あと真希と寿々花と美奈都さんと篝さんが来ない・・・(泣
それと一人も死なない勝ち方が出来ない(泣
美濃関、平城、長船。そのすべての学園が封鎖される事態に陥り、さらに各地の舞草のメンバーが強化された警備によって身動きが取れない事態になって、数時間。
完全に先手を打たれた、というよりは、あらかじめ準備をされていたかのように、一気に窮地に追い込まれたという感じにだ。
舞草内に内通者の痕跡はなく、あの里のことについては、ネット上の情報をリアルタイムでデリートし続けるようにしていた。おそらく何らかの方法で探られたのだろう。
であるのなら、あとの問題は、邪魔者がいなくなったやつらが次に何を引き起こすのか。
すでに折神家に集められたノロの総量は二十年前より多い。
まさしく『
「舞草と思わしき人物はすべて掌握しました。これで、事態は収束に向かいますわ」
手元の資料を見ながら、そう告げる寿々花。
「あれほど我々を悩ませた組織を、ほぼ一夜にして壊滅に追い込むなんて、えげつないほど鮮やかな手腕ですわね」
そう呆れるようにつぶやく寿々花。
「なんか現場に向かって行ってた機動隊員は刀使の写シ対策の武器まで持っていってたそうだぜ?」
それに対して織田があっけらかんとそう言う。
「対刀使用の武器を開発していたとはな。俺たちゼクトでも考えなかった事だ。舞草対策だとしても、少しの容赦もない。流石は、折神紫といったところか」
それに大和がうなずく。
「紫様は・・・十条姫和の起こした午前試合の一件から、ここまで布石を打っていたんだろうか・・・」
真希の言葉に、寿々花が訂正を加えつつ、返事を返す。
「というよりは、それよりも前から、という感じですわね。わたくしたちの敗北も布石の一つ、だったのかもしれませんわ」
自虐するように笑う寿々花。
そこで、言葉が途切れる。
そこで、空気が、どこか重々しくなる。
「・・・燕結芽が死んだそうだな。想から聞いた」
「おい隊長・・・」
容赦ない大和の言葉に、織田が諫めるように言うが、大和は気にせず言葉を続ける。
「瞬は今回の一件から引かせるそうだ。流石に精神面で堪えているようだからな」
「そうですか・・・瞬さんが・・・・」
「確かに、瞬さんが、結芽さんを一番気にかけていたんですものね」
二人の表情は、どこか、いや、確かに暗い。やはり、仲間が一人死んだことが、よほどショックなのだろう。
「今後は、俺と織田、想、そして新しく派遣される奴と一緒に、カブトゼクター、および、舞草が所有している全ゼクターの回収に向かう。お前たちが一緒に来るかどうかはそちら次第だ」
大和は、それを告げると踵を返して歩き出す。
「いい返事を期待している」
「うっわ完全に悪い奴のセリフだよありゃあ。ま、そんなわけだ。悪いな、お二人さん」
いつもは陽気な筈の織田が、今回ばかりは空気を読んで、テンション低めで立ち去っていく。
「・・・・結芽」
二人が出て行き、それの後に、真希はそう呟いた。
日本海のどこか。潜水艦が一隻、巡航していた。
その潜水艦の一室―――の前にて。
「・・・・」
可奈美は扉を見上げていた。
部屋の空きの問題もあって、刀使とライダーたちは全員、同じ部屋で寝ることになっていたのだが、ただ一人、天道だけは狭い個室にこもってしまっていた。
「お義兄ちゃん・・・」
その言葉を呟くと、ふと、あの親衛隊―――燕結芽の言葉を思い出す。
『お兄ちゃん・・・』
あの言葉の意味は、一体なんだったのか。
まさか、本当に、彼女は天道の――――
(いやいやそれはない)
そもそも苗字が違ううえに天道は結婚していない。もうそんな年齢だとはいえ、天道の左手薬指には指輪はない。それに子供のころと同じ苗字だ。
結婚はしていない。していない・・・はずだ。
「・・・・」
なんだか無性に心配になってきた。
「か、確認するだけでも・・・」
そう思い、扉を開けようとして、
「可奈美」
