仮面ライダートジノカブト   作:幻在

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協力者&襲撃者

累の部屋にて。

机の上にあるパソコンを起動し、あるアプリを起動すると、まるでチャットのような画面が現れる。そこには、『ファインマン』なる人物からのメッセージが書いてあった。

「これは・・・」

「えっと・・・ようこそ、グラディのご友人達。我々は君達を歓迎する・・・・?」

可奈美が、現れた枠内の文章を読み上げる。

「グラディ・・・お前の事か?」

「そうなの」

天道が聞けば、自慢するように自分を指さしながらそう言う。

「好きに打ってみて」

累にそう言われ、姫和はすぐさま返信を打った。

『あなたは?』

『Ally』

すぐさま返信が返ってくる。

「えっと・・・」

「味方、という意味だ」

「味方・・・」

その返信に疑いをもっていると、すぐに次のレスポンスが来る。

『たった三人の謀反者達』

『手紙は持っているな』

その言葉に、姫和は息を呑む。

『立ち向かう覚悟は良いね?』

『YES/NO』

すかさず選択肢が提示される。先ほどの文面。もし、その言葉が信じるであるとするならば・・・

姫和は、一瞬ためらったあとに、YESと答える。

それから少しして、

『今日という日は完璧になった!』

『以下の場所へ』

そこで示された場所は――――

その時、天道、可奈美、姫和は殺気を感じ取った。

次の瞬間、窓が破られ、ガラス片をまき散らしながら、白い閃光が侵入してくる。

その閃光の放つ上段振り下ろしの一撃を、姫和は傍らに置いていた御刀を手に取って抜き放っては受け止める。

「可奈美!お前は千鳥を取りに行け!!」

「分かった!」

「いや、待て!!」

姫和の言葉に従い、すぐさま自身の御刀を取りに行こうとした可奈美を、天道はその腕を引いて止める。

次の瞬間、扉を蹴破って表れた重装甲の何物かが現れ、その手に持った剣を振り抜く。

「もう一人・・・!?」

その事に、姫和は驚きを隠せない。

しかも、その人物とは―――

「十条姫和、衛藤可奈美、恩田累、そしてカブトと思われる男を確認。これより、確保を開始する」

その手に持つ刀を両手で持ち、重装甲の戦士―――仮面ライダーサソードが立ちふさがる。

「紫色の仮面ライダー!?」

出口を塞がれた。これでは、可奈美は千鳥を取りに行けない。

だが、手がないわけではない。

天道が素早く手を掲げると、カブトゼクターが飛んできて、サソードを攻撃する。

「くっ」

サソードはそのカブトゼクターの攻撃を防ぎつつ後退。そしてカブトゼクターは天道の元へ向かい、その手に収まる。

「変身ッ!」

短い掛け声とともに、カブトゼクターを腰のベルトに装着。

 

『HENSHIN』

 

機械音声と共に、天道の体が重装甲に覆われる。

完全に纏われたところで、天道―――カブトはカブトクナイガンを抜き放ち、サソードに斬りかかる。

逆手に持ったクナイガンをアックスモードに変形させ、上段から振り下ろす。サソードがその一撃を受け止め、弾いた所で横薙ぎに一閃。その一撃を体をさげる事でかわし、振り切った所で踏み込んで横に蹴り飛ばす。そのまま壁に叩きつけられるサソード。

これで、道が開いた。

「可奈美、行け!」

「うん!」

「恩田!お前もだ!」

「分かった!」

可奈美たちが奥へ行ったのを確認して、カブトは改めてサソードと対峙する。

サソードは腰を持ち上げて立ち上がる。

「仮面ライダーカブト・・・・」

静かにそう呟くサソード。ふと、カブトはちらりと姫和ともう一人の襲撃者を見る。

見ると、襲ってきた鎌府の制服を纏った少女が凄まじい速度の体捌きと剣速で姫和と剣戟を繰り広げていた。

(なんだ・・・あの速さは・・・)

少女の顔は、無情そのものであり、一切の感情が感じられなかった。それだけじゃない。

目が、赤く、血の色に輝いていた。

(あの目の色は・・・!?)

