―――天道たちがとった行動は、はっきり言って単純なものだった。
大荒魂『タギツヒメ』の出現が近い。であるならば、早めに討たなければ手遅れになる可能性がある。
だが海路はともかく陸路は危険が多く、とてもではないが無事なままいける保証はない。
であるならば、空から。
S装備射出コンテナを利用してS装備ごと刀使を送り込む。これによって相手の虚を突きつつ一気に折神紫の元へ向かうという作戦だ。
ただし、S装備の稼働時間は予備電池含め三十分。それまでに倒さなければならないというのが問題だ。
落下地点から駆け出し、一気に折神家の敷地内へ。そこで、可奈美はふと、入り口の中に大きな広場を見渡した。
「ん?どうした?」
「ここで出会ったみんなと、また戻ってきたんだなって・・・」
「・・・そうだな。正直、戻ってこれるとは思っていなかった」
「感慨に浸るのはいいが、今は時間がない。S装備の稼働時間はそれほど長くないんだからな」
可奈美の隣でカブトがそう言う。
その通りだ。時間は、こちらの味方ではないのだ。
大荒魂復活までの時間とS装備の稼働限界時間。そのどちらも、彼女たちの味方ではないのだ。
「ねねー・・・!!」
「そっちか。ねね」
ねねが唸りながら睨みつける方向。そこは、山の奥。
「私のスペクトラム計も同じ方角を指している。間違いなさそうだ」
姫和も、自身のスペクトラム計を見て、そううなずく。
「あれは・・・」
「ん?知ってるの?沙耶香ちゃん」
「あれは祭殿・・・折神家の当主しか入れないといわれる禁足地だ」
「なるほど、ノロを貯めておくにはうってつけの場所って事か」
「よし、行くぞ!」
ドレイクの言葉に、全員が走り出す。
祭殿に向かって、一気に――――
『RIDER KICK』
突然、どこからともなく何かが飛んでくる。
その何かは、タキオン粒子をほとばしらせてまっすぐ――――カブトに向かって落ちてきた。
「ッ!?」
その一撃を、カブトのみならず他の者たちも散開して回避する。
落ちた何かは土煙を挙げて、地面を大きなクレーターを作り出した。
そして、その土煙の中から、すぐさまカブトに向かって走り出てくる。
その何かの正体は――――キックホッパーだ。
「影車想か!?」
「ふんッ!」
鋭い蹴りがカブトに迫る。その一撃をかわし、続く連撃も下がって躱す。
「司さん!」
可奈美が叫ぶも、キックホッパーの猛攻をカブトは避け続ける。
しかしそのまま攻撃を受ける一方のカブトではない。一瞬の隙、蹴り突きを外側に躱したところでカブトは拳を放つ。だがそれよりも早くキックホッパーはしゃがみこんで躱し、続くローキックを飛んで躱す。
「先行し過ぎだ、想」
その着地先、祭殿への通り道から、人影が出てくる。
その数、四。
「あれは・・・!」
「親衛隊に、ゼクトのライダーか・・・!」
獅童真希、此花寿々花、織田秀信、大和銀騎の四人。キックホッパーも含めれば、全部で五人。
「結局真島の奴は戦線に復帰できなかったが、まあ問題ねえか」
「ああ。ここで全てのゼクターを回収する」
織田と大和が袖をまくってライダーブレスを露わにする。
「ここから先は通すわけにはいかない。来ることはわかっていた」
「本当に、飽きさせない方々ですわね」
真希と寿々花は御刀に手をかける。
それと同時にカブティックゼクターのヘラクスゼクターとケタロスゼクターが飛んできて、織田と大和の手にそれぞれ収まる。
「「変身」」
『HENSHIN』
途端、二人の姿が変わる。
その身に装甲を纏い、最速の戦士へと変身する。
『CHANGE BEETLE』
『CHANGE BEETLE』
仮面ライダーヘラクス、そして、仮面ライダーケタロス。二人のライダーがこの場に推参する。
刀使が二人にライダーが三人。数では優位に立っているが、相手は親衛隊と名乗るほどの手練れ。一筋縄ではいかないだろう。
「・・・・」
「天道」
ドレイクがカブトに耳打ちする。
「お前と赤城、可奈美と姫和は先に行け、こいつらの相手は俺たちがやる」
「いいのか?」
「そう簡単にやられるほどやわな鍛え方はしていない」
「・・・そうか」
カブトが了承し、可奈美、姫和、ガタックもうなずいたのを確認する。
一瞬の静寂。次の瞬間、薫が飛び上がり、エレンの御刀の上に乗る。
「ホームラン!エレンVer.デス!」
一気に敵へ飛んでいく薫はそのまま回転して祢々切丸を掲げる。
「キエェェエエ!!」
そして力任せに振り下ろす。
「「クロックアップ!」」
「「迅移!」」
『CLOCK UP』
その一撃を彼らは躱し、その間を彼らは通り抜けていく。
だが、ここでドレイクやカブトは異変に気付く。
((わざと通した・・・?))