「うわ!?」
姫和に声をかけられた。
それだけじゃない。
舞衣に沙耶香、エレン、薫に加え、赤城、風間、山矢、神木たちもいた。
「みんな・・・」
「やはり天道は出てこないのか?」
「・・・・うん」
ずっと部屋に引きこもったままの天道。こういう事は流石の可奈美も初めてで戸惑っていた。
「どうしたんだよあいつ。あの燕結芽とかいうやつと戦って何かあったのか?」
「うん。何かあったんだと・・・思う・・・」
可奈美の端切れの悪い言葉に、赤城以外が首をかしげる。
可奈美と赤城は見たのだ。
あの時、結芽が死ぬとき、あの天道が泣いていたのを。
(司お義兄ちゃん・・・)
扉の向こうにいるだろう、兄貴分に、そう心の中でつぶやく可奈美。
「・・・・よし、突入してみっか」
「え!?」
薫の突然の薫の発言に、可奈美は驚く。が、そんな事お構いなしに薫は天道がこもる部屋の扉を開け放つ。
「入るぞー!」
「か、薫ちゃーん!?」
絶叫する可奈美だったが、ふと中の様子を見て黙り込む。
四つあるベットのうち、左の下段のベッドに、天道は寝ていた。
「なんだ。寝てるだけか」
そうがっかりした様子でそう呟く薫だったが、
「・・・・何か用か・・・?」
「起きてたんかい」
その力ない言葉が返ってきて、薫が呆れる傍らで可奈美や他の者たちは天道の異常を改めて確認した。
「・・・何かあったのか?」
風間がそう聞く。
その問いかけに、天道はしばらくそのままの状態でいて、のろのろと起き上がって、ベッドに腰をかけるような状態になる。
だが、未だ迷っているのか、うつむいたまま何も話さない。可奈美は、とりあえず天道の横に同じようにベッドに腰を掛ける。
しばしの沈黙、その中で、可奈美はちらちらと天道を見た。
そんな中で、
「・・・俺は」
天道は語りだした。
「元々『天道』という姓じゃない」
「え・・・?」
突然の発言に、可奈美は戸惑う。それは、可奈美の知らない事だったからだ。
「お前が生まれる二年前、つまり、まだ俺が六歳のころだったか。本来の俺の家は、刀使の家系で、そこで生まれたのは『司』という男児だった。だが、その家は優秀な刀使を輩出する事に過剰な執着を見せていて、刀使になれない男である俺は、いない者として扱われた。その事実を知ったのは物心がついたころだったか。それで、四歳の頃に流石に煩わしく思われたのか施設に送り込まれ、そして二年後に天道・・・俺の今の両親に引き取られた」
「そう・・・・だったんだ・・・」
そんな悲しい過去があったとは、可奈美は知らない事を悔いた。だが、次に天道が言った言葉で、その後悔は驚愕に塗り潰される。
「その、家の名前が―――――『燕』」
「なっ!?」
「その名前って・・・」
「あの親衛隊と同じ・・・・まさか・・・!?」
その言葉で、全員、何かを察してしまった。
「俺の本来の名前は『
その言葉で、可奈美は、全てを察してしまった。
あの時、天道がライダーキックを叩き込んで、その命を消した相手、それは、彼の本当の妹だったのだ。
自分の妹の命を、他でもない、自分の手で消したのだ。
「お、おにい・・・」
「俺は・・・」
頭を抱える。そして、苦しそうに独白する。
「俺は結芽が妹だという事を知っていた・・・!ほんの二年前に、あいつが病魔に苦しんでいたところを訪ねた事がある・・・そこで、初めて結芽に会った・・・!そして悟った。こいつが俺の妹なんだって事を・・・他の誰でもない、血の通った、本当の妹だって事を・・・!だが俺は、妹を・・・結芽をこの手にかけた・・・!止めることが出来なかった。あいつの願いを、無下にする事が出来なかった・・・!あいつはただ、自分の存在を証明したいだけだった。ただ戦って、生きていたいだけだった・・・それを俺が潰した・・・俺が、あいつを―――!」
「お義兄ちゃん!」
可奈美の鋭い叫びが天道の耳に届く。
(だめ・・・その先は、絶対に言わせない・・・!)
