ちなみに映像は全くの脳内オリジナルです。
要約すると、
――――って感じです。単なる妄想なんて気にしないでください。
潜水艦の中にて、ねねが包帯を使って思いっきり遊んでいた。
「包帯が足りないのに遊ぶな貴様!」
「いたいいたいいたい!?姫和ちゃん痛い!?」
「おい!今すぐこの荒魂を外に放り出せ!」
「だからねねはオレのペットだって言ってるだろ?エターナル胸ペッタン女」
「な!?エターナル・・・!?」
「あ、あああああ!?姫和ちゃん姫和ちゃん!きついよきついよ!足が、足が!足がぁぁあ!!!」
悲鳴を上げる可奈美に気付かないまま姫和は包帯を締め上げる。
そんな事知らんとでもいうように遊び惚けるねねを、エレンが抱き上げる。
「ねねを責めないでくだサイヒヨヨン。包帯が足りないのは、ワタシが使い過ぎてしまった所為なのデスから」
まあそうだろう。なぜならエレンはこの中で断トツで胸がでかいのだから。
が、実際には、
「包帯を使い過ぎているのはコイツの方だろう」
「OH、そうデシタ!」
ベッドで仰向けになって全身に包帯を巻いている山矢に視線が集まる。
「マスクドライダーは強固な鎧と刀使の迅移を超える速さで動ける代わりに、写シを張れない弱点を持っている。その上、ダメージはあらかたカットされるが、完全に防ぎきれる訳ではない」
「その結果がこれなんだよなぁ・・・ああ、強力な分、刀使よりも命の危険が高いってのも考え物だな」
そうぼやく山矢の言葉を聞き流しつつ、可奈美は、十分な包帯をさっさと巻いて出て行ってしまった天道の事を思い出していた。
(司お義兄ちゃん・・・・)
あの、夜見の一件から数時間。その場にいる者たちは、天道の所業を聞き出せないでいた。
その天道は、自らのカブトゼクターの様子を見ていた。
相変わらずプラズマが迸るような音は聞こえてくる上に、ラインが明滅しているのが分かる。
だが、それが突如としてなりを潜め、すぐさま羽を広げてカブトゼクターは飛び回り始める。
「よし・・・」
「調子は戻ったようだね。そのゼクターは」
ふと、声をかけられ、そちらに顔を向ければ、一人の老人がこちらに向かって歩いてきていた。
「お会いできてうれしいよ、たった三人だけの反乱者。まさに、今日という日は完璧になった」
「お前がファインマンか。随分とちんけな名前をつけたものだ」
「ふっふっふ、ファインマンとは世を忍ぶ仮の姿。しかしてその実態は・・・」
「リチャード・フリードマン。S装備の産みの親にして、エレンの祖父、そうだろう?」
そう天道が指摘するこの人物こそが、S装備を開発し、刀使の戦いを根底から支えた人物。アメリカの科学者。
「おや、僕を知っていたのかい」
「あんたは有名だからな。しばらく行方をくらましていたようだが、なるほど、舞草がアンタの隠れ蓑という訳か」
「ご名答。中々の観察眼だね」
それを言った所で、ファインマンこと、フリードマンは天道をすっと見つめた。
「雄介君から報告は聞いているよ。そのゼクター、ノロを吸収できるようだね」
「ああ。どういう訳か、俺のカブトゼクターにはそのような機能が搭載されていた」
「なるほど。それは信じる事にしよう。ならば君に問おう。君は、その
そのフリードマンの問いかけに、天道は、
「・・・・お前たちが目標としている存在、その内に潜む化け物を討つ為」
「なに・・・?」
その言葉に、フリードマンの眉がぴくりと動く。
「全ては話せない。だが、少なくとも折神紫の打倒には手を貸そう」
その視線は、なおも真っ直ぐに、フリードマンを見据えていた。
「・・・・いいだろう」
その眼差しに、フリードマンは微笑みを返す。
「どうやら味方ではあるようだしね。今はその事には目をつむろう」
そう言ったフリードマンは背中を向ける。
「どうだろう。ここにあるS装備でも見ていかないかね?」
「・・・まあ、暇だからな」
フリードマンの後を追い、天道は歩き出す。
