404小隊(チビ)は現実へと現れる【完結】   作:畑渚

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この伸び……それに感想数
やっぱUMP姉妹好きなんスね
でもこの作品は404小隊(チビ)なんだ


第四話 誰だろう?答えはわかっているけれど

「ねえ、どこいくの?」

 

 出かけようとする俺に9がかけよってくる。さっきまではゲームをしていたのに、床にコントローラーを投げ出してこっちにきたみたいだ。

 

「ちょっとお買い物だよ。9ちゃんと45ちゃんがきたから食材がたりなくてね」

 

 実際は食費もなかなかピンチである。単純計算すれば三倍、体格差を考えれば2倍から2.5倍くらいは使うことになる。仕送りとバイト代が溜まっていたからなんとかなったが、給料日まであと数十日を乗り切れる気はしない。

 

「わたしも行く~!」

 

「えっ?」

 

「だから私も買い物に行く~!」

 

 9はいそいそと出かける準備をする。

 

「45姉はどうする?」

 

「わ、私は……で、でも」

 

「45ちゃんも来る?」

 

「い、いいの?」

 

「うん、もちろん」

 

 むしろ1人で残すことの方が心配だもの……。だから俺を幼女を侍らせる不審者って目で俺を見ないで!見るな!

 

「わかった、私も行く」

 

 そういって45はうさぎのポーチを握ってトコトコとかけよってくる。

 

「よし、それじゃあいこうか?」

 

「あっちょっとまって」

 

 45はそういうと、ポーチから膨らんだ封筒を取り出す。

 

「これ、お義母さんから渡してって」

 

「え?うん、ありがとう」

 

 受け取った封筒はなかなかに厚さがある。そっと中身を見ると……諭吉さんがぎっしりと詰まっていた。

 

「……これは?」

 

「私たちの生活費と、それからお兄さんへのお礼だって」

 

 明らかに多すぎる。

 

 俺はそっとL|NEを起動させて母親に連絡をとる。

 

『おばさん宝くじでも当てた?』

 

『あれ?そうよ。よくわかったわね』

 

『なんかお礼って言っていっぱいお金もらった』

 

『そう、それは良かったわね~それじゃあ私はそろそろ寝るから~』

 

 そう返信したっきり、既読すらつかなくなってしまった。

 

「まあどうやら本当みたいだし、いいか」

 

 封筒から諭吉を数枚抜いて、引き出しにしまう。まったく大金を小さい子に預けるなんておばさんは何を考えているんだか。しかし、こんだけあればある程度自由にできそうだ。遊びにつれていくのもいいかもしれない。

 

「ほら、お金の問題も解決したし、早く行こう?」

 

 9が扉を開けると、暗い玄関に外の光が漏れ出て、俺は目を細めた。眩しい、ああ眩しっ!二日酔いの頭に効く……

 

「どうしたの?」

 

「具合が悪いの?」

 

 9と45が顔を覗き込んでくる。

 

「いや、大丈夫だよ」

 

 まったく、二日酔いってやつはどうにかならんのか。初めてだぞ、二日酔いになったのは。

 

「じゃあいこ?」

 

 そう言って外にでる。すると、ちょうど同じフロアの人も外出するところだったようで、鉢合わせた。

 

「こんにちは~」

 

「こ、こんにちは」

 

 意気揚々と9が、それにつられ45も挨拶をする。さすがいい子だ。挨拶ってのは大事ってよくわかってる。

 

「ああ、こんにちは」

 

 その男性は9と45に挨拶を返すと、視線を俺の方に向ける。

 

「あっどうも」

 

「どうも」

 

 少し訝しむ目を見せるが、9と45が俺を引っ張っているのを見てその視線は和らいだ。まったく、不審者を見るような目を向けるなんて酷い人だ。

 

「ちょっと……相談事があるんですが少し時間いいですか?」

 

「えっ?俺ですか?」

 

「ええ」

 

 悩むが……仕方がないか。俺は近所付き合いも大切にするタイプの人間なんだ。

 