力強く、天道の手を両手で握りしめる可奈美は、そっとその手を自分の顔の前に持っていく。
「・・・お義兄ちゃん、今はいっぱい泣いていいよ。だけど、それは言っちゃだめだよ。それじゃあ、結芽ちゃんがどんな想いでお義兄ちゃんと戦ったのか分からなくなっちゃう!」
「・・・・」
「生きよう。結芽ちゃんの分まで。あなたが結芽ちゃんのお兄ちゃんなんだから、しっかり前を向いて、結芽ちゃんの分まで戦わないといけないんだよ」
「可奈美・・・・」
「私が支えるから、いつか結芽ちゃんの事で苦しくて、辛くなったら、私が支えるから。だから・・・」
そこで、可奈美はしばし逡巡して、
「つ・・・司・・・さんの・・・隣に・・いさせて・・・ください・・・」
最後の方で一気に失速する可奈美。先ほどまでの威勢はどこへやら。顔を真っ赤にして頭のてっぺんからはやかんのように湯気を吹き出している。
そんな可奈美を目の前にして、天道のとった行動は、
「・・・・」
「・・・・えっと、司お・・・さん・・・?」
「・・・・・ふんッ!」
「ええ!?」
自分の顔面を殴る事だった。
「ありがとう可奈美、良い活が入った」
「そ、それは良かったよ・・・」
相変わらず考えている事がわからない天道のいつも通りさに、可奈美は思わず笑顔を零す。
「そういえば可奈美。いきなりさん付けとは、一体何があった?」
「え!?ええっと、それは・・・そのぉ・・・」
途端にもじもじしだす可奈美。その反応がずいぶんと可愛いが、ここは耐えることにして、可奈美の返答を待つ。
「その・・・お義兄ちゃん呼びは・・・卒業かなって・・・それに、結芽ちゃんの事もある・・・し・・・・」
おそらく後半が理由の大部分だろう。
「別にそれは気にしなくてもいいんだぞ?」
「わ、私がだめなの!そ、それに・・・前にも、進めないかなって・・・」
「前?なんのことだ?」
「な、なんでもないよ!」
恥ずかしくて天道から背を向ける可奈美。だったが、振り返った先で目の前に何やら笑いをこらえたり顔を真っ赤にしている者たちがそこにいた。
「・・・・あ」
そこで、可奈美は事の重大さに気付く。
「――――っぷ、アハハハハハ!!!だめだ、もう耐えらんねえ!!」
「ちょ!?だめですよこんな時に笑っちゃ!?」
「可奈美ちゃん・・・すごい勇気・・・」
「可奈美、がんばれ」
「そうだな。がんばれ可奈美」
「ワタシたちも前に進みたいデース!」
「どういう意味だエレン」
「その、なんだ可奈美・・・卒業オメデトウ?」
「いやぁ良かったなぁ衛藤。お義兄ちゃん呼びから克服できて」
「は、はわわわわわわわ!!?!?」
すっかり忘れていたが、ここには自分と彼の二人きりじゃなかった。ライダー四人と刀使が五人もいたのだ。
あまりにも天道の話が悲惨すぎて、完全に意識から外れていた。
完全にこちらの落ち度だ。
「そうだ姫和。お前も卒業したらどうだ?」
「うぇ!?え、えーっと・・・あ、あら・・た・・・さ・・・やっぱ無理!」
「おやおやぁ、どうやらエターナルは胸だけじゃなくお義兄ちゃん呼びまでエターナルのそうだゾ?」
「よぉし分かった今すぐお前を
先ほどまでの重い空気はどこへやら、あっという間に和んでしまった。
「あうあうあうあー!」
「ああ!?可奈美ちゃんがあまりの情報量に幼児退行しちゃった!?」
「メディック!メディィーック!」
「剣何言ってるの?」
「お前本当にこんな時でもズッパリいくのな」
そのにぎやかさを見て、天道は思わず吹き出してしまう。
「くっ、ははは」
その笑い声に、一同は一斉に天道を見た。
「いや、すまない。心配をかけたな。もう、大丈夫だ」
そう、憑き物が落ちたかのように清々しい天道の表情を見て、他の者たちも安堵するように力を抜いた。
「司さん・・・・」
可奈美が、そう呟いた。
その時、彼女の体に変化が起きる。
「!?」
「What!?」
「なんだ!?」
「え!?」
「これは・・・!?」
「何・・・!?」
それは、他の刀使たちも同じだった。まるで前後に別々の感覚を投射されたような気分。現と別の世界に、その身を不完全に転写させられたかのような、そんな不快感。
「ん?」
「沙耶香?どうかした?」
「おい、エレン?」
「何かあったのか?」
だが、ライダーたちは気付いていない様子だ。否―――
「お前ら、ゼクターを呼んでみろ」