彼らはカブトたちを追いかける素振りを見せず、残ったドレイクたちの方を見ていた。
「・・・いいのか?行かせて」
「何の問題もない。先に行った時点で奴らの死は決定している」
「なんだと・・・?」
「どういう意味だ?」
ザビーと薫の質問に対して、ヘラクスが答える。
「この先には、うちでかなり強い奴が控えてる。まずあいつらじゃ勝てないね」
「そんな・・・!?」
ヘラクスの言葉に、舞衣が驚く。
「本当に信用できますわよね?」
「ああ、事実、奴は
その言葉に、寿々花はそれ以上は聞かなかった。
「さあ、山狩りの続きだ」
真希がそう呟いて、御刀を引き抜いた――――。
真希たちを突破した可奈美たちは、このまままっすぐに祭殿の方へ向かっていた。
「なあ天道」
ふと、そこでガタックがカブトに声をかける。
「なんだ?」
「さっきの奴ら、なんか、おかしくなかったか?」
「ああ、妙に気前が良すぎるというか・・・」
案外あっさりと通してくれた事に、疑問を抱く姫和。
確かに、親衛隊なら、何があっても止めるだろう。
それなのに、なぜ―――
突然、道の角から何か白い影が躍り出た。
「「「「ッ!?」」」」
それに驚いた彼らだったかその行動は早く、まずその影が放った蹴りを向けられた姫和は飛びすさることで回避。そこへ背後からガタックが殴り掛かるが躱され、さらに続くカブトの蹴りも躱す。そして最後の可奈美の横薙ぎを高く飛んで後転しながら離れる。
「なんだコイツ!?」
「刀使じゃないのに、こんな身体能力・・・!?」
そう、その影は刀使ではない。白いタキシードにマント、そしてシルクハットをかぶった『男』なのだ。
その左手には、青い薔薇。
「・・・そーいや聞いたことがあるぞ。ゼクトにはもんのすげー強い黄金のライダーがいるって話だ」
「ほう・・・そんなに強いのか?」
「ああ。なぁんか気付いたら全てが終わってたって感じで、見たもの全員消されてんだと」
ガタックが、冷や汗まじりにその男を見る。
その話に、可奈美も姫和も、緊張した面持ちで御刀を構える。
そして、こちらに背中を向けていた男が、こちらを見る。
そして、青い薔薇を顔の近くに掲げて、言う。
「私の薔薇に彩りを加えましょう。裏切り者の紅い血と、屈辱の涙の」
次の瞬間、男が薔薇を天に放り投げる。
そして、拳を突き出し、ぐっと膝を折り曲げて、ライダーブレスを掲げた。そこへ、一体のゼクターが飛来。
それはケタロスやヘラクスと同じ、カブティックゼクターに相当するゼクター。
その名も、『コーカサスゼクター』。
それが掲げられたライダーブレスに自分から装着され、そして、勝手に九十度回転する。
「変身」
『HENSHIN』
姿が変わる。その姿は、輝く黄金の装甲を身に纏った戦士――――
仮面ライダーコーカサス。
『CHANGE BEETLE』
一人のライダーが、彼らの前に立ちふさがる。
「速攻で片付ける」
「賛成だ」
すぐさまカブトとガタックがスラップスイッチを押し、加速する。
『CLOCK UP』
それと同時に可奈美も姫和も迅移で加速。クロックアップには敵わないが、それでもある程度対応する事は可能だ。
「無駄だ」
それに対して、コーカサスは鼻で笑うと、腰にある謎の装置を押した。
『HYPER CLOCK UP』
コーカサスも加速する。だが、次の瞬間、カブトの鳩尾、ガタックの延髄、姫和の腹、可奈美の背中に、コーカサスの拳が突き刺さっていた。
声を発する間もなく、次にカブトは顔面、ガタックは脇腹、姫和は首、可奈美は鳩尾に攻撃を喰らう。
そのまま成す術もなく蹂躙されていく。
『HYPER CLOCK OVER』
そんな音声が聞こえてきたかと思うと、気付いた時にはカブトとガタックはボロボロの状態で地面に倒れ、可奈美と姫和は写シを剥がされた状態で地面に倒れ伏していた。
「ぐ・・・あ・・・」
「そん・・・な・・・・」
姫和と可奈美は何が起きたのか理解しておらず、一方のカブトとガタックは複眼による機能で全て見ていた。
簡単に言ってしまえば、
「俺たちのクロックアップより速いクロックアップだと・・・!?」
「その通り。最も、分かった所で、」
