404小隊(チビ)は現実へと現れる【完結】   作:畑渚

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評価もお気に入りもしゅごい……ありがとうやで……ほんまありがとうな(謎のエセ関西弁)


第七話 まあ、そうだよね!

 お、重い……。件のお金を銀行に預けて、その帰りにアイスを買って帰ろうとしたのが失敗だった。三人にプラス自分の分、喧嘩もしないよう全種類複数個買うなんてバカだった。

 

 ちょうどお天道様は真上にあって、容赦なく夏の日差しを俺に突き刺してきやがる。

 

 まったく、こんなに暑いとアイスと一緒に溶けちまうよ……俺の脳みそもさ……。それこそ今、目の前を歩いている人のようにフラフラしてさ、しまいには力が抜けていって倒れて……

 

 

 

 

 ……倒れて?倒れて!?

 

「ちょっと!大丈夫ですか!」

 

「えっあっうん……いややっぱ無理……」

 

 滑り込みセーフ!なんとか倒れる前に身体を支えることができた。ってよくよく見れば見たことのある顔だ。

 

「スーパーのバイトさん?」

 

「あっよく来る人ぉ~」

 

 あのやる気のなさげなバイトの人に顔を覚えられていたらしいがそれはさておき。この女性をどうすればいいんだろう……。

 

「うへ、うへへ、人肌ひんやりしてる~」

 

 暑いっていうのに、その女性は俺に抱きついてくる。

 いやさ、確かにさっきまで冷房ガンガンの室内にいたし、冷凍庫に手を突っ込んでアイスを取ってるから冷えてるかもしれない。

 でもそれはよくない。良くないよ。俺だって男だぞ?女性に腕に頬ずりされるなんて、公表したくないぞ?刺されかねん。

 

「えへ……うへ……あは……うっ」

 

 なんか嫌な予感がする。

 

 こういうときは予感に限って良く当たるんだ。そう、例えば……

 

「お、オェー-」

 

 服に吐かれたりな……。

 

 

=*=*=*=*=

 

 

『わかった。お兄さんは服が汚れただけなんだね?』

 

「うん。だけどもう少し帰りは遅くなると思う」

 

『わかった。……9に変わるね』

 

『お兄ちゃん!運命の出会いをしたって本当?』

 

 いや、服に吐かれるのを運命の出会いって言うのはいささか無理がありゃせんか?

 

「いや、そんなわけないでしょ」

 

『ちぇっ、せっかく新しいお嫁さん候補を連れてきてしゅらばってのになると思ったのに』

 

 うん、帰ってから9に問いただすことが増えたな。どこで修羅場なんてワードを見つけたんだ、まったくもう。

 

「とりあえず、少し遅くなるから416ちゃんと仲良くしててね」

 

『うん、わかった!45姉もわかったってさ』

 

「よし、それじゃあ切るね」

 

『うん、ばいば~い』

 

 電話が切れたのを見て、はぁとため息をはく。このまま沈んでいたいが、そうは問屋が卸さない。看護師が近づいてくる。

 

「えっと……付き添いの方ですか?」

 

「はい。それで、彼女どうなんです?」

 

「大丈夫でしょう。ただの熱中症ですね、今は点滴をうけているところです」

 

「それは良かった」

 

「もう少し待ってくださいね」

 

「え?」

 

「彼女さんの家までちゃんと送ってあげてくださいね」

 

「いや、あの人は彼女じゃ」

 

「今日は体力が下がっているわけですから、様子をみておいてください」

 

 この看護師、人の話を聞かないタイプだ……。

 

「は、はぁわかりました」

 

 ここは処世術、とりあえず言葉を濁すで対抗するんだ!これもバイトで培った力!ありがとう店長!

 

「それじゃあごゆっくり~」

 

 看護師さんはにんまりとしながらさっていった。まったく、若い子はお盛んね~っていう目でこっちを見ないでくれ。

 

 まあ、仕方ないか。腕組んでるような体勢で入ってきたからね。誤解されるのも無理はない。

 ガタガタと扉をスライドさせて、部屋に入ってみる。音に気がついてはいるものの、寝転がったままだ。

 

「あっその……この度はご迷惑をおかけしました?」

 

 なぜ疑問系なんだ。それに寝転がりながらそんなに丁寧な言葉をつかわれると複雑な気持ちになる……。

 

「いいですよ。でもどうしてそんなに厚着を?」

 

 俺なんか半袖に七分丈のズボンでも汗だくだった。というのに、目の前のこの子は真っ黒なズボンに黒いパーカーまで羽織っていた。

 

「それは……バイトにいく前で……」

 

「へえ、バイト前……。バイトは大丈夫だったの?」

 

「はい、社員さんにいったら今日は暇だしゆっくりしていいって」

 

 なんだよ……いいバイト先じゃねぇか……。ますますあのスーパーが気になり始めたぜ。

 

「は~い、失礼しますね~」

 

 そう言ってさっきの看護師が入ってくる。まったくこの病院にはもっとまともなのはいないのか!

 

「点滴は終わりですね~。受付の前でお待ちください」

 

 この看護師……手際はめっちゃいいだと!?熟練の看護師だったか……。

 

「はい、どうも」

 

 そういって身支度をする。といっても、また黒いパーカーを着ようとしてるだけだけども。いやいや、それで倒れたばっかりだろ。

 

「パーカーは着ない方がいいんじゃない?」

 

「でもこれ着ないといけないから……」

 

 そういって指差すのはポロシャツについたワンポイントのマークだ。もちろんあのスーパーのマークである。

 

「それなら……仕方がないのか」

 

「うん、暑いけどね……」

 

「あら、彼氏さんのソレを着ていけば?」

 

 あの看護師……そっと後ろ手に隠した俺の上着を指さしていきやがった。

 

 いやね!彼氏シャツとかね!良いと思うよ!でもね!この子彼女じゃないんだわ!ただの顔見知りって程度なんだわ!

 

「ははは、着るかい?なんてね……」

 

 ほら、笑い飛ばせ!拒絶はしてほしくないけど遠慮しますアハハって!

 

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」

 

「……えっ?」

 

 ちょうどその子の目の前に差し出してたもんだから、スッと取られてしまった。

 

「白いから透けるけど、黒いパーカーよりはマシ」

 

 黒いポロシャツは確かに透けている……。本当に抵抗感なく着ちゃったよこの子。もしかして俺のこと好きなの?なんてね。

 

 受付にいくと、まあなんというか少子高齢化って本当だったんやなって実感する。若いのなって俺たちしかいない。

 だからって!こう生暖かい目で見るな!若いもんはいいよな~って目を向けるな!

 

「あっ私みたい。いってくる」

 

 そういって受付の方へと行ってしまった。

 

 受付のお姉さんが口を開いて、名前を呼ぶ。

 

「G11様~」

 

「は~い」

 

 ……。まあそうだよねぇ。だって『見たことのある顔だ』ったんだもの。そりゃね、普段は似てるな~とかで済んでたかもしれないよ?でもさ、ウチで待ってくれてるチビたちをみるとさ、こう、変わって見えるんだよね。

 

「おまたせ~。今日はありがとう」

 

「どういたしまして」

 

 そういって笑った表情は、俺の知ってるゲーム内のG11より少し大人びて見えた。

 




404(チビ)を書きはじめる段階で決まってた内容はすべて消化しきったんだ……。気長に待ってくれ……
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