鎌府女学院――――
その校庭のベンチで、神木は一人、座って夜空を見上げていた。
今、沙耶香は雪那に連れられてどこかに行っており、その所在を知らない為に、ここでこうして一人立ち往生している訳なのだが、
(人体にノロを投与するなんて・・・)
そのやっている事、事態は知っていた。しかし、それを止めようなんて思えなかった。
今、雪那に反逆すれば、神木は、居場所を失う。
神木の家は、外国の貴族の末裔であり、代々その名を受け継いできていた。
神木は、その家の末の息子として生まれた。だが、神木の器量はあまり良くなく、剣の才はあれど他の兄弟姉妹より他の才能は劣っていた。さらに末として生まれた為か、あまり相手にもさせてもらえなかった。
だから、兄弟たちからは陰湿ないじめを受け、しかしそれを親は気にせず、何かで賞をとっても褒めてはもらえず、その事を兄弟に妬まれ、やられ、そして、一度やった反逆行為によって、神木の家での居場所は一気になくなった。
よくは覚えていない。何か、大事なものを壊されて、それで切れた事によって上の兄弟たちをめった打ちにしたという事は覚えていた。だが、それが親の逆鱗に触れたのか、暗い地下室に閉じ込められてしまった事がある。どうにか出してはもらえたが、それ以来、親は彼を見限り、そして神木は完全に孤立してしまった。
その為に、神木と実家の関係は事実上絶縁状態であり、そんな中で雪那に拾ってもらった。
実際は、サソードゼクターに認められたことによって雪那に使われているだけだったが、家を出奔して、そして実家からの陰湿な根回しによって仕事を見つけられなかった神木にとっては、これほどありがたい事はなかった。
だから、神木は、雪那に逆らう事が出来ない。
その事に溜息をついた、その時、
「剣!」
「!?」
いきなりの怒声に立ち上がる神木。そちらに視線を向けてみれば、そこには鬼の形相でこちらに走ってくる雪那の姿があった。
「がくちょ・・・・!?」
「沙耶香がどこに行ったか知らないか!?」
「沙耶香・・・?沙耶香がどうかしたんですか?」
「どうしたもこうしたもない!沙耶香がいきなりどこかに逃げたのよ!」
「な!?」
逃げた。沙耶香が?あの、彼女の命令にはなんでも従っていた彼女が、彼女から逃げたのか?
「分かりました。すぐに探してきます!」
「急げ!今すぐ連れて帰るのよ!」
「・・・・分かりました」
何やら焦っている様子の雪那に、神木は一瞬、哀れみを込めた眼差しで見たが、すぐに切り替えて走り出す。
(何をやっているんだ、沙耶香・・・)
その一方で、
「やっぱり、美濃関の空とは違う・・・・可奈美ちゃん・・・今頃どうしてるんだろう・・・」
一人、旅館で夜空を見上げている舞衣。赤城とは数時間前に別れたきりなので、彼から状況を聞く事は出来ない。一応、連絡先は交換しているので、聞けない事はないが、もしかしたら忙しいのかもしれない。だからあまりこちらから連絡する事は気が引けた。
そう思って、躊躇っていると、携帯が鳴った。
「こんな時間に・・・?赤城さんかな・・・・」
携帯を手に持って、その画面を見た。そこに書かれていたのは・・・
「え!?」
それを見た途端、すぐさま通話ボタンを押して、耳に押し当てる。
「もしもし、どうしたの?沙耶香ちゃん」
相手は、沙耶香だった。実はここに来る前に、連絡先を交換していたのだ。
「・・・ぁ・・・」
しかし返ってきたのはぎこちない小さな声。
「ありがとう電話。早速かけてくれて、嬉しいな」
だが、舞衣は優しく返す。
「夜更かしさん同士、お話、しよっか」
窓を閉めて、部屋の中で返事を待つ。その中最中で、何やらコンビニの扉が開くときになるメロディが流れてきたが、気にしない。
「大丈夫、聞いてるから」
『・・・・・・あの』
「うん」
『・・・・・・やっぱり、なんでもない』
「え?沙耶香ちゃん・・・!?」