ふと、サソードに異変を感じてサソードの方へ視線を戻す。

なにやら、体中にあるチューブが何か、液体を循環させているかのように動いている。

頭部のサソリの尻尾と思われるパーツからも何かが垂れ流れている。

その状態で、サソードが踏み込む。

「ッ!?」

先ほどとは打って変わった、鋭い力強い踏み込み。そして、打ち込んできた剣の一撃が先ほどより遥かに重くなっていた。

「なんだ、この重さは・・・!?」

斧を両手で支えているカブトの腹に、蹴りを叩き込んで下がらせるサソード。そこからすかさず斬りかかってくるも、カブトは、カブトクナイガンの斧の部分―――銃の柄と銃身―――からクナイを引き抜いて、そのクナイで一撃一撃を逸らしながら応戦する。

その間に、姫和は割られた窓からベランダに出て、空中にその身を投げる。刀使の身体能力をもってすれば、この程度の高さは怖れるに足らないが、まさかの空中戦を繰り広げるなど誰が予想できただろうか。

だが、それ以前に今はめさきの敵。

どういう訳か身体能力の上がった敵に、カブトは対応を追われていた。

だが、一旦慣れてしまうと対応は容易いもので、剣の一撃を受け止める事はせずに僅かな体の動きで回避し、その胴体に拳を数発叩き込む。

「ぐぅ・・・!?」

思わぬ反撃に後退させられるサソード。

「くう・・・まだだ!」

だが、そう叫ぶなりサソードは体のチューブ『ブラッドべセル』を操り、それでカブトの体を拘束する。腕を巻き込むようにして、チューブを・・・触手を巻きつけているのだ。

「お義兄ちゃん!?」

「問題ない。お前は姫和の所へ行け・・・ぬお!?」

引っ張られる。どうやら、こちらに引き寄せて頭の針で何か毒を注入しようという魂胆だろう。

「降参してくれ」

突然、相手の方からそのような提案をされる。

「なんだと?」

「俺たちの目的は貴方たちの確保だ。これ以上の逃亡は自分の首を絞めるだけだ。今ならまだ罪は軽い。大人しく捕まってくれ」

「悪いがそういう訳にはいかない」

「そうか・・・」

カブトの迷い無き答えに、サソードは残念そうに呟き、触手を引っ張る力を強める。

「お義兄ちゃん・・・!」

「だからお前は姫和の所へ行けと言っているだろう!」

カブトは可奈美にそう怒鳴りつつ、ベルトのカブトゼクターのゼクターホーンを持ち上げる。すると全身の装甲が分解待機状態に入る。

「キャストオフ」

 

『CAST OFF』

 

すぐさまゼクターホーンを反対側に倒し、全身の装甲を弾き飛ばす。

その飛び散った装甲は触手を弾き飛ばし、一部がサソードに向かって飛び散る。

ライダーのキャストオフの際に吹き飛ぶ装甲の一撃は、常人が喰らえばただでは済まない程の威力を有している。

「ッ!?キャストオフッ!!」

 

『CAST OFF』

 

当然、サソードもそれに対応する。

剣のサソードゼクターの尻尾『ゼクターニードル』を押し、自らもキャストオフを敢行する。

弾き飛んだ装甲が飛んできた装甲とぶつかり合い、相殺する。

 

『CHANGE BEETLE

 

中から赤い装甲が現れ、頭部の角『カブトホーン』が頭に固定され、身軽な形態へと変化する『ライダーフォーム』。

 

『CHANGE SCORPION

 

一方のサソードの装甲は紫一色であり、それから見てもサソリだという事がよくわかる。

身軽になったサソードがカブトに斬りかかる。

それに対してカブトはカブトクナイガンで応戦。剣と短剣ではリーチに差が出るものの、手数で言ったら短剣の方が一枚上手だ。ただし、威力では剣の方が上。

交わ差れる刃と刃。

互いに生半可な鍛え方はしていないのか、凄まじいまでの剣戟が繰り広げられる。

(すごい・・・!)

それは、可奈美の目から見ても同じだった。

二人の剣戟は、常人では視認する事すら難しい程凄まじく速い斬撃の交錯。

カブトは短いリーチを補う程の速度と対応力でサソードの重い一撃一撃を逸らしつつ、僅かな隙をついて反撃をおこなう事を繰り返し、たいしてサソードは両手持ちの剣の角度を変えつつその反撃に対応し、返す刀で重い一撃を返している。

まるで迅移を連続で使っているかのような光景。だが、だからこそ理解できる。

 

 

カブトが押している。

 

 

「ハアッ!」

「ぐっ!?」

カブトに蹴り飛ばされ、窓から外に飛び出すサソード。

そのまま一気に落下し、地上の駐車場に落下する。

「くぅ・・・」

落下した事で砕けた地面から起き上がるサソード。幸い、装甲のお陰で大きなダメージは負っていないが、衝撃はすさまじいものだ。

その一方で、カブトは追ってきたのか、サソードの目の前にすっと降り立つ。

そしてサソードを見据えるなり、ゆっくりと歩み寄ってくる。

サソードは地面に刃を突き立てて、立ち上がる。

(この人・・・強い・・・だけど・・・!)