次の瞬間、コーカサスはまたハイパークロックアップを発動させる。
『HYPER CLOCK UP』
また、蹂躙が始まる―――
祭殿の奥。
そこには、紫が指示した事で集められた、大量のノロが保管されていた。
しかし、それは今では全てなくなっていた。
その理由はすべて、その中心に立つ一人の少女が引き起こした事だからだ。
否、その実年齢を考えると、そうでもない。
だが、その女の体に張り巡らされた手跡のような模様は、彼女が異常だという事を示していた。
だが、今その場にそれを咎めるものはいない。
ただ、絶賛する者が一人いるだけだ。
「お祝い申し上げます!紫様」
鎌府女学院学長高津雪那だ。
彼女は、紫に対する忠誠心は、信仰に近くそして妄信的。ゆえに、彼女は紫の事情を知っていても、何も言わないし疑わない。
全ては、紫に頼られたいだけの一心で。
「紫様が現世に覇を唱えるのはもはや必定!これからも粉骨砕身にてお仕えを―――」
ただ、彼女に誤算があるとすれば、それは、彼女が妄信的過ぎた事。そして、自分勝手な行動を取りすぎたことだろうか。
「
「・・・・は?」
突然の紫の言葉に言葉を失う雪那。
「去ねと言っている もはや貴様に用はない」
「ひっ」
その威圧に気圧された雪那は腰を抜かして地面に座り込む。
その様子を見ることもなく、紫は踵を返して去っていく。
「ゆ、紫さま・・・お待ちください・・・紫さま・・・紫・・さま・・・」
紫はその声を最後まで聞くことなく、扉の向こうに消えた。
「キエェエエ!!」
薫の大刀の一撃が振り下ろされる。だが、その一撃は躱され、真希が隙だらけの薫に一気に迫る。しかし、それをエレンが阻止、すさかず反撃に蹴りを繰り出すも躱される。
その一方で、寿々花が相手取るのは沙耶香と舞衣。
舞衣の的確な判断が沙耶香を動かし、より最適な方向へ戦況を傾かせようとしているが、寿々花も同じように目で見て判断するタイプ。さらに予想を立てることにおいては一枚上手、そう簡単に戦況を崩せる相手じゃない。
「その目、お前、半ば荒魂と化してまで折神紫を守ろうというのか?」
薫の質問に、真希はうなずく。
「力無き正義は無力、力でなければ守れないものもある。その力を与えてくれるのであれば、神でも鬼でも僕は一向に構わない!」
全力の振り下ろしが薫に向かって振り下ろされる。
その一方で、ライダーたちの方では、神速の戦いが繰り広げられていた。
「ハアァ!」
キックホッパー相手にサソードが刃を振り下ろす。
だがそれは軽いバックステップによって躱され、すぐさま前に出ることによる直蹴りをもろに喰らう。
「ぐぅ・・!?」
「太刀筋は良い、が、俺にはまだ及ばないな」
キックホッパーが胸を抑えるサソードを見やってそう告げる。
「く・・・なぜだ。なぜここまで折神紫を・・・・」
「強いて言うなら命令だ」
「命令・・・だって・・・!?」
「そうだ」
蹴り上げがサソードの顎を打ち据える。
「ぐあ!?」
「最も、何かをなそうとするお前たちにとっては、俺のような存在は許せないだろうが、今は力が全てだ。力がなければ、お前たちの想いは風前の灯火のように消えるぞ」
キックホッパーの蹴りの連打が、サソードの人体急所を的確に狙っていく。
その一方で、ザビーはヘラクス相手に拳を放ちつつ、クナイガンアックスの攻撃をかわしていた。
互いに、無傷。
「お前らゼクトは、折神紫が何をしようとしているのか分かってんのか!?」
「知らねえなそんなこたぁ!俺は、ただやりあいてえからここにいるだけだ!」
「戦闘狂かよ!?」
「まったくもってその通り!」
上段からの振り下ろし、それをスリッピングによって躱しつつ、デンプシーロールのように態勢を立て直して重心移動をかけた右拳のストレートをお見舞いする。
しかし、それは横に飛ばれる事で躱される。
「ほらほらどうしたぁ?その程度かぁ!?」
「くっそ、明らかにパワー型なくせに身軽な動きしやがって!」
そして、ドレイクの方では、ケタロスの猛攻を掻い潜りつつ拳や蹴りなどを繰り出しつつ応戦していた。
「お前たちゼクトは一体何が目的だ!?」
「お前たちに教えてやる義理はない」
