404小隊(チビ)は現実へと現れる【完結】   作:畑渚

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これだけは言わせてくれ

待たせたな


第25話 寿司食いてえ

 これは川遊びから数日後のある晩の話……

 

 

 

 あっ、なんかすごく寿司食べたい。

 

「というわけで寿司を食べに行こうと思う」

 

「どういうわけなの……」

 

 チビたちが眠ったあと、俺とG11ちゃんで出かける場所の相談をしていた。

 

 何故寿司を食べたくなったかって?それは寿司を食べたくなったからだよ。

 

「回転寿司とか?」

 

「いや……回らないほうがいいな。せっかくの夏なんだから」

 

「そう……それじゃあ」

 

 そう言ってG11ちゃんは一つの市場のサイトを開く。

 

「こんなとこあるんだけど、どう?」

 

 そこは、プラスチックのパックに自分の好きなお寿司を取っていって会計するという、これまた珍しい場所だった。

 

「う~ん、控えめに言って最高じゃないか!」

 

「あわわ、お兄さん急に抱きつかないで!」

 

「よし行こう!明日行こう!すぐ行こう!」

 

「あわわわわ」

 

 ちょっと強く抱きつきすぎたのか、G11ちゃんがぐるぐると目を回しながら顔を赤らめているけど関係ない。喜べ、明日は寿司だ。

 

 その後、このテンションのままめちゃくちゃスケジュールを決めて、そのまま泥のように眠った。お酒にプラスで深夜テンションまでかかると何をしでかすかわからないものだ。

 

 

=*=*=*=*=

 

 

「うぉぉ、想像以上だな」

 

 電車とバスを乗り継いで来た先は、意外と大きな建物だった。海のすぐ側だからか濃厚な潮の香りが辺りを包んでいる。

 

「よし、じゃあ行こうか」

 

「うん!」

 

 想定通り人が多い。はぐれないようにG11ちゃんと分担しながら、中へと入る。随分と広い空間のはずだが、店と人混みのせいで随分と狭く感じる。

 

「おっと9ちゃん、少し待って」

 

 辺りを見回して、ちょうど空中廊下のようになった二階部分を指差す。

 

「他のみんなも。まずははぐれないこと。そしてもしはぐれたらあそこの柱で待つこと。わかった?」

 

「は~い!」

 

 迷子案内という便利なものはあっても、念の為の決め事だけは大切だ。といっても、いつものごとく危うく蹴りそうなくらい近くから離れない45ちゃんと9ちゃんははぐれそうにないけれど。それに416ちゃんは今日も今日とてG11ちゃんと手をつないでいる。

 

「それじゃ、いざ出陣」

 

「おー!」

 

 9ちゃんの元気な返事とともに、俺たちは市場の中へと繰り出していった。

 

 

=*=*=*=*=

 

 

 人混みの中は、思った以上に通りづらかった。せっかく取った寿司を落とさぬようにしながら、会計を済ませる。

 

「9ちゃん、それは?」

 

「えっと……軍艦巻き!」

 

「ずいぶんとたくさんの種類があったもんだねぇ……」

 

 9ちゃんの持つ器には、軍艦巻きものが所狭しと並んでいる。いくらやうに、それに海苔ではなくサーモン自体でシャリを包んだものまである。

 

「お兄ちゃんは……なにそれ?」

 

「これ?うなぎだよ。今年の夏はまだ食べてなかったなと思ってね」

 

「そっちじゃなくてこっち」

 

 どうやら9ちゃんにはバレバレだったようだ。

 

「ビール?」

 

「まあそうとも言う……。でもノンアルコールだからさ!」

 

「いいんだけど、あとで私たちもなにか飲みたいなー」

 

「わかったわかった。外に自販機もあったし皆でなにか買おうか」

 

「やったー!」

 

「そういえば45ちゃんは?」

 

「45姉ならあっちの店に行ってるよ」

 

 9ちゃんの指差す方向を見れば、うさぎのポーチからお金を取り出している45ちゃんがいた。そしてお金を出した後、店員さんにペコリと礼をしてからこちらに戻ってきた。

 

「何を買ったの?」

 

「えっと……これ」

 

 そういって45ちゃんが手に持つビニール袋を広げる。その器は俺たちのような四角いものではなく、円形だ。

 

「ほう、海鮮丼とはいいチョイスだね」

 

「その……お店の人がすごくおすすめしてて美味しそうだったから」

 

 ちらりと店の方を見ると、他店には負けないくらい声を張り上げて客を呼び込んでいる。こういった店と店との距離が狭いからこそ、こうも呼び込みの声が収まらないのだろう。

 

「お兄さんもいい買い物をしたみたい」

 

「ははは、45ちゃんもお見通しか」

 

 45ちゃんはコツンと俺のポケットの中の缶を叩いて、それからいつものように服を掴む。

 

「G11ちゃんたちと合流しなきゃね」

 

「その必要はないよ」

 

「っと、もう来てたんだね」

 

「まあね。私はあまり食べないし、416ちゃんもすぐに決めて買ってたよ」

 

 2人とも悩むと思っていたが、速攻で決めてきたようだ。

 

「ちなみに何を買ったんだい?」

 

「私はおすすめされたのを」

 

 G11ちゃんの器には、人気ランキングの上から数個が並んでいる。

 

「私は美味しそうだったのを……」

 

 416ちゃんの分は、これまたわかりやすく、値段が高かったものが並んでいる。多少量が多い気もするが、あまり表に出てないだけではしゃいでいるのかもしれない。

 

「よし、じゃあ食べる場所を探そうか」

 

 といっても、この人混みだ。そうそうに席が見つかるわけがなかった。

 

「どこも埋まってるなぁ」

 

 ただでさえ席が限られているのに、俺たちが5人もいるということもあって全然見つからない。

 

「あお兄ちゃん!あっちなんてどうかな!」

 

「ん?」

 

 9ちゃんの指差す方向を見れば、それは市場の外だった。海に伸びたデッキの上の植え込みが、ちょうどベンチ代わりになっている。

 その一角が、ちょうど日陰になっており、なおかつ空いている。

 

「よし、じゃああそこにしようか」

 

 さて、念願の寿司、実食と行こうじゃないか。

 

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