404小隊(チビ)は現実へと現れる【完結】   作:畑渚

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ん?どうしてこれの続編を投稿しているんだ俺は……


第二話 もう逃げられないゾ♡

「これってどうするの?」

 

「ああ、これはね?」

 

 9は俺の右側でスマホをいじっている。推しキャラを操作している推しとかいうよくわからない状況に、俺の頭は完全にオーバーフローをおこしている。

 

「あの、えっと……」

 

「ああお腹が空いたのか、これ食べるかい?」

 

「……!ありがとう」

 

 左横には45がうさぎのぬいぐるみを抱きながらすわっている。お腹をおさえていたのでお菓子を与えてみれば、小さい口を一生懸命に動かしながら食べ続けている。

 

「さて、俺はそろそろ帰るけど……」

 

「うんわかった!」

 

 そういって9はスマホを返してくれる。45もベンチから立ち上がって、お尻に付いた土埃をはたいて落とす。

 

「そ、それじゃあ元気でな」

 

「うん、ばいば~い」

 

 9は元気に手を振って見送ってくれる。45も人形を持ってない方の手を小さく振ってくれていた。

 

 まったく、推しのキャラのそっくりさんに会えるなんて、おれは随分と幸せな人間みたいだ。日頃の行いには今後も気をつけていこうなんて思っていた。

 

 

 しばらく歩いたあとだった。なんだか周りの目線がむず痒い。俺自身を見られているわけではないが、少なくとも一度は注視されているみたいだった。ひどい人は俺の顔を二度見してくる。別に俺がイケメンであれば話は違うのだが、顔面偏差値は残念ながら平均以下だ。

 

 しかし、確実にすれちがった人は俺の顔を一度か二度、驚いた様子で見てくる。

 

 

 不思議に思いながらも歩いていると、ガラス張りの店の前で信号にひっかかる。適当にスマホでもいじって時間をつぶしていると、ふと突然視界に見覚えのあるお面が目に入った。

 

 驚いてその方向……つまりは店のガラス窓を見る。そこには驚いた表情を浮かべる俺と、当たり前のように後ろにいるUMP姉妹が映っていた。2人ともご機嫌な様子で、まるでイタズラが成功したかのような笑い方をしている。

 

「あれ?どうしてここに」

 

「だって私たちもこっちに帰るから」

 

「へえ、そうか」

 

 まあ変な人についていくよりかは、自他共に認める絶食系男子の俺についてくる方がいいのかも知れない。

 

「そうか、それじゃあ途中まで一緒に行こうか」

 

「うん!」

 

 9は元気よく声を出しながら返事をする。45もコクリと首を縦に振る。

 

「えへへ」

 

「随分と楽しそうだね」

 

「だってお兄さんと会えたんだもん」

 

 エヘヘと9ははにかんだように笑う。かわいい、俺の推しがかわいい。たとえ子供になってようが本質は変わってなくてかわいい。

 

「うん……私もうれしいよ?」

 

 推しの姉がかわいい。推しと似た容姿をしているくせに性格が全然違ってかわいい。全軍人が銃を投げ捨てるレベルでかわいい。

 その2人が合わさることでかわいさの相乗効果をおこし、いずれ地球を2人のかわいさが満たすんだ。もう誰にも抗えない。世界はUMP姉妹のかわいさに包まれ……

 

「……さん?ちょっとお兄さん!?」

 

「っとごめんごめん、少し考えごとをしていたよ」

 

 いかんいかん、あまりのかわいさに浄化されて昇天してしまうところだった。

 

「それで、君たちの家はまだ先なの?」

 

「うん!だからまだ一緒にいられるね!」

 

「うん、一緒……」

 

 そうか……。まあ確かにここは住宅街だし、アパートもたくさんある。まったくあったことが無くても、不思議じゃない。

 

 ……いや待ってくれ。推しがゲームの世界からここの世界に来た可能性?あるわけがないだろう。きっと暑さで頭をやられているんだよ。そう、幼女2人を推しの姉妹に幻視している俺と同じくらいにね。水分はしっかりとることをおすすめするよ。塩分もわすれずにね。