剣を構え、そして迎え撃つように走り出すサソード。そのサソードを見て、カブトは立ち止まり、クナイを構える。

斜めの振り下ろしをクナイで受け止めつつ逸らし、続く返しの一撃を下がって回避。続く追撃を受け止め、頭上へ逸らし、反対側へいなす。そして振り下ろされる五撃目。それを下がって躱し、た所で、その剣がまるで跳ね返るかのようにカブトを追撃し、カブトはその一撃をクナイをもって防ぐ。だが、想像以上の威力だったのか受け止めきれず、クナイを持つ右腕が大きく弾かれる。

そして、サソードは振り上げた刃を、一気にカブトに叩きつけた。

「どうだ・・・!!」

完全に決まった。この一撃は、確実にカブトの左肩を打ち据えた。

カブトは片膝をつき、その一撃を受けた。

「俺の・・・勝ちだ・・・」

その、確信があった。だが、

「いいや、よく見ろ」

カブトは平然とそう答えた。まるで、なんともないかのように。

「な・・・!?」

それに驚き、そしてサソードは言われるがままに振り下ろした刃を見た。

サソードの剣は――――マスクドフォーム時の装甲を纏った左腕に受け止められており、そしてカブトの右手は―――その手に持たれたクナイは、サソードの頸筋に突きつけられていた。

「まさか・・・一部だけプットオンしたのか・・・?」

プットオン。簡単に言ってキャストオフの反対の事をする行為である。マスクドフォームのマスクドアーマーは未知の金属『ヒヒイロノカネ』で作られている。珠鋼が主流となっている現代ではあまり知られていない金属だが、球鋼にはやや劣るものの非常に硬く、雑魚の荒魂の攻撃には余裕で耐えうる程の防御力を有している。だから、サソードヤイバーに刃はその装甲を切り裂く事は出来ない。

