404小隊(チビ)は現実へと現れる【完結】   作:畑渚

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お久しぶりです


第十七話 俺が起きとかないとな……

 左手を45、右手を9、そして服の裾を416に握られるというフルアーマー状態の俺は、大水槽の前まで移動してきていた。

 

「お兄ちゃん! はやくはやく!」

 

「はやくいきましょう、お兄さん」

 

「待ってくれよ……」

 

 急かすUMPシスターズに手を前に引かれ、マイペースに歩く416に服を後ろに引かれる。

 

「あっお兄さんこっちこっち~」

 

 大水槽の前でG11が手を振っている。まだ十分ほどショーまで時間があるというのに、すでにベンチはもう一杯だった。G11もバッグをつかってなんとか二人分ほどのスペースは確保できているくらいだった。

 

「詰めればギリギリ座れるかな? 俺は空いてる二階のスペースにいるよ」

 

 そういって俺はG11にすべてを任せて行こうと思ったが……三人は離してくれなかった。

 

「ねえ、お兄ちゃん」

 

「お兄さんがG11さんの隣に座れば」

 

「スペースの問題は完璧ですよね?」

 

「ど……どういうことだい?」

 

 困惑してる間にも、俺はぐいぐいとG11のほうへと運ばれていく。

 

「ほら、まずお兄ちゃんが座って?」

 

 9のいうとおりに、G11の隣に腰掛ける。

 

「そして、私と45姉が~」

 

 そういいながら、45と9が俺の太ももにのっかってくる。416は既にG11を椅子代わりに座っていた。

 

 

 その後のショーは大水槽を活用した素晴らしいものだったが、それよりも両脚の上でもぞもぞする二人の動きがくすぐったくてそれどころではなかったのは言うまでもない。

 

 

 =*=*=*=*=

 

 

「お兄さん?」

 

「ん? どうしたの45ちゃん」

 

 まだ行っていない水槽を回っていると、45が俺の手を握ってくる。

 

「大丈夫?」

 

「うん? ……大丈夫だよ」

 

「そう……良かった」

 

 疲れてるとでも思ったのかな? 優しい子だ。

 

「なに話してるの?」

 

 先に行っていた9が戻ってきて、45とは反対の手を握ってくる。君たちナチュラルに手を繋ぐようになったね……。まるでそこが定位置かのように……。

 

「ううん、なんでもない。それより9、どこまで行ってたの?」

 

「お土産屋さん! あのね! こんな大きいぬいぐるみがあって」

 

 小さい手を精一杯伸ばしながら説明する姿はとても可愛らしいのだが、少し待ってほしい。もしやその大きさのぬいぐるみをねだる気か……? その大きさはウチの家には大きすぎるぞ……? 

 

「9、そんなに大きくても困るだけでしょ?」

 

「う~ん、言われてみればそうかも?」

 

 45は賢いなぁ。それに9は45の言葉を一番よく聞くから、本当に助かる。

 

「そうでしょ? お兄さん」

 

「えっああそうだね」

 

「ちゃんと話聞いてた?」

 

「ごめんごめん」

 

 考え事をしていて、あまり聞いていなかった。

 

「えっと、ぬいぐるみだっけ? いいよ、好きなものを買って。みんなで一つずつね」

 

「ほんと!?」

 

 9がくいついてくる。45も、嬉しそうにしているのが隠しきれていなかった。目がキラキラしている。

 

「ショップはイルカショーのあとも空いてるからその後でいい? そのほうがゆっくり買い物できるから」

 

「うん」

 

「わかった」

 

 二人とも、ぬいぐるみのことを話しながら、イルカのブースへと歩いていく。

 

「ねえお兄さん」

 

「G11ちゃん?」

 

 だいぶ後ろにいたはずの416とG11が、いつの間にか真後ろにまで来ていた。

 

「ぬいぐるみって私もいいんだよねぇ?」

 

「君は大人だろうに……まあいいよ」

 

 幸い、お金なら十分にある。思い出の品として買うのもいいだろう。

 

「お兄さんは何が好きなの?」

 

 G11の手をにぎる416がそう尋ねてくる。好きな動物か……。

 

「イルカとか?」

 

「イルカさん……」

 

 そう聞くやいなや、416はG11を引っ張り始める。

 

「ちょっどうしたの416ちゃん」

 

「早く行かないと」

 

「まだショーには時間があるだろうに」

 

 気を使わせちゃったかな? 子供にそうさせるなんて、俺はまだまだだな。

 

「416ちゃん、急いで転んでも意味がないから慌てなくていいよ」

 

「でもお兄さん、イルカが」

 

「ああ、好きだよ。でも416ちゃんが怪我するのは嫌だな」

 

「……わかった」

 

「よし、えらいね」

 

 髪を崩さないようにポンポンと頭を撫でる。416ちゃんはちょっとうつむきながらG11の後ろに隠れてしまった。

 

「お兄さんさぁ」

 

「ん?」

 

「やっぱなんでもない」

 

 G11の言葉に疑問符を浮かべてしまう。ため息をつくことはしてないと思うんだが……。

 

「それより、二人が待ってるんじゃない?」

 

 いつのまにか、先を行っていた45と9の姿が見えなくなっていた。

 

「ごめんG11ちゃん、任せるよ!」

 

「はいはい」

 

 早く行けとばかりにひらひらと手をふるG11に見送られながら、僕は二人を追いかけた。

 

 

 =*=*=*=*=

 

 

 再び45と9と合流し、水槽を回る。なんとか、イルカショーまでには余裕を持って回り切ることができた。

 

「楽しみだね!」

 

「うん」

 

 ふたりとも、いまかいまかとそわそわしっぱなしである。

 

「あっいたいた」

 

 G11と416も無事に合流した。416が少し回るペースが遅かったから心配したが、聞いてみればじっくりと全部見てきたらしい。間に合ってなによりだ。

 

 時計を見れば、もうすぐ始まる時間だった。

 

 

 =*=*=*=*=

 

 

「お兄ちゃん早く早く!」

 

「9ちゃん入ったら危ないよ」

 

「このくらい大丈夫だよ! ほら、早くしないと電車が行っちゃうよ?」

 

「大丈夫だよ、まだ次の便がある」

 

 ショーが終わってからいままで、ずっとお土産屋さんで足止めをくらっていた。というのもショー終わりで客が混雑していて、なかなか会計が終わらなかったのだ。

 

 まあその成果といえば、俺の両手がぬいぐるみさんたちの詰め込まれた袋で塞がれていると言えばいいだろうか。45と9と416、それからG11になぜか自分の分まで買ってしまった。何の飾り気のなかった部屋がにぎやかになりそうである。

 

 

 

 

「なんとか乗れた~」

 

 G11がヘロヘロになりながら座席に座り込む。さすがに俺も疲れが来ている。

 乗ってから出発してまでの数分は皆楽しそうに今日の思い出を語っていたが、少しすれば電車の揺れも後押ししてか寝息を立て始めた。二人座席に45、9、416という感じで座り、それぞれの肩によりかかりながら寝てしまっている。

 

「まったく……電源が切れたみたいに寝るね。……、G11ちゃん?」

 

 隣から返事が聞こえないと思っていると、肩に重みを感じた。

 

 

 どうやら、大きな子供がもうひとりいたようだ。

 

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