天道が、あらかじめ用意していたのかカブトゼクターを手にとっていた。
「は?ゼクターを呼べってなんで・・・ってあれ?」
山矢が手を掲げるが、どういうわけかザビーゼクターが飛んでこない。
「どうした?」
「ザビーゼクターが飛んでこないんだよ」
「なんだと・・・?」
風間もドレイクグリップを掲げるが、ドレイクゼクターも飛んでこない。
「もしかして・・・」
「よし!来い!ガタックゼクター!」
神木も赤城も手を掲げてみるが、どちらも飛んでも来ないしやっても来ない。
「どういう事だよ!?」
「ゼクターが飛んでこないなんて・・・」
「いいや飛んでこないんじゃない。飛んでこれないんだ」
天道がそうしめすように、カブトゼクターを振ったり落としたりしてみているが、カブトゼクターは一切の反応を見せない。まるで、ぐったりしているかのようだ。
その証拠に、ねねが力が抜けているかのようにぐったりしていた。
「ねね?どうした?」
「どうやら、タギツヒメが何か行動を起こしたらしいな」
次の瞬間、分割されたかのような感覚はなくなり、元の感覚に戻る。
「あれ?」
「ん?」
それと同時にカブトゼクターも元気を取り戻したのか天道のまわりを飛び回る。それとほぼ同時に他のゼクターも飛んできた。
「これはおそらく、二十年前と同じ、大荒魂出現の兆候と思われます」
朱音の言葉に、一同は息を飲む
「この現象は刀使にしか起きない。以前、同じ現象が確認された事がある。二十年前の事だ」
フリードマンが語るには、隠世で大きな変化が起きたのだという。その次の瞬間には大荒魂が現れたのだという。
その事実に、一同は言葉を失う。
「これは国家レベルの災害です。このことを、すぐにでも人々に知らせなければ・・・」
「そんな暇があればいいんだがな」
そこで天道が口をはさむ。
「司さん・・・?」
天道の言葉に、全員の視線が一斉に集まる。
「貴方が演説するとして、演説の間に貴方が撃たれる。あるいはとらえられる可能性がある。いや、それ以前に、演説の途中で大荒魂が出現すれば、それこそすべて手遅れだ。であるならば、即刻倒しに行くしかないだろう」
「だけどどうやるの?ここから折神家の本拠地まで距離が・・・」
「手ならある」
天道は、手を掲げ、天を指さす。
「海や地上がダメなら空からだ」
真っ暗・・・とは言えない空間の中、天道は目の前に映し出される文字列を読んでいた。
『あ、あーテステス、マイクチェックマイクチェック。みんな聞こえてるかー?』
『こちら二番。聞こえてるぜ四番』
無線越しに声が聞こえてくる。山矢と赤城だ。
『全員、準備はいいな?』
『ワタシたちは当然準備万端デース!』
『こっちも問題ありません』
『うん、いつでもいける』
『みんないいなぁ。私は一人だけだから』
『その分広くていいだろ。こっちはごつごつしたのが当たってせまっ苦しいんだ』
『おまっ、仕方ないだろ!この状態じゃないとこれの圧力には耐えられないんだからよ!』
『ちょ!?動くな!当たる!』
『うるさいぞ!少しは静かにできないのか!?』
『黙ってろエターナル胸ぺったん女!』
『お前だって同じようなものだろ!?』
『喧嘩すんなお前らァ!?』
「ふふ」
ふと、可奈美から笑い声が聞こえた。
「可奈美、大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ司さん。いつでも行ける」
「・・・」
「・・・司さん?」
「なんだか慣れないな。その呼び方」
「そうかな・・・?」
可奈美は、少し顔を赤くしてそう答える。あの一件から、可奈美はもう『お義兄ちゃん』とは呼んでくれなくなった。これについては、少しばかり残念に思ってしまっている。
「本当にいいのか?その呼び方で?」
「うん。だって、いつまでも妹のままじゃ、司さんの隣に立てないと思ったから、せめて気持ちだけでも、って思って」
可奈美の言葉には、芯がこもっている。それは、確かな覚悟を持った、者の言葉だった。
「そうか・・・」
子供の成長は、思っている以上に早いものらしい。
「別に、そこまで意識する事はないんだがな」
「ん?司さん何か言った?」
「いいや。だったら俺からは何もいう事はない」
「うん!」
『なあ一つ思ったんだけどさ』
そこで山矢から連絡が入る。
『どうしたこんな時に』
『いやー、せめて気合入れるためになんか掛け声とか決めね?』
『何言ってんだお前は・・・』