 

「君たちもこっちなのかい?」

 

「うん」

 

 もうすぐ家に着くけれど、まだ姉妹は俺のあとに続いてテクテクとあるいている。歩調を2人に合わせているせいか、いつも以上に家が遠く感じていた。

 

「えっと……もしかしてこの建物かい?」

 

「えへへ、そうだよ」

 

 結局2人は俺の住んでいアパートの目の前までついてきていた。

 

「へえ、奇遇だね」

 

「そうだね~」

 

 9はヘラヘラと、45もクスクスと笑う。

 

「何階かな?」

 

 俺は二階に住んでいるから普段は階段を使っているが、2人は違うだろう。同じ階の住人くらいは把握しているし、そもそも子供2人が親と住めるのは各階に一部屋ずつしかない。

 

「二階だよ」

 

「へーそうかい、俺も二階でね……二階?」

 

「うん、二階」

 

 そういえば二階の大きめの部屋には成人男性が住んでいたはずだ。もしかしたら単身赴任している父親に会いに来ているのかも知れない。

 

「それじゃあ俺の部屋はここだから」

 

 鍵を開けて部屋に飛び込むように入り込む。なぜだか、背中から冷や汗が溢れ出ている。

 

「はあ……なんだったんだあの2人は……」

 

 荷物を置いて椅子に腰掛けると、インターホンの履歴ランプが光っているのが目に入る。

 

「……誰か来たのか?セールスかなにかだろうけど」

 

 よいしょと立ち上がって履歴を表示する。

 

 

 そこには、先程まで俺の後ろにいた2人が映りこんでいた。

 

 

 思い……だした。おれは今朝、あの2人に起こされた。

 

 

 

 

 そうか、やっぱり間違いだったんだな。部屋番号を間違えたとかそこらへんだろう。

 

 あれ?まだ履歴が残ってるな……なんだろう……。ああ、またあの2人か。次は……次もか。あれ……あと数十件あるのももしかして……

 

 なんとなく冷や汗の原因がわかった気がした。部屋番号を間違えたにしても、しつこすぎる。

 

 

 

 まあ、問題はないだろう。目的であろう部屋の目の前まで送り届けたんだし、きっと今頃再会を祝っているだろう。

 俺はベッドに寝転がるとスマホを開いた。9に貸したときのまま、通知を切っていたのを解除する。

 

 すると、L|NEというメッセージアプリで、母親からメッセージが届いていた。

 

『ごめーん。最近私の姉が養子をとってあんたにも従姉妹ができたって話したでしょ?あの子たち、今からあんたの家に数日泊めてあげてね~』

 

 は……?

 

 

 いやいや母上?わが尊敬する母君さま?従姉妹って何ですか聞いてないですけど?それに何?『たち』ってことは複数人?を泊めてあげて?ムリムリムリムリ!俺んちにはベッド一つだけでソファも布団もないよ!

 

『いや、急に何?聞いてないんだけどその話』

 

 とりあえずそう返信を返した。いや、落ち着け。まだあの2人と決まったわけではないだろう?でもなんだか……嫌な予感がする。

 

 既読は案外早く付いた。それから間もなく、メッセージが届く。

 

『あれ?ごめんごめん。とりあえずあの子達にはあんたの部屋の合鍵を渡してるけど、多分インターホンを鳴らすと思うから入れてあげてね?』

 

『いやいや、無理だよ。どうやって泊めろと?』

 

『2人ともいい子だから大丈夫よ。ベッドに寝かせてあげなさい。あんたは床にでも寝てなさい』

 

『いや無理でしょ!』

 

 とりあえず、見られたらヤバイものを子供では手の届かない高い場所へと隠す。ゴミだけは片付けて、物を端によせてスペースだけは作っておいた。

 

「いや、待て……2人?まさかね……?」

 

 心臓がバクバクなっている。経験上、こういう嫌な予感っていうのはあたりやすい……。

 

 

 勝手にガチャリと音がなる。さっきかけた鍵が解錠される音だ。ゆっくりと扉開く音がする。

 

 どうやら俺は、ここまでのようだ……。




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