれども。

 

「鬼さんこちらー!」

 

「お兄さんの黒歴史ノート第一章ー!」

 

 ちょっと待って45が手に持っているあのブツは……

 

「45ちゃん、どうしてそれを持っているんだい?」

 

「私も持ってるよ、第二章」

 

「9ちゃんまで!?」

 

「ばらまかれたくなかったら」

 

「私たちを捕まえて?」

 

 ふーん、大人げないと思ってセーブしていたが……どうやら本気を出す時が来たようだ。

 

「9ちゃん、45ちゃん……大人との差っていうのを思い知らせてあげるよ」

 

「あはは、怖ーい」

 

「でも、私と9の両方を捕まえることなんてできるかな?」

 

 やってやろーじゃねーか!

 

「行くぞー!」

 

「わーっ!」

 

「逃げろー!」

 

 

 

この後、俺が息切れするまで走り回ったのは言うまでもないだろう。もちろん、勝敗は負けだった。俺……弱すぎ?

 

「あー走った走った!」

 

「さすがに……疲れた」

 

 しばらく走り回ったり遊具で体を動かした後、2人とも満足した様子で駆け寄ってくる。

 やれやれ、もう太陽はてっぺんを少し通り過ぎちまったようだ。気温も随分とあがってきた。

 

「よし、お昼にしようか」

 

 9と45の手を引きながら、416とG11のいる木陰へと足を向けた。

 

 

=*=*=*=*=

 

 

 木陰では、案の定横になって寝息を立てているG11がいた。416はそのすぐ側で座り、本のページをめくっている。そばに置かれたコップには、カフェオレが注がれていた。

 

「遊びは終わりですか?」

 

「ああ、十分動いたかな。そろそろお昼にしようか」

 

「ええ」

 

 416は大事そうに側に置いていたバスケットを開く。9と45は、我先にとその中身を覗き込んだ。

 

「わー!サンドイッチだ!」

 

「他にも一杯……」

 

バスケットの中には、色とりどりの料理が並んでいた。朝早くから起きて俺と416で作った自信作である。

 

「美味しい!すごいよお兄ちゃん」

 

「いいや、俺じゃないよ」

 

 実際、この豪華な弁当を作ったのは俺じゃない。俺は指示通りに手伝っただけだ。

 

「これは416ちゃんが作ったんだよ。ほぼ1人でね」

 

 9と45の視線が俺から416へと移動する。その視線から逃れるように、416は顔を逸らした。

 

「すごーい!416ちゃんこんなにいっぱい作ってくれたの!」

 

「すごい……わ、私にも今度教えて!」

 

「う、うん」

 

「ほんと……!?」

 

「じゃあ私も!私も料理する!」

 

「それじゃあ、私が試食役をしようか」

 

「G11さんはそろそろ料理できるようにならないといい人を見つけられないよ?」

 

「ぐっ、416ちゃん痛いところをつくね……」

 

 あはは、4人とも仲が良さそうで何よりだよ。こんな尊い空間にいられるか!俺はフェードアウトさせてもらう!

 

「お兄ちゃん?」

 

「私たちの……料理」

 

「全部食べてくれますよね?」

 

 もってくれよ、俺の胃袋!

 ああわかったよ!全部残らず美味しく食べてやるさ!

 

「料理……睡眠……そうか、料理上手な彼氏を捕まえれば……」

 

 ボソボソ呟きながらG11が何かを思いついたようだけど、俺は何も聞かなかったことにした。




もう少し投稿頻度頑張ります……
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