すぐに、通話が切れる。
「・・・・」
その様子に、しょんぼりと肩を落とす舞衣であったが、すぐさままた別の人物から電話がかかる。
「わ!?え、ええっと、も、もしもし」
『柳瀬か!良かった起きてたのか!』
相手は赤城だ。
「は、はい。どうかしたんですか?」
『さっき神木の奴が全力で走ってくのが見えた。ほら!糸見と一緒にいた奴!』
それなら覚えている。あの部屋で、沙耶香と一緒にいた、あの青年・・・・
「沙耶香ちゃん・・・!」
赤城のその言葉で、舞衣は、今起きている事態を把握した。
その一方で――――
コンビニのすぐ横の路地裏にて、沙耶香は両膝を抱えて、携帯の液晶画面を眺めていた。そこには、携帯に登録している電話番号とその宛名が記されている。
それを眺めながら、沙耶香は呟く。
「どうして・・・私・・・」
それは数十分前。
雪那に連れていかれた実験室にて、沙耶香は、雪那にあるノロのアンプルを投与されそうになった。
だが、寸前で沙耶香は首に打たれるはずだったそのアンプルを手で跳ねのけたのだ。
理由は、分からない。だがこれだけは言える。
あの時、何か大事なものを失いそうになった。消えて、なくなりそうだった。
それが、怖かった。
「ずっと、言う事を聞いてきたけど・・・」
あれだけは、受け入れられなかった。
ただ、それだけで、沙耶香は逃げだしてきたのだ。
しかし、
くぅ
体は正直で、何も食べていない事がここにきて痛かった。
「おなか・・・すいた・・・」
正直な事を呟いた。その時だった。
「あ!」
「ッ!?」
誰かの声がして、追手が来たのだと思った沙耶香はすぐさまその声とは反対方向に逃げようとした。
だが、次に聞こえたのは、もう聞き覚えのある声であり、
「待って!沙耶香ちゃん!」
「・・・あ」
「見つけた」
汗を流してこちらに手を振る舞衣の姿があった。
「遅くなってごめんね。このあたりのコンビニ、全部回ってたから」
「なん、で・・・私、何も・・・」
と、その時、沙耶香のお腹から音が鳴る。
その音を恥ずかしがるように、そして空腹感を抑えるようにお腹を押さえる沙耶香。
「お腹減ってるの?じゃあそこのコンビニで・・・ってああ、夜中に中学生が買い食いなんてだめだし・・・あ、そうだ!」
舞衣が、懐に手を入れる。
「良かった、まだあった」
そうして取り出したのは、クッキーの入ったビニールの包み。
「クッキー・・・」
それを受け取った沙耶香はそれを夢中になって頬張る。
「上の妹の話、したよね?」
「うん」
「その子ね、基本的にはすごく我儘なの。もう私を困らせるのが趣味なんじゃないかなっていうくらい」
まるで懐かしそうに語る舞衣。
「そのくせに、本当に困ってるときなんて、助けて、なんて絶対に言わないの。おかしいね、バレバレなのに」
そう言ってくる舞衣に、沙耶香は口についたクッキーのかけらをなめとりつつ、ふとした疑問を聞いた。
「なんで、分かるの?」
その問いに、舞衣は自信たっぷりに告げる。
「分かるよ。だって、お姉ちゃんなんだもん」
そう言って、舞衣は沙耶香を抱き締める。その温かさに、沙耶香は、数日前の事を思い出す。
これは、可奈美の笑顔と、握られた手と同じ――――
その様子は、路地の影から、神木も聞いていた。
「・・・沙耶香」
そして、自分の不甲斐なさを呪う。
そして、各々がそれぞれの感傷に浸っていた時、どこからともなく声がかけられる。
それは、あまりにも嬉しそうな声だった。
「沙耶香ちゃんみーっけ」
「「「ッ!?」」」
その人物とは、見た目通りの子供だった。
(アイツは親衛隊のッ・・・!?)
「それじゃあ帰ろっか。高津のおばちゃんが待ってるよ」
燕結芽。親衛隊において、もっとも強いとされる、少女。
「柳瀬、大人しく糸見を引き渡してもらおう。であれば、怪我はしないで済む」
そしてもう一人。スーツに身を包んだ、一人の男だ。
(瞬さんまで・・・!?)