「そういう事だ。剣を引け」

「く・・・」

カブトに言われるがままに、剣を引くサソード。

「そのままゼクターを抜いて変身を解除しろ」

「・・・・」

その指示に従って、ゼクターを外そうとした、その時。

背後で、斬撃の音が響いた。

見れば、そこには、写シを解かれた鎌府の少女と姫和が対峙しており、鎌府の少女の方は、写シを張らないまま、それでもなお姫和に斬りかかろうとしていた。

「ッ!?よせ沙耶香!もう戦わなくていい!!」

サソードは思わず叫ぶ。

だが、沙耶香と呼ばれた少女は、その声を無視して斬りかかろうとする。

「くっ!」

サソードは思わず、腰のスラップスイッチに手を伸ばしかけるが、その肩にカブトが手を置く。

「!?」

「心配するな。見ていろ」

カブトの行為が分からなかったサソードだったが、その理由は、すぐに分かった。

「だめぇぇえええ!!」

一人の少女の叫びがその場に響く。

見れば、千鳥を引き抜いて、その場に立つ可奈美の姿があった。

「どいて姫和ちゃん。私が相手をする」

千鳥を構え、そう姫和に言う可奈美。

「お前に、こいつを斬る覚悟があるのか!?」

姫和がそう叫ぶ。もとより、姫和はその覚悟でここにきている。であるならば、可奈美にも、同じ覚悟が課せられる筈だ。だが、

「斬らないッ!!」

可奈美は、そう言った。次の瞬間、沙耶香が可奈美に斬りかかる。

「・・・」

その様子を、サソードはただ茫然と見ているだけだった。

「可奈美は、生半可な覚悟で姫和について行っている訳じゃない」

そんなサソードに、カブトが語り掛ける。

「可奈美には、可奈美なりの覚悟があってここにいるんだ。その覚悟がある限り、アイツは、自分の言った言葉を曲げる事はしない」

交わ差れる剣戟。交錯する刃。だが、その最中で、沙耶香の一撃を躱した可奈美は叫ぶ。

「そんな何も籠ってない剣じゃ、何も切れないッ!!」

己が流派の特性を生かした、奪刀(ばいとう)。相手から御刀を奪う事で、事実上の武装解除状態を作り上げたのだ。

「御刀を・・・!?」

「奪った・・・!?」

その行為に、姫和とサソードは驚くほかなかった。

一方自身の御刀である妙法村正を取り上げられたことで戦う手段を失った沙耶香は、ただ投げ捨てられた自身の御刀を茫然と見ていた。

だが、ふと可奈美の顔を見上げてみれば、彼女の顔は笑顔そのものだった。

「覚えてる?一回戦で戦った、衛藤可奈美」

可奈美は、沙耶香にそう微笑みながら言う。

「あの試合、すっごく楽しかった。沙耶香ちゃんの技、私、ずっとどきときしっぱなしだったんだ。だからね、もう一度、試合してくれる?」

立ち上がった沙耶香に、可奈美はそう言って手を差し伸べる。その手の意味が分からず、ただ目を瞬かせている沙耶香だったが、可奈美が、茫然としている沙耶香の手を取って、そして、満面の笑顔で言う。

「約束!」

「・・・・!」

その笑顔の意味が、未だ分からない沙耶香だったが、ただ、なんとなく、不思議な感覚に陥っていた。

その様子に、サソードは茫然としていた。

「あれが、衛藤可奈美だ」

ふと、背後のカブトがそう言って、刃をサソードの頸筋に押し当てる。

その行為の意味を理解したサソードは、サソードゼクターをサソードヤイバーから外す。

すると、装甲が崩れるように剥がれていき、中から、一人の青年が現れる。

それを確認すると、カブトは刃を引く。

「行ってくるが良い」

「いいのか?」

「奴はお前の守るべきものなのだろう。だが、だからといって大事にし過ぎるのもよくない。そうすると、脆く壊れやすくなりやすいからな」

「・・・・ありがとう」

サソード―――剣はカブトにそう礼を言うと、すぐに沙耶香の元へ向かった。

「沙耶香!」

「剣・・・」

「この・・・馬鹿野郎!」

沙耶香の両肩に手を置いて、そう怒鳴る神木。

「なんで写シが張れなくなった時点で戦いをやめなかった!!」

「だって・・・二人を確保しなくちゃいけないから・・・」

「だからって自分が死んでもいいっていうのか!?今回は相手が傷つけてくれないで済んだけど、もし、斬られてたらどうするんだ!?」

「それは・・・」

「頼むから自分の体を大事にしてくれ・・・自分の痛みが分からない人は、いつかきっと他人の痛みを分からない人間になっちゃうんだから・・・」

「・・・・分かった。ごめんなさい、剣」

思わぬ説教に、納得させられて、泣きそうになる沙耶香。そんな沙耶香を抱き締めて、そっとその頭を撫でた。

「だったら、もうしないでくれ。いいね?」

「うん・・・うん・・・」

静かに、泣きながら神木の服の裾を握りしめる沙耶香を、しっかりと抱き留める。

その様子を、可奈美は微笑まし気に見ていて、姫和は彼らの様子に茫然とし、カブトは変身を解除して、カブトゼクターを飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後―――

「ごめんねー、こんな所で」

「いえ、むしろ解放していただけるだけでもありがたいです」

累の住むマンションに長居は出来なくなったために移動をしていた最中、可奈美の提案で神木と沙耶香を連れていく事にした訳だが、あちらこちらに連れまわす訳にもいかず、ある程度移動した所で解放する事にしたのだ。

累の車から降りた神木と沙耶香に対して、自身のバイクから降りた天道が妙法村正とサソードヤイバーを渡す。

「お前たちのだ」

「いいの?」

「斬りかかるのならそれでいいが、勝てるとは思うな」

相変わらずの見下しスタイルに神木は苦笑を浮かべ、沙耶香はきょとんとするだけだった。

だが、どうせ抵抗する気もない上に、自分たちにはもしもの為に必要なものだ。

ありがたく受け取っておくことで、二人はそれらを受け取った。

「気を付けてね」

「またね、沙耶香ちゃん、剣さん」

車のパワーウィンドウを開けて、可奈美が二人にそう言う。

そのまま、車は走り出し、ファインマンなる人物が示した場所へ―――石廊崎へ彼らは向かった。

 

 

 

 

 

途中、検問があり、可奈美と姫和は天道のバイクに乗り換えて、どうにか検問を乗り越え、目的地へ向かっている頃――――

 