『oh!それは良いデスね!』
『は?』
山矢の提案にエレンが賛同して薫が間抜けな声を漏らす。
『お前たち・・・』
『まあまあ、良いじゃないですか。俺も良いと思いますよ』
『剣が良いなら、私も』
『ねねー!』
『ねね、お前もか』
何やら別の事で盛り上がってきている。それを傍らで聞いていた可奈美は、ふと天道の方を見た。
そこで、いいアイデアが思いついたのか、可奈美が口を開く。
「ねえみんな、それじゃあこんなのはどうかな?」
それを言うと、
『いいんじゃないか?』
意外にも、姫和は賛同してくれた。
『珍しいな、お前がそういうなんて』
『気合は必要だ。それに、何も刀使である事に拘る必要はない。荒魂を祓い、鎮める。それさえできれば、私は後はどうだっていい』
『そっか』
姫和と赤城の会話から、他の者たちも次々に賛同する。
『俺も良いぜ。なんかその方がやる気でるし』
『まあ、いっか。気合は入れた方がいいからな』
『ワタシもそれで構いまセーン!』
『やれやれ、お前たちは』
『私も、それで、良い』
『俺も、文句はないよ』
『可奈美ちゃんがそう決めたなら』
「満場一致、だな」
「うん」
そう言いあったところで、フリードマンから連絡が入る。
『本当にいいのかね?』
その声は、どこか戸惑いのあるものだった。
『ノープロブレムデース!任せてクダサイ!』
『お願いします。博士』
『・・・・頼んだぞ』
フリードマンが、そう言う。
「来るぞ」
「うん・・・!」
可奈美が写シを張り、天道は腹に力を入れる。
『行くぜお前らぁ!』
『せーの!』
『『『レッツゴー仮面ライダーァァァアア!!』』』
次の瞬間、激しい重圧が二人を襲った――――
それは、突然起きた。
「!? 相模湾岸沖より、高速で飛来する機影あり!」
職員の一人が、そう叫ぶ。
その叫びに、その場にいた真希、寿々花、織田、大和、想が反応する。
「何事ですの!?」
「数は六!ミサイル攻撃と予想され――――いえっ、違います!これは―――!」
レーダーに映し出された形状を見て、その職員は驚愕混じりに叫ぶ。
「
そう、飛んできているのはミサイルではない。
S装備を射出するためのコンテナが飛んできているだけなのだ。
「よ、予想着地点は・・・!」
「そんなもの決まってるだろ」
これまでになく真剣が声音で、織田が言う。
「やってくれたね・・・」
真希も、大方の予想がついていた。
「こ、
「・・・なるほどな」
想は、何を思ったのか、天井ごしに空を見上げた。
何かが折神家の敷地に落下する。
それらは土煙を挙げて地面に直撃し、地面に突き刺さる。
それは、コンテナ。ミサイルの頭部分にあたる部品に似た形状をしていて、何かを運んできた事が一目でわかる。
そのコンテナが音を立てて開く。そこから現れたのは、一人の少女と大きな影。
少女は体の各部位に鋼鉄の武装をしており、頭のバイザーには、『READY』の文字浮かびあがっていた。
その少女の後ろには、巨漢の如きシルエットを映し出しながら立ち上がる影。それは全身を鋼鉄の鎧に包んだ存在で、一切の肌を見せない重装甲に身を包んでいた。
「うっし、ついたな」
他のコンテナからも、一人の少女と大男が出てくる。否、彼らは大男ではない。
重武装に身を包んでいる者たちは、少女の横を通り抜け、横一列に並んだ。
「作戦を確認するぞ。S装備の稼働時間は予備電池を含めても三十分。その間に、全ての決着をつける。ライダーはキャストオフによってライダーフォームへと変身し、突破口を開きつつ一気に折神紫の元へ行く。雑魚の刀使は全員、クロックアップで片付ける」
「俺たちライダーの真骨頂って訳だな」
「ああ」
マスクドライダーシステムの本来の用途は刀使の鎮圧、及び、撃滅。これから立ち塞がるであろう警備の刀使たちを薙ぎ倒していくには十分な役割だ。
「全員、準備はいいな?」
全員がうなずく。
「よし、総員、キャストオフ準備!」
それぞれのゼクターを待機状態にする。すると彼らの纏う装甲が分解状態のように浮き上がる。
『キャストオフ!』
そして、それぞれの操作を行い、自らを覆う装甲を吹き飛ばす。
『CAST OFF』
吹き飛ばされた装甲の中から、史上最速の戦士が姿を見せる。
全てのライダーの変身が確認されたところで、彼らは行く。
「行くぞ」
今、世界の命運をかけた戦いが始まる。
次回『戦う者の運命』