そう、親衛隊直属のライダー影車瞬だ。
「ッ・・・」
とんでもない面子に舞衣は沙耶香を連れて下がる。
「あれ?もしかして帰りたくない?それは困っちゃうなぁ・・・ね?どうすれば良いと思う?おねーさん」
とても楽しそうな口調で、結芽は舞衣に聞く。
(どうする。俺は、どうすれば・・・)
神木は迷う。ここで助けるべきか。それとも、ここで大人しく隠れているか。
舞衣は、その返答を躊躇う。だが、不意に、舞衣の制服の裾を掴んでいた沙耶香の手が離れる。
「沙耶香ちゃん・・・?」
「私が返れば、それで済むから・・・」
そう言って、舞衣の元から離れようとする沙耶香。そんな沙耶香に、舞衣は引き留める。
「いいの?事情とは分からないけど、本当にいいの?」
沙耶香は、答えない。
「・・・沙耶香?」
その沙耶香に、神木は思わずつぶやく。
「聞かせて、沙耶香ちゃんの気持ちを・・・」
舞衣が、聞く。沙耶香の本心を。その、本当の心の叫びを。その、想いを。
沙耶香は、その問いかけに、歯を食いしばって――――
「・・・いや」
小さな声で、そう呟いた。精一杯の勇気を振り絞って、沙耶香は、自分の心を―――
「いや・・だ・・・」
初めて、口にした。
「―――――」
「うん、分かった」
その想いに、舞衣は答える。
「じゃあさ」
その時、結芽から声があがる。
「追いかけっこしようか」
「平和的に行きたかったが、仕方がない」
どこからともなく、バッタのような機械が飛び跳ねて瞬の手に収まる。
そして、ベルトの蓋をまるで台座のように開いて、それに、バッタ型の機械―――『ホッパーゼクター』の褐色の背面を前にしてセットした。
『HENSHIN』
すぐさま瞬の姿が変わり、その姿を銀と褐色を基調とした、バッタを模した姿へと変身する。
『CHANGE PUNCHHOPPER』
仮面ライダーパンチホッパー。それが瞬の変身するライダーとしての姿だ。
「ねえねえ瞬おにーさん。変身するのはいいけどさ、ちょっと遊ばない?」
「遊ぶってお前な。そんなに時間はないんだぞ?」
「えーいいじゃん別に。それとも、私に負けたって事を皆にばらしちゃおっかな~?」
「・・・・・分かった」
何やら頭が上がらない様子だが、そんな事はどうでも良い。
(どうにかして逃げないと・・・)
「十秒だけ待ってあげるよ」
結芽の言葉に舞衣は思った。
思考する―――必要はない。相手はとにかく猶予をくれるんだ。その間に出来うる限り遠くへ逃げないと―――
「待て!」
そこで、新たな人物が乱入してきた。
「貴方は・・・」
「剣・・・!」
「ッ・・・俺が相手だ!」
神木は、そう言ってサソードヤイバーを逆手に突き出す。
「へえ?おにーさんが遊んでくれるの?」
結芽は嬉しそうに顔を歪める。
その狂気さに思わずビビってしまうが、それでも引かずに神木は叫ぶ。
「柳瀬さん!沙耶香を連れて逃げてくれ!」
「でも、剣・・・!」
「頼む!俺が時間を稼ぐから!出来るだけ、遠くに・・・!!」
切羽詰まった声で、剣はその手にもったサソードゼクターをサソードヤイバーにセットする。
「変身!」
『HENSHIN』
「キャストオフ!」
『CAST OFF』
『CHANGE SCORPION』
神木がサソードへと変身し、さらに速攻でキャストオフして結芽たちに斬りかかる。
「アハ」
それに対して結芽は御刀を抜刀。サソードの攻撃を真正面から受ける。
その太刀筋はすさまじく、激しい連撃に、ライダーである筈のサソードは押される。
「ハアッ!」
「ぐあ!?」
さらに、パンチホッパーからの攻撃もあるために不利なのは変わりない。
「剣!」
劣勢のサソードに、思わず沙耶香が叫ぶ。
「ッ・・・行ってくれ!早く!」
「でも・・・剣・・・!」
結芽が迅移を使ってサソードを切り刻む。その斬撃に、サソードは膝をつく。
サソードヤイバーを杖にして、どうにか倒れるのを防ぎながら、サソードは叫ぶ。
「いいから、行けぇ!!」
渾身の叫びが、その場に響く。
「剣・・・!」
「行こう、沙耶香ちゃん」
「でも・・・」
「行かないと、剣さんの頑張りが無駄になっちゃう!」
「・・・・」
舞衣に叱咤されて、沙耶香は舞衣に手を引かれて逃げる。
後ろ髪をひかれる想いで、剣戟の音を背に沙耶香たちは逃げる。
(そう、それでいいんだ・・・)
「まさか、逃がしたつもりか?」