 

 

鎌倉の海岸にて。

「日差しは最っ高、絶好のバケーション日和・・・だが――――」

次の瞬間、薫の口からくしゃみが炸裂する。

「へっくしょい!・・・流石に早すぎたか・・・」

まだ明け方な上に季節的にまだ早かった。

「大丈夫か薫?」

「お、ああ、すまん、助かった修」

薄着だった薫に毛布をやる山矢。

遠くではエレンとねね、そして風間がビーチバレーをして遊んでいた。

「遊ばねーのかー?」

「馬鹿言うな。元気溌剌なハーフ女に馬鹿みたいに動体視力の良い男、それに小さないたずらっ子がいるなかで同じ遊びをしてみろ。一瞬でくたばるわ」

「まあお前体力がないからな」

「馬鹿のお前に言われたくない」

「んだとゴラ?せめて筋肉をつけろ筋肉を」

「筋肉ついても馬鹿は馬鹿だろうが」

互いに睨み合う薫と山矢。と、そこへ。

「おい!避けろ!」

「は?ぐおっは!?」

「な!?」

風間の声が聞こえたかと思ったら山矢の背中に突然の衝撃が襲い掛かり、一気にビーチベンチに座る薫に倒れる。

「うおあ!?」

「にゃっははは!ゴメンナサーイ!」

どうやらエレンが打ったボールが山矢に直撃したようだ。

「テッメェ・・・気を付けろエレン!!」

思わず怒鳴る山矢。

「すまない山矢・・・・まあ、そんな事よりも下を見てみろ」

「はあ?下って一体・・・」

風間に言われて下を見る山矢。するとそこには、顔を真っ赤にしている薫の姿があった。

「・・・・は?」

「お、お前な・・・お、俺にだって心の準備ってものが・・・」

「へ・・・うおぉぉおお!?」

そう、いわゆる山矢は薫を押し倒しているような状態であり、一人称や口調が男盛りな薫でも中身は乙女。()()()()()からこんな事されればときめかない訳がない。

が、山矢はそれに気付いていない訳で。

「す、すまん薫!」

謝り倒すだけである。

「そ、そう思うなら初めからすんな!」

そして顔を真っ赤にしてそう叫ぶ。これがいつもの一連の流れである。

その状況を楽しむかのように見ているねねとエレン、そして変わらないやり取りをし続けている二人に呆れている風間。

そんな中でエレンの携帯に、何やら連絡が入る。

「ハイ!」

通話をオンにして耳を押し当てる。

「え?任務デスカ?急デスネ」

「任務か?」

風間が聞けば頷くエレン。

「マジかよ・・・」

「知らん、休暇中だと言え」

どうにか落ち着いた薫が手をひらひらと振ってそう言う。

「知らん、休暇中だ、だそうデス」

薫の言葉をそのまま言って、エレンは薫の耳に自身のスマホを近づける。

次の瞬間、

『ゴゥラァ!!テメェカオル!!ふざけんなッ!!!』

離れているはずの風間や山矢にまで爆音として聞こえてくるほどの怒声が響き渡る。

「つぅ・・」

「相変わらずだな・・・」

その怒声に苦笑する山矢と頭を抱える風間。

一方の薫は、その怒声に対して、どうにも落ち着いた様子で答える。

「だが、任務といっても『祢々切丸(ねねきりまる)』が無い。昨日宅配便で送ったからな」

これだ。この用意周到さ。慣れている薫はあらかじめ自身の御刀を送っておくことで任務を回避しようとしているのだ。

だがしかし、

『送り返した』

「は?」

そんな間抜けな返事を返した途端、

「ん?・・・・うぉぉおおおぉお!?」

「どうした山矢・・・なにぃぃぃいいい!?」

 

突如として空から何かが降ってきて、風間と山矢を吹き飛ばした。

 

「「ぎゃぁぁぁぁぁあぁあああ!?」」

「ああ!ユウスケー!」

「おーい修ー!?」

突然の事態に驚く二人。

その落ちてきたものとは、何かのロケットのようなもので、そのロケットには、見るも巨大な刀が括り付けられていた。

言わずもがな、薫の御刀『祢々切丸』である。

「ワーオ・・・」

「税金の無駄遣い」

だからこそ、祢々切丸は返ってきたのだ。

 

 

 

 




次回『十条姫和が折神紫に刃を向けるのはなぜか』

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