404小隊(チビ)は現実へと現れる【完結】   作:畑渚

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今年は暖かくなるのが遅いですね。釣りなどに行こうと思っていたんですがね。


第24話 転ばぬ先の

 なんだか懐かしい夢を見ていた気がする。

 

 たしかこれはまだ俺が小学生だった頃だ。

 家族で、川に遊びにいった日だ。家族ともアウトドアな方ではなかったから、よく覚えている。

 

 その日は数日前に雨が降った後で、まだ子供だった俺には急で危ない流れになってる箇所もあったんだったっけ。

 

 その日、岩場に足をぶつけた拍子に転んだ俺は流れに身をのまれて……

 

 

 

 

 

 

「お兄さん?」

 

「……」

 

 夢はそこまでだった。変な汗をかいており、心臓がバクバクと鳴っている。見下ろしてくるG11ちゃんの顔を見て、ただ居眠りをしていただけだと認識する。

 

「大丈夫……?」

 

「ん、ああ大丈夫だよ」

 

 起き上がって伸びをすると、川の周りの冷えた空気で頭が冴えてくる。上から見下された?そういえば先程まで後頭部に柔らかいものがあった気がする。枕なんて持ってきていない。ということは……

 

「ごめん」

 

「えっ?」

 

「重かっただろう?」

 

 頭でっかちとはよく言われたもんだ。レジャーシート一枚の上で膝枕だなんて、足がしびれただろう。

 

「……そうじゃないと思うんだけど」

 

「ん?何かいったかい?」

 

 あまりにボソリと呟くもんだから水の音にかき消されて聞こえなかった。

 

「ああ、そういえば」

 

 言うべきだろうし、言うなら今だろう。

 

「水着、似合ってるね」

 

「えっ……」

 

 少し緑がかった水色の水着が、上から羽織っているパーカーからのぞいていた。髪色も相まってとてもよく似合っていると思う。

 

「その……ありがと」

 

 少し照れくさいな。川に飛び込んでこようか。

 などと考えていると、側で寝ていた子供たちが起き始める。

 

「お兄ちゃん?おはよう」

 

「おはよう。よく眠れた?」

 

「うん!また川で遊んできていい?」

 

 9は元気にそう言っているが、45と416はまだ眠そうだ。

 

「G11ちゃん、少し遊んでくるね」

 

「い、いってらっしゃい」

 

 頬を赤くしたままのG11に二人を任せて、9に手を引かれるままに川のほうへと歩いていく。日はてっぺんを過ぎてはいてもまだ高く、川にキラキラと反射された光が眩しかった。

 

「ねえ!見てみて!」

 

 9が川に入って、その小さな手で水をすくう。中には、逃げ切れなかった小魚がぐるぐると回っていた。

 

「へへっ、すごいでしょ!」

 

「すごいね」

 

 俺も試しに狙ってみるが、小魚はすいすいと手のひらから逃げていく。

 

「何かコツがあるのかい?」

 

「こう待って、来たらザバーってやるんだよ!」

 

「ザバー、ねぇ」

 

 何度か挑戦するが、なかなか上手くいかない。手が大きい分、俺のほうが有利なはずなんだがなぁ。

 

「よく見てて!」

 

 9は水面とじっとにらめっこをし始める。そして手を音もなくスッと入れ、そしてザバーと一気にすくい上げた。

 

「ほら!二匹だよ!」

 

「すごいな!俺も……」

 

 さらに集中する。9のようににらめっこをして、小魚の動きを追いかける。

 

「違うよお兄ちゃん」

 

 手を入れようとして俺を、9が止める。

 

「追いかけちゃだめだよ。逃げちゃうから」

 

「違うのかい?」

 

「あっちが油断して近づいてきたところをだよ!」

 

「なるほどな」

 

 ちょうど、小魚が一匹近寄ってきた。深く考えずに俺は水に手を浸け、素早く上げた。

 

「お兄ちゃんやったね!」

 

「ああ……案外すんなり取れるもんだ」

 

 掬った水の中で、小魚が暴れまわっている。そっと川に戻してやると、慌てるように岩の隙間へと逃げ込んでいった。

 

「家族のもとに帰ったのかな?」

 

「さあ、どうだろうね」

 

「……、私たちも45姉のとこに戻ろ?」

 

 9が川からあがろうとしたときだった。踏ん張るために足に乗せた岩には、苔が大量にくっついていた。

 

「あっ」

 

 気の抜けた声をあげながら、9の身体が傾いた。

 

 

 

 

「あっぶねぇ!」

 

 腰を両手でがっしりつかんで、転ぶ前になんとか支える。

 

「大丈夫!?怪我はない!?」

 

「うん!ありがと!」

 

 手足をぶらぶらさせながら、9は笑ってくれた。無事なようだ。

 

「イタッ」

 

「ん?」

 

「なんか足が痛い……」

 

「ちょっとみせてごらん」

 

 川岸の大きな岩に座らせて、足を見せてもらう。転びこそしなかったもののすべった際に擦りむいたのだろう。血が滲んでいた。

 

「ちょっと待っててね」

 

「うん……」

 

 シャツを破いてペットボトルの水を染み込ませる。その切れ端で傷口を拭くと、しみるのか痛そうな声を上げる。

 

「大丈夫。ただの擦り傷だ」

 

「お兄ちゃんごめんなさい」

 

「謝る必要なんてないさ。さてと……」

 

 擦り傷ではあるけれど、範囲が広い。荷物に入れておいた絆創膏は小さすぎる。

 俺はシャツをさらに破って、傷口を抑えるように結びつけた。

 

「これでよし。帰ったらちゃんと消毒しようね」

 

「うん!ありがとう!」

 

 歩きづらいだろうからと9の前にしゃがみ込むと、すぐに意図を察してくれて背中にのしかかってくる。

 

「おんぶだー!」

 

「あまり動くと落ちちゃうよ」

 

「やだやだ!落とさないで〜!」

 

 少しオーバーリアクションをしながらがっしりと捕まってくる。

 怪我の痛みは忘れてくれたようだ。

 

「9……?」

 

「おんぶ……」

 

「……お兄さん?」

 

 荷物のところへ戻った時に、なんというか複雑そうな表情で迎え入れられたのは、何故だろうか。

 

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