パンチホッパーが、そう言う。
「悪いが逃げ切る事なんで不可能だ。お前はここで終わる」
「そん、なの・・・やってみないと分からないだろ!」
サソードが、サソードヤイバーを振り上げてパンチホッパーに斬りかかる。
その様子を横目にみつつ、結芽は舞衣たちが逃げた方向をにやりと笑いながら見ていた。
(そうでなくっちゃ。じゃないと私の凄い所、見せられないもん)
結芽の顔には、余裕と狂喜が入り混じっていた。
サソードのお陰でどうにか遠くの神社まで逃げてきた舞衣と沙耶香。
しかしまだ油断は出来ない。だから走る。神社の石畳の通路を、とにかく走って逃げる。
そんな中、舞衣が後ろを振り返った。そこには御刀を抜刀してやってくる結芽の姿が――――
斬撃が迸る。
土煙が舞い、その中で写シを張って襲撃者を警戒する舞衣と沙耶香。そしてそんな彼女たちの前には、結芽が一人、立ちはだかっていた。
「もうおしまい?まだまだ、これからだよね!?」
結芽が斬りかかる。
沙耶香が迎え撃つ。
凄まじい剣戟が繰り広げられる。沙耶香は無表情に、結芽は楽しそうに互いの斬撃を躱し、受け、反撃していく。
そのすさまじさは、まさしく閃光のようで、舞衣はそんな二人の戦いを茫然と見ている事しか出来ない。
「ぐあぁあ!?」
「ッ!?」
その背後で、ひときわ大きな炸裂音が響いたかと思うと、悲鳴と共に、紫色の影が転がってくる。
「剣さん!?」
「ぐ・・ぁ・・・」
地面に倒れ伏すサソード。そのサソードに、パンチホッパーが近寄っていく。
その一方で、沙耶香は結芽を対峙する。
「やるねえ。でも、そんなもんじゃないでしょ?」
その結芽の問いかけに、沙耶香は、全ての雑念を一気に斬り捨て、無我の境地を作り出す。
「知ってるよ?なんかすごい技使えるんだよね?『無念無想』だっけ?」
全ての感情、衝動、想いなんかを全て削り取り、無駄のない、ブレる事の無い機械のような心境を作り出す、沙耶香の持つ技。
だが、結芽にその名を言い当てられた時、ふと、脳裏に先日戦った可奈美との戦いのときの事がフラッシュバックする。
『そんな何もこもってない剣じゃ、何も斬れない!』
その事がよぎった瞬間、沙耶香は、無念無想を解除する。
「あれ?やらないの?」
その行為に、結芽は残念そうに言う。
「んー、ちょっと物足りないけど、時間がもったいないから、決めるね!」
あまりにも速い斬撃。それは上段振り下ろしであり、沙耶香の頭上を狙う一撃。それを、舞衣が受け止める。
そして結芽を押し込んで斬り返し、結芽を下がらせる。
「おっと!」
それを躱した結芽。だが、間髪入れずに、舞衣の居合が叩きつけられる。
「うわっと!おねーさんもちょっとはやるね!」
舞衣が刀を構える。その様子に、結芽は顔を歪めて嘲笑のような笑みを浮かべる。
「ちょっとだけね」
「――――ッ!?」
次の瞬間には結芽の刃は舞衣の心臓に突き刺さっていた。
「まだまだいくよ!」
さらに蹴りが叩きつけられ、後ろの沙耶香が倒れる。
「きゃ・・・!?」
「く・・・ぅう・・・!」
結芽の繰り出す斬撃の嵐を、舞衣が必死に防ぐ。
「ぐぅあ!?」
「ッ!?」
さらに、悲鳴が聞こえる。そちらに視線を向ければ、パンチホッパーのラッシュを、サソードヤイバーを使って受け続けるサソードの姿があった。その装甲のそこかしこにへこみが見える。もう何度、パンチホッパーの攻撃を受けたのか分からない程に、傷があった。
「剣・・・!」
「ぐ・・・ぅう・・・!」
サソードと舞衣の二人が、全力で敵の攻撃を耐えていた。
「おー、結構しぶといねぇ!」
「いい加減倒れろ旧式が!」
剣戟が激しくなる。
叩きつけられる拳、振るわれる斬撃。その度に、二人は傷ついていく。
「だ・・め・・・やめ・・・て・・・!」
「大丈夫・・・だから・・・ね・・・!」
舞衣が、一歩、一歩下がる。
「どうして・・・」
沙耶香には、理解できない。どうして、そこまでしてくれるのか。その理由が分からない。
だが、二人は言う。
「俺にとって、お前は、初めてできた、守りたいものだからだ!」
「私は沙耶香ちゃんよりお姉ちゃんだから!理由なんて、それで十分!」
その言葉に、沙耶香は、胸を掴む。
(いたい・・・いたいよ・・・・でも、あたたかくて、あつくて、からっぽだった私をいっぱいにしていく・・・私は・・・これを・・・!)
