404小隊(チビ)は現実へと現れる【完結】   作:畑渚

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第28話 早めのおやすみ

 背中で寝てしまっていた416ちゃんも、イルカのショーが始まる前には起きて、全員で見ることができた。

 

 いつものように、9ちゃんははしゃぎながら、45ちゃんは黙ったまま食い入るように、416ちゃんは冷静そうで興味津々にイルカのショーを見ていた。

 

 終わったのは、すっかり日暮れの時刻。海辺にある水族館が、夕焼けで赤く染まっていた。

 

「ねえお兄ちゃん見て!記念パネルだって!」

 

 よくある写真スポットである。場所の名前と日付、それから顔をはめるパネルとがポツンと置かれている。

 

「写真撮ろ!ね?」

 

 9ちゃんの一言で写真を撮ることにした。写真を撮ってくれそうな親切な人を探しつつ、俺はスマホをスリープモードから解除する。

 

「っと……マジか」

 

「どうしたんですか、お兄さん」

 

「いや、充電切れだ」

 

 もう随分と酷使してきたから、寿命なのかもしれないな。とりあえずG11ちゃんので撮ってもらってから、後で送ってもらおう。

 

「お兄ちゃん!撮ってくれるって〜!」

 

「わかった。今行く」

 

 スマホをポケットにしまって、パネルの方へと行く。顔をいれる穴には、身長の問題で俺と、それから本人の熱い要望で9ちゃんがつくことにした。

 

「行きますよー。はい、チーズ」

 

 パシャリとカメラの音がする。夕日の位置のせいで俺だけ変な写りになったが、これはこれで面白いのでヨシとする。

 

「じゃあ、帰ろっか」

 

「うん!」

 

 元気なのは9ちゃんくらいで、あとは少し眠そうな顔をしていた。無理もない。朝からこれだけ動いて、美味しいものをたらふく食べたんだ。帰りは少し遠くからタクシーで帰ろうと思いつつ、電車の時間を調べようとしてスマホを取り出す。

 

「お兄さん?」

 

「あ、そうだった」

 

 416ちゃんに変な目で見られながらスマホをしまう。

 

「G11ちゃん、電車の時間調べてくれないかな。俺のスマホは今はただの文鎮だからさ」

 

「う……うん。えっと……ここをこうやって……えっと」

 

「違う、貸して」

 

「ああ416ちゃん」

 

「ここをこう……そしてこう。ほら」

 

「ありがとう。お兄さん、えっと次は3分後」

 

「うんうん、なるほどな」

 

 3分後、3分後かぁ……。駅まで歩いて行って3分……

 

「無理だね。さらに次で」

 

「次はそのさらに15分後」

 

「ちなみにその次は?」

 

「夜までだいたい15分間隔であるみたい」

 

「よし、じゃあのんびりして行ってもいいな。せっかくだし、お土産なんかどうだい?」

 

「えっいいの!」

 

「まあ、なかなかここまで来ないからね」

 

「やったぁ!45姉!早く選ぼ!」

 

「9、もう引っ張らないで。ついて行くから」

 

「ああもう……待ってよ二人とも〜」

 

 二人を追いかけてG11ちゃんが行ってしまい、その場にぽつんと416ちゃんと残されてしまった。

 

「416ちゃんは行かなくていいのかい?」

 

「私はもう……これがあるから」

 

 そう言って見せてくれたのは、416ちゃんのスマホに映る先程の写真だ。

 

「いつのまに送ってもらったの……?」

 

「さっき、お姉さんのスマホを借りた時」

 

 とんでもない早技である。

 しかしせっかく皆がお土産を選んでいるんだし、このままではもったいない。

 

「じゃあ、家に帰ってから皆で食べるお菓子を買わないか?」

 

「……うん、わかったわ」

 

 子供なんだからもう少し我儘を言ってもいいのにと思いながら、俺はその後の買い物中に416ちゃんが目を奪われていたスノードームをカゴに入れた。

 

 

=*=*=*=*=

 

 

「ただいま〜!」

 

「ふう、ようやく帰ってこれたな」

 

 地味に時間がかかるので、夜中に帰ってきたとはいえ仮眠はバッチリである。

 

「お兄ちゃん!ゲームしよ、ゲーム!」

 

「まあ待て待て。まずは風呂に入ってからにしよう」

 

 仮眠は取ったと言えど、目に見えない所に疲労は溜まっているものだ。十中八九寝落ちするだろう。というか俺でも怪しい。

 

「あっ私、着替えとってくる」

 

「私も」

 

 G11ちゃんと416ちゃんはそれぞれの部屋に帰っていく。

 

「じゃあ先にお風呂はいってくるね。行こ、45姉!」

 

「うん。あ、お兄さんは入ってきちゃダメだよ?」

 

「入らねえよ」

 

 三人も入ったら湯船が溢れるわ。

 

「冗談だよ」

 

「言われなくてもわかっとるわい!」

 

 クスクスと笑いやがって。45ちゃんの今後の成長が心配である。

 

 さて、無事風呂に行った二人のことは置いておいて、とりあえず遠出の後片付けをしよう。おっとそういえばスマホの充電が切れているんだった。

 

 俺は布団脇の充電コードを引っ張ってきてつなぐ。画面がつくまでは少し時間がかかりそうだ。

 ああ、魔力に抗えない。この少しの時間だけでも横になりたいという欲が抑えきれようか。いや、抑えきれるわけがない!

 

 寝転がった俺の意識が途切れるまで、それほど時間はかからなかった。

 




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