激しい猛攻を掻い潜り、ドレイクは下がりつつ銃撃、それをケタロスは横に飛んで回避する。
「社長が何を考えているのかは知らんが、俺はただ、命令に従うだけだ」
「チッ!」
クナイの一撃が喉をかすめる。
やはり、手練れ、一筋縄ではいかないようだ。
激しい猛攻がカブトたちを襲う。
通常のクロックアップよりも遥かに速い、ハイパークロックアップなる加速で、それについてこれない彼らを一気に蹂躙していた。
「がはっ!?」
『HYPER CLOCK OVER』
ハイパークロックアップが終わると同時に、カブトたちは地面に倒れ伏す。
コーカサスはそのうちの一人、カブトの首を持つとぐいっと持ち上げた。
「司さ・・・あ!?」
思わず手を伸ばそうとする可奈美の背中を踏みつけるコーカサス。
「可奈美・・・!」
「他人の心配より、自分の心配をした方がいいのではないかね?」
「ぐぅ!?」
片手だけなのにすさまじい力で締め上げてくる。
「貴様・・・!!」
「貴方がたがどれほどあがこうとも、私には敵いませんよ。何故なら、私は貴方がたより圧倒的に強いのですからねぇ!」
カブトを投げ飛ばす。
「くぁあ!」
その反動が可奈美へと伝わり、可奈美は痛みに悲鳴をあげる。
「可奈美ッ!」
どうにか態勢を立て直したカブトはすぐさまコーカサスに回し蹴りを叩き込もうとする。
だが、その顔面を狙った一撃をコーカサスは受け止め、反撃の拳が叩き込まれる。
「ぐぅ・・・!?」
すかさずハイパーゼクターのスラップスイッチを叩くコーカサス。
『HYPER CLOCK UP』
胸への一撃が叩き込まれる。
「ぐあぁあ!?」
さらに連続で地面に向かって殴られたかと思ったら今度は蹴り上げられ、さらには腹に重い一撃を喰らって吹き飛ばされる。
『HYPER CLOCK OVER』
「がぁあ!?」
またもや壁に叩きつけられる。
「司さん・・・!」
「天道・・・!」
一方的にやられるカブト。
「貴方は確かに強い。何せ神童と呼ばれた燕結芽に勝利したのですから。いえ、違いますね。貴方は燕結芽の兄だから、といった方が正しいでしょうか?」
「ッ!?お前、なぜそれを・・・」
「知っていますとも。貴方が一体どういう人間で、どのような人生を送ってきたのか。いやはや、まさか自分の妹をその手にかけるとは、貴方も中々に残酷な人間のようだ」
次の瞬間、背後からガタックが襲い掛かる。
「黙れ!」
「ふん」
「ぐあ!?」
だが一瞬にして反撃され、はじかれる。
「司さんの事・・・何にもわかってないくせに!」
可奈美が斬りかかる。しかし、振り下ろされた一撃は受け止められ、反撃の拳が可奈美を叩く。
写シを張っていない可奈美の脇腹から、何か、軋むような音が響く。
「あ・・・!?」
そのまま地面に倒れる可奈美。
「可奈美!」
「ふん!」
「あぐ!?」
すぐさま可奈美を助けに入ろうとした姫和だったが、すぐさまうなじを叩かれて地面に叩きつけられる。
そして、そのまま地面に両手をつくカブトの首をつかんで持ち上げる。
「うぐ・・・」
「もうすぐ折神紫が隠世の扉を開きます。そうなれば、大量の荒魂がこの地に埋め尽くすほど現れるでしょう」
「お前は・・・それでいいのか・・・?」
「愚問ですね。薔薇が見つめてくれるのは最も強く、最も美しい、私は、そのために戦うだけです」
青い薔薇を片手に、コーカサスがカブトを投げ飛ばす。
「がぁ!?」
「薔薇の花言葉は愛。愛とともに、散り給え」
地面に倒れ伏すカブトを見下し、コーカサスは、腰のハイパーゼクターのゼクターホーンを押し倒す。
「ライダーキック」
『MAXIMUM RIDER POWER』
ハイパーゼクターで増幅されたタキオン粒子が、コーカサスのカブトホーンを経由して右足に集中する。その量は、通常のライダーキックの数倍。
「まずい・・・!」
「このままじゃ・・・・」
ガタックと姫和は動けない。
「司さん・・・!」
可奈美もダメージが大きすぎて動けない。
完全に、万事休す。このままでは、カブトが―――天道が死ぬ。
それを思うと、途端に可奈美はどうしようもない恐怖に飲まれる。
(い・・・いや・・・そんなのいや・・・お義兄ちゃんが・・・司さんがいなくなるなんて・・・!)