舞衣の腕が斬り飛ばされる。
サソードが殴り飛ばされる。
「ぐぅあ!?」
お稲荷の壁壇に叩きつけられるサソード。
「もうおしまい?」
一方の舞衣は、消耗した体で結芽と対峙しているが、御刀を持ちあげる事が出来ない。
「だったらお休みの時間だよね―――っ!?」
そんな、写シも張れない舞衣に、止めの一撃を叩きつけようとした、その時――――
「うわぁぁぁあぁあああ!!」
絶叫をあげて、沙耶香が結芽の一撃を受け止め鍔迫り合いに持ち込む。
「これを、失くしたくない!!」
普段の沙耶香からは信じられないような叫びが、沙耶香の心の叫びが、剣に乗って結芽に叩きつけられる。
その激しい連撃は結芽をどんどん下がらせていく。
その最中で、結芽は迅移で沙耶香の背後をとって刺突を繰り出す。しかし同じような事を返されて背後を取られて、渾身の一撃を叩きつけられて吹き飛ばされる。
「うわ!?」
どうにか防いだものの、想像以上の重さに、結芽は吹き飛ばされ、石像に叩きつけられる。
「沙耶香ちゃん」
「うん、大丈夫・・・」
息をあげているものの、沙耶香はまだ戦える様子だ。だが、結芽はその状況に対して高笑いをあげる。
「アハハハハ!いいよいいよ!沙耶香ちゃん!」
迅移によって飛び込まれる。今度は結芽の連撃が沙耶香を襲う。先ほどとは比べ物にならない程の速さの連撃が沙耶香を襲い、上空へ吹き飛ばされてしまう。そして上空に吹き飛ばされた先で結芽の振り下ろしが炸裂、叩き落される。
「うあ!?」
「ちょっと本気出しただけなのに、思ったほどじゃないな」
そう、落胆した声で沙耶香の首に御刀を突きつける結芽。
「沙耶香ちゃん!」
「沙耶香・・・!」
その事実に思わず声をあげる舞衣と沙耶香。
「もういいや。それじゃあ、おやすみ」
そうして、結芽が沙耶香に刃を突き立てる――――その寸前、
「待てゴラァ!!」
「ッ!?」
鋭い蹴りが結芽を襲う。その一撃をどうにか躱した結芽は、その人物に御刀を向ける。
「へえ、おにーさんも来たんだ」
その人物は・・・・
「赤城さん!?」
赤城新だった。
「ハア・・・ハア・・・やぁっと見つけたァ!」
何やら疲れている様子で、肩で息をしながらそう叫ぶ赤城。しかもその服は何故かボロボロだ。
「柳瀬と手分けしてコンビニ回ってたらなんかすげえ音して、そっちに向かおうと思ったらやれ猫の尻尾踏むわ犬蹴飛ばすわ、それでどっちの群れにも襲われたら今度はカラスに襲われるは、もう散々だ!」
「いや運なさすぎでしょう!?」
舞衣のツッコミが炸裂するも、しかし赤城は気を取り直す。
「でもま、間に合ったみたいだな」
その現状を見て、赤城はほっと安堵の息をついた。
「お前は誰だ?」
そんな中、パンチホッパーが赤城に問いかける。
「俺か?俺の名前は赤城新。ちょっとした事情で糸見と柳瀬とそこの仮面ライダーに協力するもんだ」
「なるほど。妙に逃亡者たちの動きが機敏だと思ったら、お前が情報を流してたからか」
「ご名答だ」
「ふーん・・・それで、今度はおにーさんが遊んでくれるの?」
結芽が、狂気的な笑みを浮かべて御刀を浮かべる。
「そんなに遊びてーのか?なら仕方がない」
赤城が、空に向かって手を伸ばす。
「遊んでやるよ」
そして、どこからともなく青いクワガタのようなものが飛んできて、それが赤城の手の中に納まる。
「あれは・・・・まさか、ガタックゼクターか!?」
その正体に、パンチホッパーが驚く。
ガタックゼクター。七年前、カブトゼクターと一緒にどこかへ飛んで逃げた、もう一つのゼクターだ。
だが、驚いている間にも、赤城は構えを取る。
「変身!」
『HENSHIN』
そして、腰のベルトにクワガタ型のゼクター『ガタックゼクター』を装着する。そして、赤城の姿が青い重装甲に纏われる。それはカブトのマスクドフォームと酷似しており、しかし明確な違いはその肩の砲門。
その姿に変わった赤城は、こう名乗りをあげだ。
「俺はガタック。仮面ライダーガタックだ!」
今ここに、青い仮面ライダー『ガタック』が推参した。
次回『DARK BEETLE』
ガタック、ついに登場!