「9ちゃん45ちゃん、先に下に降りて待っててくれる?」

 

「わかった!」

 

「……うん」

 

 2人が階段を降りていく背中を見送り、それから男性の方へと向き直る。

 

「それで相談とは?」

 

「その前に君は学生だよね?」

 

「ええ、そこの大学の学生です」

 

「じゃあさっきの女の子は?」

 

「ああ、親戚の子ですよ。旅行に行ってる間、預かってるんです」

 

「そうか……」

 

 そこまで聞いていったい何を言ってくるのだろうか。まさか昨日、俺が酔い過ぎて騒いでしまったとか?もしくは意外と女児の声は響きやすいから気をつけてほしいとかか?

 

「じつは……お願いがあるんだ」

 

「お願い……ですか?」

 

「実は僕にもあの娘たちと同じくらいの娘が1人、いるんだ」

 

「ええ、それで?」

 

「実は今度、長期の出張に行かなくてはいけなくてね。でもあの娘は行きたくないっていうんだ」

 

「そ、そうなんですか」

 

「だから、君に娘の面倒を見てほしいんだ」

 

「え?でも俺は赤の他人ですよ?」

 

「……実は情けない話、実家から勘当されていてね。妻も死別していて頼れる人がいないんだ」

 

「そ、そうですか……」

 

 やたら重いな。まさかの父子家庭だし。

 

「でも俺がその娘によからぬことをするかもしれないですよ?」

 

「するのかい?たとえばあの娘たちに、したのかい?」

 

「いや、まあしませんけど」

 

「それでこそだ。頼むよ。タダとは言わない。今度の仕事が成功すればいくらでもお礼ができる」

 

「そ、そうですか」

 

 どうするか悩む。今更1人増えたくらいどうってことはない。けれど、だからといって安請け合いするような話でもない。

 

「……ダメかい?一応前金を支払うこともできるけれど」

 

 そう言って男性はカバンから何やら紙を取り出す。それは小切手だった。いや、初めて見た。映画とかでしか見たことないぞ……。

 

「ここに好きな額を書いてくれて構わない」

 

「好きな額?5千兆円って書いても?」

 

「ははは、そんな金を受け取る覚悟があるなら書いていいよ」

 

 出せないとは言わないのか……。この男、何者だ?

 

「いえ、俺には決められません」

 

「そうかい。それじゃあ……これくらいかな」

 

 そういって考えられないような桁数を書き込んでいく。

 

「いや!そんなにいらないですって!じゃあわかりました!後で全部払ってくれればいいですから!」

 

「本当かい!?それは助かるよ!」

 

「とりあえず急ぎではないんですよね?」

 

「ああ、出発は今週末だからね。それまでにまた伺うことにしよう」

 

「日程を空けときます」

 

「本当にありがとう。君がここに住んでいてくれて助かったよ」

 

「あはは……」

 

 乾いた笑いをしていると、男性の出てきた扉がカチャリと音を立てて開く。

 

「お父さん、会社に行かなくていいの?」

 

「おっと、もうこんな時間か。それじゃあ失礼するよ」

 

 そういって男性は急いで行ってしまった。

 

「あなたが今度から私を世話するの?」

 

「あはは……嘘だろ?」

 

「なに?わたしの顔に何か付いてるの?」

 

 ワンピースを着た少女は不思議そうに首をかしげた。さらさらの銀髪が光を反射した。

 

「い、いや。なんでもないよ」

 

「お兄さんも人を待たせてるんじゃないの?」

 

「あっそうだった。それじゃあまた今度ね!」

 

 いけない……。9と45を待たせすぎてしまった。拗ねてないといいんだが……。

 

 

 このあとめちゃくちゃ拗ねてた9と45の機嫌をとるために、近場のコンビニでお菓子を買ってあげた。

 なんとか機嫌をなおしてくれたことに安堵してしまって、さっきのこれまた見覚えのある少女のことはすっかり頭から抜けてしまっていた。

 




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