「う・・・あ・・・うあぁぁぁぁああああ!!」
そんな事態を拒絶する可奈美が絶叫する。だが、それでも体は動いてくれない。
その間にも、膝をつくカブトに向かって、コーカサスがついに、ミドルキックを叩き込む――――
その、直前、
『RIDER KICK』
「ハアッ!!」
どこからともなく放たれた回し蹴りがコーカサスのミドルキックを真正面から打ち据える。
「何っ!?」
その瞬間、大気が炸裂し、強烈な衝撃が解き放たれる。
その衝撃波がカブトを吹き飛ばし、可奈美の元まで飛ばす。
「ぐぅ!?」
「司さん・・・!?」
突然の事に混乱を隠せない一同。だが、その間にも、事態は進行していく。
まず、正面衝突したライダーキックだが、コーカサスの方が強かったのか迎え撃った方が弾かれる。
だが、弾かれた瞬間、クロックアップを発動。そしてコーカサスがハイパークロックアップを発動させる前に、その腰のハイパーゼクターを奪い取る。
そのまま、カブトたちを背にコーカサスに立ちふさがるように立つ。
その正体は―――
「お前は、あの時の・・・!?」
その姿に、ガタックは見覚えがあった。
それは、先日彼と二人の刀使を襲った仮面ライダー。
「黒い・・・」
「・・・カブト?」
黒を基調とし、赤い基盤のようなラインの走る姿を持つ、黒いカブト。
「・・・」
ふと、黒いカブトが、赤いカブトの方を見る。どうにか膝たちの状態になっているカブトを見て、黒いカブトはこうつぶやいた。
「・・・そうか。今の時代のカブトは、君なんだね・・・」
「何・・・?」
黒いカブトは、コーカサスに向き直る。
「ならば今の僕は、『仮面ライダーダークカブト』だな」
突然、その様な名乗りをあげる黒いカブト、否、ダークカブト。
「お前、何を言って・・・」
「今はどんな事態なのかわからないけど、とにかく君たちにはやらなくちゃならない事があるんだろう。だから、ここは僕に任せて先に行って」
ガタックの問いかけを振り切り、ダークカブトはそのように促す。
「私がそれを許すとでも?」
「いいや。でも、それを邪魔させる気はないよ」
ダークカブトは、その手にもったハイパーゼクターをどこかに放り投げる。
「さあ、行って!」
「・・・すまない」
カブトは可奈美を抱えつつ、先に向かう。
「行かせん!」
「だから邪魔はさせないって言っただろ!」
追いかけようとするコーカサスに蹴りを放つダークカブト。
それを後ろに飛ぶ事で躱すコーカサス。
「貴様!」
怒りを孕んだ声で怒鳴るコーカサスに対して、ダークカブトは告げる。
「最初に言っておく。僕はかーなーり強い!」
「ほざけぇ!」
次の瞬間、コーカサスとダークカブトがぶつかり合う。
背後で激しい戦いの音が聞こえる。だが、それは、ダークカブトが必至にコーカサスと戦っている証拠。であるならば、それを無駄にしないわけにはいかない。
祭殿への道を、クロックアップで一気に駆け抜ける。可奈美と姫和は写シでその重圧に耐える。
そして、辿り着いた、祭殿にて。
『CLOCK OVER』
「着いたぞ」
「雰囲気が変わったね・・・」
先ほど感じていた空気とは一変、まるで泥の中にいるかのような重圧を彼らは感じていた。
「だろうな。おそらく、ここに・・・・!」
そこで、足音が奥の方から聞こえてきた。
「ついにラスボスのお出ましだぜ・・・」
ガタックの言う通り、これがゲームでいうところのラスボス戦。
だが、結末を知るものたちにとっては、
「戻ってきたか。幼い二羽の鳥、そして、仮面ライダーよ」
圧し掛かるかのような重圧。最強と言わしめる威光。その声と、発する存在感に、可奈美と姫和は手を震わせる。だが、
「この感じ・・・」
「折神紫・・・いや・・・!」
御刀を抜刀する。そしてすぐさま写シを張って臨戦態勢に。
カブトもカブトクナイガンを、ガタックはガタックダブルカリバーをそれぞれその手に持つ。
「ふん。巣立ちを迎えたか。それとも、未だ雛鳥のままか。その剣をもって証を立てるが良い」
今、最大の敵との戦いが始まる――――。
次回『戦・闘・激・化』