てなわけで簡単なキャラ紹介
天道司
ナルシスト。自らを『天の道を行き、総てを司る男』と自称する。
主にカウンターを多用するも、暗殺者の如く鋭い一撃を繰り出す。
大抵の事は人並み以上にこなす。特に料理は高級レストラン顔負け。
赤城新
熱血。天道の相棒として折神家の秘密を探っていた。
主に近接における激しいインファイトを多用。自らのライダーとしての能力を熟知しているため、それに見合った戦い方をする。ただし攻撃性が高い。
普段は冷静で頭もそれなりにキレるのだが、ふとした事で熱血らしく暴走する。
神木剣
元名家の出奔者。雪那に拾われた過去がある為、雪那の事を優先する節が多い。
主にサソードヤイバーによる斬撃が得意。一応、ある剣術を習得しているが、我流も良い所(メタい話、作者が剣術についてど素人だから)
長期戦型。速攻勝負は本来得意ではない。だが『慣れ』た相手ならある程度対応、あるいは圧倒する事が出来る。
沙耶香はともかく、夜見も気に掛ける節を持つ。
山矢修
馬鹿。万丈っぽい男。鈍感。実は折神朱音とは以前から面識があり、彼女の推薦によって舞草に入った経歴をもつ。
ボクシングをやってた影響か、戦闘時はそのスタイルが根強い。必殺技は奇しくも利き腕なので命中しやすい。
薫に好意を寄せられているが、自身が鈍感な上に相手も素直になれないので行き詰っている。
風間雄介
エレンのボディーガード。幼少期のエレンを王子様の如く助けた事が原因でそれいらい、親の根回しもあってほぼ無理矢理といった感じでボディーガードにされた。
銃器なら全て扱え、その命中率も高い。近接戦もこなせるので、かなり手強い。
母親がメイクの仕事についていたために無理矢理その技術を叩き込まれた為、得意分野になってしまっている。
影車想
冷静沈着な出来る男。パーフェクトハーモニーとは謡わない。むしろ部下の自由を尊重する。
腕は一切使わない足のみでの格闘術を得意とする。
どこぞの神父の如く、激辛麻婆豆腐が大好物。
影車瞬
兄を慕う弟。結芽を治す為に奔走しているが、成果は一向に出ていない。
修同様ボクシングスタイルでいく。
意外に事務作業が得意だったりする。
大和銀騎
部下からはそれなりの信頼を寄せている無能じゃない隊長。
クナイによる細かい連撃を得意とする。ただし、天道のように暗殺者のようなものじゃない。
色々と深読みするためにそのせいで希に大きな誤解を生んで酷く落ち込む事がある。
織田秀信
お調子者。だが実力は本物の優秀な部下。原作のように自由を謡うが大和がそれなりに自由にさせてくれるのでゼクトというよりは大和に付き従っている。
戦闘スタイルは斧による豪快な攻撃を得意とする。
なにやら寿々花と良い雰囲気だがその真意は・・・?
真島克己
優男(笑)。それなりの実力者だが大和、織田と比べると見劣りする。
双剣というよりは弓による狙撃を得意とする。だが本人は近接戦を好む為にあまりその特技を披露する事はない。
実は胎動編における出番はあれで終わり(ウソダドンドコドーン←本人の絶叫)